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生は難く死は易し(せいはかたくしはやすし)

「あと一日奥さんの熱が下がらなかったら、残念ですがお子さんはあきらめてください。」

私が生まれる時に、父はお医者さんに言われたそうです。でも、何の因果か母の熱がすうっとひいたので、私は生まれることができました。

小さい時から食欲がなく体が小さくて病弱でした。あまりにも食べないので、目に星が出ました。目に星が出るというのは栄養失調の印なんだそうです。

そんな野菜嫌いだった私が野菜を食べられるようになったきっかけがありました。それは、ばあちゃんの作ってくれたトマトを夏休みに畑で丸かじりするようになったことです。

ばあちゃんは、2歳の母と4歳の伯母さんを連れて一緒に引き上げてきた人でした。財産はほとんどあちらに置いてきてしまって、着の身着のまま逃げてきたと聞いています。

体が小さく栄養失調になっているような私は、将来が心配だと親せきじゅうから心配されていました。大きくなるのだろうかと。

でも、満州から帰ってきたじいちゃんとばあちゃんは言いました。

「人間は牛や豚とは違う。しっかり教育して学をつけて一人でも生きていけるようにしろ。」と父や母に言ったそうです。

カンカン照りの真夏の暑い日、栃木県の真岡にあるばあちゃんの畑で、大きくなっているトマトはちょっと青臭いです。でもとにかくのどが渇いていますから、1シーズンの夏に何個も食べました。

すると、ちょっと寒かったり、運動したりするだけですぐに熱が上がり、入院することになってしまった私の体が少しずつ強くなってきました。

中学校ではテニスを、そして高校では柔道をやれるまでになりました。

そして、こんな私でも、結婚できて,可愛い娘を授かりました。これは、トマトが好きで、たくさん食べていたからだと私は信じています

2012年の夏休みの自由研究で子どもたちがおじいちゃんのトマトについて調べたいと言いました。娘たちもまた、おじいちゃんが作ってくれるミニトマトが大好きです。

ばあちゃんの畑で食べたトマトの青臭い、たくましいにおいと、すっぱい味を思い出して、私も一緒に調べてみたいなと思いました。

トマトは私にとって特別な野菜なんですよね。


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