見出し画像

最後の一文でハッとした

稲垣えみ子さんの「寂しい生活」を読んだ。

東日本大震災の原発事故をきっかけに「電気を使わない生活」を始めた著者が、家電を捨てたり職を捨てたりした日々を綴った本である。

稲垣さんと言えば「アフロヘアの風変わりなオバサン」みたいなイメージしかなかった私。(失礼)

今回初めて本を読んでみて、文章の読みやすさにまずビックリ。
さすが元新聞社勤務。文章がお上手なのは当たり前として、読み手をグイグイ引き込むような軽快な文章が印象的だった。

まるで稲垣さんの軽妙なトークを一対一で聞いているような感覚で読み進めていたのだが、最後の一文を読んでハッとしてしまった。

生きるってね、面倒くさい。
でも面倒くさいからこそね、素晴らしいんだ。

「寂しい生活」稲垣えみ子

家電のほとんどを手放して、洗濯などの家事を自らの手で行うことになった稲垣さん。
明らかに「面倒くさい」ことが増えたはずなのに、こんな言葉が出てくることに驚いた。

確かに生きていると「面倒くさいこと」ばっかりだ。
私もしょっちゅう「あーめんどくさー」と愚痴りながら会社にいき、食事を作り、家事を日々こなす、という「面倒くさいこと」をしている。

でもそんな「面倒くさいこと」の積み重ねこそ、本当は素晴らしいことなのかもしれない。

たんなるエッセイ本のつもりで読み始めた本だったが、なんだか哲学書を読み終えたような気持ちになった。

また稲垣さんの別の本も読んでみたいな。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?