二人の男がにとって最も大切な約束とは「人生の約束」
すれ違い、離れた二人の男が
最後に気付く人生の約束とは
○ジャンル:小説
○本の種類:文庫本
○著者名:山川 健一
○出版社:幻冬舎文庫
「人生の約束」を読み終えて
映画化もされている「人生の約束」。
そのタイトルだけでも、十分に読んでみたいと思わせてくれます。
本書は2人の男と、1人の女性の関係。
この人間関係が、深く強い人間の、特に男同士の友情の結末を描いています。
都会と漁師町の違いが際立つ
このストーリーの背景には、都会の大企業と、漁師町があります。
学生時代に出会った男2人が会社を立ち上げて、上場企業へと会社を成長させるという背景がありながら、一方では漁師町の様子を描いています。
そのコントラストがより人間の本当、人間くささを際立たせています。
会社を大きくすることに全力を捧げる男と、故郷の祭りに全力を捧げる男。
この2人の違い。
その違いがまた、2人を引き寄せあう。
まったく違う2人だから、足りない所を補い合う男の関係。
そこに本当の男同士の友情が見えます。
成功とすれ違い
学生時代に出会った2人の男が、会社を立ち上げ、その会社を上場させるまで成長させます。
まさに成功した2人に見えていましたが、徐々に2人に会社の方向性のことでズレが生じてきます。
その結果、1人の男が会社を去ります。
この決裂が友情の終わりとなるのだが
会社を去った男の死から、2人の男の友情を確かめる行動が始まります。
2人の男に愛された1人の女
2人の男は1人の同じ女に魅かれる。
会社を去った男と、女は幼馴染。のちに結婚して1人の娘が生まれる。
しかし、娘を残して、父と母は亡くなってしまいます。
そしてこの残された娘と残された男が出会ったことで、徐々に男は、亡くなった男との約束の本当の意味に気付きだします。
「人生の約束」を読んで!まとめ
本書は、同じ女性を愛した2人の男の約束について考えていくという物語です。
都会の大企業と故郷の祭りが背景となり、男同士の友情とは何かに気付いて行きます。
意見の食い違いから、離れてしまった男2人。
しかし、2人の正反対の性格は、2人の男をより強い友情で結びつけます。
2人で会社を立ち上げ、その会社が2人の友情の証であると信じ、その会社を守り続ける1人の男。
しかし、会社を去った男の死から、会社を守ることが本当の2人の約束であったのか、疑問を感じ始めます。
そして、会社を去り、孤独に亡くなった男の故郷で、その男の人生に触れた時
男同士の本当の約束が何だったのか気付きます。
男同士がはっきりと口には出さないが、交わした人生の約束は一体何だったのか。
その本当の約束を知った時に、人生を懸けて守るものの大切さ重さに気付きます。