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トレンドカラーって何? ~前編~

こんにちは。ドットエフです。
アパレル業界歴10年以上のアラサーメンズがファッション「そういえばなんで?」を皆様にお届けいたします。


本日のテーマは、

「トレンドカラー」〜洋服の色の流行りの不思議〜 前編


今回のテーマ興味ないよ〜って方は、他の記事覗いてからお帰りいただけたら光栄です。興味は人それぞれだと思います。見たいものを見るそれがファッションです。

皆様も一度は聞いたことがあると思います。
「今年の春夏のトレンドカラーは○○です。」と。
おそらく買い物していたら、そうなんだ~と思う程度だと思いますがこれは一体どこから来ている情報なのでしょうか?
今回はそんなトレンドカラーについて解説をしていきます。
長くなってしまったので前編、後編とさせていただきました。
前編は、トレンドカラーを発信しているのは誰なのかということをまとめております。
それではどうぞ。

①トレンドカラーって誰が決めてるの?

トレンドカラーを決めている団体はいくつかあります。それぞれの影響力共に見ていきましょう。

1.インターカラー

最大の組織といわれるのが、「インターカラー(国際流行色委員会」です。
1963年に設立された歴史ある組織で世界の様々な国が加盟しています。

年に2回、6月に「SS(Spring/Summer=春夏)カラー」を、12月には「FW(Fall/Winter=秋冬)カラー」の2年後のトレンドカラーについて選定をしています。
加盟国の団体1つずつが参加しそれぞれ選んだ色を持ち寄り議論を行います。世界情勢やその時のトレンドや色々な要素を用いて決定します。
決定されたトレンドカラーは化粧品、工業品など様々な分野に影響を与えます。
2023年は春夏は、「ANOTHER EQUITABLE NORMAL」~誰もが公平に受け取る新たな日常~というテーマです。日本語にすると意味が近いでしょうか。現に、コロナウイルスとの向き合い方は変わり、日常にAIの進出、SDGs、世界中の行き来が活発になど日常に大きな変化が訪れています。
インターカラーが提唱するトレンドカラーはこんな感じになります。

Inter color公式サイトより引用

トレンドカラーイメージと違いましたか?そうです。この色!って提案されることは近年減ってきました。
いくつかのテーマとともに、色や質感が提示されます。ぼんやりとしたイメージで示されています。色々なものの線引きが曖昧ししている社会において決めつけすぎず最終決定は表現する人の感性に委ねているのではないかと考えられています。

2.JAFCA

日本の国内向けへのトレンドカラーを発信している組織「JAFCA(一般社団法人 日本流行色協会)」です。1953年に発足されインターカラーより歴史の古い組織になっています。
インターカラーのトレンドカラー発表後、国内市場における色彩同行の調査や社会情勢などを踏まえて、各分野の専門委員と共に日本におけるトレンドカラーとして「JAFCAファッションカラー」を選考、発信していきます。
インターカラーの発表から半年後を目途に毎回発表されています。
日本国内では、JAFCAの発表をトレンドカラーと呼ばれていることが多い印象があります。インターカラーには日本語版HPがないことも理由の1つと考えられます。
そんなJAFCAの提唱する2023年は春夏は、
MENS:「Pleasure of Life」~人生の喜び
テーマの詳しい理由はリンクから飛んでいただければいいので、私なりに嚙み砕くと、個々がより存在事由を追及し、人生の楽しみ方の多様性をイメージした色となっています。
それぞれこのようなイメージになっています。

JAFCA 公式サイトより引用

WOMEN:「Now=Future 」~今=未来~テーマをまとめると、日々が私たちえお作り上げていて、いつかの未来は今日の1歩で構成され未来と今は地続きに続いている。という意味になると思います。イメージはこのようになってます。

JAFCA 公式サイトより引用

トレンドカラーの見方には慣れてきましたか?インターカラーの意図を組んだ表現にこちらもなっています。より私たちの生活と向き合ったテーマとなり、様々な想いから作り上げています。

3.PANTONE Color of the Year

皆さんはPANTONEというものをご存知でしょうか?私たちアパレル業界の人間にはとっても馴染みが深いものになります。
アメリカのニュージャージー州に本社を置く色見本の会社です。洋服の色もPtカラーもこれを基に作られることがとても多いです。色における分かりやすい指標となり、PANTONE社で設定するNo.で指示することで関わる人間全てが同じ色での目線合わせが可能になります。
そんなPANTONE社も、独自のトレンドカラーを選定しています。
2000年から始まり、トレンド分析と社会情勢を調査して、選定されています。確かな分析力と、色彩情報を持ち合わせているので、ファッション業界だけではなく、グラフィックデザインやインテリア業界など多く分野でも注目されます。
2023年向けで発表されている色は、

「Viva Magenta(18-1750)」

という赤色でした。PANTONE社発表の選考理由によると、「レッドの仲間であり、世界が知る限り最も強く明るい色であると同様に、天然染料に属する最も貴重な染料の一つであるコチニールの赤からインスピレーションを得たものです。自然の力を呼び起こし、私たちの精神に活力を与え、内なる強さを築く手助けをしてくれます。と述べています。」今までの2つの組織より力強く立ち上がることを推奨するテーマになっています。

前編 まとめ

今回はトレンドカラーは誰が決めているのかということをまとめました。トレンドカラーはただ売りたい色を決めているわけではありません。少しでも人間が奮い立つように、テンションが上がり前を向けるようになど願いを込めて決定されています。
少しでも世界が楽しくなるように、生きることの活力になるようにと、本来のファッションと同じ概念で考えられています。
所詮、ファッションは自己満です。ですがそういった真摯な想いがあることを知っていただければ幸いです。
売るためにわざわざ決めているんでしょ?って聞かれたこともあります。あながち間違いではないと思います。ですがそれは次のステージ、作り手側の思惑かもしれません。トレンドカラー決定においては、そんなこと二の次なのです。
後半はそんな作り手や、消費者の目線からのトレンドカラーについて触れていきます。
少しでも面白かったら後編も読んでもらえたら嬉しいです。
またお会い出来たら嬉しいです。それではまた会いましょう。

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