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最近の家族のこと

最近は家族に会っていない。正月に帰って以来だ。

姉は僕とは生き方も考え方も正反対だし、服の好みも、本の好みも、食べ物の好みもまったく違う。かなり昔に男の好みを聞いたら、「外国人」と答えてきたようなざっくりとした人。

そして最近の姉からのLINEは、ほぼ自分の子供の写真ばかりで一方通行だ。

うちの母は、なにかプレゼントをしても金券以外は喜んだ試しがない。そしてたまに母に電話をしても、なかなか会話があまりかみ合わない。電話の最後の決まり文句は「どうせ私たちのことなんか忘れちゃったんでしょ?」。そして気分次第で一方的に電話をガチャっと切られることもある。

そして最近の母は、姉の子供2人にメロメロでほぼ言いなりになっている。気の強い母も孫の前ではめっぽう優しくなる。

父は父で、無口でよくわからない人だった。家族に予告もなく真夜中に仕事の取引先の人を家に連れてきて、僕たちが寝ている間にすっかり冷めた自分の夕飯の残り物を食べさせるという謎の接待をし、次の日に母にこっぴどく怒られたりするような、そんな人。

父とはあまり遊んだ記憶もないけれど、一度だけ海釣りに一緒に行ったことがある。その日はまったく魚が釣れず勝手に不機嫌になり、「帰りたい」という小学校低学年の僕をほったらかしにして満潮になり始めた岩の上で仏頂面をしながら、ずっと無言で釣り糸を垂らしていたのを覚えている。

そして最近の父はほぼ寝てばかり。

そもそも全員が血を分けた人達なのに、最近はなかなか理解しにくい人達。

かつて同じ家で暮らした年数はそれなりに長かったけど、最近は長時間一緒には過ごすのがなかなか難しい人達。

最も近いようでいて、最も遠いような存在。

たまに憎たらしいけど、離れてからは愛おしい存在。

それが僕にとっての最近の家族。



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