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【読んだ本】美術展の不都合な真実(著者:古賀 太)(新潮新書)

読んでみたら、想像以上に面白いというか、考えさせられたので、簡単に共有出来ればと思います。

全部の内容が興味深いのですが、特に気になった点を箇条書きで。


■日本の美術館は世界的に見て極めて特殊で、「展覧会の1日あたり入場者数」では世界ランキングトップクラスに入る。

しかし、入場者数の多い美術館・博物館で見ると、17位にようやく国立新美術館が入る程度

日本の美術館は、所蔵作品を見るのもではなく、企画展、一過性のイベントを見るためのものになっている

■「●●美術館展」(例えばルーブル美術館展)といった企画は、個展、例えば「モネ企画展」などに比べると、運営がとても簡単。
海外の美術館展の大規模修繕時期を見計らって、数十点貸してもらえるように交渉すればいいので。


逆に、特定作家の個展の場合、作品が世界中の美術館に散らばっているので、交渉がとても大変。

(ちなみに、フェルメールの場合、「財団ハタステフティング」という企画会社(社長は日本人)が日本で何社もフェルメール展を実現させてきた。役割としては商社に近い。ただし、日本の通常の国立美術館が彼らと仕事をしたくとも、財団から要求される金額や経費が大きすぎて、恐らくそのリスクを負えない)

■美術館のクオリティは、各美術館の学芸員に依存する。学芸員の最大の仕事は収蔵するコレクションの形成とその保存及び展示。ところが、実態は広報、展示デザインといったことまで担当し「雑芸員」となっているケースがほとんど

■著者が考える絶対見るべき美術館は「東京国立近代美術館」。学芸員が独自に企画した展覧会の水準が極めて高いため。

他に、企画展が優れているのは国立西洋美術館、東京国立博物館、東京藝術大学大学美術館、三菱一号館美術館、サントリー美術館、東京都現代美術館。東京から離れると、千葉市美術館、横浜美術館

■所蔵作品をデータ公開していない美術館は滅茶苦茶多く、ある美術作家の作品がどこにあるかは、相当に経験を積んだ学芸員でないとわからない

【次への行動】
「東京国立近代美術館」に行く。素人なりのレポートも出来れば良いなと思います

・ビザスクを利用して、現役の学芸員さんのお話を聞く。概ね1時間3万円くらいかかってしまうので、もう少し疑問点等を絞り込んでから申し込みたい

「フェルメール最後の真実」(文春文庫)を読む。「財団ハタステフティング」の理事長である秦さんの著作。どういうふうに作品を集めているのかなと思ったので


【1年以内の行動】

海外の学芸員さんにインタビューする。本当に日本の美術界が「非常識」なのか、裏付けを取りに行きたい。

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