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11/15開催【ドコモベンチャーズピッチ】香り×スタートアップの世界~香りの解析や提供が豊かな世界を創る~

皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2022年11月15日(火)に行ったイベント、

【ドコモベンチャーズピッチ】香り×スタートアップの世界~香りの解析や提供が豊かな世界を創る~

についてレポートしていきたいと思います!

本イベントでは、香り、匂いの領域で新しい事業に取り組まれている注目のスタートアップ4社をお招きしピッチしていただきました。

  • 香りや匂いに興味のある方

  • 香りや匂い関連の投資先を探している投資家の方

  • 新規事業、オープンイノベーション等をご検討されている方

  • 大企業とスタートアップの共創を模索している方

にぜひお読みいただきたい内容となっております!

以下、各スタートアップにピッチをしていただいた内容をご紹介します!

■1社目:株式会社香味醗酵

1社目は、株式会社香味醗酵 黒田 俊一 様にご登壇いただきました!

<株式会社香味醗酵 取締役(最高科学責任者) 黒田 俊一 様>

株式会社香味醗酵 黒田 俊一様

・香味醗酵社の事業内容

香味醗酵社は、ヒト嗅覚受容体センサーによるDXを目指しています。一般的に「におい」を有する分子は約40万種類あるとされています。しかし、これは古いデータに基づいており、実際にはもっと多くの種類の分子があるのではないかと黒田様は語っています。

嗅覚受容体の仕組み

香味醗酵社はヒトの嗅覚が識別する膨大な数の匂いの種類を、ヒト嗅覚を模した細胞センサーで検出し、匂いを再構成できる仕組みづくりを目指しています。

・匂いマトリックスを作成

そこで、香味醗酵社は独自に匂いマトリックスを開発しました。匂いマトリックスとは、388種類ある嗅覚受容体(匂い分子を感知する受容体)をセンサーにしたものです。

匂いマトリックス生成に至るまで

各マスの中に、それぞれの匂い分子に反応する嗅覚受容体発現細胞が1種類ずつ入っています。この細胞センサーに上から匂いをかけ、それぞれの受容体の応答を画像で表現することで、匂いを数値化することに成功しました。

匂いマトリックスによって、ヒトが感じる匂い全てを388次元マトリックスで数値化することができます。

・悪臭を打ち消すことに成功

従来の消臭剤は、悪臭に他の匂いを被せて、悪臭を感知できない状態にするものでした。しかし、匂いマトリックスを活用し、嗅覚受容体の反応を解析することで、ピンポイントに嗅覚受容体にアプローチすることが可能になりました。これにより匂いを感知する作用が発動することを防ぎ(アゴニスト)、悪臭を感じないようにする消臭剤の開発に成功したということです。

・匂いの再構成

さらに、香味醗酵社は匂いマトリックスを活用し、情報をデータベース化することで、新しい匂いをデザインすることを目指しています。

匂いマトリックスデータベース生成の過程

従来の香料会社は、匂いを再現する際、匂いを分析して匂いの主成分を見つけることで、同じ匂いを作成してきました。しかし、匂いマトリックスは大量の匂い成分から構成された複雑な匂いを、少ない匂い成分で再構成することを可能にしました。あらゆる匂いをパターン化したことで、仮にXという匂いを作り出したい場合に、身近に手に入る匂いから、簡単にXを再構成できるようになりました。

その匂いの再構成にはAI調香師が貢献しています。匂いのパターンのデータベースにおける嗅覚受容体に受容される匂いのみを用いて、最適なパターンで的確に調香することができます。

他社が成分的に同質の匂いを再現するという方針で調香している一方で、香味醗酵社ではAI調香師の活躍により、元の素材を10種類未満の匂い成分で早く、安く匂いを再現することができます。

■2社目:SCENTMATIC(セントマティック)株式会社

2社目は、SCENTMATIC社  栗栖 俊治 様にご登壇いただきました!

<SCENTMATIC株式会社 代表取締役 栗栖 俊治 様>

SCENTMATIC株式会社 栗栖 俊治 様

・SCENTMATIC社の事業内容

SCENTMATIC社は、香りを言語で表現するAIを開発し、さまざまな場面で香りと言葉の融合体験を創出しています。

こうした新しい消費者体験を通じて喜んでもらうことで、売り上げに貢献、感性思考データの分析・提供を通じて他社に事業的価値の提供を目指しています。

・香りと言葉の融合体験 KAORIUM

香りと言葉を変換するAIシステム KAORIUM

SCENTMATIC社が開発した KAORIUM は、香りに対する私たちの多様な感じ方を、インターネット上に存在する膨大な言語表現を学習した AI に流し込むことで、

・香りを言葉で表現
・言葉から香りを提案

することを可能にしました。

また、KAORIUM の仕組みはシンプルであり、下記のような多くの場面で活用できるのではないかと考えられています。

<活用場面>
・学校や感性教育、スポーツ
・食品や嗜好品
・香水:小売り
・日本酒:小売りと飲食店

・KAORIUM がもたらす体験的価値

KAORIUM は曖昧で捉え所がなく、選ぶのが難しかった香りの違いがわかるようになったり、自分の好きな香りを選べるようになったり、さらには、自分の好きな香りを人に伝えられたりするなど、より香りを身近なものにしています。

SCENTMATIC社が実施した実証実験において、SNS上の反響も大きかったと栗栖様は語ります。多くの「いいね!」やリツイート、さらに「行ってみたい!」「楽しかった!」といった反応・体験談が続々とSNS上に投稿されたそうです。また、別の実証実験で、とあるメディアに掲載後、22時間で多くの反響があり、リリース後3日間で、274万インプレッションを獲得したそうです。

・KAORIUM がもたらす事業的価値

KAORIUM は企業に対しても、集客効果・売上効果を提供しています。以下のデータは、消費者が好きな香りと、その香りから連想した言葉を、嗜好相関データとしてまとめたものです。

香りと言語の嗜好相関データ

この嗜好相関データを用いることで、消費者の好きな香りの傾向分析が可能になり、企業は、

・オンラインでのレコメンド
・企画開発
・競合分析
・自社分析

といったセールス&マーケティングにデータを活用できるようになります。

・風味にも展開

さらに、SCENTMATIC社では、香りだけでなく風味の領域にも事業を展開しています。日本酒を提供する飲食店や酒販売店に、好きな風味から日本酒を選べるメニュータブレットをローンチして、メディアにも取り上げられるなど注目を集めています。

■3社目:株式会社コードミー

3社目は、コードミー 太田 賢司 様にご登壇いただきました!

<株式会社コードミー 代表取締役 太田 賢司様>

株式会社コードミー 太田 賢司 様

・コードミー社の事業内容

コードミー社は、ストレスフルな社会を解決するために、最適な香りのある暮らしの創造に取り組んでいます。

太田様は、香料会社で10年の開発経験があり、その経験をもとに会社を設立したそうです。他業界との共創を重視しており、多数のコラボレーション実績があります。

・パーソナライズされた香りを開発

コードミーは専門WEBサイト「コードミーワン」で香り診断を行うことで、自分にあった香りを購入することができます。

サービスページにプロフィールを入力して、

・解決したいストレス課題
・理想の気分
・好みの香り
・イメージする色

など、選択式の設問に沿って解答すると、自分にあった香りをカスタマイズすることができます。

・SNSから自分の精神状態をビジュアル化

さらに、Twitterと連携することで、投稿データをAIが解析、精神状態をビジュアル化することができます。

コードミーワンのサービス概要

解析結果をもとに、レコメンドされた香りの中から気になる香りを選ぶと、デバイスが自宅に届く仕組みになっていて、利用は定期配送と単品購入のどちらかを選ぶことができます。

・コードミーワンの利用シーン

コードミーワンは自分目線のヘルスケアの商品です。他人からのブランディング目的の香りではないため、香水とは異なります。香り商品は女性向けのモノが多くなっていますが、コードミーワンのターゲットは男性のビジネスマンです。

・大事なプレゼンの前
・デスクでの一息
・眠りに入る前

などシーンに合わせて、香りを利用することができます。

コードミーワンがよく使用されるシーンの一例

・データに基づいた香りのパーソナライズ

さらに、コードミーワンではAIによる最適な香りの提案をする独自のアルゴリズムに基づいて、香りを提案しています。

脳波分析を独自に行っており、香りと脳波の相関性を研究しているため、これらの結果をサービスに反映させた香りの提案を行っています。

・ソリューションフレグランス

また、「コンディション」を香りで最適化する、ソリューションフレグランスという新しい香りの市場開拓を目指しています。

・オフィス
・ライブ
・サロン
・ホテル

など、最適な香りを空間デザインと交えて、データに基づいた展開をしています。現在はオフィスでの導入が多いものの、今後は医療業界にも展開していく予定だと太田様は語っています。 

企業が香りを利用するシーンの一例(画像右)

・コラボレーション

コードミー社では、香りは記憶と感情を永久に保存すると考えており、俳優・アーティスト・企業などと他業界の様々なプレイヤーとコラボレーションしながら、さまざまな取り組みを行っています。

■4社目:株式会社アロマジョイン

4社目は、アロマジョイン 金 東煜 様にご登壇いただきました!

<株式会社アロマジョイン 代表取締役社長 金 東煜(ドンウク) 様>

株式会社アロマジョイン 金 東煜(ドンウク) 様

・アロマジョイン社の事業内容

香りが情報の質を変えると考えているドンウク様は、現在進行形で<VR+触覚>へと進化しているメディアに、香りを加えることを目指しています。

・Aroma Shooter

今現在広く使用されているアロマディフューザーは、香りを液体化し、噴霧することで香りを伝えています。部屋を良い香りにするには、この方法で十分です。しかしながら、

・噴霧された液体が他に付着し残る
・香りが広がるのが遅い
・液漏れが発生する

などの課題があり、他のデバイスと組み合わせることができないといった特徴もあります。

そこで、アロマジョイン社は香りを鼻にピンポイントに届けることができる Aroma Shooter を開発しました。

香りを固形化し、風にのせることで

・目に見えない
・素早く届く
・他に付着しない

など、香りをコントロールすることができます。

・Aroma Shooter の特徴

Aroma Shooter の特徴は、

・ピンポイントな指向性
・0.1秒で切り替え可能 
・調香が可能

の3つです。

AromaShooter の特徴

Aroma Shooter では香りを鼻にピンポイントで届けることができ、新しい香りを届けるまでに0.1秒しかかかりません。また、一つのデバイスに6つの異なる匂いのカートリッジを装着できるので、様々な匂いを調香することも可能です。加えて、前に放った香りで鼻に吸い込まれたもの以外は風で流れるため、次の香りと混ざる心配もありません。

このような特徴をもつ Aroma Shooter は、

・エンターテイメント 
・デジタルサイネージ 
・空間デザイン

などの場面で活躍しています。

ドンウク様によると、香りはVR体験/XR体験においても重要な役割を果たせると語ります。

・Aroma Shooter3 

そこで、アロマジョイン社では自宅でも香りのXR体験ができる香りを特定の人物に届けることができるサービス Aroma Shooter3 を開発しています。

新商品 Aroma Shooter 3

また、香りの動画配信サービス Aroma Platform Server も開発しました。

Aroma Platform Server 上で、動画に合わせて香りを噴射するように設定することで、ユーザーはAroma Shooter3 から放たれた香りと共に動画を視聴するという新体験を味わえるようになります。

まとめ

今回は、香り・匂いの代表的な4社のお話をお聞きしました。

テクノロジーと香りを組み合わせることで、香りが私たちの生活を支える重要な要素になってきていると感じました!

香りのサービスが普及した世界は非常に楽しみですね!

今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます!

引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!

>>今後のドコモ・ベンチャーズのイベントはこちら


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