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『Gのレコンギスタ』って富野由悠季監督の『ONE PIECE』読書感想文なんじゃね?ならばその威を借りてワンピ考察をしてみなさいよ!

新潟国際アニメーション映画祭の富野由悠季監督と出渕裕さんのトークでもあった通り、やはり富野監督は『ONE PIECE』という作品が日本のカルチャーにおいてエポックメイキングであったと認識している様だ。

僕も『劇場版Gレコ』が完結して改めて振り返った時に、(これは富野版ワンピースなのでは⋯?)という思いが湧いた。

そこで、『Gレコ』と『ワンピ』の類似点を考察することで、富野由悠季という天才から見たワンピースを想起し、その頭脳を借りてワンピ考察ができるのではないか、という試行。

僕の周りに『Gレコ』と『ワンピ』を両方追いかけている友達がいないので、誰か構ってくれたら嬉しいです⋯

マクロな社会問題とミクロな社会問題、そのシームレスな連結

アカデミックな社会学や経済学とは矛盾しているかもしれないが、物語においては読者理解が得られやすい構造になる。
主人公周りの恨みつらみや復讐といった人間関係(ミクロな社会)が、戦争を引き起こし国家間の衝突(マクロな社会)へと繋がっていくストーリー。

視聴者が共感できる復讐者に圧倒的能力を持たせるのが1番手っ取り早い。『RED』のウタや『NARUTO』のオビト、『エヴァ』のゲンドウの様に復讐心を解決するために圧倒的能力を悪用しセカイを塗り替えさせる。
ミクロな社会問題の解決法をマクロ社会に適用しようとするから矛盾する。そのため復讐者が抱えたミクロな社会問題にミクロな解決策を与えるパターンが多い。「ごめんなさい」とか「ありがとう」とか言ってやって(なんだ⋯そんな事だったのか⋯)で落とす。暴走した圧倒的力を抑える犠牲にして読者を納得させよう。

井の中の蛙が小山の大将になっており、それを打倒すると次の大将が現れ⋯を繰り返し、ミクロな社会問題の原因がワンランク上位の存在によって引き起こされていることがマトリョーシカ式に理解されるパターンもある。『ドラゴンボール』はこの応用。
『BLEACH』は世界観的にセカイ系に見せかけてこっちで整理できる。主人公の動機は常に身近な人間を救う事であり、その都度大きな社会問題を象徴する敵が現れ、それを打倒したために友人=救うべき人が増える。

『ワンピ』の社会問題と麦わら海賊団の航路

『ワンピース』も後者の構造であり、社会的弱者を救うために戦い、ルフィに救われ友人が増える。社会構造を打破したため、その構造的歪みが垣間見える。
海賊の横暴(アーロン等)→七武海というシステムの歪み(ジンベエ・クロコダイル・モリア)→天竜人・魚人の差別
新世界では四皇であるビックマムとカイドウが作り上げた支配構造が順を追って説明される。
冒険するにつれてマクロな社会問題が身近になる。身近にはなるが当のルフィは構造には興味がなく純粋に隣人を助けるだけ⋯(の様に見える。)

『Gレコ』の社会問題とメガファウナの航路

『Gレコ』の場合、ベルリは隣人を救うために戦うが、アイーダが自分の身にかかる不条理を問うために突き進む。宇宙海賊として。

キャピタルタワーの既得権益を批判するアメリア

サンクトポルトとフォトンバッテリー、インフラの管理責任を持つゼナム運行長官と既得権益を我が物にするクンパ大佐

カシーバミコシとスコード教

トワサンガ

その経緯全てを知っているビーナス・グロゥブのラ・グー

全てのフェーズにおいて、その場所に住む人はその隣接するフェーズの事を表層しか知らず、その向こう側は想像もできない。
アメリア軍人はサンクトポルトの存在は知っていてもカシーバミコシを見たことがないし、ゼナム運行長官はスコード教を信仰しているがトワサンガを見たことがない。
自分の出身やミッションは理解していても、その前後の社会が理解できないから、隣接する社会に自分への不条理を八つ当たりする。
しかし皆が抱える問題の根本的原因はもっとマクロに物事を理解しないといけない。

最終盤、直接的な利害関係にないフェーズ同士が同盟を組む。アメリアとトワサンガ、ジット団とキャピタル・アーミィ。
“中ボス”が不在のため、一つ一つの問題を解決せずに、全てのキャラが最終戦争に集うのが『Gレコ』の凄いところ⋯やっぱ『Gレコ』凄えぜ⋯

と言いたいところだが、『ワンピ』も中ボスは全て死んでいないのがポイント。クロコダイルもエネルもモリアもドフラミンゴもカタクリも死んでない。カイドウ&ビッグマムすらワンチャンある。多分最終戦争で全部出てくる。

マクロな格差構造を保安する軍事力

海軍は天竜人の格差を保安するためにある。民を守り海賊を打倒するのが本業の様に見せて、天上金を支払わず世界政府に加盟しない国は守らないことで格差を提示している。

そしてルフィ達を見ている読者は忘れがちだが、あの世界は基本的に島々が分断され、往来しているのは主に海軍と海賊。海軍は違法航行を行う海賊を取り締まっている。一部海列車という例外はあるが⋯
それ故に、一般市民の情報はかなり分断されている。海軍と海賊、そして世界経済新聞による情報だけが島と島の間を繋いでいる。海賊以外の2つは天竜人の情報統制が行われる。
映像電伝虫というベガパンクの発明が如何に重要か。

『Gレコ』の各勢力は各々の自衛のために軍事力を持っている。
が、クンパ・ルシータによって組織されたキャピタル・アーミィがかなりきな臭い。キャピタル・ガードによる自衛を逸脱し、より強力な軍事力をもって権威を拡大しようとする。

インフラの安定供給を名目に、世界に軍事力を配備した場合、それはさながらワンピ世界の海軍ではなかろうか。しかもクンパ大佐はビーナス・グロゥブ出身であり、世界の構造を全て理解しているのである。
長い寿命を持ち善性による人類の観測を行うが醜い姿と難病を抱えたビーナス・グロゥブの民と、不死身の肉体と妖怪の姿を持ち悪性による人類の支配を行う五老星。
クンパ大佐はリギルド世界の五老星として軍隊を指揮し、キャピタルタワーによる社会構造を悪用して世界征服を目論んだ。

ログポース≒ヘルメスの薔薇の設計図

麦わら海賊団はログポースに沿って冒険をしていく。その果てにラフテルがあるらしい(要検証)
メガファウナはヘルメスの薔薇の設計図によって作られたらしい。でもそれがどこから届いたのかは不透明。辿って行った結果、ビーナス・グロゥブにまで辿り着く。

ビーナス・グロゥブとはまさにラフテルに相当する場所ではなかろうか。
ラ・グーは今の世界の構造の由来を知っているし、人類の最悪の未来を案じている。

となれば人類の過去を知り人類の未来を案じるベガパンクが説明する内容とは、正に世界政府やその歴史が産んだ社会構造とその目的だろう。場合によっては青い星の地理にも触れてくれるのではないか。
ただしそれを批判しない可能性も大いにありうる。今の世界を作ったのは至って善性の思想だったが、五老星がそれを悪用したのかもしれない。

”立ってみて歩く“

社会システムの原理と理念、それを正しく伝承することの限界がある。そしてその齟齬を悪用し搾取を生み出そうとする者がいる。

ベルリやアイーダは自分で全てを見たからこそ、何を為すべきががわかった。戦争を止める理由が、誰が悪いのかが肌感で理解された。
その他のキャラクター達は自分の足で見た訳ではない。だから狭い視野で決意を抱いてしまう。

立ってみて歩く

これがルフィ達にも言える。ラフテルまで自分達で見に行くと決心がついてるのだ。その上で何を為すか考えてくれるだろう。

考察

善性による社会構造の設立とその歪みを悪用した者

リギルド世界では各勢力が分断されており衝突してしまったが、その社会構造は戦争に疲れた旧人類が地球と人類を守るために作ったものだった。
結果的に生まれた分断構造が長い時を経て摩擦を生み、衝突を生んでしまった。(しかし最終戦争となることは食い止められた、とも言える。)
何よりその全てを構造的に理解しているクンパ大佐が、その構造を悪用して世界征服をしようと企んでいた。

これに対比して考えるに、レッドラインとグランドライン、各島々が分断したことによる各種族の孤立、この地理的分断はジョイボーイが世界を守るために行ったのではないか。
その構造を悪用するため五老星は海軍を組織し、保安を名目に分断を加速。そもそもワンピースの存在が不明な大海賊時代以前から何故“海賊”が存在するのか疑問だったのだが、世界政府の許可無く航海をする事を全て海賊行為と呼称することにしたのではないか。
ゴール・D・ロジャーの処刑は海賊行為に対する見せしめだったが、世界中に共通んp情報を共有させるという逆効果を生む。

ベガパンクの配信

映像電伝虫により分断された世界が接続されようとしている。
利便性を名目に、ベガパンクは世界構造を破壊しようとしている。配信をせずとも、実は第一ステップは達成しているのだ。

しかし、立ってみてあるくことが大切ならば、世界の真理をベガパンクの配信で聞くだけでは社会は変わらないのではないか。
世界中の人々が真理を聞くが、だからなんだよと、それがわかったとて明日は変わらないぞ、と。

そして最終局面において、ワンピースを直接見た者とそうでない者で陣営が分かれるのではないか。
シャンクス・バギー辺りは一緒に見にいきそうだし、麦わら大船団は意見が割れそう。反乱軍がラフテルに行くとは思えないが、数人がついてきた場合内部分裂もありそう。
情報だけを聞いた人が復讐の矛先を変えるかもしれない。ビビ・クロコダイル・元奴隷・ロー・サボ・海軍大将等の個人的な復讐心を抱くキャラクターが矛先を変える可能性がある。

おち

普通の考察しかしてねぇ~

イデオ

連載当時からこのオマージュなんで持ってきたんだろうなってずっと疑問です。
(名シーンだから、で充分でもある。)
ポセイドンに向かってプルトン発射したその時⋯ウラヌスが発動した。とかならなきゃいいな。

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