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人生が嫌になったら『水やりはいつも深夜だけど』で自分を客観視してみよう

窪美澄さん。「夜に星を放つ」が直木賞を受賞されましたね。
ミーハーな私は読みたくて近所の図書館で予約をしたが、
23人待ちという果てしない人数を前に購入を検討中。
蔵書1冊を、1人2週間借りられ、予約本の受け取りは1週間の猶予があるとなると、私の順番は1年以上先になるのだ。
蔵書増えないかな。。。

ある人と会話をしていたときに、
ん?と引っかかることがあった。

会話相手には姉が2人いるそうなのだが、
長女のことをやり玉に挙げてこう言った。
「あの人は何も苦労せずに過ごしてきた。同じ姉妹なのになぜこんなにも呑気なのかと思う。」と。

私は納得がいかない。
世の中に”苦労をしていない人”なんているのだろうか。
どんなお金持ちでも、どんなにのほほんとした朗らかな人でも、
皆人知れず、いろんな種類のその人にしか分からない大変さを抱えながらも日々をやり過ごしている部分は少なからずあるのではないのだろうか。

日々の中での葛藤・悩み・苦しみ・痛み・挫折・怒り・恐怖。
私も33になる年だ。ひととおり全ての感覚を経験したことはある。
これくらいの年になれば、大方の人が経験しているだろう。

そうした負の感覚は、どこか奥深くでひっそりしていることもあれば、日常の中でふとしたときに顕在化することもある。そして完全に消えて無くなることもあれば、もやっとしたものを残したまま、生活の一部になっていくことも。
そうした心の動きを丁寧に、繊細に描かれている本は、読んでいると心揺さぶられるもので。
私は、今まで経験した負の感覚を、しっかりと思い出してしまいながら、1つ1つのストーリーを読み上げた。

読みすすめる中で、自分の中にある負の感覚が研ぎ澄まされ、敏感になることがあった。
そんなときは少しつらくなることもあったが、最後は「読んでよかった」と思えた。
”みんな何かしら問題を抱えて生きている”と突きつけられたことで、人間って案外しなやかに生きているものだなと思えた。
”しなやかに生きる”
数年前から流行っているこの言葉は、なんだか特定の素敵マダムしか実践できないハイレベルな生き方のように聞こえていた。

ただ”しなやか”の意味を調べるとこう書いてある。

① 弾力があってよくしなうさま。よくたわむさま。

② 人の姿態や動きがたおやかで優美なさま。また、落ち着いて、しとやかであるさま。

コトバンクより引用

おそらく流行の”しなやかさ”は後者のことを指しているのだろう。
確かに後者の意味だとハイレベル・マダムの印象を与える。
ただ、前者の意味でのしなやかさも生きていく上で大切なことだ。
”弾力があってよくたわむ”
こうしたしなやかさを駆使することで、もう逃げ出したくなるような問題が目の前に登場したとしても、なんだかんだで生きていけるのだ。

この本を読んで、どんなにつらくて悲しくて胸が痛くても、自分が今日まで生きてこれた理由を知った気がする。

物事は、前転もするし、後転もするし、横転もする。
弾力があってよくたわむ”しなやかさ”があれば、なんとかなるもんだ。

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