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体型や外見だけでなく知能やこころも遺伝する、と遺伝行動学はいう

どうも、えんどう @ryosuke_endo です。

才能や努力と教育ってのは、なんだか聴き慣れた文言ですし、これをいえば「(ある程度)考えている人」っぽく感じられます。ボクがそうだからって理由からかもしれませんが。。

##なに書いた
本当は才能と教育、訓練について考えてみたかったのですが、想定以上に才能(遺伝)の部分に字数を食ってしまったので次回以降に譲ります。ってことで、遺伝について。

才能も遺伝する

なんだか身も蓋もない話のように感じてしまった人もいるかもしれませんが、すいません。しかし、何も根拠もない状態で話し始めているのではありません。

行動の個人差の性質と起源を調査するために遺伝的手法を使用する科学研究の分野である『行動遺伝学』があります。行動遺伝学は『個人差がある以上は遺伝の影響がある』と科学的に説明する分野なため、体型などの外面から知能やこころといった内面におけるまで遺伝が影響していると述べます。

ただ、行動遺伝学は「遺伝で何もかもが決まる」とする『遺伝決定論』ではありません。2000年にエリック・タークハイマーが発表した「3原則」があるのですが、これを見ることによってそれは明らかです。

第1原則 ヒトの行動特性はすべて遺伝的である
第2原則 同じ家族で育てられた影響は遺伝子の影響より小さい
第3原則 複雑なヒトの行動特性のばらつきのかなりの部分が遺伝子や家族では説明できない

ヒトの行動特性は"すべて遺伝的"である

第一原則だけを見ると誤解されがちなのかもしれませんが、あくまでも"遺伝的"としていますので、遺伝が影響を与えているのだと説明しているにすぎません。

とはいうものの、外見や身長、体重が遺伝であると認知している人は少なくないでしょう。同様に知能や性格が全てとは言わずとも一定程度が遺伝によるものだと考えることは何も不思議なことはありません。

第二原則では、家族で育てられた影響は遺伝子の影響より小さい、としていますが、あくまでも相対的な話で全く同じ環境で育っているのに個人差が生じることには遺伝が影響していますよね、と至極当然のことを述べているだけです。

全く同じ環境でも個人差が生じるのは遺伝

たとえば、軍隊のように規律正しい生活を送り、訓練を行っている人たちの集団があったとします。そこで肉体的な差が生じるのは何故でしょう。筋骨隆々な人間もいれば、とても訓練をしているとは思えない肉体をしている人もいたり、逆にか細く見える人も生じてきます。肉体的な部分が遺伝であることは異論がないでしょう。

ですが、体型を支える行動は何かというと食事を摂取することから考えられます。食事摂取は行動です。つまり、個人の性格や思考が影響を与えますので、個人差が生じてきますから遺伝の影響があると言わざるを得ません。

さらにいえば、双子の違いを説明できなくなってしまいます。

双子とはいえ、別人格であることを認める以上は、そこに家族との共有環境(家族が共有し、家族のメンバーに類似性をもたらす環境)による影響のみを受け取るのであれば、個人差が生じないことになってしまいますし、それを考えることは現実的ではありません。

「遺伝+共有環境(家族)+非共有環境(家族以外)」

第三原則では、第一原則と第二原則を合わせても説明できないことがあるとしており、これは家族とは共有していない「家族以外の環境による影響」だとすることを意味します。これを非共有環境といいますが、非共有環境とは「家族で共有せず一人ひとりを独自にさせる環境」のことです。つまり、家族以外の友人や知人との関わりや、人以外の状況などによって影響が与えられる要因だということです。

先ほどは双子を例にして話をしましたが、双子でも付き合う人間が全く同じになるわけではありませんし、そこで影響を受ける要因が変わってきます。そこで影響を受けることは何かというと、行動の一つ一つには遺伝が影響を与えていることが前提になります。

つまり、これらの三原則を簡単な計算式に落とすと、人の行動に影響を与える要因は「遺伝+共有環境+非共有環境」で説明できるということになります。

何がいいたいのかといえば、「遺伝を軽視してはいけないよね」なんてことになるのですが、だからと言って「諦めろ」とか「子どもよ、ごめん」なんて話ではなく、中学生物の授業で習った「メンデルの法則」よろしく、単純な遺伝子構造でも形質が異なって出てきたことをボクたちは知っているはずです。

影響を与える因子を親から子には遺伝という形で受け渡しているかもしれないけれど、それはあくまでも要因や因子であって、絶対的なものではありません。ただ、それを覆そうと思ったら相当な努力をしなければならないのは事実です。

肥満傾向の遺伝子を持つ両親から生まれた子が痩せようと思ったならば、標準的な体型の子よりも努力をしなければなりません。だからといって、その人の持つ性質が変わらない、というわけでもないなんてことを理解すべきだ、と行動遺伝学は教えてくれます。

もし、興味がある方は安藤教授の本を読んでみることをオススメします。

それでは、また!


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