見出し画像

「本番に間に合えばいいよ」

これまで様々な演劇の稽古場で
ちょくちょく耳にしたこの言葉。
自分も文脈上近しいことを言ったこともあるかもしれない。

役作り等に悩む演者が言われがちな言葉で
簡単に言えば「焦らなくていいよ」
焦ってもろくなことはない、
根詰めすぎると逆に効率悪い、
みたいな意味合いで使われてると思う。

もちろんそれはそれでその通り
ではあるんだろうけど
本当にそうか?と思う自分もいる。


本番を迎えるまでの稽古日は
思いの外少ない。驚く程に。
週2日稽古でも1ヶ月間で10日に満たない。
さらに社会人ともなれば各々生活があり
全員が集まる稽古日の方が少ないくらい。

もちろん稽古日以外何もできないわけでなく
次回稽古まで各自研鑽に勤しむべきだが
プロの現場でもない限り
その温度感を全員に期待するのは
難しいのが悲しい現実だ。

そんな中で
本番に間に合いさえすれば
本当にいいのだろうか。


本当は
一日でも早く
今すぐにでも本番を迎えられる状態を作り
さらにそこから本番までの間
とことん磨いて仕上げるのが
目指すべき姿勢なんじゃないか。

舞台を作るのが自分1人ならまだしも
大抵の舞台には共演者がいる。
その共演者から見て
本番まで仕上がらない演者は
どんな存在なんだろうか。

そんなことを考えると
「本番に間に合えばいいよ」と
軽率に言っちゃあダメだよなあ
と僕は思う。

むしろ
「もしも明日本番を迎えるとしたら
今日の自分は何をすべきだろう」
と考えながら生活してみたら

セリフが入ってない
段取りを覚えてない
体調管理ができない

そんな演者にならずに済むんじゃないかなあ
なんて
僕は思う。


まあ理想論だけれども。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?