ファンジン編集部座談会[2]~「語り部」が8人だった理由

選考基準は「聞き込み具合」

トオル いろんな年代の人の記憶が一番反映されたのが「ヘッド博士とわたし」ですよね。年代もそうだし、その人の聞き込み具合というのかな、ブログとかTwitterを見ててすごいマニアックに分析して聴いてるなっていう人もいれば、単純にあの頃すごい好きだったよ、楽しかったよっていう人もいて、そういうバランスを考えて8人を選んでみようと思ったんですよ。もちろんジェンダーバランスも考えて。

大久保 だからこれすごいバランスいいですよね。これ、載せている順番はなんか意図があるんですか?

トオル 一番初めに頼んだのはrljpさんなんですね。カメラトーク30周年の時に書いた記事も、牧村(憲一、フリッパーズのエグゼクティブプロデューサー)さんがリツイートするくらい大絶賛を受けたんですね。おそらくヘッド博士でも書くだろうと思って先手を打ったんですよ。ブログで書かれる前に頼もう、と思って。

一同 (笑)

トオル そしたら原稿を依頼して1週間も経たないうちに原稿が来たんですよ。

大久保 もう下書きがあったんじゃないですか?(笑)

トオル おそらくもう頭の中に構想があったんでしょうね。たぶん、この人が一番バランス取れてると思って。フリッパーズの大ファンでもなくて他にも色んな音楽を聴いてて、91年を詳細に思い出せる。

青木 記憶力がすごいですよね

トオル だから最初にrljp.さんの原稿を置きたかったんです、1991年がどんな年だったのかも分かりますし。2番目の矢島さんは照井さんに推薦してもらって、rljpさんと年齢は違うけど、ぴったりと当時を思い出す原稿が来たので2人の対比を見せたいなと思って並べてみました。

大久保 じゃあ、原稿が来てから順番は決めていったんですね。

トオル ある程度は考えはあって、一番始めに91年がどんな年だったか、時代の空気を感じられる原稿を載せたかったんですよね。

照井 僕が原稿に書いた「一時期フリッパーズを恨んだ」って言ってたのは、実は矢島さんなんですよ。

大久保 あ、そうなんですね。

照井 お店(ココナッツレコード吉祥寺店)でカウンター越しに矢島さんとお話させていただいたときに、僕が作ったサニーデイZINEの話題から「同世代ですね」ってなって、流れで「フリッパーズは一時期恨んでた」っていうのを聞いて「恨む?」、なんで恨むんだろうってすごい疑問に思ってたので、それを考えて今回の原稿になった感じです。当時のフリッパーズロスってこういう気持ちだったのかな?って想像して。


トオル 続いて、むじかさんと久保田さんで。久保田さんは昔の思い出をばんばんツイートされている方なので、おそらく当時の思い出を書いてくれるだろうなって。一方、むじかさんは、そこまで分析はしないけど、意外なことを知ってたり、当時の思い出をぱっと出してくれるし、しかもいいエピソードをお持ちの方なので(笑)そういうことで、このお2人の原稿を並べるのがバランス的にいいだろうなって思ったんです。久保田さんについては、当時、幸代ちゃんから来たFAKEの原稿依頼を断った、っていうエピソードをツイートで読んだことがあったので、今度は私から原稿を依頼させてもらおうと思って。

照井 当時と現在がこんな形でつながったのが嬉しいですよね。

大久保 ね、いい話。

トオル 次の照井さんは、少し年下であることと、東京から離れている場所で聴いてた人の意見、記憶も欲しいなと思って依頼したんです。やっぱり東京中心で語られる文化だと思うので、ちょっと離れたところからはどういう風に見えたのかなっていう原稿も欲しくて。明山さんに関しては、どっぷりと書く人だったので、その対比も面白いかなと思ったんですよ。明山さんは当時ロッキング・オンにも文章を載せてるくらいディープに聴き込んでいた人なので、お2人の温度差も出すというのも狙いとしてありました。

最後は大久保さんにしろ、neeさんにしろ、noteの記事やツイートをいつも読んでいたのでカップリングとしてはこの2人が最後締めてくれるのがいいなって思って。

大久保 私は、最初やだなって(笑)

トオル 大久保さんすごい気にしてましたよね?(笑)

大久保 neeさんの前はちょっとプレッシャーがあったんですよ(笑)

トオル でも2人とも名タイトルですよね。

大久保 あー、タイトル褒められました。

トオル 「ヘッド博士とわたし」を締めるには最高の文章と最高のタイトルを出してくれたな、って思いました。ほんとうにやっぱり「短い永遠」でもあったし、僕らはそれを「越え」て来て長く生きてるんだよねっていうことを2人が上手く言い表してくれて、結構ジーンと来たんですよね。

一同 うんうん。

トオル ちなみに締切を唯一破ったのがneeさんでした(笑)

一同 (笑)

大久保 きっと忙しかったりいろいろ大変だろうし。

トオル neeさんは人一倍思い出の多い方ですからね。ぎりで出してくれたんですけど、neeさんにしてはキレがないなって思ったら、「ちょっと時間がなくて」ということだったので、「じゃあ待ちますから書き直してもいいですよ」って。それで出し直してくれたら、締めの文章がきちっとしたものが出てきたのでバッチリでしたね。ま、本当は一番締め切りを守らなかったのは、ばるぼらさんですけど(笑)

一同 (笑)

トオル プロを相手にしちゃいけませんね。スケジュールを逆算して締め切りはこれぐらいでも大丈夫だろうと読んでますから(笑)

大久保 でもこの文章出されたら何も言えないですね(笑)

トオル 個人的にこの8人の中でどれが一番好きですか?

大久保 いっぱいいるから面白いですよね。1人2人じゃ伝わらないものがちゃんと伝わるなって思いましたね。

トオル 書いてほしい人は他にもいっぱいいたんですけど、ほかのページとのバランスを考えると4ページ8人が限界かなって。

大久保 書きたい人もいたでしょうしね。

トオル そういう方はnoteに寄稿いただければと思ってます。

~第三回に続く~

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