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㊸ラオス旅/中国の影響力分析Part3 ムアン・サイ

前回はルアンナムターから見て南西のフアイサーイの近くのゴールデン・トライアングルを特集しましたが、今回はルアンナムターから見て南東にあるムアン・サイで感じた中国の影響力です。

読者のみなさまは、ルアンナムターとムアン・サイ(中国に近い都市)のどちらの都市が中国の影響力が大きいと思いますか?

私は、単純にムアン・サイの方が中国とラオスの国境に近いのでムアン・サイだと思っていました。

しかし、答えはルアンナムターなのです。

現地に在住しているJICAの青年海外協力隊の方に伺ったら理由は簡単でした。

「中国が敷設している鉄道がルアンナムターを通過せず、ファイサーイの付近を通過するため、明らかにファイサーイの中国人が増えている」ということでした。

何とも興味深いですね。どちらかというと鉄道の経済学になる気がしますが、近くに鉄道が敷設されて駅が作られるとその地域経済が大いに活況を呈するのは、リニアモーターの開通を見据えて浮足立っている名古屋と一緒の現象です。

鉄道の経路と駅の場所は地元経済へのインパクトを決定づける鍵になることを改めて印象付けてくれます。

ルアンナムターからファイサーイまではバスで3時間30分(120km)かかりました。ここも起伏もカーブも多い道のりです。

第2弾の記事でボーテンに行くまでに、警官に捕まって罰金を払った話がありました。
その時に罰金を払ったNateuyという思いで深い場所で再びムアン・サイバスは停車して、若い中国人を3人と中年の中国人1人(全員男)を乗せました。
そこから走ることわずか5分で中鉄五局による鉄道プロジェクトの現場が沢山目に入ってきました。
いたるところで山を切り崩したり、トンネルを掘ったりしていて、中国人労働者の住まいであるバラックのような建物も見えました。

今回のバスです。運転手が小便に行きたくなったら立ちション休憩を挟みます。ラオス人女性もあまり人目を気にせず野糞をします。女性としてのたくましさに感服しました(; ・`д・´)
国道13号線から横道をガンガン開拓する中国のクレーン、中国人労働者はたくましい
道路の劣化の1つの原因がこのような巨大トラックであることは間違いないです
浄水場も建設していました。きっと、中国人労働者のためにライフラインを同時に整えているんですね
ぶれぶれですが、中国中鉄五局の看板が見えます、彼らの道路は綺麗です
こんな中国人労働者の住居が道路沿いに沢山ありました

途中乗車した若い中国人は3人ムアン・サイまで行きましたが、中年の中国人は途中の鉄道の建設サイトで下りました。バスでNateuyからムアン・サイまで行く国道13号沿いに鉄道が走る予定であることがわかりました。

Nateuyからムアン・サイまでの80km、2時間はずっと鉄道のルートを解明するために外を見ていました。

その時に感じたのが、ラオスの国道13号線よりも、中国の建設サイトの道路の方が、凸凹もなく新しいということです。他方で、中国の巨大トラックは国道13号線を使用して、荷重により道路を荒らしています。まずは中国が国道13号線を整備すれば、自分たちの建設プロジェクトにとっても、道路を使用するラオス人にとってもwin-winだろうと感じてしまいました。

道路の痛みが進みやすいのは、大陸東南アジアの共通の特徴です。雨期に降るスコールの雨量が半端ではないので、すぐにコンクリ―トが劣化してしまうためです。

そのために、強い道路が地元経済のためになるのです。そんなことを感じながら、目的のムアン・サイに到着するまでに、鉄道の経路がわかってきました。

鉄道の経路は山を削りまくる直線コースです。

また、ラオスの山岳地帯のトンネル開通工事は難工事であることが、目に見てとれました。高速鉄道のくせに時速150kmで遅いという批判がありますが、周りの様子をみて時速150kmで十分だと感じました。

ラオスの鉄道建設は、国家レベルの大掛かりなプロジェクトの1つですが、例えばスリランカのハンバントタ港やコロンボのポートシティ・プロジェクトと比べても全く難易度が異なるように思いました。

中国はいままでのところ、平野に鉄道を引くことで高速鉄道営業距離を稼いでいましたが、無事にラオスに鉄道を敷設できることができれば、山岳部に鉄道を引くという新たな鉄道敷設技術が中鉄に蓄積されて、世界での鉄道受注競争での強みをこれまで以上に発揮できるようになります。

鉄道の運行・運営は近い将来にAIにとって代わられて陳腐化する(今回の旅で日本やイギリスは運行・運営面で労働過多ですが、既にドイツではほとんど人がいない気がしました)はずですが、建設工事は複雑で人件費の安い労働力に頼る状態がしばらくは続く気がします。

中国が世界一の鉄道敷設能力を身につけて、運行・運営面は全てAIに頼るというコラボレーションを発揮すれば、名実共に世界一の鉄道国になる気がします。このような観点から、今後もラオスにおける中国の鉄道建設プロジェクトは注視していきたいと思います。

See you soon.

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