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【美術館・博物館の訪問記録】三菱一号館美術館~三菱創業150周年記念 三菱の至宝展~

開催は2021年6月30日~9月12日、つまり、もう終わっています。ので、今更感はありますが、自分自身の備忘のためにも、感想を共有出来ればと思います。

【きっかけ】

・丸の内界隈で買い物をしていると、至るところで同展示会の案内を見たこと

チラシ

(真ん中にある茶碗が、後程出てくる曜変天目です)

「美術展の不都合な真実」の中で、著者が作成した見るべきリストに同美術館の名前があったこと

・東京駅から徒歩5分程度と滅茶苦茶アクセスが良いこと

【記録】

・私が訪問したのは、展示会最終日の9月12日(日)。午後に行きましたが、入場するのに30分待ちでした。大人一人で1,900円と決して安くはないんですが、かなりの人気ぶりでした。

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(人は撮れないので建物の外観を。お洒落な建物ですよね)

・作品数は103点(一部は前期と後期で入れ替えしているので、一度に見れるのは100点以下)。また、所蔵元は、東洋文庫静嘉堂のものが大半です。東洋文庫は名前の通り、「文庫」なので、展示物は大昔の本(コーランの写本とか)が大半になります。展示数は多くなく、3分の1くらいは本なので、全体としてかなりコンパクトな印象でした。

【展示会に対する感想】

私の能力では、評価が付けようがない、というのが正直なところです。そもそも、美術館の展示の良し悪しって、どうやって見分けるべきなのかなと。

仮に展示の良し悪しを「自分にとって新たな気づきがあったか」と定義するのであれば、「あるにはあったが、そこから深堀りしようというほどではなかった」というのが正直なところです。テーマと作品数の制約もあって難しかったとは思うのですが、正直この展示会を通して、何を伝えたかったのかが見えませんでした。「岩崎家(三菱の創業家)の審美眼」だとしたら、なぜこれらの作品を購入したのか、という解説が弱かったと思いますし、「作品を通じて、世界の歴史を振り返る」だとすると、作品数が乏しい気がします(もっとも、物理的なスペースの制約があるので、どうしようもなかったとは思いますが)

・出品目録を見ると、歴代の岩崎家が収集してきたものを世代別に展示した、というのがコンセプトだと思うのですが、それであれば、各人のもっと個人的なところにフォーカスが当たっても良かったと思います。どういう人間で、なぜこういうものを収集して、といった動機とか。おそらくどこかに書いてあったのだと思いますが、もっとわかりやすく、どーんとアピールしても良かったのでは、と思います。

【個人的に思ったこと】

陶器の良さを理解するのが難しいです。絵画については、自分なりに「好き嫌い」軸があり、「世間的な評価は知らないけれど、自分はこれが好き」と断言できる程度には想いを込めて見れるのですが、陶器はその好き嫌いすら湧きません。

・絵画については、(漫画も広い意味では絵画だとすると)小さいときから見てきたので自分なりの好き嫌いの蓄積がありますが、陶器というか立体物はそうした経験が薄いから、なのかもしれないです。

・もっと言うと、陶器は本来、見て、触って、使って、の3点セットで評価するものだと思うので、見るだけで十分な評価をするというスタンス自体がおこがましいのかもしれないですね。

【欲しい物ベスト3】

自分にとって、美術館・博物館は、「自分の好みを発見する場」でもあると思っています。日常生活を送るうえでは絶対目に出来ないようなものに出会うわけなので、そうしたものの中で自分が好きなもの、興味を持つものはなんだろうという気持ちで見ていました。

今回の展示物の中で「お前の好きなものを3つ持っていっていい」と言われたら、これを持っていくなぁというものです。

①曜変天目
今回の展示会の目玉でもあります。確かに凄かったです。あのキラキラ?は貝か何かを埋め込んだものだと勘違いしてました。円筒形のガラスケースに入っていて、360度見られるようになっているのですが、絶えず人がぐるぐる回っていて、あまりゆっくり見られなかったことがやや心残りです


②『源氏物語』附 花鳥丸文蒔絵源氏物語書物箪笥
超豪華版源氏物語、という感じです。嫁入り道具で、昔は教養のあることの証左として持っていた、と説明されていた記憶が。個人的に源氏物語が好きなので、選びました

③今尾景年 耶馬溪図屏風
著者は明治から大正にかけて活躍された画家だそうです。今まで日本画を良いなと思うことってあまりなかったんですが、この絵はとても好きでした。もっとこの時期の日本画を見てみようという気になりました。

ちなみに、この展示会には、国宝、重要文化財、重要美術品が含まれています。私の上のリストのうち、①は国宝ですが、それ以外は何でもありません。個人的な好みと、他人の評価はまた別物だなという一つの証左ですね。

【Next Step】

・東京国立近代美術館に行く。行くと言い続けて、まだ行けていません
・学芸員さんのインタビューをする。これは年内に一度で良いのでしてみたいです。私の感想って、常にお客さんの立場から見たものでしかないので、深みがないんですよね…。学芸員さんの目線を少しでも持てれば、また見方が変わるかな~と。つながりを頑張って作りたいと思います
・日本の美術史を調べる(=本を買ってみる)。今尾さんの作品が良かったので

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