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人間の奥底を独特な言葉で描く!「何もかも憂鬱な夜に」

焚き火は、いつまでも燃えるだろう。
何もかも、憂鬱な夜でも。

『本の基本情報』
○ジャンル:小説
○本の種類:文庫本
○著者名:中村 文則
○出版社:集英社文庫

■「何もかも憂鬱な夜に」を読んで

本書は著者の独特な言葉使いで、人間が口には出さずに心の中で思っていることを表現している場面が多いです。
まさにこの著者の特徴だと思います。

全ての人がそう感じているワケではないですが、ある人の心の中の声が実に不思議な感覚で表現されています。
著者の独特な表現の世界に引き込まれていきます。

「死刑」という死を背景にしながら、実は生きるということであったり、人間が芸術に触れるということなどを伝えている作品です。

確かに、独特な表現で難しいテーマを表現していますので、さらっと読み終えてしまった人は全く理解できませんという感想になる方もいるかもしれません。

結構じっくりと集中して読み込む必要があると思います。
200ページくらいなので、じっくり読みこんでも、それ程時間はかかりません。

考えさせられる内容なので、著者の独特な表現を楽しみながら読みこんでみてください。

■人間の奥底の心理描写

本書の著者の特徴でもあると思います。
それは、人間の心理描写です。

人間が口には出さないが、どんな事を心の中で思っているか、感じているかを、独特な言葉をつかって表現しています。

もちろん「えっ?」と思う言葉、分かりにくい言葉もあります。
しかし、何となく同じ様な感覚の言葉で表現されていた時に、その表現がスッと入ってくることがあります。

本書でも、勿論その心理描写が実によく使われています。

共感できない人は全く共感出来ないと感じるかもしれませんね。

■生きると芸術が結びつけられている

本書の中に、どんな人間でも芸術に触れる権利はあるとあります。

生きるということと芸術が深く関係していると感じました。
確かに、どんな状況にあっても、人間は歌を歌ったり音楽を聴いたり、何かを描いたり、感じたり、想像したり、発想したりと様々な芸術的な行動をしています。

生きていると、このような芸術に必ず触れています。

そんな人間の状況についても、本書では触れています。

■「何もかも憂鬱な夜に」を読んで!まとめ

本書は、独特な言葉遣いと人間の繊細な心理描写が目立ちます。
犯罪を犯す人間、死刑を待つ人間の生死について、人間の感じる部分が鮮明に描かれています。

「命は使うものだ」という言葉には、生きることに対する大切な表現だと感じました。

生死という繊細で難しいテーマを描いています。
本書はサラッと読むのではなく、集中してじっくり読んでいただきたい。

1つ1つの心理描写を、頭の中でしっかりとイメージしながら読むことで、まったく分からないという感覚から共感は出来なくても、何となくわかるというものに変わっていくかもしれません。

始めて本書を読む人は、まったく意味が分かりませんという感想にもなるかも知れません。
しかし、何度か読み込むことで、きっと心に残る作品になれると思います。

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