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7限目:ADXって知っていますか?(日本経済がどん詰まりの理由)

経済学部出身の桐島です。
本日は、東南アジア好きの私の問題意識を共有したいと思います。
これまで、色々な角度から東南アジアを見てきましたが、本日はデジタル化です。

さて、デジタル化というと皆様、どういうイメージを持つでしょうか?

「AIとかITでしょ。業務効率が良くなるんでしょ。それらによって無くなる仕事も出てくるとか聞くけど、、、」

という認識が多いと思います。
私も、AI、IT、デジタル化=既存の業務効率改善、と捉えていました。

しかし、実は違うんですね。

身近な例で言えば、携帯電話の4Gです。3Gから4Gに回線速度が速くなりました。これで、ただ単にネットアクセス速度が加速しただけではないのです。まず、iPhoneを代表とするスマートフォンが登場しました。
そして、YoutubeやNetflixといったスマホ上でも再生できる動画メディアが登場しました。これらは、既存のテレビ放送を脅かすまでの存在となり、社会を一気に変革しました。

現在、コロナ下でのテレビ会議や、オンライン教育というものも、ネット速度の向上により利用できるようになったサービスです。

つまり、「デジタル化」というのは、既存の社会構造を一気に変化させてしまうものです。

マーシャル・マクルーハン(1911~1980)という英文学者・文明批評家でトロント大学教授だったメディア論の創始者がいます。

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彼の箴言の第一は、
1.「新しいメディア技術の登場が、「物事をいかに行うべきか」だけでなく、「我々が行うことそのもの」を変えてしまう」です。

具体例としては、15世紀にグーテンベルクにより発明された印刷機が、それまで教会に独占されていた聖書と関連知識を大衆に開放したことで、ルターによる宗教革命が起こったものです。

そして、現在の印刷機=クラウドです。
クラウドは、企業・個人のコンピューターの処理能力を無制限に・安価に使うことを可能にしていて、情報コストを劇的に引き下げて、情報の普及速度とデータ容量を爆発的に膨張させました。

『the four GAFA(東洋経済新報社)』の著者のスコット・ギャロウェイ教授も「GAFAの中で最も生き残る可能性があるのはどれか?」という問いに対して、以下の回答です。

私はアマゾンだと思います。もし私が『the four GAFA』の続編として、『the one』というタイトルの本を書くなれば、それはアマゾンについての本になるはずです。例えば、クラウド・ビジネスの分野では、AWSの存在感が圧倒的に増しています。AWSは2006年に設立された、企業向けのクラウドサービスを提供する子会社です。AWSは世界のクラウド事業におけるシェアが32%でトップです。2位のマイクロソフトのシェアは17%にすぎません。新型コロナで在宅勤務をする人が一気に増えましたが、仕事のためにクラウドを通じてデータをやり取りすることが多かったはずです。これもAWSに多大な利益を与えたことでしょう。(「コロナ後の世界」文春新書 P157)

ふむふむ(*´ω`*)

これゆえに、彼の箴言の第二は、
2.「メディアの時代が終わる時には必ず、全ての組織における組織形態の大変容も一緒に終わる」です。

メディアが変われば国家、宗教、企業に至るまで、あらゆる組織は変わるし、変わらねば生き残れない。大量の顧客情報を迅速に処理・分析して的確な意思決定を下すためには、フラットな組織(四層構造まで)となる必要があるようです。

当たり前のことを言いますが、
YoutubeやNetflixはコンテンツが重要で、それを再生する媒体自体は、80型のテレビモニターであろうが、PCであろうが、スマホであろうが、箱物は何でもいいのです。
むしろ、顧客情報の収集が重要です。既存のDVDとプレイヤーでは顧客情報は把握・管理が出来ませんでしたが、現在のオンラインコンテンツでは、ログインした顧客情報は全て把握できます。
※テレビにKindle Fire Stickを刺して、Netflixを見る場合、顧客情報はアマゾンにも収集される

しかし、日本のメーカーは、未だにモノづくり(箱物)にプライドを持っていて、AI、IT、デジタル化=既存の業務効率改善と考える傾向にあります。

そもそも、日本企業の経営者は、IT投資に対する重要性の理解度が低く、なかなかIT投資を実施しません。実施しても、企業の売上げ増の方向でなく、コスト削減や人員削減の方向での投資です。

アメリカでは全く逆で、新ビジネスによる売上増
を目指しています。
これを示しているのが、以下の分析です。

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詳細が気になる方は、以下の分析を参照下さい。


1990年、2000年代に義務教育を受けた人の多くに、「日本=ものづくり大国」というイメージが刷り込まれているケースが多いと思います。

メーカー自身が、この発想から脱することが出来なかった結果として、日本企業の国際競争力はガタ落ちの状態です。

メーカートップのトヨタが、2016年にシリコンバレーにAI研究所(TRI)を創設しましたが、残りの自動車メーカーは、企業内部のシステムすら、20年~30年アップデートしていないという悲惨な状態です(ヒアリング済み)。

というわけで、日本としては、既存の大企業にばかり頼っていられませんし、大手の日本企業が井の中の蛙の状況にあることを改めて自覚してもらいつつ、新たな取組みを加速して貰うために、政府は東南アジア・インドのデジタル技術を中心にしたベンチャーとのタイアップを後押しを始めました。

これが、ADXという構想になります。以下に詳細が記載されていますが、
まずは、東南アジア・インドのベンチャー企業とのタイアップにより、日本企業の遅々として進まないデジタル投資・活用を促進していく。こういった企業を少しでも生み出していき、関連企業への波及効果を狙おうというものです。

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以下のような、日本企業の動きが具体的な例になります。このような取組みを政府として後押ししていきたいということです。

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日ASEANにおけるADX促進事業に関しては、募集していました。

補助対象経費は、以下。

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詳細は、以下のHPに記載がありますので、御覧下さい。


さて、「日本=ものづくり大国」というプライドを脇に置いて、デジタルの世界に少しでも舵を切れるのか楽しみですね。

内容を詰め込み過ぎましたが、次回もADXの解説をしたいと思います。

See you soon.



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