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出版就活では、”不審者” になってはいけない

「うーん、なんだか君がどんな人物なのかよくわからないなぁ」

とある出版社の最終面接。自己紹介、自己PR、ガクチカ(学生時代に力を入れて頑張ったこと)を一通り話したのちに、机に片肘をついた強面の面接官に言われた言葉だ。

完璧だと思っていた。喋る内容は何度も頭の中でイメージトレーニングをし、本番でも想定していた質問に対してスムーズに答えることができた。

でも、完璧じゃなかった。当時の私は面接を根本から勘違いしていた。

自分のやってきたことをこれでもかと詰め込んで、相手に褒められることが面接の正解だと思っていた。

そうして臨んだ面接の結果、相手にとって私は、経歴ばかりを自慢してその裏側にある人間性が全く見えてこない、”不審者” となってしまった。

不審者を雇う企業がどこにあるだろうか。
「この子、よくわからないけどいろいろやってきたみたいだから採用!」
そんな企業ばかりだったら、外面だけ固めた就活生が無双するだろう。

就活は嘘つき大会とも言われるが、長い時間をかけて人間性を丁寧に探られる出版就活では、嘘で塗り固めた人間は鼻で笑われてさよならだ。

ESとは、面接とは、言ってしまえば単なる自己紹介に過ぎない。ただひたすら、あなたがどんな人間で、どんな考え方を持っているのか、その問いに答え続けるのが就活だ。

面接官に褒められる必要なんて微塵もない。サークルの代表になる必要も、アルバイト先の売上を上げる必要もない。

ただ必要なことは、相手を “納得” させることだけだ。「私はこういう人間だから、過去にこういうことをしてきて、これからこういうことがしたいんです。」
そう真っ直ぐ言えればそれで十分だ。

あとは企業との相性。それに尽きる。
相手を納得させるような自己紹介をして、その結果落とされたのであれば、それはあなたの人間性がダメなのではなく、ただ単に企業との相性が悪かっただけ。

そんな企業に入社しても、きっといずれはしんどくなるだろう、そう割り切ればよい。

あの日の最終面接で強面の面接官に言われた言葉のおかげで、私は自分の就活を見直し、”不審者” から ”ひとりの人間” へと成長できた、そんな気がしている。

なかなか面接がうまくいかない。そんな悩みを抱える就活生の方がいるのならば、一度自分の喋りを見返してみてほしい。
「これをやって、あれもやりました!」
そんな、勢いだけの “不審者” になっていないだろうか?

虚勢を張らず、あくまでもあなたという人間の自己紹介をすることが、相手を納得させ信頼してもらうことに繋がる。
出版就活を経て、私はそう思う。




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