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イラストレーターになって子供たちに「おかえり」を言ってあげられる生活を手に入れた話

(学校から帰ってきた子供たちに、おかえりって言ってあげたいな)
幼稚園に通うようになった長男。小さいけれど大きくなった背中を見ていたら、ふと自分の子供のころの思い出が蘇ってきました。
私が小学生の頃、学校から帰っても親は仕事でいませんでした。夕方まで1人で帰宅を待つ生活。暗くなっていく窓からの景色を眺めながら、なんとなく「さみしかった」という記憶が残っていました。
子供たちには同じ思いをさせたくないと思ったことから、在宅で仕事がしたいと考えるようになりました。

イラストを仕事に

私の強みはイラストが描けることです。
ですが、同時に挫折も経験していました。
前職はゲーム会社の2Dデザイナー。職を離れて5年以上が経っていました。守秘義務の厳しいゲーム会社では、作品も経歴も持ち出せるものはなにもありません。退職と同時に積み上げてきたものは無くなってしまうのです。つくる意欲を無くしてしまっていたこともあり、そのまま絵の仕事をあきらめてしまいました。

気がつけば、男の子3人のワンオペ育児。日々のタスクをこなすのに精一杯で、いつの間にか描かない生活が当たり前になっていました。

「おかえりを言ってあげられる生活をする」
目標が定まったことで、もう一度イラストの仕事をしたいと思うようになりました。

ココナラへの挑戦

私はさっそくココナラに登録しました。
「うわ〜。私より若くて絵がうまい人ばっかり……」
自分より若くてうまい人、実務経験の豊富な人、美大卒。サンプル、クリエイターのページを見て、自分に足りないものばかりで、とても戸惑いました。
(これできるのかな……)
ココナラで需要が高くはじめやすいのは、アイコンのデザインです。中でも人気なのはキャラクターデザイン系や似顔絵系。
実を言うと、私はキャラクターデザインや似顔絵がとにかく苦手でした。
自分より絵のうまい人や、ランクの高い人と同じ土俵で戦うのは難しいことに気がついたのです。

はじめての依頼

どうしようか悩みながら、ページをめくっていると、ふと目についたアイコンがありました。
女性のアイコンですが顔は映っていません。花束で隠れていたり、髪で隠れた横顔だったり。とてもおしゃれなイラストでした。
(苦手なことをする必要はないかも……)
(苦手な部分は、隠しちゃえばいいんじゃない?)
パッと目の前が明るくなったような気がしました。
私がキャラクターを描くうえで1番苦手な「目」を描かないことを決めたのです。
ナチュラルな印象で女性に向けた絵を描くことにしました。弾けるような明るい笑顔、うつむき加減の落ち着いた雰囲気。目を開けていなくても自然に見えるポーズだけを描き続けました。
そして改善を重ねて1ヶ月後、念願の初めての依頼。
「サムネイルの笑顔が素敵だったから、あんなイメージで描いてほしい」
(はじめての依頼だ…!)
嬉しさ半分、ドキドキ半分。それからポツポツと依頼が入るようになりました。

継続のむずかしさ

(今日も問い合わせはない…)
問い合わせのメールが届かないのが当たり前の毎日。多少の依頼が入るようになったものの、多くのクリエイター中で見つけてもらうことはとても難しく、アクセスは伸び悩んでいました。
(これだけじゃダメかもしれない)
そんなとき道を示してくれたのは夫でした。会社員だった夫は、クリエイターになる夢を叶えるために、Xで活動していました。その活動が実を結び始めていたのです。
「どーどーちゃんも、一緒にやってみようよ」
仲間との話しや自分の夢を楽しそうに話す夫。そんな夫に誘われて、私もXでの活動をはじめてみることにしました。SNSをほとんど使っていなかった私は、Xへの登録も10年ぶり。最初のフォロワーは、夫の仲間の方たちでした。夫の活動をのぞくうちに気がついたのは、ここでもキャラクターデザインの需要が高いということ。
(やっぱり、キャラクターデザインもやろう!)

キャラクターデザイン

苦手なキャラクターデザインを克服するために、有名なイラストレーターさんの動画で猛勉強。
学んだことはXでイラストを投稿することで、アウトプットをしていきました。
そしてついにイラストの販売を開始。
「見積もりの相談があります」
ココナラから届いたメールは、キャラクターデザインへの問い合わせ。
やってきたことが認められた瞬間でした。

「おかえり」が言える生活

今は3種類のイラストを描きながら、安定した収入を得ています。
「求められているものはなにか?」を考えて描き続けてきました。
それが私らしいイラストの形になっていったのです。
いくつもの絵を描いて絵柄が安定しないのは、いいことではないと言われることもあります。
ですが私にとって大切なことは、家族と一緒に過ごす時間です。

「ただいまー!!」
「おかえり〜」
「お母さん、あのね!」
息を切らせて帰ってきた子供たちは「おかえり」と声をかけると、今あったことを怒涛の勢いで話しはじめます。楽しい気持ち、驚いたこと。その瞬間に聞いてあげられることが、私にとってはとても大切で、幸せなことです。

田舎にスタバは無いので、マウントレーニアでブレイクタイム。