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⑨NHKスペシャル「緊迫ミャンマー・市民たちのデジタル・レジスタンス」を見て(2021年4月4日放送)

お久しぶりです。桐島です。今晩見たNHKスペシャルが衝撃的だったので、概要を共有したいと思います。

<番組の概要>
●4月3日時点での死者は557人に達している。それでも、市民は抵抗を続けている。

ミャンマー国軍は国営テレビを通じて、嘘の情報を流している。その姿は、1988年に軍により市民が弾圧された状況と一緒

●具体的には、2月28日の国営テレビは、デモ参加市民が軍によって射殺されたことに対して、「国家に対して反対する集団が治安部隊を攻撃して負傷させた」としたが、弾圧の現場の映像からは全く異なる事情が浮かび上がる。

●デモの参加者は「デモの準備を始めてからたった5分後のことです。部隊の上官が「デモを解散させろ」と叫ぶと、部隊がすぐこちらに向かってきました。同時に閃光弾や催涙弾を撃ってきました。デモを始めてすらいませんでした」と証言している。

国軍が、市民を銃を無造作に発砲する背景となったのは、公務員、僧侶、医師などの市民不服従運動(CDM)であり、統治の根幹が揺るぎかねないとして、軍のトップ(ミン・アウン・フライン司令官)が「職務を離れている者は感情にとらわれることなく、国や国民の利益のために直ちに職務に復帰することを求める」と国営テレビを通じて演説した(2月11日)

これ以来、市民への武力弾圧はエスカレートして死者が増え続けている。デモ参加者は、死ぬ覚悟で参加するため、腕に血液型やIDを書き込んで参加している。

●武力弾圧に対抗して、デジタル・レジリエンスの動きがある。

●ミャンマー国内では、警察の位置情報をネットで共有することで、デモの危険を回避するといった若者の動きもあり、また隣国のタイでは、政府のネット回線遮断を回避するためにSIMカードを大量にミャンマーに送る支援をしたり、アメリカではミャンマーの死亡者数を表示するサイトを立ち上げる、日本ではミャンマー国軍のサイトのアクセス数を上げてサイトをシャットダウンに追い込む、動きがある。

●日本に32年暮らすウィン・チョウさんは、「軍を認めないためには、私たちには犠牲者の命を無駄にしない責任がある」として、日本国内のミャンマー人の仲間と一緒になって、写真や動画などのデジタルデータから真実を探ることで、軍の嘘を暴こうとしている。

●ウィン・チョウさんは大学院生として、1988年のデモに参加したが、軍の銃弾によって友人が犠牲になった。しかし、軍はその死の責任は自分たちにはないとして、民間人と学生がケンカして殺されたと主張した。

●こうした経験から、ウィン・チョウさんは「1988年で終わっていれば今みたいになっていなかったとして、殺した人たち、命令した人たちのことを記録して、絶対に裁判にかけて犯罪を認めなければいけない、罪を自覚してもらわないと意味がない」と考えている。

ミャンマー国軍は、デモに参加して殺されたエンジェルさんを、わざわざ、墓から掘り起こして、銃弾を取り出して、後方からの殺害であり、銃弾の種類も異なり、抗争を扇動する者たちが起こした謀略の可能性があり、背後にいる犯人を見つけ処罰する、とした。

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(逃げるエンジェルさん)

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(デジタルデータと証言による射殺の経緯整理)

●これは、1988年の弾圧の時と同様で、軍が多くの市民を射殺しているにも関わらず、軍の責任を認めようとしていない

●ウィン・チョウさんが、動画や写真や関係者の取材によって突き止めた真実は「部隊が強制排除に乗り出して銃撃が始まった。後退しながら振り向くとエンジェルに銃弾が命中した。銃声と倒れた音がほぼ同じだった」ということだった。つまり、エンジェルさんは、仲間と共に軍による銃撃から逃げている最中に、軍の自動小銃の弾に当たったのである。

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(軍の自動小銃と、警察のショットガン)

●ウィン・チョウさんは、これらの軍の非道を、国連のミャンマー独立調査機構に報告している。

<今後の展望>
●平和的な丸腰のデモ活動では、軍から射殺される危険性が高いため、一部の若者は、軍に対抗する武装組織に合流する動きを見せている。

若者たちが武器を持つことで、軍との更なる衝突が生まれて、更なる血が流れる恐れがある。

<感想>
いままで、ミャンマー情勢が、頭では理解できていても、実態が把握できていなかったが、軍の高圧的で、一方的で、責任回避の態度が理解できた。

一例として、以下のような恐怖政治を敷いて、市民のデモを完全に抑圧しようとしている。

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何よりの懸念は、番組の最後で紹介されていた、都市部の若者の間で、「カレン民族同盟(KNU)」など武装勢力支配域で軍事訓練を受ける動きも出てきたことです。

国軍は武装勢力がデモ隊に武器を提供することを警戒しており、さらに弾圧を強める可能性があり、内戦状態に陥ってしまう危険性があります。

非常に歯がゆい思いです。

See you soon.


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