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コーヒーブレイク19回目:国家公務員(キャリア官僚)のお仕事Part6(総務省の紹介)

中途の方向けに、前回の外務省に引き続き、今回は、総務省の紹介です。

中途の方も、総務省の成り立ちを知ると、政治(永田町)と行政(霞が関)、霞が関と地方の仕組みを理解できます♪

総務省は、霞ヶ関のなかでは、最もトリッキー(Tricky)な役所です。

それは、全く関係の無い3つの省庁が一緒になった経緯があるためです。

総務省の組織

総務省が公開している組織図を見てみましょう。

これを見ると、大きく、行政、自治、情報の局があることがわかります。

行政(行政管理局、行政評価局、統計局)、自治(自治行政局、自治財政局、自治税務局)、情報(国際戦略局、情報流通行政局、総合通信基盤局)になります。

2001年の橋本政権の省庁再編の際に、「総務庁(行政)」「自治省(自治)」「郵政省(情報)」が一緒になりました。この3つは、全く無関係ですので、シナジーがありません。

「郵政省」=「情報通信」+「郵政」でしたが、小泉政権の2005年に、郵政は民営化されたため、「情報通信」だけが残りました。

総務省HPの資料

同じ建物でも、行政、自治、情報は、それぞれ別のフロアに分かれていて、人事も3省庁、別々で行われています。

1つなのは、総務省というホームページと玄関の看板と大臣ぐらいです。

中途の方は、3省庁、全く別々に採用が行われているので、勘違いしないように注意しましょう。

事務方の組織のトップである事務次官は、旧自治省、旧郵政省から選ばれています。

人数規模は、
総務省全体で、4786人

本省は、
行政:771人(行政管理局:84人、行政評価局:232人、統計局:455人)、自治:607人(自治行政局:232人、自治財政局:113人、自治税務局:88人、消防庁:174人)、情報785人(国際戦略局:170人、情報流通行政局:306人、総合通信基盤局:309人)

地方は、
地方支分部局が1919人(なかでも総合通信局が1番多く1156人)です。

総務省解体論

総務省を解説する書籍は、世の中にはほとんどまりませんが、唯一の詳しい書籍が、「総務省解体論(原英史)」です。

タイトルは、センセーショナル(sensational)ですが、総務省が、バラバラな3省庁からできた経緯等、丹念な聞き取りを踏まえて、詳述しています。

本書によれば、3省庁が総務省になった経緯は、「政治的妥協の産物」で、結果は、「省庁再編の失敗作」になります。

2001年の省庁再編時(1府22省庁→1府12省庁)に、

●郵政省は解体(郵貯・簡保を民営化)されて、郵政事業庁に
●通信・放送行政は「通信放送委員会」に
●情報通信産業は「産業省」に

統合される予定でした。

しかし、郵便局が郵政族議員と共に巻き返しをはかり、当初の案が潰れて、総務省に3省庁を押し込むという形になりました。

以前、紹介した5大省庁というのは、権力・権限がある省庁ですが、総務省のなかで、自治省が大きな権限があると言われています。

そこで、自治省の解説をしたいと思います。

自治省

自治省に入省すると、標準的なキャリアパスは、国と自治体を行き来になります。若手のうちは自治体勤務を経験し、本省課長補佐クラスで県財政課長に出向し、本省課長クラス以上で県部長、副知事になります。

そこから、選挙に担がれ、知事に就任するケースも多くなっています。

現在の官僚出身知事のうち、黄色塗りが自治省出身の県です。

福島、福井、長野、兵庫、鳥取、島根、山口、高知、佐賀、宮崎の10県の知事になっています。経産省出身が次いで、5県の知事になっています。

自治省の存在意義

諸外国では、自治省なんていう省は存在しません。
理由は、基本的には、存在する意義がないためです。

では、なぜ、日本で自治省があるのでしょうか?

戦前は、県知事は内務省から送り込まれていました。
しかし、戦後になると、県知事は選挙で地方自治体が選ぶことになりました。

しかし、国が地方を統制する仕組みは「機関委任事務(国が地方の仕事を投げる仕組み)」の形で生き延びましたが、その後、廃止されました。

現在では、自治省が、地方交付税や補助金の権限を握ることで、生き延びています。

なぜ地方自治体は自立できないのか?

これは、国と地方の歳入と歳出がずれているからです。
支出は、国が40%、地方が60%です。
しかし、収入国が60%、地方は40%です。

そのため、国が20%を地方に地方交付税や補助金として渡すと、バランスがとれます。

しかし、これらのお金は自由に使用できるわけではなく、国がルールを課します。そのため、自治省が地方を統制できてしまうのです。

自治省が配分したお金を、地方自治体の県財政課長が管理・運用するという仕組みになっていて、予算の仕組みに詳しい自治官僚が、その後も、副知事→知事とキャリアアップしていくということになります。

本来であれば、国税・地方税の比率を調整して、地方自治体の収入を増やしてあげれば良いのですが、中央の官僚は、権限がなくなることを恐れて、反対します。

一例ですが、霞ヶ関には、このような「どこに付加価値があるんですか?」という旧制度がいまだに沢山、存在しています。

総務省に中途で入省予定の方は、複雑怪奇の組織故に、事前に詳しく調べることをお勧めします。

次回は、財務省の解説になります。
以下をご覧ください!


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