2/22開催【スタートアップピッチ】建設/製造現場で進むXRのビジネス活~現業系メタバース関連4社をご紹介~イベントレポート
皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は2022年2月22日(火)のイベント
【スタートアップピッチ】建設/製造現場で進むXRのビジネス活用
~現業系メタバース関連4社をご紹介~
についてレポートしていきたいと思います!
本イベントでは、XRを利用して建設や製造の現場を変革する注目のスタートアップ4社をお招きし、ピッチをしていただきました。
・建設や製造の現場でXRがどのように利用されているのか知りたい方
・XRの活用によってどんなことができるようになっているのか興味がある方
に特に必見の内容となっておりますので、ぜひご確認ください!
以下、各スタートアップにピッチをしていただいた内容をご紹介します!
■1社目:株式会社ホロラボ
1社目は、ホロラボ 伊藤様にご登壇いただきました!
<株式会社ホロラボ Co-founder, 取締役COO 伊藤 武仙様>
・ホロラボの事業内容
ホロラボ社は、リアルとバーチャルを繋げ、新しいコンピューティングのスタイルや表現・体験を生み出すためのノウハウを広く世の中に提案し続けています!
ホロラボ社は、マイクロソフト社が開発したARグラス (「頭部装着型の新しいスタイルのパソコン」と表現)、HoloLensの日本上陸をきっかけに設立したスタートアップ企業です。
HoloLensにはWindows 10が搭載されているので単体で動作するとともに、頭部に装着して使用することでリアルとバーチャルを繋げるMR(Mixed Reality:複合現実感)と呼ばれる新しい体験を提供します。
これによって、周囲の現実環境に、デジタルコンテンツを配置・活用することが可能です!
HoloLensは2017年1月に初めて日本に上陸しました。
さらに2019年2月に性能、視野角、着用性など各方面で従来のものから進化した第二世代のHoloLens 2が登場しました。
価格は、税込で422,180円です。
HoloLensは色々な方面で活用できると考えられ、その中でも特に建設業にて兼ねてより注目され様々なプロジェクトにて利用されてきました。
本ピッチでは、建設業向けのサービス中心にご紹介いただきました。
ホロラボ社の3つの取り組み
1) BIM to XR - mixpace
2) XR in Town/City - ARクラウド基盤開発
3) Planet Scale Digital Twin - toMap
今回は時間の関係上、当社全体の取り組みのうち1)を中心にお話をいただきました。
<BIM to XR - mixpace>
mixpaceは3DCADやBIMで作成した設計データを自動でMR/AR用データに変換してHoloLens2・iPadで表示する、製造業・建設業向けソリューションです。
従来の3D化のデータ変換作業は、複数のツールを使用しトータルで数週間かかるほど煩雑でしたが、mixpaceを使用すると平均約3分で簡単に完了できるために、作業の大幅な短縮が見込めます。
シンプルな手順でリアルな空間にバーチャルなオブジェクトを重ね合わせて、レビュー・検証・デモといった用途に活用できます。
上記サービスを活用した具体事例をご紹介いたします!
・株式会社大林組での活用事例:施工管理業務アプリ「holonica」
バーチャル空間で、キズのある場所や工事で穴を開ける場所の間違いなどにデジタルの付箋をつけられるようにした機能を搭載しました。
このサービスによって、従来の紙図面を使った仕上げ検査と比較して約30%の時間短縮に成功しました!
・東急建設株式会社での活用事例:BIMデータをそのままAR化
HoloLensで建物丸ごとの3D図面データを見るのは重く大変でしたが、BMI360 + mixpace + Azure Remote Renderingという技術を活用することで、Revitデータの加工をすることなく建物丸ごとのデータを見れるようになりました。
従来のHoloLensへのデータ持ち込み手順と比較して、80%の時間短縮に成功しました!
今後は製造・建築分野以外でも活躍が期待されるサービスではないでしょうか!
■2社目:株式会社複合現実製作所
2社目は、複合現実製作所 山崎様にご登壇いただきました!
<株式会社複合現実製作所 代表取締役 山崎 健生様>
・複合現実製作所の事業内容
複合現実製作所は、NTTドコモの新規事業創出プログラム「39works」から生まれたXR領域のスタートアップ企業です。
有限会社宮村鉄工と共同で、鉄工業でのXRソリューションを提供しています。
ビジョンは、「コンセプトムービーで語られるようなXRが普及した世界の構築」です。
このビジョンを達成するために、複合現実製作所では、鉄工業でのXR活用:L’OCZHITを提供しています。
そもそも鉄工所とは、ビルの骨組みになる梁や柱にさまざまなパーツを溶接する企業・場所のことです。
中規模の建設現場であれば鉄工所のスタッフが直接現場に入ることもあります。
そんな鉄工所の課題としては以下のようなものが存在しています。
①図面の読み間違いによる多大な手戻り
②図面を解読できる技術者の高齢化・減少
その課題を解決するL’OCZHITの具体的なサービスは以下となります。
①XRで作業箇所や手順、完成イメージをリアル空間に重ねて表示
②画面横の図面表示による、図面を読める人材の育成
このソリューションによって3つの効果が得られます。
①利益率の向上
ミスによる手戻り削減や工作時間の短縮
②新人への技術指導
3D図面を円滑に共有、熟練工からのアドバイスをスムーズに反映
③業界イメージの向上
3Kイメージ(汚い・危険・きつい)を先進的・ハイテク・簡単に転換
複合現実製作所の強みは、鉄工所に特化したサービスのため、鉄工所が欲しい製品、導入アドバイスを提供することが可能であることや、工場様に寄り添った提案や機能拡張ができることが挙げられます。
今後の展望として、下記のような鉄工所における様々な業務について、さらにXRを使ったDX化を進めていくことを見据えています。
・2D図面との連携機能
・手書き図面との連携機能
・3Dスキャンデータとの連携機能
また並行して鉄工所以外への適用も進めていきます。
複合現実製作所のサービスがさまざまな領域で活用され、近い将来複合現実製作所のビジョンである「XRが普及した世界」が構築されることに期待してやみません!
■3社目:イマクリエイト株式会社
3社目は、イマクリエイト 山本様にご登壇いただきました!
<イマクリエイト株式会社 代表取締役 CEO 山本 彰洋様>
・イマクリエイトの事業内容
イマクリエイト社は、「見るXR」ではなく「するXR」を可能にし、
「まずバーチャルでやってみる」という未来を創造するスタートアップ企業です。
「見るXR」ではすでに多くのサービスが開発されています。
一方、イマクリエイト社が提供する「するXR」とは実際に見て行動を起こすためのXRです。
例えば、けん玉を例に取ってみます。
けん玉の「するXR」では、実際に上手いけん玉の手本をXRで見つつ、けん玉の玉にかかる重力を変更することで、効率的な技の習得を可能とします。
イマクリエイト社では、このような様々な技術やワザの上達を早めることを可能にする「ナップ」というプラットフォームを提供しています。
本来「体の動き」は属人的かつ感覚的であるために、教える際に他人に説明したり教えられた側が本質的に理解することが非常に難しいといわれています。
「ナップ」では、体の動きそのものをデータ化し、VR上に可視化することができます。
そして、その動きに重ね、なぞるように動けば誰でも正しく体を動かせるため、あとはその感覚を覚えるだけで簡単に動きを他者に共有することができます。
それでは、以下「ナップ」を利用したサービスの具体例をいくつかご紹介します!
・ベテラン溶接工の動きを若手にシェアする「ナップ溶接トレーニング」
・医師の動きを研修医にシェアした「ナップ診察」
・インストラクターの動きを初心者にシェアした「CanGolf」
・上級者の動きを初心者にシェアした「けん玉できたVR」
「どんな動きを、誰から誰に、どうシェアするか」- ナップの使い方は様々です。
「できない」から「できる」までの道筋を描き、できるようになる楽しさや、喜びを生み出す - それが動きのシェアを可能にするVRプラットフォーム「ナップ」です。
その中でも今回は「ナップ溶接トレーニング」について、その詳細をご紹介します!
溶接研修の課題として
・溶接の光が明るすぎて直視できない
・熟練者の頭/手で重要な部分が見えない
・熟練工が感覚的に行う動き(速度、アーク長、角度等)が伝えづらい
などが挙げられます。
ナップ溶接トレーニングでは、上記の課題をVRを使って全て解決することができます!
それは既に結果にも現れていて、実務で研修を受けた研修生と比べVRを用いた研修生の方が目に見えて成長が早く、最終評価試験でも良い成績を収めたそうです。
ナップのトレーニングは、幅広い領域で活用することができるため、今後も企業の若手の育成や、アスリートの育成にもどんどん活用されていくと考えられますね!
■4社目:Scene株式会社
最後に、Scene 江澤様にご登壇いただきました!
<Scene株式会社 取締役COO 江澤 怜様>
・Sceneの事業内容
Scene社は、「あらゆるチームに3Dのコミュニケーションを」実現する3Dドキュメントツール「Scene」を提供しています。
主な製造業の3Dデータ活用の現状として、3D CADなど3Dデータを用いた製品設計が挙げられるかと思います。
一方で、特に実際の製造や、検査・品質保証というプロセスでは未だに紙や平面図を中心に経験と努力で補填されている領域になっています。
平面図を使っているために誤解が生じたり、伝えづらいといったコミュニケーションに課題があるのです。
Sceneは、今まで3Dデータの活用ができなかった製品設計以後の領域において、3Dを使った円滑な情報伝達を可能にします。
製造業では、パワーポイントやエクセルなど汎用的なツールを通じた平面データを用いてコミュニケーションが行われていますが、これによって現場や経営陣には以下のような課題が生じています。
・現場レベルでの課題
「形状や動きなどをイメージしづらく、正しい情報伝達の妨げになる。」
・経営レベルでの課題
「間違った認識で開発が進み、製造段階で問題点を見つけてもやり直すには非常に高いコストと時間がかかる。」(=フロントローディングの失敗)
「製品を市場に出すまでの時間が遅くなり、会社としての競争力が落ちる。」
Sceceは3D CADデータを二次活用し、あらゆる部署間での情報伝達を円滑にする3Dドキュメントツールであり、これを用いて上記の問題を解決することができます。
Sceneでは、3Dデータを活用してパワーポイントとほとんど同じような要領で手順などが立体的にわかるようなドキュメントを作成できます。
プレゼン発表の際に、「ここの構造はどうなっているの?」といった質問が生じた際も、ドキュメント上で3Dの画像を動かすことができるので簡単に説明できます。
また、ダウンロードする必要もなくURLをコピーすることで誰でも資料を共有することもできます。
これまでは、パワーポイントやエクセルといった二次元のドキュメントが一般的であったために十分な説明ができない内容も多々存在していました。
Sceneでは、3Dデータを活用し、そのデータをドキュメントに落とし込むことができるため、これまでにない円滑な意思疎通が可能になります。
製造業だけでなく私たちの身近なところにも、3次元のデータを使ったドキュメントを当たり前に使っていくような時代がすぐそこにきているのかもしれません!
まとめ
今回は、現業系メタバース関連の代表的な4社のお話をお聞きしました。
XRを活用して、どのようなことができるようになるのか、建設や製造業だけではなく、幅広い領域にその可能性を感じることができました。
現実の世界では行うことが難しいこともバーチャルの世界ではそれが可能となり、できることが増え、色々な可能性が広がります。
XRが普及した世界は非常に楽しみですね!
今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます!
引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!
>>今後のドコモ・ベンチャーズのイベントはこちら
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