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入りたい人を誰でも入れちゃうから、コミュニティづくりは失敗する。

ローカルのコミュニティづくりのプロとして「コミュニティファシリテーター」なる肩書きで、リアル・オンライン様々なコミュニティ運営に関わっています。

「コミュニティ」と名乗っている取り組みでなくても、学校や会社、地域など、誰でも何らかのコミュニティにひとつ以上は関わっているのではないかと思います。

最近は「コミュニティマーケティング」も流行りになっていて、企業がビジネスコミュニティをつくる事例も非常に多くなってきました。

コミュニティは短期で利益に結びつきませんが、中長期でファンを増やしたり、顧客ニーズを把握するために重要な施策と言えます。

そして、皆さんもきっと経験済みのように、メンバーが活発でコミュニケーションがたくさん生まれている活性化コミュニティと、メンバーが非貢献的で非協力的な形骸化コミュニティのふたつが世の中には存在しています。

成功するコミュニティは「下ごしらえ」がきちんとしている

コミュニティづくりの立ち上げや運営に様々な角度から関わってくるなかで、成功するコミュニティにはいくつかの法則があることがわかってきました。

そのひとつ、というか圧倒的に重要なのは「下ごしらえ」です。

私たちはコミュニティをつくってから、どうやって活性化するか?を考えます。しかし、それではもう手遅れです。活性化するコミュニティには、活性化するコミュニティの土台があります。

つまり、きちんとその土台をつくる。それが最も重要な要素です。「下ごしらえ」の方法について具体的に紹介していきたいと思います。

もしあなたが何かコミュニティづくりに取り組もうと考えているならば、まず下のような問いについて考えなければいけません。

・どんなテーマの、どんなコンセプトのコミュニティにするか?
・どんな人に参加してほしいか?
・そのコミュニティの成功はどんなイメージか?
・活性化したコミュニティでメンバーはどんな言動をしているか?
・そもそも何のためにコミュニティをつくるのか?

いわゆるコミュニティの企画書をつくって、まずつくりたいコミュニティの輪郭を定めることが必要です。まあこの辺は当たり前の話だとして、本当に重要なのはその次の段階である「募集」です。

どう広報するか?ではなく、誰を入れるか?

ある程度、コミュニティのイメージがまとまったら、外向けに広報していくことになります。

「こんなコミュニティをつくりましたー!参加しませんか?」「こんな場があるんだけど、来てみない?」

SNSで呼びかける方法もありますし、リアルな場を持っている人であれば直接声をかけて誘うこともあるでしょう。まあ大抵の場合は広く募る方法をとる方が多いと思われます。

ここで最も気をつけたいのは、「どう周知/広報するか?」ではなく、「誰を入れるのか?」です。

私たちは、「入りたい!」と言ってくれる人がいると嬉しいので、誰でも入れたくなってしまいます。しかし、そのコミュニティが未成熟で小規模なものであればあるほど、それは危険な選択です。

当たり前ですが、活性化しているコミュニティには、貢献的なメンバーが複数います。つまり、きちんと貢献してくれるメンバーが仲間になってくれるかどうかで、コミュニティが活性化するかどうかが決まると言っても過言ではありません。

そのためには、コミュニティのビジョンに深く共感し、この人となら一緒にコミュニティを育てていけそうだ!という人を選んでいく必要があります。

誰でもOKコミュニティは必ず失敗する

ここで自分の失敗談を共有したいと思います。

昔、とある学びのコミュニティ(スクール)を運営していたことがあります。誰でもOKの場にしていて、とくに選考もなく、来たい人は無料で参加することができました。

途中で受講者の方から「相談したいことがある」と連絡があって話を聞いてみると、受講生のひとりがネットワークビジネスの勧誘をしているという話だったのです。

まだ自分は学生だったこともあって、そこまでの危機管理イメージができておらず、深く反省し、対応に追われたのを今でも覚えています。

これは極端な例かもしれませんが、「誰でもOK」にしてしまうとこういうことも十分に起こり得る可能性を知っておくことは重要です。

他にもコミュニティに属されていた男性が、若い女の子にしつこく連絡している、と相談を受けたり、特定の方に嫌がらせをしていると報告を受けたり、悩みが尽きないのがコミュニティ運営です。

コミュニティには参加ハードルをつくる

こうした経験から、自分はコミュニティの入り口で必ずハードルをつくることを徹底しています。

ハードルとは、参加費設定もひとつですし、個人面談を必ずすること、説明会を開くこと、加入条件に1000字以上の作文を書くことを課したこともあります(笑)

最近はじめた「ローカルコミュニティの実験室」というオンラインサロンでは、一度でも、私(もしくは運営メンバー)と会ったことがないと入れないという負荷をつけています。

改めて理解しなければいけないのは、コミュニティ運営は短期ではなく、中長期目線での取り組みだということです。

短期的には、たくさんの人が入ってくれるのはよいことですが、中長期的には、コミュニティのビジョンに深く共感する質の高いメンバーが集まることの方が重要で、その先に本当の意味で活性化するコミュニティができあがります。

もちろんその過程には色んなコツがあり、段階によって変わってくるわけですが、それは川中、川下の戦略です。

それ以前の川上戦略で最も重要なのは「メンバー選び」です。入りたい人は誰でも入れちゃうコミュニティは、かなりの確率で崩壊します。とくにコミュニティの文化ができる前の初期は絶対ダメです。

まずはきちんと文化やルールをつくる。土台をつくるのが大事です。

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