オーディブル記録20-21 流し聞き2冊

『アイネクライネナハトムジーク』

伊坂幸太郎による連作短編集 相変わらずよく構成されていて、第1話はアンケートに答えてくれた女性と再開するのが見え見えだったし、第2話は電話の相手の事務職がボクサーを意味していることもわかってしまった。

後書きを読んでみると、「歩いて帰ろう」などで有名なシンガーソングライター、斉藤和義から歌詞の依頼を受け、歌詞は無理だけど小説なら、と書いたものらしい。

言われてみると、相談事をすると音楽の特定パートを再生し、その部分の歌詞で応えてくれる「斎藤さん」というキャラクターがいたのだった。

それと、本作では連作短編として、短編同士に結構なつながりがあるのだが、全体を貫く登場人物として日本人ボクサーが出てくる。彼は何と、ボクシングヘビー級の世界チャンピオンになるのだ。

最近、かなりボクシングオタクとして過ごしている身としては、「え~ウェルター級ぐらいにしておこうよ…」などと小説相手に野暮な事を思ってしまったのだった。

全体的には、明るくポジティブな雰囲気が漂っている連作短編ということで十分楽しめたが、自分には伊坂幸太郎はそんなにフィットしないかなとも思った。

達人のサイエンスー真の自己成長のために

為末大の『熟達論』を聴いて以来、熟達ブームである。さらに一冊聞いてみた。こちらは評判の高い本だが、何か論旨に古さを感じるなぁと思ったら1994年の本だった。

ひょっとしたら、熟達における「プラトー」の概念を初めて提起したのがこの本だったのだろうか。だとしたら高評価もうなづける。

とはいえ、自分はあまり楽しめなかった。翻訳書にありがちだが、エッセイ調というか、具体例が多すぎというか、密度がとても薄いと感じたのだ。
アスリートである為末の本の方がよっぽど踏み入った議論に思えた。

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