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日本語教室再開までにやっておくといいコト

新型コロナウイルスの影響で、2月中旬ぐらいから各地の日本語教室(いわゆる、ボランティア教室)が活動休止になっていますね。

当初は年度が変わって4月から再開、と考えていらっしゃったところも多かったと思いますが、今の様子だと年内再開も難しいかもしれませんね。

再開までの期間をどうしたらいいのかというご相談をいくつかいただいていますが、教室の運営形態や教授内容などもさまざまですので、一律にこうしたらいいというアドバイスはできません(普段もそうですけど)。

強いて言えば、学習者さんには自宅等での学習方法を紹介し、ボランティアさんは少しでもご自身のブラッシュアップにつながるようなことを、そしてできれば関係者の間で今後の教室運営についてじっくり話し合われるといいと思います。

以下、例えばこんなものを〜と思うものをいくつかご紹介しますので、よろしければ興味があるものの画像をクリックしてみてください。


日本語学習者への自宅学習サポートに

まずは、自分の今の日本語力を測ってみることからスタートしてはどうでしょう。webテストで測れることは限られていますが、少なからず参考にはなるかと思います。やり方がわからない人には教えてあげてください。

■ 日本語能力試験:問題例に挑戦しよう(N1〜N5)

単にレベル感だけでなく、語彙や文法、聴解など、自分の得意・苦手分野を知るのにもいいと思います。聴解はN1だけど文法はN3、というようにバラつきがわかると、教室再開後の指導強化ポイントがつかめるかも。

■ 筑波日本語テスト集TTBJ(個人受験)

こちらは申し込みから受験までが少し手間がかかるので、ボランティアさんのサポートがあったほうがいいかと思います。日本語能力を測るテストはJLPTだけじゃありませんから、いろんなテストを試してみると自分の日本語力にも意外な発見があるかもしれませんよ。

■ 無料の教材

今の時代、インターネット上にはたくさんの教材が、ありがたいことに無料で公開されています。テキストだったり、動画だったりと形式もいろいろありますし、Youtubeなんかで検索すると各国語の通訳や字幕付きで教えてくれる人もいますから、好きなものを選んでやってみたらいいと思います。

というか、実は今の日本語学習者は自分のお気に入りサイトを持ってる人が多いので、こちらから教える必要はなかったりするんですけど、もし自分が知っているもの以外でオススメはと聞かれたときに、1つか2つは答えられるものを知っておくと喜ばれるかと思います。

例えば、オンライン学習のまとめサイト「日本語eな」は有名ですね。

子ども・若者向けのものは少ないんですけど、「エリンが挑戦!にほんご できます。」なんてのもあります。

介護現場で働く・働きたい人に特化した学習サイト「日本語でケアナビ」など、特定の人向けのものもありますね。

いずれも国際交流基金さん制作ですが、僕は関係者じゃありません(苦笑)

でも、さすがにクオリティが高いですよね!

生活者向けの内容だと、社会福祉法人さぽうと21さんが自作のテキストや動画を公開されています

もっともっと知りたーい!という方は、文化庁さんのまとめサイト「日本語教育コンテンツ共有システム:NEWS」で検索してみてください。こちらに掲載されているのはダウンロードもコピーもフリーでし、たくさんあるので学習者の目的やレベル、言語などに応じたものを選んであげるといいと思います。

たくさんありすぎて普段なかなかちゃんと見る時間がないという方も多いでしょうから、この機会にいくつかでも目を通してみてはいかがでしょうか。


最後に、最近公開されたものをご紹介しておきます。期間限定公開のものもありますので、学習者さんにご紹介される際はご注意ください。

● 5月31日まで、『みんなの日本語』

初級Iの本冊、翻訳・文法解説(14言語)などがオンライン上で見られます(ダウンロードはできません)。指導者向け「教え方の動画」も公開されています。事前に無料のユーザー登録が必要ですので、難しい人には手伝ってあげてください。

● 6月30日まで、『まるごと』

初級〜初中級レベルのテキストが6冊も公開されています。ユーザー登録は不要ですがダウンロードはできませんので、PC等の画面上でご覧ください。

● 期間なし、『いろどり 日本の生活』『こんにちは 日本の歴史』

下の2つは期間限定公開ではありませんので、いつでもお好きなときにチェックしてみてください。無料でダウンロードもできます。内容も徐々に増えていくようですので、お楽しみに。


日本語ボランティアのブラッシュアップに

学習者さんが一生懸命勉強されている間に、教える側も負けないぐらいブラッシュアップしておきたいですよね。教室再開時に学習者さんに「私はずっと日本語を勉強していました。◯◯先生は休みの間、何をしていましたか?」と聞かれても、自信を持って答えられるようにしたいですよね(汗)

こちらもまずは、ご自身の「指導力」をチェックしてみることからスタートしてみてはどうでしょうか。「指導力」と言われるとドキッとしてしまうかもしれませんが、だれかに測られるんじゃなくて、自分でチェックできるものですからご安心ください(苦笑)

■ 文化庁 「生活者としての外国人」に対する日本語教育における指導力評価

直接、学習者に日本語を教える「指導者」と、活動方針を考えたり人材確保・育成など教室運営もされる「コーディネーター」に分けてチェック項目がつくられているので、ご自身の立場等に合わせてやってみてください。

こちらから、エクセルファイルもダウンロードできます。

■ 日本語能力試験対策

普段の教室活動で試験対策をされている方からは、どうやったらもっと上手に教えられるかというご相談がとても多いです。でも、教え方の前に、この試験のことをどれだけ理解しているかがとても大事なポイントになります。試験のことをよく知らないで「対策」はできませんからね。敵を攻略するには、アイツのことなら何でも知っている!ぐらいにならないと。

試験のウェブサイトでは、このテストがどういうものかをきちんと説明してくれています。「このサイトは全ページ隅々まで読んで理解できてるぞ!」という方はスルーしていただいてかまいませんが、そうでなければぜひこの機会にしっかりチェックしてみることをオススメします。

■ いろいろな教え方

日本語の教え方は、教える人によっても学習者によっても本当にさまざまですので、「これがBEST!」なんてものはないと思いますが、いろいろな人の教え方やその考え方に触れることで、自分のやり方に幅ができたり、自分のやり方を見直すきっかけになっていいと思います。

これも今はインターネットで「◯◯の教え方」とかって検索するといろいろ出てくるので、おもしろそうなものを探してみてください。

例えば・・・

● 国際交流協会「日本語教育通信 日本語の教え方 イロハ」

いろんなメニューから少しずつ学べます。コーヒーブレイクの合間にちょこっと読んでみる、というのにいいかなと思います。

● アルク「水谷信子先生の日本語の教え方相談室」

こういうQ&A形式だと、自分が知りたいところをピンポイントで見られるので助かりますよね。

● ちよさんぽ「みんなの日本語 初級」1〜50課の教案まとめ【教え方と使用教材】

ご自分の教案を公開されている親切な(?)方もいらっしゃいますね。繰り返しますが、教え方は人それぞれですので、良し悪しを評価するようなことはしないで、参考になるところがあればラッキー!と思っていただくのがいいですね。僕が駆け出しのときにこういうサイトがあったら絶対見ていたと思います(苦笑)

● 50カ国・地域の日本語学習者に発信するYouTuberあっきーさんの活動

Youtubeで日本語を教えている人もどんどん増えていますね。人気と実力の相関関係はわかりませんが、教室でもネット上でも、「おもしろい!わかりやすい!」というのが学習者に好まれるのは共通していると思います。多くの人が「チャンネル登録」されているのを見ると、その人気の秘密に気づけるかもしれません。


以上、長々とお読みくださり、ありがとうございました。「これが僕のオススメ!」というわけではありませんが、1つでもご参考になるものがあれば幸いです。

教室活動ができないことはとっても残念ですし、1日も早く再開できるようになることを願うばかりですが、この期間が学習者さんにとってもボランティアさんにとっても、少しでも有意義なものになればと思います。


最後に、大事な情報を一つ。

2019年6月に制定・施行された「日本語教育の推進に関する法律」(通称、日本語教育推進法)に基づき、現在、今後の日本語教育施策の基本方針(案)に対するご意見を募集されています。どなたでも大歓迎です。

プロであってもアマチュアであっても日本語教育に携わる人はもちろんのこと、日本語を母語としない方々ともいっしょにこれからの日本社会をつくっていく私たち全員が少なからず関係することですから、ぜひ一言でもコメントをお送りいただければと思います。ホントに一言、「賛成!」でも「書いてあることがよくわからない!」でもいいと思います。大事なのは、一人でも多くの人が日本語教育に関心を示していただくことですから。

締め切りは、4月24日です。ぜひ、それまでにコメントを。👇


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