コヒブレ20回目:国家公務員(キャリア官僚)のお仕事Part7(財務省の紹介)
前回の続きになります。今回は、財務省の紹介になります。
財務省の組織と機構
まず、財務省の組織と機構です。財務省は、72,879人が働いています。
なかでも、国税庁の規模が大きく55,193人(本省1,100人、地方54,093人)が働いています。
全国に税務署が524カ所もあるためです。
財務省の全体人員の76%は、国税庁職員が占めているため多く見えますが、本省@霞が関に限ればだいぶ少なくなります!
今回は、財務省本省の解説をしたいと思います。
財務省本省は、大臣官房(550人)のほか5つの局があって、約1,880人の職員がいます。
大臣官房が、全省的なとりまとめを行っています。
大臣官房の下に機能別に5つの局があります(主計局:378人、主税局:184人、関税局:199人、理財局:379人、国際局:190人)
海外周りに関しては、国際局が担当しています。
事務次官に次いで、No2のポジションの「財務官」は、国際局の頂点にいる位置づけです。
歴代の財務次官の経歴をみると、各局の格付けがわかります。各局の地位は、以下です。
主計局>主税局>それ以外の部局
まとめると以下の通りです。
外務省とは異なり、各局に総務課があり、局別に取りまとめをしています。
財務省のツール
財務省の採用パンフレットを見ると、政策ルーツを「財政政策」、「マーケット関連政策」、「国際関連政策」にわけています。
財務省は、所管が大きく当然全てのツール(法律、予算、税制)を持っています。
財政政策は、予算編成を司っている主計局が主に担当しています。
マーケット、国際関連政策は、国際局が主に担当しています。
主計局
順番に5つの局の説明をします。
主計局には、予算編成権限があります。
これが、財務省が「官庁の中の官庁」、「最強官庁」と呼ばれる由縁です。
150日間の通常国会は、毎年1月半ばに開会し、6月半ばに閉会します。
5月ぐらいから各省庁において検討が開始され、6月から8月末の概算要求に向けて、各省による予算要求が本格化します。
各省の担当者は、財務省の担当者に(各省が次年度に獲得したい)予算の内容の説明をするために、財務省の建物に足を運ばなければなりません。
11の主計官がいて、2人が取りまとめ担当、残りの9人が各省の予算を担当しています。
担当は以下の通りです。
予算額が小さい省庁は、いくつかの省庁をまとめて1人の人が担当しています。
5,6の厚生労働省とこども家庭庁は、併せて2人が担当しています。
主計官の下に主査がいますが、主計官は各省の課長補佐、主査は各省の係長級になります。そのため、各省の課長補佐級が主査に説明をします。
財務省は、予算編成権限があるため、各省よりも1ランク偉いわけです。
予算権限を通して「情報面の強さ」で比較優位を維持できるためです。
主税局
主税局は全体人員76%を占める国税庁(税務署は日本全国524カ所)を所管しています。所得税、相続税、消費税、酒税、法人税などの税制調整をしています。
関税局
関税局は1万人近く(9,832人)が勤務する税関を所管しています。
税関は函館、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司、長崎、沖縄地区と全国に9カ所あります。
税関の主な仕事は、覚醒剤などの不正薬物や銃や知的財産侵害物品などの密輸取締り、輸出入貨物の通関、関税や消費税の徴収などです。
2国間協定やマルチ協定(RCEP)やWTO(世界貿易機関)、WCO(世界税関機構)などで、国際ルール作りもおこなっています。
理財局
理財局は、国債の発行、財政投融資、国有財産管理が主な仕事です。
2018年に安倍政権下で、森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざんが問題になりました。この国有地の財産管理で、理財局が一躍有名になりました。
たばこ産業も監督しています。
全体的に、あまり目立たない裏方仕事が多いのが特徴です。
国際局
国際通貨政策や、開発援助政策をしています。
国際通貨政策で、代表的なのが、為替介入です。オペレーションは、日銀がおこないますが、実施を決定するのは、国際局の仕事です。
開発援助政策の一例ですが、世界銀行やアジア開発銀行に対して予算を付けて、そこからODA業務を実施しています。
今回は、財務省の概要になりました。
次回は、経産省の紹介になります。
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