ミズ・ミステリオーザ(番外編) こびと部公式ウミネコ応援
若竹翠は稲木大学の准教授である。色んなことがあったけれど、無事にお仕事に復帰した。
カタカタカタカタ。
PCにかじりついて山のような書類と格闘している。本人は気づいていないのだが、眉間にはしわが寄り、奥歯をぎっと噛み締めて、リターンキーを押すまでは呼吸が止まっていたりなどする。おーこわい。
コンコン。
ちょっと甲高いノックの音がする。
「どうぞ」
ドアの開く気配がない。空耳だったのかもしれない。
コンコン。
翠は立ち上がって廊下に出た。
「まあ」
そこにはウミネコと、縞模様のアメショ猫が並んでいたのであった。
「翠さん、こんにちは。元気でやってるみたいね」と猫。
「アブラダモッチ、久しぶりね、ようこそ」と翠。
「そちらのウミネコさんは、ええっと」
「わたしです、わかりませんか」とイタズラっぽく翠のまわりを跳ねる、その声は。
「やだ、コッコーラじゃないの。どうしたの、カラスはやめにして、ウミネコになったの」
「いまだけ、特別なんです。ほら、こんな素敵なウミネコが生まれたものですから、記念に」
「11月20日に、文フリ東京にも出店するんだから、来てよね」とアブラダモッチが尻尾をフリフリする。
「行くわ。絶対行く」目をキラキラさせる翠。
「ところで、今日は二人だけなの? ホニョーラはどうしたの」
「元気ですよ。でもほら、『ウミネコ創刊号』のテーマが『ねことそうさく』だから、犬のホニョーラはお留守番なんです」
「なるほど」
翠は立ち上がって電気ケトルで湯を沸かすと、小さな冷蔵庫から山羊ミルクのパウダーを取り出し、さっと溶かして二人に振舞ってくれた。
「ね、文フリの会場でまた会えるかしら」と翠。
「お屋敷から総出でお手伝いに行く予定なんですよ。ついついカラスの声で鳴いちゃうから、アブラダモッチに合わせて口パクするんです」とコッコーラ。
「そうそう、テーマソングがあるの。これも聴いてもらわなくちゃ」アブラダモッチが尻尾で合図をすると、二人は歌い出した。
それを聴いているうち、翠はなんだか眠たくなってきて。
ほんの1−2分のことだったが、ハッと目を覚ますと、もう二人はいなかった。
夢を見たのかしら。
でも、デスクに、こんなものが。
翠は書類を放り出し、大きく伸びをして深呼吸すると、お茶を淹れてウミネコを読み耽った。
<了>
ウミネコの編集長ぼんやりRADIOさん、geekさん、わたしとで秋の夜長にしゃべりたおしました。二本目で、ウミネコトーク炸裂しております! 聴いてね。
ミズ・ミステリオーザとは!!
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