影もすっかり伸び切った頃、シャッターが半分降りた見窄らしい古物屋の奥で、湯呑2つだけ乗せたカウンター越しに男が二人話し込んでいた。 「美味いお茶だね。何年物だい…
どこぞの
2018年8月11日 20:41
影もすっかり伸び切った頃、シャッターが半分降りた見窄らしい古物屋の奥で、湯呑2つだけ乗せたカウンター越しに男が二人話し込んでいた。「美味いお茶だね。何年物だい?」 椅子に座っている手前の男が、空になった湯呑を奥の男に差し出した。手前の男は客で、奥の男は店主らしかった。「緑茶に何年物も何もありませんよ。ただの新茶ですよ、静岡茶。」 湯呑を受け取った店主は慣れた手付きで、茶を注ぎ直した。店主か