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読書熊録

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素敵な本に出会って得た学び、喜びを文章にまとめています
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2021年10月の記事一覧

「おかえりモネ」が教えてくれたこと

「おかえりモネ」が教えてくれたこと

「おかえりモネ」が最終回を迎えた。断続的ではあるものの、物語を追い続けていた。納得のラストであり、本当に素敵なドラマに出会えたと思う。制作者、演者の方に感謝したい。

一体なにがそんなに素敵だったのか?この作品が、ものごとの「間」を大切にしていたからだ。

たとえば、主人公モネの幼馴染の漁師父子。震災でお母さんが亡くなり、父親は荒れる。立ち直ることは、最愛の人を忘れることでもあると信じる父親は、「

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イノベーション・オブ・ライフを再読する⑩人生はスナップショットではなく長編映画である

イノベーション・オブ・ライフを再読する⑩人生はスナップショットではなく長編映画である

クレイトン・クリステンセンさん「イノベーション・オブ・ライフ」を再読する。いよいよラストの「終講」「謝辞」まで。

ここでは謝辞の、「ビジネス本は成功者のスナップショットを描き出すものが多いが、本書は映画のように描き出すことを心がけた」という部分を胸に刻みたい。

そう、人生とはスナップショットではなく長編映画なのだ。

人を妬む時、憧れるあまり過度な言動に走る時、私たちは人生をスナップショットだ

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イノベーション・オブ・ライフを再読する⑨信頼とは新規事業なのかも

イノベーション・オブ・ライフを再読する⑨信頼とは新規事業なのかも

クレイトン・クリステンセンさん「イノベーション・オブ・ライフ」を再読している。第10講「この一度だけ……」までを振り返る。

本講はなかなかアクロバティック。仕事上の不正や不倫などの悪徳がなぜ許されないのかを、「限界費用と総費用」の理論で説明している。

限界費用と総費用の理論は、目先の費用(限界費用) を最も優先すると、結果的に新しい事業が育たず、会社そのものが衰退して莫大なコスト(総費用)を支

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イノベーション・オブ・ライフを再読する⑧経験の学校に通う

イノベーション・オブ・ライフを再読する⑧経験の学校に通う

クレイトン・クリステンセンさん「イノベーション・オブ・ライフ」を再読している。第8講「経験の学校」までを振り返る。

今回取り上げられるのは人事採用論の「経験の学校」。これは名称から想像できる内容で、スムーズに頭に入ってくる。

主に中途採用時、採用候補の肩書きに目を向けると失敗することがあるのはなぜか。著名企業のマーケティング担当だとしても、新規商品のマーケティングを必ずしも成功させられないのは

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