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1.パピーの馴化

パピートレーニング

「パピー(仔犬)のうちから、カラダのどこを触られても嫌がらないようにしておきましょう」……「飼い主の指示でマットや台などに乗れるようにしましょう」…….。

これらは、パピーのしつけ教室でよく聞かれるフレーズです。 「大人しくお手入れが出来るように」「ドッグカフェでマットの上で待っていてほしいから」「芸達者な犬になってほしいから」……その理由は様々ですが、これらのトレーニングは、しつけのためだけでなく、将来、リハビリテーションで役立つことも多いのです。

「リハビリテーション? うちの子まだパピーで元気に歩けるし、ケガもそうそうするものでもないし……」

そう思われましたか?

触るリハビリテーション

術後の機能回復のためのリハビリテーションにはいろんな種類があるのですが、よく骨折や脱臼などの術後に行われる「PROM」は、ヒトの手を使ってやります。関節は長い時間動かさないと固まってしまうため、カラダ全体を動かせない時でも、患部でない関節は適切な方向に動かしてあげる必要があるのです。

「触られることが大嫌いで無理矢理触ろうものなら本気咬みするような犬」に、こんなことが出来るでしょうか? 

「獣医さんならできる」とか「獣医さんならやるべき」なんて言わないでくださいね。ただでさえケガで痛い思いをして神経質になっている犬を前に、病気の治療を本業とする獣医さんに、いきなり「やってください」と言っても、それは無理な相談であることが多いんです。それよりなにより、獣医さんができるできないではなく、犬たちに大きなストレスがかかりますよね。

若くて健康な時のパピートレーニングがこんな時に活かされるんです。

イヌにPROM

動かすリハビリテーション

また、犬たちの神経機能に問題が出ることもあります。

症状によって安静が必要な場合と身体を動かした方が良い場合がありますが、なるべく動かした方が良い場合は、水中歩行やバランスボール運動などが効果的なケースが多いんです。バランスボールを使った運動にもいろいろありますが、例えば、ディスクと呼ばれる円盤型の不安定なボールに前肢や後肢を乗せて、バランスを取らせて筋肉を緊張させたり神経を使わせるという運動があります。この時、犬の足を掴んで乗せるよりは「アップ」の指示で自分から足を乗せてくれると楽ですよね。その方が、無理矢理乗せられるより、犬のストレスも少ないですし、何よりも「自分でやる」ということは「自分の神経を働かせる」ことになりますので、リハビリ効果は高くなると考えられるのです。

これは「飼い主の指示で何かに乗るトレーニング」が発揮される場面ですね。

リハビリテーションだけでなく、老犬の筋力維持などのためにも必要になるでしょう。老化は必ずやってきます。いろいろなパピートレーニングは、しつけの面のみならず、カラダの面でも、未来の愛犬を助けてくれると思うのです。

WIZ-DOGドッグトレーナー 脇 依里


科学的思考を育てるドッグトレーナースクール ウィズドッグアカデミー