読書ノート2022/02/12

原田ひ香さん「三千円の使いかた」(中公文庫)は良かった。しみじみとラストを噛み締める。「三人屋」で人生の悲哀をうまく描く作家さんだなと感じていたけれど、今回も実に滋味深い。良かった。

お次はホリー・ジャクソンさん「自由研究には向かない殺人」(創元推理文庫)を読んでいて、これまた面白い。少女が自分の街で起きた女子生徒失踪事件の真相を知るため、関係者に「自由研究」のていでインタビューしていく。ミステリー×ジュブナイル。シリアスになりすぎない殺人推理小説というのは新鮮だ。

中公文庫にせよ、創元推理文庫にせよ、何となく文庫のカラーというものがある。中公は硬派。創元は正統派ミステリー。それぞれ長年の出版で培ってきた文化なんだと思う。絶えることがないよう応援したい。

去年から「10代のための読書地図」で紹介されている本の中から気になったものを順番に読んでいくという活動をやっていて、また数冊購入した。書店に行くとどうしても新作に目を奪われてしまうので、名作や古典に触れる良いきっかけになっている。

感染拡大が止まらず、また本屋に行くことを自粛している。早くまた、のんびりじっくり書店を巡る日を迎えたい。無事に迎えるため、感染対策を尽くす。

この記事が参加している募集

万が一いただけたサポートは、本や本屋さんの収益に回るように活用したいと思います。