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失われた45年間(1)1977年 衆議院 法務委員会 第8号(昭和52年4月6日)会議録

(※ 失われた45年間(2)へ続く。)

福田赳夫元首相(講演当時は大蔵大臣)が「希望の日」晩餐会(1974年5月7日 帝国ホテル 孔雀の間)で『アジアに偉大なる指導者現る。その名は文鮮明である。』とスピーチした件についてインターネットを検索しているうちに、30年ではなく、実は、失われた45年間・空白の45年であることがわかりました。(失われた30年間・空白の30年について、以前に、お父さんのためのワイドショー講座・1992年の年間ランキング第1位(ワイドショー年間ベスト10・お茶の間の顔は「統一協会」)を紹介しましたが、国内での最初の礼拝が昭和34年(1959年)10月2日に行われ、昭和39年(1964年)7月15日に宗教法人として設立認証された旧統一教会は日本で60年以上活動を続けています。)

間もなく始まる国会では旧統一教会に関わる質疑応答が続きそうですが、その年の11月15日に横田めぐみさんが行方不明になった1977年の4月に衆議院の法務委員会で二度にわたり統一教会や原理研究会について真剣な討議が行われていました。(公文書の改竄や抹消が行われる中でも、国会の会議録は安全に保管され公開されているようです。)

当該委員会に参加した議員や官僚はほとんどが鬼籍に入られましたが、食口(シック)信者であることを明言してマスメディアを騒がせている美馬秀夫徳島市議(73)の母上が石橋政嗣社会党書記長(当時)へ寄せた手紙の内容も会議録に収録されています。

当該委員会が行われた5年後の1982年4月に統一教会はシンガポールで一切の活動を禁じられましたが、英断を欠いた日本では45年後に銃撃事件の発生に繋がりました。

間もなく始まる国会では、誰が壺にはまったかという粗探しや揚げ足取りではなく、45年前に取り組むべきであった施策の実行に向けて、与野党とも努力していただきたいと思います。長文の会議録ですが、お時間があれば、ざっと目を通してみてください。


第80回国会 衆議院 法務委員会 第8号 昭和52年4月6日

昭和五十二年(1977年)四月六日(水曜日)

    午前十一時十分開議

 出席委員

   委員長 上村千一郎君
   理事 羽田野忠文君 理事 濱野 清吾君
   理事 保岡 興治君 理事 稲葉 誠一君
   理事 横山 利秋君 理事 沖本 泰幸君
      坂田 道太君    田中伊三次君
      山崎武三郎君    島本 虎三君
      西宮  弘君    日野 市朗君
      飯田 忠雄君    長谷雄幸久君
      正森 成二君    加地  和君
      小林 正巳君    鳩山 邦夫君

 出席国務大臣

        法 務 大 臣 福田  一君

 出席政府委員

        内閣官房副長官 塩川正十郎君
        警察庁刑事局保
        安部長     吉田 六郎君
        法務政務次官  塩崎  潤君
        法務大臣官房長 藤島  昭君
        法務省刑事局長 伊藤 榮樹君
        法務省人権擁護
        局長      村岡 二郎君
        法務省入国管理
        局長      吉田 長雄君

 委員外の出席者

        青少年対策本部
        参事官     小野佐千夫君
        警察庁刑事局参
        事官      佐々 淳行君
        大蔵省主計局主
        計官      岡崎  洋君
        文部省初等中等
        教育局地方課長 加戸 守行君
        文化庁文化部宗
        務課長     石井 久夫君
        法務委員会調査
        室長      家弓 吉己君

    —————————————

委員の異動

四月六日
 辞任         補欠選任
  加地  和君     小林 正巳君
同日
 辞任         補欠選任
  小林 正巳君     加地  和君

    —————————————

本日の会議に付した案件

 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件

    ——————◇——————


○ 上村委員長

 これより会議を開きます。

 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西宮弘君。

○ 西宮委員

 先般の予算委員会の冒頭に、わが党の石橋書記長が、いわゆる統一教会とかあるいは原理運動とか、ないしは勝共連合とか、こういう問題について質問をいたしましたので、私はそれに関連して若干の点をお尋ねをしたいと思うのでありますが、その後、その関係者の中から、あの石橋発言は信教の自由を侵すのではないかというような抗議めいたそういう書面をたびたびいただいておりますけれども、無論石橋質問もそういう内容のものではありませんし、私もそういう意図でないことは、これはお断りをするまでもないことでございまして、信教の自由は、基本的な人権として、当然最も大事な人権として守らなければならぬ大原則でありますから、そういう点は十分私ども心得て、そうではなしに、それを十分認識した上でいろんな問題もございますのでお尋ねをしたいのであります。

 そこで、官房副長官が来られまして、しかも時間が大分ずれたので、他に行かれるというお話でありますから、急いでごく簡単なことを官房副長官にまずお尋ねをしたいと思います。

 これは、この間やはり石橋質問の中に出た問題でありますけれども、去る四十九年の五月の七日、帝国ホテルで希望の日晩さん会というのが行われまして、現在の福田総理が、副総理の当時でしょうか、大蔵大臣か、出席をいたしまして、祝辞を述べたわけでありますが、その祝辞は原文があるから後から見てくれ、こういうお話であったので、委員会としてはぜひそれを出してもらいたいということを要請いたしておりますけれども、これはこれとして、したがってそれがないので、ただ私は文芸春秋に載っておりました記事の中、ほんの一部しか載っておりませんけれども、福田総理、当時の福田蔵相の祝辞は、「アジアに偉大な指導者あらわる、その名は文鮮明、私はこのことをうかがいまして久しいのですが、今日は待ちに待ったその文先生と席を同じくし、又ご高邁なるご教示にあずかりまして、本当に今日はいい晩だなあと、気が晴ればれとしました」というところから始まって、最後の結びは、「文先生、ほんとうにりっぱなお話をうけたまわりありがとうございました」、こういうことで結んでおる。この二つしかその雑誌には載っておらないわけであります。

 そこで、副長官にお願いをしたいのは、これは後で差し上げますから、これがその晩の文鮮明氏の演説であります。どこに感心をされたのか総理に伺ってお答えを願いたいのですが、それを引き受けていただけますか。

○ 塩川政府委員

 私はその文鮮明氏の演説の内容は知りません。したがいまして、福田総理がその演説のどこに感銘を受けたのかということもはかり知れないのでありますが、要するに、私が総理から聞いておりますのは、希望の日という会合があって、招待状が参りまして、そこへ同志である国会議員の方も出席されるというようなことでございましたので出席をしたようなことでありました。ですから、初めから祝辞を述べるというつもりで出席したのではないと本人も言っております。行きましたら、どうせその当時大蔵大臣をやっておったのでございますから、福田さん、どうぞ祝辞をということになったのですが、そのときに、私は個人としての立場でそれじゃ祝辞を申し上げるということをお断りして祝辞を言った、こう言うておるのでございますが、そのあいさつと言いましょうか、祝辞となれば、一応文鮮明氏をたたえるというようなことがやはり祝辞としてあいさつの中に出てきておると私は思うております。内容等につきましては、西宮先生のおっしゃるその文鮮明氏の内容については私は存じておりませんので、それくらいのことしかお答えできないのですが……。

○ 西宮委員

 初めから祝辞を述べるつもりで行ったか行かないかというようなことはどうでもよろしいので、その文鮮明氏のお話を聞いて、「文先生、ほんとうにりっぱなお話をうけたまわりありがとうございました」、こう言ってその祝辞を結んでおるので、この文鮮明氏のお話の中でどこに感心したのかということを聞いて返事をしてもらいたい、こういうことです。

○ 塩川政府委員

 これは、その文鮮明氏の演説の内容等も拝見さしていただいて、総理ともよく相談いたしましてお話し申し上げたいと思います。

 ただ、私がそこで思いますのは、その演説は、中は私はつまびらかにしておりませんけれども、文氏が言っております中に、人間愛ということと、それから連帯感を強めていって世の中を明るくするというようなそういう運動が趣旨であったろうと思いまして、そういう点についての感銘を受けたということだろうと私は思うのでございますが、おっしゃるように、一度よく本人に確かめてみたいと思います。

○ 西宮委員

 あなたがどういうふうにお考えになるか、私聞いておらないので、福田さんがどの点を感心したのかということを聞いてお答え願いたい。いまの御答弁は、よく本人とも相談して回答する、こういうことですから、回答すると伺ってよろしいですね。

○ 塩川政府委員

 はい。

○ 西宮委員

 そのことをお願いしておきます。

 文鮮明氏の言われた内容について別に私はあえて批判しようとは思いませんが、ただ、これは私が宗教的な訓練が乏しい、あるいは理解度が低いのかもしれませんけれども、私の見る限りでは、どうも福田蔵相がこんなにまで、本当にりっぱなお話を承りましたと言うほどの、ちょっと私にはわからないのですよ。そこで、むしろその逆にちょっと気になることは、こういうことを言っておるわけです。「共産主義から世界を防衛する、その国はアメリカ以外にはありません。アメリカを立たせるために一番問題のむずかしいことを責任を持って、命を捧げて責任を持つのはだれでしょうか。」それでだれでしょうかというので「あちこちアメリカの人に当たったけれども、だれも一人もいない。」そこで「だから東洋の一角のここに立っている文という男が責任を持つ」、こういうことを言っているわけですね。だから、アメリカを立たせるためにだれか立ち上がる人はないかと思ったけれども、だれも一人もいない、それで私がやるのだ、こういうお話なのであります。そしてさらにそれを続けて、「法的な目から見た場合は、これは旅行ビザで献金活動とか商売とかはできないようになっています。しかしこれは法的にひっかかっても、アメリカのために、アメリカの国民以上に先頭に立ったとするならば神の法はひっかかりません。」つまり、法的にはひっかかっても——具体的に言うと、旅行ビザでアメリカに入った、そして献金活動をやっている、これは日本でやっておるのと同じことです。この団体がやっております献金活動をアメリカで盛んにやっているということはしばしば報道されております。それから商売、これも関連企業がたくさんあって大変な企業活動をやっている。これはいわゆる宗教とは形式的には離れているかもしれませんけれども、とにかく一連の関連企業が大変な企業活動をやっているということ、これもしばしば報道されて、ほとんど日本人の常識だと思います。そういうことを文氏はみずから認めておるわけであります。そして、そういうふうに旅行ビザで入っていって献金活動をやったりあるいは商売をやるというようなことは、本当はアメリカの法に触れるのだけれども、「法的にひっかかっても、アメリカのために、アメリカの国民以上に先頭に立ったとするならば神の法はひっかかりません。」だから、法網はくぐっても一向差し支えない、こういうことを言っているわけですね。

 私は、こういう点について、総理が本当にりっぱなお話を承りましてありがとうございましたと言う、そういう受けとめ方はかなり問題があるのじゃないかというふうに思うわけです。ですから、どの点に非常に感心したのか、それを伺いたいと思います。

 ついでですから、このときの会合には会費を払って行かれたのか、あるいは招待を受けて会費はなしに行かれたのか、これも御返事願いたいと思います。

 実は、官房副長官にいわば総理にかわってお尋ねをしたいと思うことが数あったのであります。つまり福田総理が別な機会にも、勝共大会等に出席をいたしましたり、あるいはまたメッセージを贈ったりしておりますから、そういう問題等についてもお尋ねをしたいと思ったのですが、何か時間をお急ぎのようですからこの程度にとどめておきます。

 お配りをいたしましたのはきわめて平凡な資料でありまして、これは、要するに新聞に載っておりました投書をその当時拾い集めておいたのを若干寄せ集めてここに一緒にしたにすぎません。

 一々読みませんけれども、たとえば一番右の方にありますのは「街頭カンパは結果を教えて」というので、要するに、カンパさせられるけれどもどうなったのか全然結果がわからない、だから「せめて募金した場所にポスターをはるなりして報告してほしいと思った。」と書いてある。

 これは、ほとんど全部に投書者の名前、職業、年齢等が書いてあります。ないものも若干ありますが、書いてありますから、そういう意味では責任のあるものだと思います。

 それからその下、「おどすように署名をせがむ」というのを途中から読みますと、「口々に「共産党反対ですね」と呼びかけ、通行人を追っていた。」「バス停に並ぶ人々に一人一人おどすように署名をせがむ男。いやがって顔をそむける婦人の鼻先に紙とペンを突きつけて……。」そこで突きつけられた人が「「よくわからないから、このパンフレットをよく読みます」と熱心な返事。それなのに「とにかく、名前だけでも頼みますよ」」。「そこへ二人の小学生の男の子が走ってきた。すると呼びとめて、「ぼくたち、ここに名前を書かないか」……。政治もわからない子どもをだましてまで何を得ようというのか。」

 それからその下にあります「思想調査にも似た署名集め」というのは、「二十歳くらいの女性が「アジア反共会議の者ですが、署名してください」」と言って家を訪ねてきた。「断りかけると、その女性は、まゆをつりあげ「共産主義に賛成なんですか」と、声もけわしくなりました。」それで荒々しく格子戸を閉めて出ていったということであります。

 その次にあります「“問答無用”の署名運動」というのは、「二人で町を歩いていたらいきなり目の前にボールペンと紙をつき出された。「世界反共うんぬん」の署名と募金だそうだ。」「そこでそういったら」というのは断るというようなことを言ったわけですね。「そういったら相手の女の人がカッカし出した。「私たちは必死なんですよ」」それは見ただけでもわかる。「話合っていたらもう一人女の人がきて「共産主義者は相手にするな。時間のムダだよ」」と言って、何を生意気なという言葉を残して行ってしまった。これは上に書いてありますように高校の学生ですね。「僕は共産主義者ではない。共産主義者を弁護するつもりもない。しかし僕には彼女らが「恐ろしいのだ」と強調する共産主義よりもご本人の方がずっと恐ろしく思えた。」

 あるいは「カンパになぜ最低額?」という左側のもの。「「キューバ難民を救おう」と書かれたプラカードを持っており、署名してほしいという。仕方なくそれに従ったところ、今度はカンパを求められた。財布を見ると十円玉が数枚と千円札しかない。そこで十円玉を出そうとしたら「最低二百円」」だと言われた。「その後も別の駅で通行人をしつこく追い、署名やカンパを求めているらしい姿を見かけたが、関係者は一体、これをどう思っているのだろう。」

 裏側には、これは投書ではなしに記事で、こんな記事がたくさんあるわけですが、そのうちの一つをここへ挙げておきました。

 それからわきに書き込んだのは、一番下の右から申しますと、「強要には迷惑防止条例で取り締まれ、駅での署名、花売」あるいは「詐欺のような資金カンパ」「カンパだけが目的と思われるグループも」「執ようきわめる金額指定の募金」「趣旨は立派でもあと味の悪い花の押売」。あるいは上へ参りまして、「おどすように署名をせがむ」「百円カンパでなぜ不満」「資金カンパと署名は切り離せ」「非行防止寄金と称して……車の窓からドサリ、危険な交差点で失礼な!」「原理運動に厳しい態度、学園の破壊は許さぬ、四十人に復学を呼びかけ」

 これは私の手元にありました若干の投書でありますけれども、これを見ただけでも、いかに常識を逸した行為、署名なりカンパなりが行われておったかということはたやすくわかると思います。しかも、これはほとんど大部分がみずから正確に署名をして出しておる投書であります。ただ、こういうふうにここに取り上げましたのは、いずれもそういうカンパやあるいは署名を強要されて大変迷惑をしたそういう人が投書をしておるわけでありまして、署名なりカンパなりそういうものに動員をされて働かされているというような人たちの声はもちろん投書等にはあらわれておらない。それは恐らくこういう団体から離脱をする以外にはそういうことが公表されるはずはないわけでありますから、ここには、つまりそういう強要されて困ったという人の、そういう意味でのいわば被害者からの投書なのでありますが、これを見ただけでも、私は、いかに多数の若い人たちがこういうことに動員をされて、そのために非常な非常識な行動までせざるを得ないというところに置かれておるのかということがよくわかるわけであります。しかもこのことは、私は、一時よりは最近下火になったのではないかと思いますけれども、決して全部根絶はされておらないと思います。

 実はきのうも新潟県の知人から電話がかかってまいりまして、新潟の上越地方だそうでありますが、そこでもいろいろ聞いてみるけれども、どういう団体なのか、どういう目的なのか、どういうふうに使うのか、あるいはその募金の内容はどのくらいの金額を募金しょうとしているのか、そういうことについて全然要領を得ない、こういうので、やはり同じような募金運動をやっているのではないか、こういうことで私に電話をよこした知人があるのであります。あるいはなおその知人は、何か最近は神奈川等でもそういうことがあるようだというので、私が神奈川に住んでおります一人の友人に電話をかけたらば、これはたった一人の友人でありますから、彼みずからが経験しただけのことなので、全く個人の経験にすぎませんけれども、去年は横浜の駅頭でそういう人を見かけた、ことしはまだ見ておりませんというような話だったのです。よくわかりませんが、警察からだれか来ておられると思いますけれども、こういう点について、大変な迷惑をこうむっておる人が多いのでありますが、そういう状況がわかったら教えてください。

○ 吉田(六)政府委員

 私どもも報道その他を通じましてその種のことは承知しておるわけでございますが、原理運動に関係した者、またその他含めまして、募金行為とかあるいは署名行為などで公衆に迷惑を及ぼすような行為があったような場合を現認した場合、これにつきましては必要により警告をいたしておりますが、募金条例違反としてはこれまで余り検挙いたしておりません。ほとんど検挙してございませんけれども、迷惑防止条例違反として検挙したものの件数については若干ございまして、これらが直接現在原理運動に関係したものであるかどうかという数字はつかんでございません。

○ 西宮委員

 先刻申し上げたように、最近の事例として新潟の上越地方とか、あるいは、まあ神奈川というのは思いつきかもしれませんけれども、そういう話もあるので、調べてみてもらいたいと思います。

○ 吉田(六)政府委員

 調査いたしてみたいと思います。

○ 西宮委員

 この前石橋書記長が質問をいたしまして、予算委員会での質問でありますが、それに対して統一教会系統の方からは、さっき申し上げたような抗議がなされておりますけれども、私はその反対に、非常に感謝をするという意味で手紙等をよこした人を数件御紹介をしたいと思います。

 これもぜひ聞いておっていただきたい。ことに、この若い青年諸君が、あるいは高等学校、大学、そういう人たちがこの運動に入っていく、その入っていく過程にもずいぶん問題があると思いますけれども、しかし、これはそういうふうにしてそれにとられて——とられたと言うと語弊があるかもしれませんけれども、入っていった過程が、全くいままでの家庭の環境が完全に変わってしまう、そういう実例が非常に多いわけであります。私はそういう点をいろいろ申し上げたいと思うのでありますけれども、いまとりあえず、この間の石橋質問に対して寄せられた数名の手紙を御紹介をしたいと思うのであります。

 一つは、和歌山県日高郡日高町荊木七百七十五番地、楠山豊次という方であります。これは、きょうは総理府の青少年対策本部からも御出席を願っておりましたので、ぜひ聞いておいていただいて、青少年の指導に当たってこういう点も十分留意してもらいたい。いま問題になっておりますこの原理運動というような運動に対して十分な認識を持ってもらいたいというので、出席を要求しておきましたから、ぜひ聞いておっていただきたいと思います。

 はじめまして突然のお便りを差し上げる事になりました。先日(二月七日一の国会予算委員会で統一教会の事を取り上げていただきあそこまで掘り下げて質問せられた事に唯々感謝するのみで御座居ます。私達は、今迄父母の会などで団結してまいりましたがその運動も思うに任せず心配の連続でしたがこの度大先生の大きな力を得ることができまして明るい希望とこれからもいっきに解決の方向へと御盡力を賜りますよう切にお願い致すもので御座居ます。

 私方は一人娘(楠山登代子)(とよこ)で富山大学2年の9月に突然いなくなり富山まで飛んでいったところそれは名古屋の守山(もりやま)での修練会に参加していたのでした。下宿に帰った娘は教会に入るのだとさっそく荷物をまとめ出し、その時はもう何かに憑かれたようになって常人ではなく友人や肉親の説得も全く聞き入れず、今すぐ学校を止めて自分が献身しなければとそれのみが頭にあったようです。あまりの変わりように誰もが呆然としてしまいました。二十有余年育てた親の言うこともうけつけず少ない期間に植えつけられた教会の教義とはどんなものなのか、その巧妙さに唯々呆れてしまいました。……私達親子三人と保証人の四人で一応富山教会に行き話し合いをして帰ろうとすると、娘は座り込んで親に反発し動こうとしませんので主人は一寸暴力を加えました。動こうとしない娘の態度さをよいことに、教会の責任者は本人の意志だから仕方がないとここに入るからにはみなそれなりの曲折があってからのことだと冷たい態度でした。それでも結局、わが家に連れ戻したのですが、私の一寸目をはなしたすきに家出してしまいました。それも知人の家に不思議な電話がかかったりとにかくうそという網を張りめぐらして富山まで逃げてしまいました。主人は不眠不休で追っかけたのですがどうにもなりませんでした。伝導隊として転々としているときも、大阪や、宮崎に会いに行ってもはじめの中は仲と合したりしないとか徒労に終ってしまいました。ある人の盡力で娘を返してくれる事になり喜こんだのも束の間、本人の意志だということで、どうにもならない結果に終りました。肉親が死んでも 参すらせず何事も「本人の意志」という言葉を強調するのです。後で分かったのですが、五十年の四月には、韓国に行き、ところが、その留守中も、さも内地にいるようにはがきが来ていたので少しも分かりませんでした。こういう架空のうそを作ったりするのです。もうこの上は、一人でもこのような被害者を出さないようにと切実に願って居ります。今はあちこち転々としているらしく、住所不定です。私も娘には、世の母親並みに期待や……を願って居りましたが、それが見事に裏切られどう考えてみても残念でなりません。隣村の同級生西岡登喜子さん(和歌山大学)は夜中に二階から飛び下りて、国道まで走り、親に捕ると「助けてー」と叫んだので家々から何事かとみんなが戸を開けて出てきたので親が仕方なくはなすと、折から走ってきた車に手をあげて逃げてしまいました。この人は一年余りで精神に異常を来たしたので家に戻されある病院に入院中とのことです。とにかく奇異な行動の目立つことは確かです。

 統一協会には福田首相がからんでいるので政治的に大変むつかしいとされています。以前、福田さん宛手紙を出した時は、代理の(保田博)方の返事には、統一教会を含め、生長の家や立正佼成会等とその会合に出席はするが特定の宗教団体と特定の布教活動や宗教活動に力をかすようなかかわり合いはない、又、統一教会を調査し、日本からしめ出してはという意見には信教の自由は憲法にも定められている通り、如何ともなし難い、真に値する宗教が行なわれる為には、国民の良識と教養にまつより外ない、又、統一協会の調査には、警察命令でもってこれを取り締ることが出来るとの返事でした。この書面は今も保管してあります。でも私は思います。もし仮に福田さんの肉親の方が被害に合われたらどうされるであろうと。こうしている事も、統一教会の魔手におちてゆく若者のことを思うと経験者だけにじっとして居れない気持ちです。日本の健全なる若者が韓国人なる文鮮明を教祖とする統一協会にこうもふみにじられてよいものでしょうか。一人でも被害者を少なくし、又、最上の宗教と信じ、判断力をなくしたわが子を一日も早くとり戻したいのです。

 どうかどうかこの問題の解決に御盡力下さいますよう伏してお願いするものでございます。

これが一つですね。

 次は、岐阜県山県郡高富町佐賀百十一の一、小森守一という方です。途中から読みますると、去る七月、予算委員会の質問に立たれた先生は統一協会に於ける被害実体を速かに調査するよう首相及び関係者大臣に迫られました。統一教会被害者父母の会の一員としての私達夫妻は先生のあの時のお姿が神様の様に思われ、家内の目にもうれし涙が光っておりました。私の家庭は現在三人の娘が統一教会にとられております。初めはこんな宗教に魅せられる子供達を腹立しく思ったこともありました。又、娘達が宗教に走るのは親子の関係に自分の至らなかった点があったのだと色々と自己反省もいたしました。

 しかし月日がたつに従い新聞やテレビや週刊誌等のマスコミによる報道や統一教会に関する著書が次々と出版されるようになって始めて統一教会がキリストをだしにした邪教であることを悟りました。誠に恥しいことですが、そこまで実体を掌握するのに三年有余かかりました。

 昨年の暮、統一教会の本部へかけ合いに行きましたが、宗教団体の本部という感じとは全く別で、暴力団の本部へ乗り込んだような感じでした。そして今年の正月KCIAという本を借りて読んだ処、その本の一部にKCIAと教会とのつながりがのっており私はもうこれで駄目だと暗澹たる気持ちになりました。

 単なる家庭問題と思っていた一件が宗教の自由を楯にとった悪辣なる邪教であることに気付き、更に又、宗教問題でなく、政治的謀略の手先である宗教という実体を知るに及んで子供達はその犠牲にさせられているのだということを知ったのであります。

 こうなっては、微力な父母だけではどうすることもできない、何とか、台湾や豪州のように政治の力でこの問題を解決してもらえないかと、日夜それのみを願っておりました。

 その時先生の予算委員会での追求です。ほんとうにあの時は胸がじーんと熱くなりました。早速反対父母の会中部代表の山田さんのところへ電話し「よかったね」「よかったね」と言って喜び合いました。

 統一教会に入っている子供達の親でキリストという美名にだまされて教会の実体を知らない方々が沢山あります。又、余りにも狂言的な行動に手をやいて諦めておられる方々も沢山あります。それらの方々が統一教会の恐ろしい実体を本当に知られたならば、どの位びっくりされるかも知れません。

 どうか先生にはこの問題が解決されるまで御盡力下さることを衷心よりお願い申上げます。

 余りのうれしさに心から感謝の意をこめてお便りをした次第です。

 次が、高槻市安満西の町二一−一−二一四、中山雅子。途中から読みます。

 昨日の予算委員会での原理運動について追求していただきましたこと大変に心強く存じました。私共が和歌山におりました頃隣りに統一教会が入り、(普通の民家)以来、朝早くから夜おそく迄、気狂いそのものの騒音に悩まされつづけておりました。隣りの音は筒抜けに聞こえておりましたので様子がよくわかりましたが、とても宗教などと云えるものではありませんでした。

 此の教会について大変に疑問を感じている事がございます。此のお正月にも人の集まる神社などで「恵まれない子供達のために」「交通遺児のために」と書いた箱を持ち、募金している姿を度々見かけましたが、箱に書いてある事は、皆デタラメで、それらのお金は全部韓国の本部へ行く筈ですが何故日本では堂々とデタラメ募金が行なわれているのでしょうか。

 以前に、ある一流新聞社が読者の投書で募金の調査を始めたところ、ある右翼の大物より圧力がかかり調査をあきらめなければならなかった由。民主国であるべき日本で、政財界の大物がバックと云うだけで善意の人達をあざむくデタラメ募金が公然と行なわれていることに大変にフンガイしております。

 此のデタラメ募金について今後の調査、国会でのきびしい追求を是非お願いいたしたいと存じます。

 統一教会追放のためでしたら喜こんで協力いたします。今後の御活躍お祈り申し上げております。

 この人は本人自身が子供をとられたというようなことは言っておりませんですね。ただ隣りに住んでおって、その実態をよく知っているということだけのようでありますが、ただ、これはついこの間来たばかりの手紙でありますが、これによりますると、ことしのお正月にも人の集まるところではこういう募金運動をやっている、こういうことですから、依然としてそれはいまなお続いているということは確かだと思います。

 次は徳島市佐古六番町十二の六美馬準一内幾美賀(キミカ)という方です。

 どうかお目をお通し下さいまして、御たすけ下さいませ。実は私、統一教会に長男をとられて居ります母で子供は四年目となります。長男美馬秀夫は慶応商学部を出て、(株)山善大阪本社へ勤務中、市民大学講座を受講してそれがもとで伝道され、原理の勉強をしたため再び慶応法学部政治学科へ入り、昨年三月卒業しました。

 家庭は東陶セメント等の特約店を経営し、二十名位です。それと夫は徳島市の公平委員をいたして居ります。統一教会の悪質きわまりないやり方はすでに反対父母の会からの陳情の通りでございます。

 申し上げたいのは、この教会に子供達の入っている家庭が何とかして世間に知られたくない。世間に知られないうちに子供を救いたいという願いを持っているために、反ってぬきさしならぬところまで洗脳されてしまって被害を益々大きくしています。

 反対父母の会として、出ているのはほんの一部の人達で氷山の一角でいかに泣き寝入りをしている人の多いかを申し上げたいのです。親達が自分の家の子供をかくす心理は、子供達が教会、信仰の話になると気違いとしか思えない言動をするからなのです。他の日常生活の常識はあり正常なのです。

 従って、他人から見れば異常は全くみとめられません。

 一昨年、集団結婚に参加させられる予定の娘さんが近所にあり、親類知人が上京して、やっと取りおさえて何日間かを過ごした時に、私方子供と同じ状態なのでこの気の違った様な状態は統一教会独自の物だとわかりました。

 統一協会では結婚さえ拒否出来たら教会から脱退除籍してくれましたが、今度は行方不明となり現在に至りました。すべて教会の指示通りです。

 私の息子は昨年三月に統一教会の上部に頼み、やっと私方の会社へもどしてもらいましたが家へは帰らずホームという教会で起居し、私方の会社へは出勤し、仕事は熱心にしますが、結婚は統一教会の指示する人とするといい、むろん、給料、ボーナスは全て差し出しているそうです。

 教会員達は何とかして親の財産を教会に出そうとして居り、私の家の事業も統一教会の事業にするのが息子の希望です。こうした中で私共夫婦は、何とも言えないじれったい気持ちで何とかして救出したい気持ちでまいりましたが、しだいしだいに深みに入ってゆくばかりです。

 昨年十月から十二月まで徳島市でも市長大学講座が開講され、長男が主催しましたので新たな被害者と家庭が出きることを思います時、どうしても根本から根絶しなければ被害者が又加害者となって而も絶対といっていい位脱退が出来ません。

 どんなにかしてとあの手この手に或は、神様佛様にすがり然し、どうにもならず悲嘆にくれている親の思いをどうか御扱みとり下さいましてよろしくお願い申し上げます。

 徳島教会は、この間全国で問題にして下さった翌日、早速看板を外してしまってあります。又、息子は同僚の話を聞けば統一教会の話は一切しないしたずねてもその話は言わないそうです。

 すべては命令によって居ります。

 洗脳というか魂を抜かれてしまって居ります。

 この悪質きわまる、宗教の自由をかかげて、その実はこれ位がんじがらめにするものがどこにあろうかと思います。

 個人的にはもっともっと今までのいきさつ長々と申し上げたいのですが、省略させていだだきました。どうか原理運動撲滅をよろしくお願い申し上げます。

 それから、これは途中を申しますと、「この事えの関心が低いことを誠に残念に存じます。意外に深く広く根を張って来ております現状を知ります時、日本の将来の為にも憂慮せざるを得ません。茶本繁正氏が現代(四・五・六月)月刊エコノミスト(五月)え村岡京太郎氏が又六月より経済界といふ雑誌えも取上げてくれておりますので注目はされてくると存じますがもっと広く社会問題としてキャンペーンしてくれる様になってほしいと思ひます。」「餌食とされる若者や、その家庭の不幸を見ます時、憤満やり方なさを感じます。」「少くとも五、六万の若者が人格破壊されて廃人同様に人為的にされております事は更に増加の心配が大でありますのに……又宗教をかくれみのとしたサギ集団が野放しにされますなら社会への悪影響は大きいと存じます。ナチズムを真似ている面も多くこの様な狂信集団が世界にハビコリますことは国際的にも取上げられなくてはならぬと存じます。」以下省略です。これはさっき名前を言うのを忘れました。広島県双三郡吉舎町米田千里という方です。

 以上御紹介いたしましたのはほんの数例にすぎませんけれども、たとえば石橋質問についても、恐らく初めからそれを承知をしておった人は全くないのでありましょうから、偶然聞いておったらたまたま原理問題、統一教会の問題が出たというので、その関係者はびっくりして熱心に聞いたのだと思います。ですから、これは全体の被害者の中のきわめて少数であり、さらにまた、聞いて大変に感心をしたという人の中でも、これだけ文章をつづって外に発表できるという人は、これまたりょうりょうたる数ではないかと思います。

 そういうことになりますると、この被害がどんなに広く深いものであるかということに私ども驚かされるわけでありますが、きょうは政府の関係者も、さっき申し上げたようにいろいろな立場の方に来てもらっておりますから、どうか十分このことを認識していただきたいと思います。

 私は、実はきょうの予定は、福田総理のこの問題に対する姿勢と態度というようなことについて、官房副長官を代理にしていろいろお尋ねをしたい、そういう重大な問題が数多くあるわけであります。したがって、そういう点をお尋ねするつもりで用意をしておったのでありますが、ただ開会の時間がおくれまして、副長官が日程の都合でいなくなりましたので、それを取り上げることができないのが大変残念でございまして、これはぜひとも他日機会を改めて官房長官等に出てもらって、この問題は十分論議をしたいと思っております。

 元来、いま父母の会の人たちがよこした手紙を朗読してもわかりますように、青年がねらわれるというか対象になるわけですね。高等学校あるいは大学がねらわれる。ことに、高等学校の場合でも大学の場合でも入学試験が非常に激しい。その試験を経て入学する。入学をしてみると、たとえば高等学校の場合ならば入学したらまたその次に試験が待ち構えているというので非常に暗い気持になる、あるいは大学ならば、大学に非常にあこがれを持って苦しい難関を突破してみると、そこには非常な虚脱感を味わわされざるを得ないという、そういういわば心理的な空白、そういうのにぶつかるんだと思います。したがって、これに対して非常な動揺をしておる、そういうさなかにこういう問題が、原理運動というようなことを持ちかけられるというようなことで、何も知らずにそこに入っていくというのが実態だと思います。

 私は、きょうは警察あるいはさっき申し上げた青少年対策本部、法務大臣はもちろんでありますが、そういう皆さんに御出席を願っておりますので、もしそういう点について何かお答えをいただけることがあったら、それぞれお答えをいただきたいと思います。どういう順序でも結構です。あるいは私は質問というよりも問題を提起したわけですから、それに対する回答みたいな意味での資料がなければ、これからどうするというようなことでも結構です。

○ 吉田(六)政府委員

 直接のお答えになるかどうかわかりませんが、原理運動に関連して家出して行方がわからないとか、あるいは所在はわかるけれどもなかなか帰ってこないとか、そういう事案につきまして、警察で家出人捜索願とかあるいは困り事相談として持ち込まれているものがございます。警察庁で各都道府県警察を通じまして調査したところについて申し上げますと、五十年中に百九件取り扱っております。また五十一年は五十八件、ことしに入りまして十一件相談を受けております。これらの事案につきまして、警察といたしましては、一般の家出人の場合と同様に保護者などからできるだけ詳しくその間の事情をお聞きし、そして立ち回り見込み先などを管轄する警察に手配を行っているわけでございまして、その所在の発見に努力しているわけでございます。また、所在はわかるけれども帰宅しないという事案につきましては、保護者等に対しまして親子の話し合いが進められるように助言を行うほか、家出人に対しましては保護者等の意向を伝えるようにいたしております。その結果、家出人が帰宅するなどの事例もぽつぽつ出ておりますけれども、大半は家庭に戻らないというのが実情でございます。

○ 西宮委員

 いま御答弁のように、警察官が非常に懇切丁寧に指導している、そういう苦情を聞いて苦情に対応しているというのであれば大変結構なんだけれども、決して実情はそういうものではない、私どもはそういう非常な不安を持っております。時間がありませんから申し上げませんけれども、そういう点について私どもも非常に不安を感じておる。あるいはその警察官なども、たとえば勝共運動とか原理運動とかそういうものに対する十分な理解がなくて、そのために簡単に済ましているというようなのもあろうと思うのですよ。だから、そういう人にはぜひこういう父母たちの切々たる訴えを聞かせてもらって、十分そういう人たちにPRをしてもらいたいということをお願いしたいと思います。総理府の方どうですか。

○ 小野説明員

 先生が御紹介されましたお手紙十分に承りました。青少年の育成を願う立場といたしまして十分に配慮して、今後の施策を進めてまいりたいというふうに考えております。

○ 村岡政府委員

 法務省の人権擁護局といたしましても、この問題は、一方、信教の自由にかかわる問題でございますので、その点に慎重な配慮を要することはもとよりでございますけれども、いやしくも宗教活動の名において人権を侵犯するというようなことがあってはならないわけでございます。人権擁護を担当する私どもといたしましては、そういうことのないように全力を尽くしたいと考えております。

○ 西宮委員

 私が読んだ書物を一つだけ紹介いたしますが、明治政府ができて間もないころだったと思いますが、キリスト教には親孝行という教義、ドクトリンがあるのだろうかということが話題になったそうであります。そうしたらば、そこに集まっておった政府高官の一人が、キリスト教にそういう教義があるかどうかは私はわからない、しかし少なくとも私の知っている限りのキリスト教の信者は実に模範的な親孝行だった、こういう会話が行われたというのが私の読んだ書物にあったといま記憶しておるのでありますが、私は、いやしくも宗教ならばそうあるのが当然だと思うのですよ。親に対して本当に親切に親に仕えるというのが何宗教であろうとも最低限度のモラルではないかと思うのですね。ところが、この統一教会、原理運動に関する限り全く文字どおり親泣かせの宗教なんですね。私は、そういう点で、これは何としてでもこのまま放任できないということを痛切に感ぜざるを得ないわけであります。したがって、きょうはそういう問題の提起に終わりましたし、かつまた私が予定しておりました質問を続けるわけにいきませんでしたので、改めてまた機会をいただきたいと思います。

 これで終わります。

○ 上村委員長

 次に、沖本泰幸君。

○ 沖本委員

 私は、犯罪による被害者の補償制度並びに法律等に関して一連の関連の御質問をしたいわけでございますが、まあ通り魔的犯罪、無差別の爆弾テロ、いわゆるいわれなき犯罪、最近次第に増加する傾向であると思いますが、毒入りコーラ事件、チョコレート事件、思想的背景があるのか、単に社会に背を向けた犯罪なのか、法務大臣の所信表明の中にも、最近は自分さえよければ他を顧みない、こういう社会的な傾向があるということで、こういう方向に向かっていろいろなことをしていきたいとお述べになっていらっしゃるわけですけれども、最近新宿の放火魔も報道によりますと腹いせに放火していったというようなことも出ております。当局としても捜査あるいは犯人検挙に多大の御苦労があると思うところでありますけれども、何といってもこういう通り魔的犯罪は、特に爆弾テロや毒入りコーラ等は、不特定の市民が不幸な被害者となり、国民を極端な不安に陥れてしまうという事態を起こすことでもありますし、犯人検挙と犯罪の防止が一番だと考えられるところでありますけれども、当局として、現在までの捜査の上からこの種犯罪の傾向、特徴、被害の内容、あるいは今後に向かっての対策なり、こういう関連したものについて警察庁で現在までの捜査なり対策なり御検討なり、そういうお立場から、私たちの今後の参考になり、あるいは国民のこういうものに対する関心なり、あるいは国民自体、市民自体あるいは社会自体が、こういうものに対する真剣な取り組み、あるいは捜査当局に対する協力なり、そういうものをより一層十分にしていくという意味合いからも、御発表あるいは御報告いただいたら非常にありがたいんだ、こう考えるわけですが。

○ 佐々説明員

 御質問の、最近における通り魔的な犯行あるいは毒入りチョコレート事件等の犯罪傾向につきまして、具体的な数字を挙げて御説明申し上げます。

 最近の殺人事件でございますけれども、未遂を含めまして過去五年間では毎年約二千件発生しておりまして、これによる死者は約一千百名でございますが、このうち被疑者と被害者が過去に面識が全然ない、こういう事件の割合は年間ほぼ一二%程度でございます。また、被害者側に犯行のきっかけとなるような言動とかそういう原因があったとは認められない、その意味では全く無関係な方が被害をこうむったという事件の件数を見てみますと、四十九年に発生いたしました殺人事件等の調査をいたしますと、九百四十八人被害者があったわけでございますが、このうち二百九十八人、三一・四%は全く関係のない方であったということでございます。

 また、通り魔事件の御質問がございましたが、昭和五十一年五月二十一日から同九月十八日までの間、警視庁の福生警察署、昭島警察署、立川警察署の三署の管内で四件連続して自動車利用の傷害事件が発生しておりまして、このうち一名は亡くなっておられます。いずれも二十歳前後の女性が被害者でございまして、夜間帰宅の途中、二十三、四歳の男が白っぽい車で被害者を追尾もしくはすれ違う形で刃物で腰や背中を刺して傷害を与える、この結果、そのうちの一人の方は入院後死亡しておられます。警視庁では、この種の通り魔事件につきましては三署合同の捜査本部を設置して捜査中でございますが、残念ながらまだ検挙に至っておりません。

 また、御設問の青酸コーラ事件、青酸チョコレート事件でございますが、御承知のように、青酸コーラ事件は五十二年一月三日午後十一時二十三分ごろ、新幹線ひかり号のビュッフェに勤務しておりますアルバイト学生が、勤務を終えて国電品川駅から寮に帰る途中、電話ボックスの中にありましたコカコーラを拾得してこれを飲みましたところ、意識を失って翌四日死亡したという事件でございまして、検死の結果、飲み残しのコーラから青酸反応がございました。

 また、一月四日には、この第一現場から約七百メートル離れたところで、もう一人死体になった労務者の人が発見されました。解剖の結果、胃の内容物から青酸反応があり、またその死体発見場所から約百五十メートルくらいのところに青酸入りのコカコーラがそれぞれ放置されておる、こういうような悪質な事件が発生をし、全く関係のない方が犠牲になっておられるという事実がございます。

 また、爆弾事件でございますが、昭和五十一年には北海道庁爆破事件、香川県高瀬町の国道上における自動車爆破事件等十件発生いたしまして、死者三名、負傷者九十五名が出ております七本年に入りましてからも、大阪東急観光の爆破事件、旭川警察署死体安置所爆破事件等、三月末までに六件発生しておりまして、幸いまだ死者は出ておりませんけれども、六名が負傷しておられる、こういう傾向にございます。

 この種犯罪の捜査のあり方についてどういう心構えで臨んでおるか、また、国民の捜査に対する協力状況はどうかというお尋ねでございますが、この種の事件は捜査が大変困難でございます。なぜなれば、通常の犯罪の場合には痴情とか怨恨とか物取りとか、こういう動機があるわけでございますけれども、この種の最近はやっております犯罪は、不特定多数の人を対象として、しかも、全く関係のない方が被害にかかることが十分予想されるにかかわらず、動機が必ずしも明らかでない形で行われる。それがしかも、たとえばコカコーラであるとか青酸入りチョコレートを例にとりましても、コカコーラのごときは約三百万本同じものが出回っておる。こういう大変大量に出回っておる物品を犯行に使用しております関係上、この物の捜査から犯人に到達するということが大変困難である。また、大都会の都市化現象と申しますか、隣近所の連帯性が非常に薄くなってきておる、そういう大都市等におきまして市民の無関心さに便乗してこの種の犯行が行われる。しかも、明らかにその目的は、社会に大きな動揺を与え、不安を与えることに快感を覚えるという、全く異常な性格の持ち主の犯行と思われるものでございまして、捜査上非常に困難性がございます。しかしながら、この種の事件につきまして、現在まで目撃者の方々に大変積極的に協力をしていただきまして、いろいろ御協力を受けておりますが、今後もこういう事件の特殊性、またこの事件の発生する結果の重大性にかんがみまして、国民の御協力を切に希望するものでございます。

○ 沖本委員

 ただいまの御発表の中に、都市化現象の中で市民の無関心に便乗してという点と、それからこの種犯罪を犯して、市民が動揺すれば非常に快感を覚えるという特異な事情、それから今度は、市民の非常に積極的な協力も多々あるというお答えなんですけれども、最近は「一〇二」的な、いろいろモンタージュをお出しになったり、あるいは市民に犯人の顔写真を御発表になったり、いろいろなことで協力を呼びかけられていく。そういう点から、犯人検挙にいろいろな成果があるんだと私は考えるわけですけれども、こういう無関心な社会に対して、関心を呼んでいく、あるいはその異常さを認めれば通報するとか、何らかの形で、より市民の関心を呼ぶようなPRの仕方であるとか、より協力しやすいような内容のものであるとか、こういうふうな内容の国民に対する呼びかけなり、予算が伴うことではあるわけですけれども、そういう点について、当局として新しくお考えになっているような方法はあるんでしょうか。

○ 佐々説明員

 この種の犯罪は、なかなか予防が困難でございますけれども、事件が発生をいたしました場合には、速やかに記者発表等を必要に応じて行い、マスコミを通じて十分事件の重大性を認識していただくよう国民に呼びかけ、また目撃者等の捜査資料がございました場合には、必要に応じてはこれを公開捜査に踏み切って再発防止に役立てていく、こういう積極的な姿勢をもって取り組んでおるところでございます。全国的にも、たとえば毒入りチョコレート事件、毒入りコーラ事件の後は、こういう放置されておるものを食べないように、飲まないようにというような呼びかけを、種々の防犯協会その他の諸団体あるいは学校等を通じて呼びかける等、種々努力をいたしておるところでございます。

 また、比較的大都会におきましては、そういう隣保意識と申しますか、隣組意識というのは薄くなってはおりますけれども、時と場合によっては、大変その意識が高まるときもございます。具体的に申し上げますと、新宿の連続放火事件の場合、あるいは大阪阿倍野におきます連続放火事件、これは結局現行犯逮捕する以外にないということで、連日多数の警察官並びに地元の住民の有志の方々の積極的御協力を得まして、長期にわたる現場張り込みの結果、たとえば阿倍野の連続放火事件も現行犯で検挙いたしました。また東京新宿の場合も、これも地元の大変積極的な御協力を得て検挙をいたしております。

 なお、先ほど御質問の中にもございましたが、この連続放火犯、大阪阿倍野と東京新宿の連続放火犯の一つの共通の特徴点といたしましては、二人とも蓄膿症でございまして、劣等感を特っておる。たとえば非常にかけごとにこりまして借財を負っておった。そしていらいらしておったところ、火をつけたら非常にすうっとした。そのうちに、消防車のサイレンの音を聞くと非常に愉快になる。こういうような異常性を持っておりまして、いずれもこういう劣等感から特異な性格になってやっておる、こういう人々でございまして、なかなか通常の日常の行動では異常性が出ない、発見しにくい。従来の警察の虞犯性を持った対象者以外の無名の市民の中からこういう犯人が出てくるという点、大変むずかしい点がございますが、私どもといたしましては、こういう事件発生のたびに御協力を呼びかけて、官民一体となって、たとえばこの放火犯の場合なんかは検挙をいたしております。

○ 沖本委員

 大変御苦労をかけておるわけですけれども、私たちテレビをよく見る方に属するんですが、この間も白骨死体の頭蓋骨からその人の人相が復元できるというような科学捜査の面も御披露になっておられましたし、そういうふうな関心を呼ぶような内容のものを、捜査の秘密に属さない限り極力発表を、テレビ等通して何らかの形で国民の目に触れるようにして、こういうこともあるんだ、ああいうこともあるんだという点も、今後そういう方向のPRの仕方なり何なりもお考えいただきたい。

 さらに昨日ですか、江刺の方で、会社の仕事が忙しくてノイローゼになったお父さんが子供さんをふろの中に投げ込んで殺した、そのそばで茫然としておったというような事件が報道されておりましたけれども、これはいまのサイレンの音を聞いたら快感を覚えるという逆な方向で、最近はいわゆる学歴社会なり学歴偏重というものが大きな社会的な問題に取り上げられて、心身を鍛練して苦痛に耐えていくというふうな傾向が非常に薄いわけですね、スポーツを通しても何を通しても。そういうことになると、比較的自分が困難な面に当たっていくと、すぐノイローゼになったり人間疎外に陥ったりする傾向が非常に強いわけですから、そういうものもよくお考えいただいて、何らかの形でその種の問題を十分内容を検討していただいて、最近の犯罪の傾向は、たとえば先ほどおっしゃったとおり蓄膿症の人が多いんだとか、あるいは自分で問題をため込むとすぐだめになる傾向があるんだとか、そういうふうな精神的な動揺から起こってくる、わずかなことで犯罪を犯していくというふうな傾向の内容的なものを逐次発表していただいて、そして社会の関心を呼ぶような点があれば、多少なりとも周囲の人は関心を持って、自分の周囲に異常な人が起こってくればやはり注意をして見ていくようなことになるわけですから、その点も十分御検討いただきたいと考えるわけでございます。

 それで先ほどの件数、数字でいろいろ御発表いただいた分を、できましたら後ほどちょうだいできたら非常にありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、法務当局について同じようにお伺いしたいわけですけれども、大臣の所信表明の中にも出ておりますし、ことしは被害者の補償について予算もついたわけでもございますし、最近は日弁連も刑事被害補償法を発表になっていらっしゃるわけですし、私たちの公明党案も、この間趣旨説明を終えさせていただいて、当委員会に提出させていただいたわけですけれども、この問題は三菱重工の爆弾事件以来非常に社会的な関心を呼んで、昨年は学識経験者、学者あるいは被害者の団体の会の会長さんを当委員会にお呼びして御意見をいろいろお伺いしたこともあるわけですし、非常に関心度が高いわけですし、先ほども警察庁からの御発表もあったとおりに、この種の犯罪は減るどころかだんだん複雑さを加えながら広がっていく傾向にあるわけです。そういうことで、先ほど警察庁の方もおっしゃっておられましたけれども、都市化の現象で性格的に社会に応じていけないような人たちもだんだん出てきているというようなことも考えられるわけですし、その点については法務大臣も所信表明でも触れられていらっしゃるということにも当たるわけですし、この犯罪によって被害を受けた人たちの補償の制度ができることが望まれるという関心が高まっておるわけです。ちなみに被害者の会の会長さんの市瀬さんは、昨年当委員会で御意見をお述べになりました。そのお述べになるまでに、運動にかかって約十年たっておった。ところが制度の日の目を見るまでもなく、ことしに入って亡くなられたという非常に気の毒な事態もあるわけですし、これは私たちの関心を呼んだお人であるという点であるわけですけれども、まだまだこの問題に興味を持っていろいろ携わっていらっしゃる方々の調査によっても、悲惨な生活に追い込まれているという点が多く出ておるわけでございます。法務省当局としても、法案づくりに、制度をつくるためにいろいろと努力をしていらっしゃるわけではございますけれども、どうしてもこの問題をちゃんとする上からは、正確な実態調査というものが必要になってくると思うわけです。実態については人権擁護委員会が一応お調べになった点もあるわけですけれども、また民間の方で調べたのも発表になっておるわけですけれども、この一番衝に当たる当局としてお調べになった調査の結果というものをまだ私たちお聞きしておりませんので、そういうものがありましたら御発表いただきたい、こう考えるわけです。

○ 伊藤(榮)政府委員

 ただいまお話のございましたように、被害者補償制度というのが、国会にはもちろん、広く民間においても必要性が叫ばれるようになって久しいわけでございます。私どもとしましても、制度の必要性を認めて、各国の立法の調査とか実態調査をやっていっておるわけでございます。その過程におきまして、さきに私どもの方で、各地の検察庁に協力をしてもらいまして一応の実態調査をいたしました。現在のところ、一応の結果の取りまとめを終わったところでございます。しかしながら、なお分折を要する点もございましたりいたしまして、その内容につきまして自信を持って詳細申し上げる時期に至っておりませんので、これにかえまして一つのデータを申し上げてみたいと思います。

 それは、昨年の春、政府刊行物として公刊いたしました法務総合研究所研究部紀要というのがございますが、これの十九号に、昭和五十年度中に法務総合研究所研究部が行いました実態調査の結果が掲載されております。調査の対象は、人の生命、身体を害した故意犯による被害者の実態の調査でございます。

 ある程度詳しいものでございますので、詳細は現物によって御承知いただきたいと思いますが、要点をかいつまんで申し上げますと、人の生命、身体を害した故意犯による被害のうち、被害者に全く落ち度がないと認められたもの、これが傷害の事犯において約六四%、それから死亡事犯において約四〇%という結果が出ております。また被害者のうち、傷害あるいは死亡当時扶養家族を持っておられた方が傷害事犯において約四二%、死亡事犯において約四四%となっております。さらに、加害者から被害者の方が何らかの意味で、名目のいかんを問わず損害賠償金を受領されましたものは、傷害事犯につきましては約三四%、死亡事犯において約二一%というような結果が出ております。また、先ほど警察当局からもお話がありましたように、加害者と被害者との間に面識のない場合、これにつきましても相当のパーセンテージに上るということが出ております。たとえば傷害においては、加害者、被害者相互間に面識のないのが五八・六%、それから死亡事犯におきましては二〇・六%、これは大分少ないようでございますが、そういうような数字が出ております。現在集計し、かつ最終的な分折を行っております私ども当局で行いました実態調査の結果もほぼ同じような傾向を示しておりますので、ただいま申し上げましたところによりまして御理解をいただきたいと思うわけでございます。

○ 沖本委員

 故意犯以外は除外するというような内容のことにつきましては、さきに当局が御発表になった要綱の中でもそういうことになり、救済する金額についても私たちとは大分異なる点がいろいろ出ているわけで、これはまた法務省案が出てからいろいろ議論の対象になっていくと思うわけですけれども、結局故意犯だけをとらえるという点についても、現在の被害者の実情というものをいろいろくんでいくと、こういう形だけでとらえて問題を処理していくという段階をもう越えてしまっておるというふうに考えられるわけです。ですから、そこが法務省の方でおつくりになる法律案の中にはよしんば含まれないとしても、対象として御調査になっていく上からは、故意犯以外のものもすべて御調査になって、そしてその中から故意犯がこれだけあって、それ以外のはこれこれこういうことになっておるから——故意犯だけを対象として考えるとかなんとかいうことになって初めから分類してしまって、これだけは除いてこの分だけやるんだ、それは財政的な制約なり何なりいろいろなものもあるというようなことであっては、大体この法律をつくる趣旨から外れていくということになりかねないと私は考えるわけですけれども、刑事局長のお話ですと、法務総合研究所の研究部の調査以外に御調査になったのをお持ちなんでございますね。ただ、それは発表する段階でない、まだ内容を検討する必要があるのだ、こういうことと理解してよろしいのですか。

○ 伊藤(榮)政府委員

 ただいまお尋ねの点についてちょっと申し上げてみたいと思いますが、まず瑣末な言葉じりをとらえるようにおとりいただくと恐縮なんでございますが、私どもといたしましては法案要綱をまだ公表したということはないのでございまして、一部新聞に立案作業の過程の一試案というようなものがすっぱ抜かれたことはございますが、公表したことはございませんので、その点は御了解をいただきたいと思います。

 それから、過失犯の点でございますが、このような被害者を補償する制度をつくります場合に、過失犯をどうするかということが確かに一つの問題でございます。その場合、数の上からは圧倒的な多さを占めておりますのが、自動車事故を中心とする業務上過失致死傷でございます。これを取り込むとなるとどういうことになるか。また一方、いわゆる自賠責の強制保険との関係等が出てくる。それから他方、それらを除く過失犯による人の生命、身体を害したものといいますと、故意犯のおおむね毎年一割程度であろうと思います。したがいまして、調査の手数その他を考えますと、故意犯についてとにかく調査を行うということでおおむね大勢はわかるのじゃないかという感じもいたしております。

 それからなお、最後にお尋ねの私ども刑事局におきまして行いました実態調査は、先ほど申し上げましたように一応の集計をしておりますが、なお若干の時間をかけまして分折して、責任の持てるものにして立案作業に活用したいと考えておる次第でございます。

    〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕

○ 沖本委員

 それは法案が成立なさるなり何なり一応のめどがついた段階で御発表になるような御予定なんでしょうか。それはそれなりに独立してまとまったからみんなにわからしてあげよう、こういう形で御発表になるのでしょうか。その点はいかがですか。

○ 伊藤(榮)政府委員

 一応私どもとしては、たてまえが私ども当局内部の立法作業の資料ということでいたしておりますので、それをそのままの形で天下に公表するということまでは考えておりません。しかしながら、具体的な法案作成の過程におきましていろいろ各界あるいは審議会その他に御説明申し上げたりする必要が生じます。そういう場合には、当然逐次明らかにしていきたいと思っております。

○ 沖本委員

 われわれ民間の資料しかないわけで、あとわかりましたら、先ほど警察庁が御発表いただいたのが一番新しい内容であるということになりますので、できたら先ほどのお話でなしに、私たちにも検討したり研究したりする資料として当局のそういう内容のものを御発表いただきたいと考えます。

 それから、大蔵省お見えになっていらっしゃいますか。きょうは参議院の予算の方で政府委員の方はお越しにならない、こういう御連絡を受けているのですが、とにかく早晩この法律をつくらなければならぬという社会情勢、制度もつくらなければならない、こういうところに追い込まれているわけです。それは日弁連なりこういうことに携わる連中の考え方ということでなしに、社会保障をしてあげなければならない、救ってあげなければならない、こういうことから、問題の機はだんだん熟していると言っていいわけですね。それでほうっておけないというところから公明党も法案を出したわけです。日弁連からも出ていますけれども、少なくとも制度的な面から言っていきましても、各地方自治体のあるところには地方委員会なり何なり相当な規模の人員配置、あるいは窓口なり審査機関なり、そういうもののところで審査して検討しながら、被害にかかった人たちの申請に基づいて補償していくということになっていくわけで、とにかく私たち公明党の措置法案も出したわけですが、政府からそういう問題が出てくれば、当然予算が要るということになるわけです。大体イギリスで実施されている、諸外国で実施されている等の内容を当てはめていろいろ検討してみると、少なくとも平均して年間に五十億ないし六十億のお金がかかるのじゃないだろうかという見当なわけなんですね。われわれも出してきておるわけですから、そういう点について大蔵省はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、その点にお答えをいただきたい。

○ 岡崎説明員

 この問題につきまして、どういう結論が得られまして、国会としてどういうふうにお取り上げになり、どういう形で処理をされるかということは、いまだ確たることでございませんけれども、一般論として申し上げさせていただきたいと思いますが、いま公明党の皆さんの方から提出されております法案が仮に今国会で成立いたします、こう仮定いたしますと、それは法律といたしまして所要の執行のために財政的に国として必要なものを手当てしなければならぬという問題が起きてまいるわけでございますが、これは私どもといたしましては、その法の執行に適切な費用を本年度中に、たとえば予備費という形でありますとか、あるいは事柄の性格によりましては本年度中に開かれる次の国会以降に予算案としてまた御審議をいただくとかいう形で、法の執行の手当てをしていかなければならない、こういうふうに考えております。

 ただ、それがどういう時期にどういふうな具体的な内容のお金として必要になってまいりますかということにつきましては、法律ができまして、法務省が所管官庁となられますれば、そこで具体的な積算等をなされ、時期、内容等お話にあずかりまして具体的な検討に入る、こういうことだろうと思います。

○ 沖本委員

 そうしますと、いま刑事局長のお答えにもありますけれども、早晩は法務省案もできなければならないと思うのですね。検討して、法案の原案ができれば、法制審議会にかけてそこで審議してもらうという過程をたどるということになるわけですけれども、それじゃ公明党案が出ておりますけれども、政府、法務省から法律が提案されて通った場合はどういうふうな扱いになるわけですか。

○ 岡崎説明員

 政府部内の運びといたしましては、この問題、私どもの認識といたしまして、いわれなき原因に基づいて個人が犯罪被害を受けた場合に国がどのようにそれに対応すべきかということが基本だろうと思いますが、これはいろいろ複雑多様な側面を持っておるものであろうと考えておりますし、またある形を整えた場合には、それが外面的にいろいろ広がり影響を持つというようなことも考えておりまして、これはなかなか大変な問題だなというふうに思っております。それにつきまして私どもといたしましては、法務省の方で鋭意いままで勉強しておられる、また関係者からもいろいろな御提案あるいは先生方の方からもいろいろなお話があるということでございますので、そういう知識を十分吸収、消化いたしまして、またこれは財政措置にも直接結びつくという可能性もございますので、財政当局として、財政面からそれがどのように受けとめられるべきものであるかということも検討しなければなりません。いずれにいたしましても、政府部内の法務省を初め警察庁とも関係の部局がございましょう。そういうところの検討等を十分勉強させていただき、議論を尽くして、政府として統一的な意思が決まりますれば、その段階で判断をしなければならないことだと考えておりまして、いまの時点でそれがストレートに予算措置に結びつき、非常に短い期間に財政的に皆様方の方にお諮りしなければいけないという状態になるというふうには考えておりません。

○ 沖本委員

 早く日の目を見てもらわないと困るわけなんですね。一方では、人権を中心とした、犯罪を犯してそして判決を受けて、いわゆる罪に服していらっしゃる方々がおるわけですけれども、その人たちの取り扱いも、できるだけ社会復帰が十分できるような人権上の配慮がいろいろ加えられてきているわけです。一方では、故意によるか過失によるか、それは別にいたしまして、いわれなき犯罪によって、みずからの意思ではないのに社会的に苦しい事態に追い込まれているという方がたくさん出てきているわけですね。先ほど刑事局長のお話にもありましたとおり、交通事故によれば自賠責によっていろいろありますし、天災によるものについてもあるいはいろいろないわゆる不慮の災害によって被害を受けた方々に対する配慮も、それはそれなりに行われておるのですけれども、この種の分だけが全然抜けてしまっているということになるわけですから、それは大変な落ち度になっていくわけで、それで国が責任を持たなければならないという一つの概念があるわけで、それに基づいていろいろ議論されて、こういうところまで来ているわけです。そういうことですから、野党からもいろいろこうしてほしいという法律案を出しますけれども、一番望ましいことは、野党も与党も一致して政府案ができてきて、それが早く日の目を見ることが一番大事なんですね。だけれども、お答えの中身から推測すると、そんなもの当分できそうもない、まだ考えてないというふうなお答えなんですね。

 私たち一番心配するのは、いままで裁判所とか法務省とかというものは、現存しているものの枠の中でいろいろと予算関係をおやりになっていらっしゃるわけです。ところが、これができると思いもしないものがどかっと、人員、人事の問題から設備の問題、施設の問題、いろいろの問題で一つ部局がふえたような形でこれが出てくる、それに伴う予算も出てくるということになるわけですから、その辺をわれわれは心配するわけです。それで政府案でなかなか日の目を見ないのなら、私たちは与党の皆さん方にも呼びかけ、野党の皆さん方にも呼びかけて、お互いに委員会の中で原案をまとめて、そして与野党が一致した案で政府に突きつけるという方法も考えられるわけです。いろいろ意見も分かれますでしょうけれども、意見がまとまればそういうこともとれないことはないということになるわけですから、政府案になったら、これは当分日の目は見ませんよというふうなお答えの仕方は、ちょっと私はいただけないと思うのですが、その辺はどうなんですか。

○ 岡崎説明員

 ただいま先生に、政府サイドとして取り上げたらなかなか日の目を見ないというふうな御印象を持たれてあったとすれば、私の答弁の仕方は大変まずかったと思いますけれども、私の申し上げたいことは、事柄が非常に複雑で、それを政府としてどういう角度から、たとえばいまは補償、補い償うという形で言われておりますけれども、国としてなるべくそういうことがなくなればいいというふうには考えておりますけれども、それがストレートに補い償うという形の性格のものとして本件をとらえるべきものであるかどうかということ。たとえば、それに引きかえまして、同じようなお話でも自賠責のように保険という形でのとらまえ方もあるわけでございます。それからいわれなき原因に基づきまして個人が被害を受けた場合に、たとえば災害等につきましては、これは見舞い金あるいは救済という形のとらまえ方をして考えておるというようなこともございますので、その辺の基本的な足場等も、今後も法務省ともよく勉強させていただかないと、財政的にどういう形のどういう性格のものとして国民の税金を使っていくのが適当かどうかという判断も、まずそこのところが固まらないとできないというようなこともありますので、いろいろ勉強させていただきたい、こう申し上げたわけでございまして、決して私どもが渋っておくらせておるとかそういうことではございませんで、まずそういう基本的なところから踏み固めていかないと、こういう大きな問題はまずいのじゃないかというのが私の率直な気持ちでございます。

○ 沖本委員

 いまのお答えを聞いていると、法務省と一緒に勉強して、そしてどういう方法が一番いいかということをこれから勉強さしていただいてということなんですね。専門としての政府内の当局は法務省になる、法務大臣になってくるということになるわけですから、法務省の方で一つの素案がまとまったらでき上がる、発表の段階まで来る。そういうことになると、それから大蔵省が検討なさって、大蔵省の方の御納得がいかなかったらこれは日の目を見ないというふうに私聞いていて受け取れるのです。そうなると、私たち一生懸命ここで議論しておっても何か空議論をやっているみたいに見えるのですがね。

○ 岡崎説明員

 法務省とは随時いろいろ協議あるいはすでに勉強もさしていただいておりますので、法務省がいろいろ議論を詰められ、あるいは一つの成案として形をまとめられていく、あるいは皆さま方からいろいろ意見を聞き、どういう形でやっていくかということを考えていかれる過程で、私どももお話し合いをしておるわけでございまして、法務省案ができて次に私どもというようなステップではございません。

○ 沖本委員

 当委員会でよく議論になるのは、この間も裁判所職員の定員法で議論が出たわけなんですが、裁判官が足りないんじゃないだろうか、そのために国民の公平、迅速な裁判が行われない。長引いたりえらく国民が迷惑する。そのためにやはり裁判官を充足していただきたい。ところが、裁判所側から七十名ぐらい必要なんだということで原案をつくったら、結局は削られて、ことしは十五名に判事補が決まってしまった。だから、大蔵省へ持っていくとずたずたに切られて、いわゆるつまみ銭みたいに予算が渡されて、結局しわ寄せを食うのは国民であるというふうなことになるんじゃないだろうか。その辺私たちは当事者ではありませんからわかりませんけれども、大臣経験者がお二人いらっしゃるのですけれども、われわれとしてはその辺が非常に歯がゆかったり、国民が最も納得するような制度あるいは法律というものができて、そして社会秩序が保たれていくというような世の中を早くつくるためには、やはり思い切って税金を使ってもらわなければならない、こういうことになるわけなんです。そういう点が私たちから見れば秘密のべールの向こうみたいにあるので、どうしても憶測したくなってくる、こういうことになる。日ごろの委員会でのやりとりを聞いていると、どうも大蔵省の方でぎゅうっとやられるのと違うかというふうな心配があるわけなんです。その辺どうなんですか。

○ 岡崎説明員

 どうも私どもの印象が悪いようで大変恐縮でございますけれども、私どもといたしますれば、各省庁の行政需要というのは十分に承りまして、年々の予算というものを作成さしていただいておるわけでございます。その作成の過程で一方的に、やれ切って後は話は聞かないとかそういうことではございませんで最終的にはいろいろ検討を加え、お話し合いをし、協議した結果として政府案ができてまいる。私どもの基本的な立場といたしまして、先生方にそういうふうな、どうも切ってばかりいるではないかという印象を与えてしまうのはまことに残念でございますけれども、私どもとすれば、いま国民の税金を大いに使ってと、こう申されましたけれども、国民の貴重な税金でございますので、なかなか一挙に理想的な形にはならない。年々の優先度をつけ、苦しい財政事情の中でグレードの高いものから重点的、集中的にやっていただく、こういうことを各省庁にお願いしておるわけでございますけれども、そういう大枠の方針の中でいろいろ協議を進めさしていただいて、予算としてでき上がっておるわけでございますので、その点は十分御理解をいただきたい、こう思っております。

○ 沖本委員

 刑事局長、何かお話しなさりたそうでしたが、御意見があるなら承っておきます。

○ 伊藤(榮)政府委員

 法務省案とおっしゃいましたけれども、結局法案を出しますのは政府でございますから、政府の部内が一致して法案というものを決めなければしようがないわけでございます。私どもは、いろいろな一般の御意見あるいは国会での御議論等からして、ある程度犯罪被害補償についての制度のイメージというものを持っておるわけでございますが、果たしてしからばこれが一体どの程度の予算を食うものか、その予算がいまの財政事情のもとでどの程度まで広げられるものか、あるいは狭めなきゃならぬものかというような点、あるいは他に補償あるいはこれに類似の制度、既存の制度または将来早急につくるべしと要望されておるような諸制度があるといたしますと、そういうものとの兼ね合い等もよく吟味をして、政府部内で十分検討を尽くした上で、いわば財政当局等にも御理解をいただかなければならぬ、そういう作業をこれから鋭意やりまして、なるべく作業を早く進めたいと思っておるわけでございます。そのことだけを申し上げたかったのでございます。

○ 沖本委員

 大臣がいらっしゃればお答えをいただきたかったのですが、刑事局長から伺っておきます。

 最初に触れましたとおり、この犯罪被害者補償については、調査費も予算がついているわけです。各大臣もこの法律はつくらなければならないという方向でお取り組みになっていらっしゃるということで、特に福田大臣の前任の稻葉大臣は力を入れてこの問題に対してお答えになっていらっしゃったし、この問題が提起されてから歴代大臣が非常に力を入れてお答えになっていらっしゃるわけですから、これがどういう形で、一体できるのかできないのか、まだ手の中へ入れてもんでおってなかなか日の目を見ないのか、その辺が私たちの一番心配するところなんです。そういうことがあるわけですし、予算もついていることですから、その方向に向かってお進みになっていらっしゃるということになるのですけれども、これが三年も四年もかかるとかいうようなことになっては困るのですね。で、あえて私たちは法案をここで出したわけです。

 そういう点もあるわけですから、そういう点についていま法務省の取り組んでいらっしゃる現状、それと、いつごろ成案を見るのか、その辺の感触をわれわれに教えておいていただきたいのですが、お願いいたします。

○ 伊藤(榮)政府委員

 お答えの方を先に申し上げると、極力速やかに作業を進めたいということに帰するわけでございますが、従来国会で前局長以来、前大臣以来いろいろと御答弁申し上げておりますようなお話もございますので、私といたしましても、大臣の御指導のもとに、とにかくなるべく早く大車輪で関係方面との話を詰めましてやらさせていただきたいと思っております。

 法務省で法案を作成するということになりますと、事の順序として法制審議会へかけることになるわけでございますが、法制審議会へただかけるだけならばいつでもかけられると思いますけれども、余りこれは時間をかける問題でございませんので、十分煮詰めて、そして法制審議会では非常に速いスピードで御審議をいただいて、国会の皆さん方あるいは民間の方々の御期待に背かないように努力をしたいと思っております。

○ 沖本委員

 法制審議会へかけないと内容的には御発表にならないのじゃないかと、いろいろな点から想像するのですけれども、それよりもむしろ、規模はどういうものであるとか、あるいはどれぐらいのことを考えておるとか、あるいはこれぐらいのものにしていきたいとかいうふうな内容については公表していただいて、勉強材料にもさしていただくし、法務省はこのような考えで法律作成に取り組んでいらっしゃるんだということも私たちにわからしていただきたいですね。ちゃんとでき上がるような段階になってべールがはがれて国民の前に明らかになっていく、あるいは法制審議会を通って初めて国民の目に触れる、こういうことでないように、十分でないにしても、こういう形ができ上がりつつあるし、それはいつごろできるんだ、希望が持てるんだというふうなことで、被害に遭っていらっしゃる方々も十分に関心が持たれるような形にしていただきたいわけです。

 大臣がお留守だったのですが、しばらくの間、御在席していらっしゃったので話の取っかかりは御存じだと思うのです。

 お留守中の議論で、犯罪被害者補償につきまして、これは前刑事局長からも前向きに御答弁いただいておりますし、あるいは前任の大臣からも、早い時期にこの法律をつくりたい、全力を挙げるというふうなお答えがずっとあったわけです。昨年はいろいろな関係の方も呼んで委員会で意見をいただいたり、いろいろな資料をもとにして議論をしたことになるわけなんで、あとは法務省案、政府案ができるかできないかという段階に来ておりますし、公明党といたしましても大臣御存じのとおりに法案を当委員会に出しております。

 そういう関係で、できるだけ早く法律をつくって、制度もつくっていただきたいということにかかるわけですけれども、きょう、先ほど大蔵省からも来ていただきまして、大蔵省が——まああとは言わないのですけれども、何だかんだ議論をやったわけなんです。そういうことで、われわれの希望は、一日も早く法律をつくっていただきたいということで、刑事局長からもお答えがありまして、できるだけ早くしょうということなんですけれども、大臣の所信表明の中にもお触れになっていらっしゃる点もあるわけですから、この点について大臣からお考えをまた決意を伺いたいと思うのです。

○ 福田(一)国務大臣

 大変遅くなりまして申しわけありません。

 ただいま御質問がございました犯罪被害補償の問題につきましては、従前からその必要性が一般に認められておるところでございます。したがって、法務省としては、何らかの法案を作成することについて調査をいたしておるという段階でございますが、御案内のように、これはただでできぬというか、すぐに金の要る問題もございますね。そういうことになりますと、大蔵省その他関係省とのいろいろの折衝その他もございますし、それからいかなる法律にするか、公明党の方からはいまここにちょうだいしておるような法案ももうすでに出ておりますので、これに対するわれわれの態度というものもよく考えなければならない時点にも来ておると思っておるのでございます。したがって、何とかひとつ具体的に調査を進め、また各省との連絡その他も十分図っていきたいというつもりで事に当っておるというのが現在の状況でございます。言うなれば、前向きにいま検討をいたしておりますということで御了承を願いたいと思うのでございます。

○ 沖本委員

 刑事局長にもお話ししたのですが、最終的には法制審議会にかけなければならない問題でもあるということなんですけれども、大抵法制審議会にお声がかかると三年、五年というふうなことが想像されるということになるわけで、刑事局長に申し上げたことを繰り返すようになるわけですけれども、調査費もついて、いわば法務省としては前向きにお取り組みになっているという点はうかがえるのですが、一日も早く法律、制度をつくっていただきたい、そのことに尽きるわけなんです。その点どうですか。

○ 福田(一)国務大臣

 御質問、御要望の趣旨を体して努力をいたしたいと存じます。

○ 沖本委員

 終わります。

○ 保岡委員長代理

 横山利秋君。

○ 横山委員

 まず、委員長はもうじきお帰りですか。委員長にちょっと質問がございますが、後にいたします。

 大臣を初め政府委員の皆さんにこれから長い時間おつき合いを願わなければなりません。特に、私は、党派を離れて、ひとつきょう私の人間としての気持ちを込めて大臣を御説得ができるかどうか、非常に期待をしておるわけであります。これは社会党とか自民党とかあるいはまたこの中にありますような共産党とかそういう問題ではございません。人間の問題であります。恐らく大臣もこの話をもうすでに何かの形でお聞きになっていらっしゃると思いますけれども、もう一遍ひとつ私がいろいろと例証を挙げてお話をいたしますから、どうぞ心を平らにして謙虚に耳を傾けていただきたい。そして、この時間の間に、大臣が本当にいままでの先入主を抜きにして、自主的な判断をせられて、閣僚の一人として、また検察や人権擁護を指揮するあなたとして、まあかっこうのいい答弁をなさらないで、ひとつ本当に人間としての受け入れ体制を整えていただきたい。私はまず質問するに当たって心からお願いをしたいのであります。

 いま大臣のお手元へ「自民党の諸先生方にお願いする」という文書を差し上げ、けさの理事会でも配付をいたしました。同僚諸君でお持ちでない方がございましたら配ってください。これは私は決して当てつけに配っているわけではありません。御本人が私のところへ参りまして、こういうことをいたしましたということでございまして、当てつけで配っているわけではありません。いかにこの小森さんという人が衷情を訴えて泣いているかということを私からも御披露がしたいからでございますから、趣旨を御了承を願います。

 朗読をした方が小森さんの気持ちに合うと思いますから、朗読をいたします。

 拝啓 保革伯仲時代となり、自民党諸先生方のご苦労は一段と厳しいものと推察申し上げます。

 小生、れっきとした自民党員であり、現在自民党のある代議士の郡及び町の後援会長をしております。去る四年程前、次女が名古屋女子大を卒業する年に統一教会(勝共連合)に入信し、続いて三女が学習院大、四女が青山学院大に在学中に入信し、現在親の反対を押し切って三人共家出しております。

 統一教会が邪教であるとの世論が逐次高まって来ましたけれど、まだまだ自民党や各大学の諸先生及び地方の諸官庁の上司で、統一教会が宗教団体の仮面をかぶった恐しい団体であるということを知っておられる方は殆んどありません。それ程、彼等のやり方は巧妙であり、其の手段は悪辣であります。

 子供を取られている親自身統一教会の悪辣さを知らないでいる方が大半であり、私自身も、最初のうちは、統一教会の活動に全面的に協力し、勝共連合主催の講演会にも度々出席いたしました。しかし、教会の地区長より統一原理なるものの講義を四時間宛十日間受けるに及んで統一原理には極めて危険なる思想のあることをつきとめ、早速、子供達に深入りしない様にと忠告しましたが、時既におそく危険な思想に依って洗脳された子供達は親の手の届かない異常心理状態になっております。私は子供達が入信した当初は、家庭の問題としてとらえ、親子の話し合いを中心とした対策をいろいろと考えてまいりましたが、新聞や週刊誌等で統一教会の非社会性を知るに及んで、これは親子の考え方の相違という問題でなく、子供自身も親同様の被害者であり、統一教会そのものを倒さねば、どうにもならないと考える様になりました。

 昨年の十二月東京で統一教会の幹部と会いましたが、宗教家としての品性の高い方と面接出来るかと思っていましたら暴力団の親分みたいなのが出て来て、とても宗教団体相手という気がしませんでした。其の時統一教会は宗教の仮面をかぶっているが、その奥には何か黒いものがあると予感がしました。その後、KCIAという本を手に入れ読んだ処、統一教会とKCIAとの関係が書いてあり、やはり予感した通り単なる宗教団体でないと云う事が判りました。もうここまで来たら一父母としての力ではどうしても子供達を救うことは出来ない、恥も外聞もなげ捨て、昨年の暮、反対父母の会に入会し、正面切って統一教会と対決しようと決意いたし、去る三月五・六・七日東京に於て原理運動反対父母の会の全国大会が催され、私も初めて参加しました。全国より集った父母の数は百二十余名、それぞれ被害状況を語り合い、運よく統一教会を脱会する事の出来た四名の方々の体験談を発表され、会場は、異状な興奮に包まれました。この意義ある大会に参加された父母の数は、実数の一割にも満たず、どうしてこうも参加者が少ないのだろうか、その理由を想像しますに、(1)子供の恥、親の恥を世間に知られたくないと思う人、(2)長期間の戦いで心身を消耗し、健康を害し病床にある人、(3)親の力ではどうにもならないとあきらめている人、(4)統一教会の幹部が、各家庭を廻り大会に参加しない様説得をしたこと、(5)子供を追っているうち商売がおろそかになり、経済的な余裕がなくなって来た人、(6)親元に連れ戻している家庭は逃げ出すので監視についている人、現在の苦しみは極限状態にあり、親許りでなく入信している八、〇〇〇名〜一〇、〇〇〇名の立派な青年達が一韓国人の為に正常に戻すことは不可能と云われる洗脳を受けております。

 自民党の諸先生方は万余の日本人家庭が破壊されても統一教会を擁護しなければならないとは、まさか考えておられないと思います。統一教会は、われわれ父母の会を共産党の、手先となって動いている団体のように宣伝しているが、とんでもないデマで殆んどが自民党員です。被害者父母の会としては、超党派で先生方にお願いする事になっております。自民党の先生方にも是非実体を知って貰う事です。

 自民党の中に被害の実体を調査する機関を作っていただければ二〇名や三〇名の父母は何時でも出席するでしょう。この前の大会でも各県毎に自民党の先生方にお願いする運動を起そうという事になっております。

 どうか先生方の処え父母が行かれましたら、とにかく話を聞いてやって欲しいのです。今迄の事例で統一教会は黒を白と平気で偽っている団体です。統一教会の為ならば、親を殺してもよいとまで教えております。これまでに洗脳された頭を正常に戻すには、文鮮明なる人物が世界を統一出来る様な偉い人物でないという事が、はっきりすれば一変に洗脳は解除されると思いますが、その時はショックに依る自殺者や、発狂者が出る事は覚悟しなければなりません。何分にも常識では当底考えられない事の様ですが、被害は現実であり一刻も放置することは出来ません。

 自民党は、この前の請願も受けつけられなかったそうだし、今回も受けつけを渋っておられる様ですがとんでもないことです。

 是非諸先生方のご理解を切にお願いいたします。

 昭和五十二年三月二十三日
   岐阜県山県郡高富町佐賀一一一ノ一
       (原理運動被害者父母の会会員)
                小森 守一

 自民党代議士各位

 これはもう恐らくきょうあたり自民党の全代議士のお手元へ届いておると思います。私にもこれをお渡しをされまして、そしてくれぐれもよろしく頼むということであります。

 次は、昭和五十二年三月二十二日、福岡県北九州市門司区大字黒川四百五十五番地原田一二さんから、内閣総理大臣福田赳夫閣下に、

  閣下に対して こんな形で ご質問申上げるなど かつて考へも及びませんでしたが 止むに止まれず 御質問申上げる非礼をお許し下さい

  私共は去る三月七日 東京に於いて原理運動被害者父母の会を開催し その前後に 一連の集会を開きましたが この集会に関連して発生した諸々の事態の一部について次の通りお尋ねします

  可然 閣下のお考へをご回示願い度く存じます

  私共原理運動被害者父母の会に所属する父母の殆んどはかつて保守を以つて任ずる者ばかりでございます 特に九州の会員については確信を以つて云へることで 率先して保守系の党を支持して来た者ばかりと云つても過言ではございません

  その私共が 止むに止まれず 閣下にご質問申上げざるを得ない事情について よろしくご賢察下さい

   質問 その1

  統一協会や一部新聞の発表で集合した父母の大部分は原理運動には反対でなく極く少数の父母が反対しているのみで集会そのものは共産党が操っている等と取り沙汰され 善良な市民である父母を恰も共産党員乃至はそのシンパの如き宣伝をなし その筋の者まで斯くの如き見方に同調しているが如き態度の見られることについて閣下は如何お考へでしようか

  どうか警察力でも何でも充分駆使して 私共の思想の問題であろうと日常の生活上の問題であろうと 徹底的にご調査の上その点はつきりさせて下さい 大変迷惑な問題が発生しております

  然る後 閣下の所信をはつきりご明示願います

  (注)このことは次項からの設問に非常に関連して参りますので はつきりさせて頂い度いと思います 九州から参加した父母は別添の通りです これ等の人々についてもはつきりさせて下さい

   質問 その2

  現実問題として 私共の子弟は統一協会に於いて洗脳され 牛耳られ今では完全に統一協会のロボットと化しており 時としてその言動は常軌を逸しておりまして 私共としてはこれが救出こそが急務と考へ 原理運動反対という行動に移している訳でありますが 閣下はこれら子弟と統一協会の関連を如何お考へでしようか? 統一協会の云うように全く個人の自由意志で統一協会と連がりを持つているとお考へでしようか? 私共が常々申し上げておりますように 彼等子弟は既に自由に判断する能力すら失つているように思われてなりませんが閣下は統一協会の教育システムについて その内容を具体的にご存じでしようか?

   質問 その3

  一連の行事終了後 大部分の方々離散帰郷されましたが 私共北九州関係三名が 切角上京して来たのだから 統一協会本部に陳情と請願(子供の件で)しようということになり 三月七日十八時四〇分頃 三名揃って協会本部を訪問した訳ですが その時協会側のとつた言動はさながら市井の暴力団そのもので 私共全員暴行を受けましたが 斯ゝる暴力行為を敢えて行う集団に対して 閣下は如何なる処置を採られるご所存でしようか?(他にも単身協会に出向いて暴行を受けた女性がいると聞いています)

  又警察等の保護下に置く必要があると お考へでしようか?

  尚当時の彼等の言動は

   ◎ お前達は この前も来たぢやないか
   ◎ 五十面(ヅラ)下げて何か
   ◎ 住居侵入で一一〇番するぞ(現実に一一〇番した)
   ◎ 帰れ帰れ

  と二人の屈強な用心棒に胸倉と両腕をガツシリ押えつけられ あのコンクリートの段々を突き落され 突き出されました 途中のコンクリート壁にコヅキ付けられ 私共は全員肩や両腕に傷害を受けた次第です

  「お前達」 「五十面下げて」云々や暴力行為が 宗教を名目とする団体の本部の受付けに屯ろする者の仕業をどう云う風に理解したらよろしいのでしようか

  子供が二〇才前後になると親は五十面になるのは当然でしよう この一連の言動をどう思いますか?

  又一一〇番は善良な市民を暴力等から守ることに有効と思いますが この種暴力を助長し守る為にも存在するのでしようか?

   質問 その4

  私共は早速車で渋谷署に ことの顛末を報告する為に 出頭いたしましたが その時の担当者の採られた措置が甚だ不可解で 理解に苦しむ次第です

  一一〇番で出向いた警官が帰着と共に 私共は二階の取調室に連行され 三名別々に尋問を受けましたが 夫々の取調官の発言内容をどう解釈したらよろしいか 閣下のご見解をご明示下さい

  当時の発言内容を要約しますと次の通りです

  ◎ あんたの子供はそんなにだらしないのか
  ◎ 子供がだらしないのは親がだらしないからだ
  ◎ 子供が自分の自由意志で協会に入りそれで幸福と思つているのなら それでいいではないか
  ◎ 自由主義も共産主義もよく知つているそんなことを知らんでは警察官はつとまらん
  ◎ あつちこつち過激な共産党員がいるから 彼等は立ち上つているんだ
  ◎ あんた達の子供はあすこにはおらんと云うではないか
  ◎ あんた達の子供は本当に協会におるんかね
  ◎ あんた達が協会に行つたから暴行されたんだ
    行かなきやそんなことにはならん
  ◎ あんた達が事件として正式に訴えるなら 協会はあんた達を住居侵入 不退去罪で訴えると云つている その時は東京に出て来て裁判をやるようになるがいいかね

  勿論当局としては 私共の訴えを 受理する為の尋問とは思いますが この一連の言動を関連させて考へるとき 理解し難い点が余りにも多いと思います

  閣下のご判断は如何でしようか

   最後に

  私共は善良な市民として 又肉親として 彼等子弟を案ずる余りの行動であるにも不拘 前述の通りの 関係者の一連の言動に対し 甚だしく不満を覚えると共に 理解に苦しむ次第であります

  協会側は個人の自由意志と云う言葉を巧みに利用して 子弟の真の自由を束縛していることの実情について 私共は訴へ続けて参つた心算ですが このことが冒頭申し上げましたように何か私共が 思想的先走りでもしているかの如く宣伝され それを又その儘裏付けるかのような関係者の言動は甚だ迷惑に存じます

  私共がどういう立場にあるのか ご調査を充分になさつた上で 閣下の ご見解を ご明示願い度く ご無礼とは存じ乍ら 敢えて筆をとつた次第です どうかよろしくお願いします
                 敬具

 「九州関係参加者名簿」——住所はここに書いてございます。速記には全部載せていただきたいと思いますが、名前だけ申し上げます。「原田一三、浅野厚子、林好子、佐々木富雄、加藤留次、田中一枝、河野朝香、中尾琢次郎、落合徳男、川明弘明」。住所もぜひ載せていただきたい。

 この人たちは、これは後でお話しをいたしますが、こういうことを言ったことによってどういう結果が生ずるか。統一教会なりあるいはその関連のところからどういう仕返しがあるか、かもしれない、なければ結構という覚悟の上で出しておることを私は御銘記願いたいと思います。

 きょう私はいろいろ名前を挙げます。名前を挙げて、その人たちが多少は感情に駆られているところがあるかもしれません。しかし、事実を率直に国会で披露してくれと言っているわけです。そういうことについて、私は、一方的になってはいけないから、委員長並びに理事諸君にお願いをして、こういう文書をきちっとつくって公表をするようにと言った方々は、覚悟をしていることであるから、私だけではその気持ちが伝わらないから、参考人として呼んでくれと言っているわけであります。父母の会も、これからいろいろ名前が出る人、またいま出すには忍びない人——しかしそれが一方的な意見であるならば、統一教会の久保木会長にも出てくれと言っているわけです。それがなかなか、いままだ議論の最中でございます。つまり、私のいま冒頭に言いたいのは、決して皮肉で言うわけではありませんが、この人々が自民党の党員であり、長年の自民党の支持者であり、そして、私どもを共産党呼ばわりしてもらうのは迷惑千万だと言っておる、この人々の訴えなんであります。ですから、この際、法務大臣を初め各官庁はひとつ思いを新たにしてこの問題に取り組んでもらいたいと、私は心から要望したいと思うんであります。まず冒頭、法務大臣の感想を伺いたいと思います。

○ 福田(一)国務大臣

 横山さんが、私情とかあるいは党ということを離れて、この問題について真剣に検討をしてみたいという意味で御発言をされた気持ちは、私はよくわかります。そのことはよく認識をいたします。そうして、ただいまお読みになったわけでございますが、まあ、これが自民党の党員であるかないか、そういうことについて私がとやかく申し上げる筋合いではございません。そういう御要望があったという事実は私はよく認識をいたします。

 ただ、なかなか簡単でない問題であると私は思うんです。思想の自由とか行動の自由というものはみんな日本人は持っておるわけでございます。そういたしましたときに、若い人たちがある意味で洗脳されたということ、そういう洗脳されたこと自体について、洗脳した者が悪いのか、された者が悪いのかという、いろいろ考え方も出てくるだろうと思う。これは教育の問題とも関連をいたしますけれども。

 実は、私も一人そういうことを、もう三、四年前でございましたけれども、やはり両親からそういうような意味のことを言われて、その子供に何とか帰ったらいいじゃないかということを言うたことを覚えておりますけれども、結局その子供は帰らなかったようであります。そういうこともありますから、あなたの言っておられることが真実を申し述べておられるとは私はよく了承いたしますが、それだからといって、これをどういうふうに解決をしたらいいかということになりますと、なかなかこれはむずかしい問題がいろいろあるようでございます。

    〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕

 ただ、最後にあなたが申されました、こういうことを言ったこと、表現したことによって、教会の方や何かから傷害を受けるとか、あるいは親御さんが何か変なことを受けるようなことがあっては大変だというお話がございましたが、私もそれは大変なことだと思います。断じてそういうことは法治国家として許さるべきではないと私も思います。警察もまたその点は十分にわかっておると思うのでありますが、ただ、いまここに書いてありまして、渋谷署か何かに行ってこういうことを言われたといって書いてありますけれども、そこいらがどういうことであるかということになりますと、一方的なことだけではちょっと判断もいたしかねる。こういう事実があったかどうかということは、警察当局で調べればわかることだと思うんでありますが、いずれにしても、子供がいろいろの宗教団体とかあるいは社会運動の団体に入っていったのについて、それをどのように——何というか、親の要望にこたえることがやはりいいのかどうか。親の要望にこたえることは当然いいことと考えられていますが、手段があるのかどうかというような問題もありまして、私は事はなかなか簡単ではないというふうに考えております。

○ 横山委員

 初めて大臣とこの問題で質疑応答するのですから、大臣がいま冒頭に大変むずかしい問題だとおっしゃった意味は当然であります。

 そこで、大臣に、三つの問題に分けてお願いをしたい。

 一つは、この原理運動の教義そのものの是非論であります。これはもう私、この前の質問でも理事会でも何回も言っておるのですけれども、この教義の是非論については触れますまい。それは宗教法人法の定め、憲法の定め、信仰の自由というものがございますから、それについて意見はありますが、触れますまい。こう言っておるわけであります。しかし、父母の人たちは、原理が間違っているからこうなるのだという強い考えがあることは御紹介だけしておきます。これが第一でございます。

 それから第二番目に、私が言っておりますのは、宗教の行動、思想は触れないにしても、それに伴って違法、不当、脱税、人権じゅうりん等、法律に触れる、社会常識に余りにも触れることは看過できません。この原則が第二であります。この原則は放置ができません。宗教運動なら何をやってもいいということではないのであります。それが証拠に、三十一年当委員会は立正佼成会の問題をとらえまして、半年ばかり審議をした結果、法務委員会において満場一致、不法な宗教活動に関する決議をいたしております。きわめて具体的であります。その決議はいまも生きておる。これは政務次官もお答えになりました、その決議に伴って文部省の通達が出されております。これも生きておると文部省はお答えになりました。ですから、第二番目の問題としては、宗教の教義そのものについては触れますまいけれども、違法、不当、人権じゅうりん等の問題については看過できません。この点は大臣もしっかり踏まえてもらいたいと思います。

 それから第三番目の問題は、この小森さん及び原田さんが指摘をしておりますが、教育システムの問題であります。この教育システムということは大変むずかしい。第一と第二に関連をする問題で非常にむずかしいのでありますが、教育システムが若い人たちについて人生観、社会観、世界観を変えてしまう。そのシステムについては後で触れましょう。触れましょうが、そのシステムの線を度外視して議論ができるのであろうか。これは私も同僚諸君の御理解と御協力を得なければなりませんから、強く私がこれをどうこうしてもらいたいということについてはコンセンサスを得なければなりません。ですから言及はいたしますけれども、これが第三の問題であります。

 この三つの問題に分けて、お互いに勉強し調査を進めなければならぬと思いますが、さしあたり第二の、この布教活動に伴う違法、不当、人権じゅうりん、あるいは場合によっては脱税、こういう点については、検察陣としても、人権擁護の担当の大臣としても、これは看過してもらっては困ると思いますが、いかがでございます。

○ 福田(一)国務大臣

 いま御指摘をいただきました三点でございますが、その第二点のうちで、違法、不当あるいは人権に関するような問題は看過してはいけないのじゃないかということでございます。私の方といたしましては、違法なことは、これはもう法務大臣でございますから、法律を守るのがあれですから、もちろんこれはいけません。それから不当ということになりますと、これはちょっと言葉じりをとらえて恐縮ですけれども、これはなかなかむずかしい問題があると思いますが、人権じゅうりんの問題があれば、これはまた看過することはできないというのが法務省としての立場であると存じております。

○ 横山委員

 結構です。不当については、私は先ほども理事会で御質問が出ましたから、社会常識、人間の良識、安寧秩序に著しく反する行為、こういうふうに申し上げておったのでありますが、これは事実関係によってお互いに判断をしたい。まあ、いずれにしても、違法、人権じゅうりんの問題については、十分法務省としての責任をお考えのようでございますから、問題を前に進めます。

 それで、原田さんの問題は、総理大臣あての文書が出ましたが、これは、総理大臣から原田さんにお答えするようにおとりなしを願いたいと思いますが、御協力願えましょうか。手紙はもうすでに行っておるはずであります。

○ 福田(一)国務大臣

 この種の手紙が行っておるということでございますれば、国民から何らかの要望があったときに、政治家としてそれに対する一つの見解を示されるということは当然のことだ、また、総理としてもおやりになることが好ましいと私は思いますから、おとりなしをいたします。

○ 横山委員

 午前中西宮委員の質問があったわけですが、私が前回の委員会で、四十九年、希望の日フェスティバルがございましたときに、大蔵大臣でありました福田赳夫さんが出席をして、そして一場のごあいさつをなさいました。そのごあいさつ並びに写真は、原理運動関係の機関紙その他に大々的に掲載をされました。ここにございますのは、文鮮明氏と当時の福田大蔵大臣の握手をしておるときの写真でございます。これが原理運動の関係の機関紙に大々的に掲載されましたので、必然的に、当時自由民主党の領袖である、また大蔵大臣である福田さんが原理運動を支持し後援しておるというふうに父母はもちろん若い諸君が理解をしたということは当然のことでありましょう。現に福田現総理大臣は、予算委員会の石橋書記長の質問に答えて、当時の記録がございますからよくごらんください、私は宗教の会合にもいつも出ておりますから、招かれて行っただけです、そういうことを言っております。ところが、驚いたことに、私が当委員会で要求をいたしましたら、いまとなって、その記録はないというのであります。いやしくも総理大臣が予算委員会で言ったことがうそであった、そして、上村委員長からの御報告によりますと、あいさつだから、原稿なしでやったのだから、記録があるはずがないという趣旨の御報告がございました。言語道断だと私は思うのであります。いやしくも国会の一番重要な委員会で、総理大臣が記録があるから見てくれ、悪いことは言っておらぬよというような言い方でございましたから、それでは記録を拝見いたしましょうということで終わっておるわけですが、それがないというのであります。全く総理大臣としての見識を疑う。すべからく予算委員会なり議院運営委員会に総理大臣は出席して、予算委員会で言ったことは間違いでございました、こう言ってもらいたいと思う。私が法務大臣にこのことを迫るというのは、ちょっとおかしいことだとは思います。けれども、いやしくも原理運動がかくも世間を騒がせておりますときに、総理大臣の姿勢を問われておるときに、そういううそのことを言っては困るのであります。

 もう一つあります。それは、この間読み上げましたけれども、思想新聞という原理運動関係の新聞に、その際に当時の福田赳夫大蔵大臣があいさつをした要旨が載っておるわけであります。その要旨に間違いがないか、その要旨につけ加えることがあるか、訂正することがあるかどうかということを委員長に確認をお願いしておるのでありますが、まだ御返事がございません。私は、現総理大臣の原理運動に関する姿勢、それからとにかく予算委員会でうそを言ったということ、この二つについて、私はあなたに期待して、冒頭申しましたように、ぜひひとつこの問題についてあなたにお骨折り願いたいという意味から言いましても、どうぞ総理大臣問題につきましてお骨折りを願いたいと思いますが、いかがでございましょう。

○ 福田(一)国務大臣

 私は当時の大蔵大臣であった福田さんがどのようなあいさつをされたかという内容をつまびらかにいたしておりません。それからまた、予算委員会においての問答は、私が聞いておったときは、この間の委員会のときは、連帯と協調という趣旨が非常によく言われておったのでこれは賛成だと思ってそういう意味のことを話した、こういう簡単な答弁であったと私は覚えております。それで、なるほどそうだったのかなと私は聞いておったわけでございますが、いずれにいたしましても、総理の一身上の問題について私がいまここでどうするこうするというような意味のことをお約束することはできませんが、あなたからそういうような御意見が出ておったということをお伝えすることはやぶさかではございません。

○ 横山委員

 お伝えではないのであります。これは予算委員会でうそを言ったということについての追及が始まっておるわけでありますから、事は重大なんであります。私はあなたに期待して、その記録の訂正を総理大臣みずからしてもらいたいということと、思想新聞に載っておったことで、一番最後に、私の政治原理を洗われたような気がいたします、こういうことを言っておられるわけであります。事は、私は政治姿勢としてはきわめて重大なことだと思う。総理大臣が文鮮明の話を聞いて、私の政治原理を洗われたような気がいたします、と言うことはきわめて重大で、その一事をもってしても、父母や青少年に与えた印象というものは大変なものがある、私はそう思うのであります。そうでないとあなたはお考えでしょうか。

○ 福田(一)国務大臣

 私はそういう問題は、何といいますか、委員会の問題とし、あるいはまた委員長さんが介入されるかどうかは別にして、私が政府の一員としてその問題についてイエス、ノーとか、あるいはその可否をいまここで申し上げることは行き過ぎだと存ずるわけでございます。

○ 横山委員

 くどいようではありますが、予算委員会も法務委員会も、あるいは他の委員会も、関連の仕事をしておるわけであります。当委員会は原理運動に関連するさまざまな問題をいま取り上げています。そして、政府のそれに関する姿勢、それを私どもは大事に考えておるわけであります。この間も政務次官に質問をするに当たって、あなたは原理運動及びそれらと関係がございますか、ございませんかと言って、失礼ながら御質問しましたのも、そういうことなんであります。総理大臣が原理運動に好意を持ち、支持し、そしてその行動が原理運動に非常なプラスになっておるとするならば、私は、総理大臣みずから、及びその総理大臣をトップにいただく福田内閣みずからの政治姿勢を議論せざるを得なくなるわけであります。決して簡単に考えてもらっては困るのであります。同時に、予算委員会で言ったことがうそであるということが明らかになったわけであります。記録がございますからどうぞごらんくださいと言ったことがうそだったということなんであります。これは何としても看過できないことだと思うのであります。そういう意味合いで、私はまず、総理大臣を初め政府が原理運動と膚接し、あるいは中へ入っておるという政治姿勢のような疑いを受けられておる、そういうものについて、この際ひとつ政府が姿勢を正してもらいたい、こういうお願いなんであります。どういうところが政府及び与党が関与しておるかということを聞きたいならば、幾らでも私は言ってもいいですよ。この間も片りんを示しました。そういうような状態では、本当のあなた方のお答えが陰にこもったお答えだとか、あるいは背後にツーツーのお答えだとか、そういうことでは国民に対してまともな質疑応答が行えない。いわんやあなたは法務大臣でございます。違法なこと、人権じゅうりんなことを、公正な立場でなさるのですから、あなたに私は何遍も申し上げますが、期得しておるのですから、政府の原理運動に対する姿勢について、これから一歩公正な立場で、誤解を受けるような立場を避けてもらいたい。それにはまず福田総理大臣がまずやってもらわなければ困る、こういう意味です。

○ 福田(一)国務大臣

 いまあなたのお話を聞いていますと、原理運動というもの自体が間違っておるという認識をまず持てと、そしてそれに対応していくのがわれわれの姿勢ではないか、それに関連して福田総理の発言云々ということだと思うのであります。

 私は、原理運動とかいろいろ宗教活動、あるいは宗教活動までいかないでも、それぞれの人間が自分の持っておる哲学、思想について一つの意見を申し述べておる、それにまた共鳴する人があったからといって、その思想についてわれわれが云々することは、これは言論の自由とか思想の自由というものとも関係がございますから、よほど慎重な態度で臨むべきではないかと思うのです。

 私は、日本のいいところは、やはり法治国家であって、そして法に触れておらない限りにおいては自由であるというのが日本の国の非常にいいところだと思う。その意味で法に触れておらないということでございますれば、これはどういう発言をしておろうとも、あるいはどういう行為をしておろうとも、これをとがめるということは、これはいわゆる憲法の精神にも相反することに相なるかと思うのであります。

 そこで、問題はどういうところへしぼられるかと言えば、先ほども申し上げたように、違法の行為をしておるということになったらわれわれは断じて許すわけにはまいりません。また人権擁護の意味において、具体的なことがあってその人権が侵されておるというようなことがございますれば、これはわれわれとしては看過することができない、こういうふうに理解をいたしておるのでございまして、私のいま申し上げたことがあなたの御質問にぴったりお答えしておるかどうかは別問題というか、あるいはおしかりを受けるかもしれませんが、私としては、原理運動というものを一つの宗教と見るかあるいは一つの思想と見るかどうかは別にして、そういうことが違法であるということになればこれは当然取り締まらなければいけない、また人権擁護に反するということであればこれもわれわれとしては取り締まらなければいけない、こういう考え方でこの問題を見ていくべきではなかろうかと思っておるわけであります。

○ 横山委員

 さっき三つに私が分けて物を申しておるその前提を踏まえてもらいたいのですが、しかし、私がいま原理運動が間違っておると言っておるわけではありません。個人としてはそう思っておるが、ここで主張するのは避けたいと言っておるわけであります。しかし、福田内閣総理大臣は世間に対して原理運動の支持者であるという印象を与えたということは間違いのない事実であります。そうでしょう。そして、しかも予算委員会でうそのことをおっしゃったということも間違いない事実だと思うのであります。私は違法行為と人権じゅうりんの問題をこれから提起していくわけでありますが、それらが明るみに出る可能性があるから、この際、政府としてはそういう疑いが顕著な——これはいまに始まったことじゃないですよ。ここ二年間、週刊雑誌や新聞で、カラスの鳴かない日があっても原理運動に関する問題で記事が載らない日はないというくらいの問題ですから、いま始まったことではないのです。政府与党に重要な個人個人に問題があるということもあなたは御存じのとおりですから、それを私は言っているのです。

 さて、そのうその予算委員会の問題でございますが、委員長にこの間お願いしておきましたが、その結果はどうでございましたか。

○ 上村委員長

 委員部を通じまして、そして確認をさせたわけです。ところが委員部から内閣参事官へ行って、それから秘書官を通じて総理にお確かめをした、こういうことで改めて委員部の方へ内閣参事官の古川さんから書面が来ております。

 趣旨は、先回申し上げましたような趣旨でございまして、重要な御発言であると思いましたので、そのことについて書面を御披露申し上げておきます。

  昭和四十九年五月、福田総理(当時大蔵大臣)が統一神霊教会の晩さん会に出席した際の挨拶は、あらかじめ原稿を用意して行ったものではありませんので、総理側で作成した記録はないと聞いております。

  本年二月七日の衆議院予算委員会において、石橋議員の質問に対して、福田総理は、「当時の記録もありますから、必要があればよく御覧願いたい」旨答辨しておりますが、これは総理が、当時、先方かどこかで自分の挨拶を文章化したものをみた記憶に基づいて行ったものと聞いております。

  昭和四十九年五月二十六日付、思想新聞に挨拶文が掲載されておりますが、総理の記憶がこれに基づいたものかどうかは定かでありませんが、今日、総理は「おおむねこういう趣旨の発言をした記憶がある」と言われている、と聞いております。

  こういう書面を、あの御質問後、こちらから確認を委員部を通じてさせたわけです。それが昭和五十二年の四月五日に内閣参事官の古川さんから委員部あて、念のため書面で確認をさせたわけでございます。

○ 横山委員

 そういたしますと、善意か悪意かは別として、総理大臣が予算委員会で言ったことは間違いであったということになるわけであります。これはきわめて重要な問題でございます。私は、別途この問題について総理大臣が措置されるよう、この機会に福田法務大臣並びに委員長にも善処されるようお伝えを願い、要望をいたしたいと思います。

 それから委員長にもう一つお伺いをいたします。決して他意のあるわけではございません。しかしながら、この間政務次官にも、きょう法務大臣にも、やはり質問をする立場からいって、その人個人の原理運動及びそれに関連をいたします問題についてのお立場というものを明白にしてもらいたいからでございます。

 ここに一九七四年五月七日、いまお話をいたしました当時の福田大蔵大臣が出席をいたしました希望の日晩さん会の参加者名簿がございます。福田大蔵大臣を初めずらっと政治家の名前が載っておりますが、元大蔵政務次官上村千一郎と名前が記されております。委員長は御出席をされたのでありますか。

○ 上村委員長

 はっきりした記憶はございません。その際、秘書が出ておるかどうかという程度しか記憶がございません。別段深い記憶がないということだけをこの際申し上げておきます。

○ 横山委員

 それはいかがかと思います、率直に言って。私はその件を初めから承知をしておったのであります。けれども委員長としての権威その他を考えて遠慮をしておりました。そして、いま御報告があったような数々のことを私は委員長に申し上げたはずであります。このときに委員長が自分の行動に関連ありとお考えなさらないはずはないと私は思っておりました。当然、ここに名前が出ておるわけでありますから、委員長は自分の行動に関連ありとお考えになるならば、少なくとも当時の事情を政治家として調査をされ、こういう機会に、私が委員長のお立場も考えて——これは方々に出ておりますから、委員長として、質問があればみずからの身の処し方を抗弁されることを当然私は期待をしておったわけであります。

 いま承ると、出ておったか出ておらぬかわからぬということは、いささかどうかと思うのでありますが、本当にあなたは出ておったか出ておらぬのかおわかりになりませんか。

○ 上村委員長

 いま申し上げておきますが、深い記憶はないのです。そのときの問題につきましては後からよく調べさせていただきたいと思います。それほどいまのところ記憶はないのです。

○ 横山委員

 場合によればこの名簿を委員長にごらん願ってもよろしいのです。これほどたくさんの人が集まって、文鮮明が出席をして、福田大蔵大臣、倉石農林大臣等々が出席をした大きな大きな晩さん会でございます。それから、カラスの鳴かぬ日はあってもこの種の問題が記事に載らない日はないというのに御記憶がないということは、私はいささか不思議に思いますね。これは一遍正確に——発言してしまったことですから取り返しがつきません。私は、さっと委員長がこの事実について御釈明をされ、さっとそれならば結構ですというふうに了解しようと思ったのですが、それではいたし方がございません、御調査の上次の機会に委員長のお立場を明白にされることを望みたいのですが、いかがですか。

○ 上村委員長

 承知いたしました。

○ 横山委員

 警察庁御出席でございますね。

 原田一三さんの出しました文書、この四ページ目、原田さんたち、この十人ばかりの人が警察で、二階の取り調べ室で三名別々に尋問を受けたという事実でございます。「あんたの子供はそんなにだらしないのか」、また最後に、「あんた達が事件として正式に訴えるなら 協会はあんた達を住居侵入、不退去罪で訴えると言っている その時は東京に出て来て裁判をやるようになるがいいかね」、一体どちらの立場で物を言っているのでしょう、警察は。言語道断と私は考えます。全然問題にならぬじゃありませんか、この答弁は。「あっちこっち過激な共産党員がいるから彼等は立ち上っているんだ」とか、「あんた達が協会に行ったから暴行されたんだ 行かなきゃそんなことにはならん」とは何事ですか。ばかにしているですよ、この父母を。御答弁を願いたい。

○ 吉田(六)政府委員

 調査した結果に基づきまして御答弁申し上げます。

 この事案は三月七日の午後七時ごろでございまして、一一〇番の通報によりまして、その一一〇番の通報の内容は、三名くらいの男の人が抗議に来ているということが協会の警備員からあったわけでございます。そこで、一一〇番に基づきまして、宿直の警察官がパトカーに乗りまして現場に行き調査したところ、この一一〇番をした佐藤という人が、建造物侵入、不退去の事実があるが、余りしつこいので門の外に出したまでです、殴る、けるの暴行はふるっていない、早く帰ってもらいたかっただけだというようなことを申しておったわけでございます。

 そこで帰ってまいったところ、間もなく、父母の会の三人の方が署にやってこられました。そしていろいろとお話があったわけでございます。協会内の開いている通用門から入って、自分の子供たちが統一教会の宣伝に惑わされて入会させられ、いずれかに連れ去られている、これは罪悪であり若者に対する搾取であるから、両親のもとに帰さなくてはならぬ、この不法な行為に抗議するとともに、責任者の説明を求めたいということで参られたそうでございますが、その際、受付の女の人と警備員の佐藤の両人が、関係者はいない、お引き取りくださいというような退去要請をした。しかし三人の方はこれに応じなかったために、警備員の言うことには、原田さんの右腕と林さんの左腕をつかみまして門外に押し出した、こういうことであったようでございます。その際、原田さん、林さん両名の腕に、赤くはれる程度の暴行を加えたような形跡があったということは承知したわけでございます。

 そこで、警察署としましては、三名の取り調べ官がそれぞれこの三人の方の事情聴取を始めたわけでございます。つまり供述調書をとりまして、それによって事件を確定していこうということの調書作成を始めたわけでございますが、午後八時ごろ、それぞれ三人の方は、こんなめんどうなことはいやです、供述調書などつくらなくても話を聞いてください、話を聞いていただくだけで結構です、後日裁判にでもなったらそれこそめんどうです、子供に悪い結果となるというようなことを申されまして、いずれも調書の作成の途中で、調書作成を中止してほしいということで中止の上、お引き取り願ったわけでございます。

 その事情聴取した警察官の言動について、このような書面が出ておるわけでございますが、私どもの調査したところでは、一般論といたしまして、家庭が厳し過ぎると入部の原因になる、また一方、家庭が放任の場合でも入部の原因になります、それからまた、家庭に問題がなくても子供の側に問題があることもあるというようなことを、家出したり非行に走るようなことにつきまして、一般論として話したことはあるという報告を受けております。

○ 横山委員

 私は、この文書をあなたの方へわざと先に、御調査ができるように本委員会の前に出してあります。あなたのいまの話は、渋谷警察が言っておることを私に取り次いだだけですね。私はこの問題について容易に下がりませんよ。行って、逐一国会の問題として取り調べましたか、その警察官は。あなたの言うことは、この一番最後の「あんた達が事件として正式に訴えるなら 協会はあんた達を住居侵入、不退去罪で訴えると云っている その時は東京に出て来て裁判をやるようになるがいいかね」、こういうことを言われれば、今後はあなたがいま報告されたような答えが出てくる可能性がある。その一つ一つについてあなたは真剣に調べましたか。全く人ごとみたいに、部下がこう言っておりますからお取り次ぎいたしますと、そんな不誠意な報告がありますか。どうなんですか。

○ 吉田(六)政府委員

 私自身警視庁へ行きまして、渋谷署について取り調べをしたわけではございません。警視庁を通じましてきょう間に合うように一応の事情聴取を警視庁からやってもらって、受けた報告に基づいてただいま答弁申し上げた段階でございます。

○ 横山委員

 あなたはそれで自分自身は納得しているのですか。これだけ具体的に、「あんたの子供はそんなにだらしないのか」「子供がだらしないのは親がだらしないからだ」、こういうふうに言われたということを訴えているわけですよ。これは国会の場ですよ。それをあなたは、警視庁へ行く、警視庁は渋谷署を取り調べる、渋谷署が電話で抗議してくる、あなたの方へ警視庁から電話がかかってくる、ああそうですか、それならそういうふうに言いましょう、それなら子供でもできるじゃありませんか。渋谷署が——今日始まったことではない、協会本部と父母の会のトラブルは年がら年じゅうあるわけですよ。いまに始まったことじゃないのですよ、これは。渋谷署が協会に対して癒着しておるという恐れがある、私はそう言っておる。それはどういう意味の癒着か、それはまあいろいろありましょう。うるさいから、めんどうだから、言っても何にもならぬから、前にこういう経験があるから、そういうようなことだろうと思うのですが、余りにも訴えに対して不親切。脅迫じゃありませんか。この文書出たら、協会本部だってこういうことを言っているのだから、警察と協会が一致しているということなんです。そういうことになるじゃありませんか。よくもまあそういう答弁であなたは受け売りをしてますね。あなた自身がそういう報告について納得をしているのですか。納得する、せぬは別として、一応報告だからお伝えするというのですか。あなた自身はその報告に納得しているのですか。私が国会議員の権威にかけて出しておる文書に対して、そんな報告で私が納得するとあなたは本当に思っているのですか、どうなんですか。

○ 吉田(六)政府委員

 昨日これを指示しまして、調査をする段階で昨日の夜までかかった段階でこの程度でございますので、具体的に個々の問題について調べるとなりますと若干の時間を要するというように御了承願いたいと思います。

○ 横山委員

 厳重に再調査を願います。そして場合によれば、この原田さん、それから当時の警察官、渋谷警察署長、それを私は参考人としてここへ出席をお願いをするかもしれません。これは委員長にひとつ御善処をお願いしたい、その調査報告に基づいて。

 この原田さんの中にもう一つございます。ほかにも単身協会に出向いて暴行を受けた女性がいると聞いています。その方は、三重県松阪市鎌田町朝日町四二八、浜田智恵子さんであります。智恵子さんの文章を読み上げます。

  長女〇子がただ今統一協会思想により行方不明になっておりますがその行先について統一協会側が知っているに違いないという確信と証拠品をたずさえて、本年三月八日午後四時ごろ松濤(しようとう)本部を訪ねた時の事です

  前々日 丁度 協会入口に「団体行動には応じないが個人の話し合いならします」と明記した立札が立ててありましたので、これなら話し合いが出来ると喜んで一人で出かけました

  然し一つ心配なことがありました、それは、昨夜、やはり個人面談に行かれた三人の方々が協会入口でおし戻され 腕に青あざがついた等それぞれ恐怖談をされたのを直接聞いていた事です

  それで先ず保護願いのつもりで警察署に相談に行きました もしそんな事があればすぐに百十番して下さい すぐに行ってあげますという約束を得て出かけました

  教会の門も入口のドアも開いたままになっておりました せまい玄関すぐの受付の二人の女の子に「○○県から出てきた○○です 今日は総務部長の橋本さんがお見えになるそうですから是非面会させて下さい」と頼みました 受付嬢は「電話しましたか」「ハイ昨夜頼み、今朝九時頃又電話するようにとの事だったが、九時には橋本さんは見えていなかった 九時二十分頃かけた時には見えていた云云」と話しましたが「今はいられない」との事でした 「本年一月六日にも林のぶ子さんと

林のぶ子さんというのは婦人部長であります。

 面談する約束ができていたのに、連絡もなしに約束が破られてしまった、橋本さんが留守なら林さんでもよいし、大貫(おおぬき)さんも東京へいらっしゃいと言われた事もあるし」と大貫さんの名刺も見せ「誰か年配の人に会せてほしい」と頼み 廊下のくつぬぎの端に手さげ袋をおこうかと体を十度ばかりかがめた時です

  奥から出てきた紺色の薄手の毛糸 V衿のカーデーガンを着た村越八郎という二十才過ぎの男が いきなり無言で胸ぐらをとりぐいぐいと押し戻しました 「失礼ね、女に向って何するの」と言ったら今度は両手で突きとばしました、危く石段からころげ落ちるところでした、村越はすぐにしきりの戸をしめて中へ入ってしまいました、なるほど暴力団だ これではとても面会はできないと思い、又、現場でないと受けつけてくれない 証拠にしてくれない警察の模様を思い浮かべ すぐに百十番しなきゃという思いにかり立てられました 附近で公衆電話を確かめてから入らなかった事を思い、又一度出たら、今度は入れないだろう事も考え すぐ横にあった受付窓口の電話機を取って一一〇とまわし「もしもし」「もしもし」と二度呼んだ時の事です

 事務室にいた教会員があわてて電話機を取りあげようとして、ガラス斜めに手をつき出したものですから ガラスが破れて、その破片で受話器を持っていた私の右手背が切れて血がふき出してきました

  こちらが百十番しようとしたのを、こんなに無理に取りあげておいて、すぐに又教会側があわてて百十番してパトカーを呼んでいました

  別の子は、「早く入口をしめて!」と、女の叫声も聞えました 入口のドアのみならず表の門の扉にも錠をかけていました パトカーが来た時この錠を取るのに手間どっていました 一坪ばかりのコンクリート床の密室となってしまいました 受け付向い側の所から 白の横じまの入った水色のセーターを着たずんぐりと肥えて背も人並以上に高い大柄の佐藤公基(こうき)という三十一才の男が出てきて 写真をとろうとしましたので「何故写真が必要なの」と言いながら、取らせまいと右手をぐるぐると廻したり、左手にずっとかけていた二個の手さげ袋で顔をかくしたりしました、するといきなり佐藤公基は、足をあげ茶色の革靴で、私の左下腿をけってきました ズボンと厚い長靴下をはいたにもかかわらず、相当大きな靴だなあと思うはっきりした靴跡の青あざができました 痛みで思わず顔をかくしていた手をさげた途端 今度は又足をあげて顔をけってきました、左眼の所に当って 一時間位眼がボーツとしておりました こんな所にいては命も危いと思い、無中でもう帰るというと大きな片足を壁にかけて、足の棚をつくり、通せんぼをしました 事務室には男女が四、五人いたようです、そして「早くテープに取って」とも叫んでいました、その時何の用か「さとうこうきさん」と事務室の女の子が呼びました、私はとっさに「私は今佐藤公基さんに暴行を受けました 佐藤公基さんに足をけられました、眼をけられました」と叫んでやりました 目的は、テープに録音させる事と、さとうこうきと聞いた名を忘れない為でした、佐藤公基は「名前を呼ぶな」とすごい顔でどなっていました そして私をぐいぐい後の、入口と反対側のしきりに押しつけてきましたので側頭部を打ち、こぶができてきました

  やっとパトカーがきましたが、すぐに協会建物に入れない様子で教会員はかぎかぎと叫んでいました、そして途端に、佐藤公基はおとなしくなりました

  若い二人の警察官はすぐに外へ出ようといいましたが、私はここで現場検証でなければいやだと言いました、名前はと聞くので、ちょうど村越も出てきていたので、この二人に暴行を受けたのだから、二人の名前も知らせてくれるのでなければいやだと言いました 私が住所氏名生年月日を言っている間に、佐藤公基は横へ入って革靴を茶色の、うすいつっかけとかえてきていました それから、加害者二人と、四、五人の教会員のいる前でどこでどうされたか等私は説明しました、教会側は何も言いませんでした 勿論何のうそもないのですから言えないはずです 後で若い警察官は、奥へ入って教会員にごそごそ聞いていましたが、聞く事があれば公明正大に両者のいる前で聞いたらよいと思い、納得がいきません

  以後の事は省略しますが、私はあと五ケ月で満五十才になる女性です おまけに旅行荷物を入れた布袋を、二個も片手にさげたままです こんな相手にどうしていきなり暴力を振うのでしょうか 佐藤公基は「名前を呼ぶな」と一言同僚に言っただけであとは無言の暴力又暴力です 受付で正式に出身地や名前及用件を言っているのに 何も不法侵入になりません、どこでも当り前です

  又、統一協会は何故両親達と話し合う事をこばむのでしょうか、地方の協会でも同じような時があります、すなおに会えない、拒否するところは後暗い事が多分にある証拠でしょう

全文がありますが、要するに、この前の方の文章はその前の経緯を書いておるわけであります。

  そして、ここに診断書がございます。

  一、病名 頭部・顔面・左下腿打撲傷
      両手背擦過傷
  三月八日暴行による受傷(患者供述)と思われる背擦過傷及び左下腿皮下出血・側頭部の左痛あり、全治迄五日間を要する(受傷より)
  右の通り診断します
      恩賜財団済生会松阪病院

どう思いますか。

○ 吉田(六)政府委員

 とりあえずの状況報告でございますが、また一方的だとおっしゃられておしかりを受けるかもしれませんが、こちらのとりあえずの調査の結果について申し上げますと、三月八日の午後四時十分ころ、先ほど御指摘のように協会側から一一〇番がかかってきた。そこで、パトカーで警察官二人が急行いたしまして、関係者を別々にして事情聴取したところ、お互いに興奮されておりまして、浜田さんが事務所を訪れ、中に入る、入らないというようなことからトラブルが起きたものと一応判断できましたので、さらに事情を詳しく聞くために、まず、浜田さんにパトカーに乗っていただいて、署に同行していただいたわけでございます。そのとき、浜田さんの指から少し血が出ておったという状況がございます。そこでパトカー員が血をふいてやるなどのことをやっておりますが、この出血はいま御指摘のような電話器の授受の際に生じたものというように判断できるわけでございます。

 そこで、署内で浜田さんから事情を聴取いたしまして、被害届け提出をされますかどうかというように伺ったところ、浜田さんは、被害届けは出さないが協会の人と会いたい、こうおっしゃいますので、担当警察官が協会の橋本総務部長に電話いたしまして、浜田さんと会うことについての仲介の労をとっております。

 橋本総務部長は警察で会うのをいやがり、外で会いたいということでございましたので、浜田さんの了解も得まして、署の前の渋谷区渋谷三の一八の五の喫茶店のラケルを紹介し、同店において二人の方は午後七時四十五分から九時四十五分の間面談いたしております。

 担当警察官は少し離れたところで同席しておりましたが、会話の内容は、浜田さんの娘さんが原理運動に入り行方がわからない、協会の林という婦人部長に捜してもらっているがはっきりしないといったような内容を話しておったということでございます。

 その後、喫茶店における話し合いの後でございますが、浜田さんが遅くなって帰れないと言うので、担当警察官は、渋谷区桜ケ丘十七の十一の葵旅館まで同道いたしまして、同旅館の宿泊をあっせんいたしております。

 翌三月九日の午前九時三十分ころ、浜田さんは署に訪ねてこられまして、担当警察官に礼を述べて帰られたというのが私どもの聞いている状況でございます。

○ 横山委員

 少なくとも五十の女性です。しかも、あなたの方御存じと思いますが、教職にある人です。そして相手は、いま浜田さんが、ここで私が説明したように、全く無法なやり方です。そういう場合にあなた方は、当事者同士だから対等の立場で扱えばいいとお思いでしょうか。これだけ協会の本部でやりたいほうだいのことをされて、あなたは調書をとりますか。とらなければそれでおしまいですよ。現にそういう犯罪が行われているのに、あなたの方はそれでおしまいですか。私は、先ほどから言っているように、渋谷署の協会に対する態度が常に調停、事件が起こっても調停、そしてどちらかと言えば、先ほどの原田さんの話のように、不法侵入だ、父母の会の諸君は不法侵入だ、そういう扱いをしておるような気がしてならないのであります。面会に行く。断わられた。断わられたら仕方ない、それを押して侵入してはいかぬというような、常に協会側の立場に立っておる、そういう疑いを私は持たざるを得ない。それは旅館へ送っていくのもいいでしょう。あっせんするのもいいでしょう。いいけれども、基本的に父母と協会とを対等の立場で扱って両者に話をさせる、それを年がら年じゅう渋谷署はやっているのじゃないですか。協会でどんな犯罪が起ころうと、父母の会が、それでこちらが言うように告訴するなら向こうも侵入罪で告訴するぞ、裁判だぞ、うるさいぞということで結局あなたの方が眠らせているのじゃないですか。この浜田さんの診断書がここにあるのですが、これをどうします。

○ 吉田(六)政府委員

 浜田さんの告訴の意思がございますならば、事件として捜査いたします。

○ 横山委員

 しかし、浜田さんの診断書はあなたの手元に行っているはずだ。そして浜田さんの手紙をいま読み上げたはずだ。事件がもう起こっているのですよ。なぜ調査をせぬ。

○ 吉田(六)政府委員

 診断書が出ておるかどうかを調査した上で捜査をやりたいと思います。

○ 横山委員

 きのうあなたの方に——あなたは調べられたのでしょう。これはコピーしてあなたの方にお渡ししてあるはずだが、あなた、ないと言うのですか。この手紙はあなたの方に行っているのでしょう。行っていないのですか。それならどうして調べられたのですか。そういういいかげんな調査をしておって何をやっているのですか。ちゃんと予告して届けてあるじゃないですか。

○ 吉田(六)政府委員

 この診断書の写しは拝見いたしておりますが、これが署に届いておるのかどうか確かめてございません。

○ 横山委員

 署に届いておるかどうかと言っても、あなた、そこに写しを持っているでしょう。そこにあるでしょう。写しだからだめだと言うのですか。写しだから証拠にならぬと言うのですか。私はそういう態度がけしからぬと思っているんだ。体裁のいい調査だけやって、そして協会に関する問題はまあまあ、まあまあという態度がけしからぬ。普通だったら写しだけでも直ちに調査にかかれるはずじゃないですか。現に事件が起こっているじゃないですか。

○ 吉田(六)政府委員

 早速調査いたします。

○ 横山委員

 大臣、ときどきあなたに言いますけれども、原理運動の問題はことほどさようなのです。これだけはちょっと……。

 次は、文部省に伺います。

 愛知県立一宮西高等学校、数学教師小邑明彦、自宅に心情教育研究会の看板を掲げて運動していました。そこで学校の生徒、自分の教え子を学校から誘って自宅の心情教育研究会、塾に学ばせる。そして原理運動の教育をする。これが五十年、おととしでございますが、問題になりまして、三月二十八日に学校長及び県教育委員会へただすという問題になりました。四月二日には県庁へ来て直接抗議、被害が出ているところの実態報告もし、糾弾を要求いたしました。

 それから豊橋の桜丘高校、小倉、長谷川という先生がいます。この小倉、長谷川の先生もまた原理運動の信奉者であります。

 生徒の被害の事実

 「A子さんの場合」

 昨年六月頃、小倉氏に化学室へ呼ばれて、社会福祉同好会への入部をすすめられる。そして、八月十二日〜八月十五日の間、小倉氏にすすめられ、三泊四日で名古屋の修練会(集団結婚式で有名な統一協会主催)に参加した。その時には小倉氏が家庭を訪ね、部の合宿であると言って、親をだまして連れ出している。また、豊橋にある統一協会へ小倉につれられて二回程行っている。小倉氏は昼休みに本校の階段教室で原理講義を行い、A子さんもそれに参加。又、十一月二十三日〜二十四日の連休日に高級組として、小倉氏の下宿で講義をうける。現在、A子さんは学校をやめたいと発言しており、その影響はかなり強い。

これはもう五十年の問題でございますけれども、その後の状況はわかっておりません。

 「B子さんの場合」

  A子さんに推められ、一月三日〜七日に名古屋の修練会に参加。この生徒は運動部の主要メンバーでかなり有望な選手である。運動部顧問もかなり心痛し、取り扱いに苦労している。生徒にさそわれてと言っているが、小倉氏の糸引きがあったことは確実。この生徒も動揺が激しい。

 「C子さんの場合」

  小倉氏に推められ、夏休み四泊で名古屋の修練会に参加した。この際、A子さんの場合と同様、父兄には、クラブの合宿だと、真赤なうそを言って連れ出している。その後、学校の内外で、たびたび原理講義を受けていた。その間、この生徒は家庭内で口をきかなくなるなど態度も変化し、素直な良い子だったが、親に反抗するようになった。そして、家庭不和となり家出をした。(豊橋の協会にも出入りする)現在、この生徒は立ち直りつつある。この生徒の御両親は今回の事態に対して、極めて激しい怒りを表わしている。家出については、本校の職員にすぐ連絡があり、大事にならなかったのが不幸中の幸いであった。

 「D子さんの場合」

  昨年九月末、勉強中に居ねむりした状態の中で、身体が金縛りの状態になり動けなくなり、この事を友達に話したところ、小倉氏の耳に伝わり、小倉氏が「霊が体内にあるから、そうなるのだ」とおどかされ、その後同好会に入部。十一月二十三日〜二十四日、小倉氏宅で、スライド利用による原理講義を受ける。また、十二月二十五日〜二十八日の同好会合宿と称するものに参加。そこでまたまた原理講義を受ける。二川に居る霊媒者の所へも行っている。この同好会に入部して以来、家庭で「私の気持ちなどわからないんだから」等々反抗的な発言が多い。同好会解散後は多少収まる。また十二月頃に、英心園での清掃中に部長より「古井、原(注両氏とも先生)に部でやっていることを言うな」と言われる。まだ原理講義は正しいと言う発言もある。影響はまだはっきり残っている。この生徒の家の近所では変な宗教にこっているというウワサあり。

 「E子さんの場合」

  昨年十月入部。小倉氏宅へ行ったのは十回以上である。十二月二十五日〜二十八日の合宿に参加(合宿は小倉氏が言い出す)。小倉氏が韓国での集団結婚式に行ったのは知っていた。(結婚相手が何人かは知らず)小倉氏から受けた原理講義は正しいではないかと思っている。この一年間は反対するから、やめるけれども、卒業まで気持が続いたらこの方向へ進みたいと言明している。極めて、影響が強いものと考えられる。

 「F君の場合」

  一年のとき、小倉氏宅で補習を受けた。そのうちに社会福祉同好会をつくることになった。そして、昨年八月二十九日〜九月一日に桜丘豊根山荘で合宿、小倉氏より原理講義を受ける。その際、女子部斉藤氏も参加。合宿を一日早く終え、名古屋の修練会へ小倉氏が車で送りこむ。現在F君は原理はばかばかしいものと判断し、同好会をやめている。

 「G君の場合」

  F君と同様、一年のとき、小倉氏宅にて補習を受けたと思われる。十月下旬から十一月初旬にかけて、担任である小倉がこの生徒宅をしばしば訪問した。そのころから同好会を含む小倉氏との接触が始まる。この生徒の父兄は小倉氏が数学を教えてくれるということを信用し、小倉氏宅に宿泊することを認める。(他の生徒と同様、実際は原理講義を受けることが中心だった)交通事故発生後に同好会の部長となる。現在では、この生徒は自ら原理講義をすることが可能であると言明している。深入りの状態だ。

  ◎ 小倉氏の統一原理の布教活動の実態について

 ○ 昨年六月頃より、生徒に数学を教えるからと言ってだまし、社会のためになるからと称し、社会福祉同好会へ生徒を勧誘、その際の生徒は優秀なものが対象としてリスト・アップしている。
 ○ 昨年夏休みに桜丘豊根山荘の合宿に男子七名が参加。三泊四日の間、ほぼ缶詰状態(統一協会の洗脳手段)で原理講義を実施。
 ○ 生徒に豊橋の統一協会を利用させる。
 ○ 冬休みの十二月二十五日〜二十八日御津の生徒宅にて、女子七名、男子四名が参加し、小倉氏が講師となり、スライド使用による原理講義を実施。また午前中授業の際、時々、学校内において原理講義を実施。
 ○ 十一月二十三日〜二十四日、ミステリーの顧問長谷川氏と組み、高級組を自宅に於いて、スライド使用による原理講義をし、男子生徒の中には泊まった者もいる。
 ○ 名古屋の修練会へ多数の生徒を送りこむ。

  ◎ 教育の場と地位を利用して、特定宗教(原理)を布教した問題点

 ○ 新聞紙上や雑誌で取りあげられている「統一原理」は反社会的ということで一致している。特に相手がどこの誰だかわからないような集団結婚に、多くの恐怖感を国民に与えている。

これは書いた人の説明でございます。あとの説明については省略をいたします。

  ◎ ミステリー同好会の被害。(長谷川氏顧問)

 「H子さんの場合」

  六月に入部、夏休みの豊根山荘での合宿に参加。八月末頃三日間特別原理講義をうける。以後殆んど毎日曜日講義をうける。また十一月二十三日〜二十四日長谷川の命令により小倉氏宅で高級組に入り、講義をうける。原理について十二月頃不信に思い、先生と論争、ケンカとなり、以後部に参加せず。まもなく長谷川氏より母親へ電話が「大学入試の準備をしなければならないから、色々話しをしたい、子供を家へよこしてくれ」という内容であった。現在も本生徒動揺している。

 「I子さんの場合」

  H子さんと同様、豊根山荘合宿に参加。十一月二十三日〜二十四日に初級組として長谷川氏宅へ行く。また十二月二十四日クリスマス会に参加。また、「原理講論は世の中の法則だから、これを一生懸命やれば、勉強を通して得られるものと同じものを得られる」と長谷川氏に言われ、I子さんは一生懸命やれば、勉強が出来るようになる印象を持ったと発言。そして、十二月頃、この生徒が家で統一原理の話しをし、父母が知り禁止をする。「その宗教はいけないからやめなさい」と母親が言ったところ、この生徒は「根本的精神が正しいから良い」と発言、そのため、若干家庭内でもめごとあり。現在、多くの先生方の指導の結果、状態は健全になりつつある。

いま長谷川という先生の関係でありますが、余りたくさんだと時間がかかりますが、そのほかにもずっとございます。

 こういう県立高校、私立高校で、先生がその地位を利用して生徒を勧誘して、自宅へ招いて原理講義をして、修練会へ送り出して、修練会から先ほど大臣ちょっと言った教育システムの中でいろいろな問題に波及していくということについて、文部省は御存じでございますか。

○ 石井説明員

 ただいま先生が御紹介になりました二つの学校の件につきましては、私も先生の御紹介で私どもの方においでいただきました山田副会長からある程度のことはお聞きしております。

○ 横山委員

 文部省に私は伺っているのですが、御存じですか御存じでないですか。

○ 加戸説明員

 ただいま御質問に出ました県立一宮西高校の小邑明彦教諭の件に関しましては、自宅でそのような塾のような形態で原理運動らしいものを行っていたという事実は、県の教育委員会を通じて事情はある程度承知いたしております。ただ、この教員につきましては、原理運動に専念するためかどうか、そういった観点だと思われますが、昨年の八月一日付をもちまして依願退職をいたしております。

 それから私立桜丘高校の件に関しましては、私どもの直接の所管ではございませんので十分な把握はいたしておりませんが、ただいま県教育委員会を通じて事情を一応調査している段階でございます。

○ 横山委員

 一宮西高校の方はやめたから済んだと言わんばかりの話でございます。私が例証に挙げたのは、県立高校の先生が自宅に心情教育研究会の看板を掲げ、生徒、自分の教え子を教師の地位を利用してうちへ呼んで原理講義をして、修練会へ出して、それから後刻ずっと申し上げますような、やれ街頭の花売り、つぼ売り、あるいは寮生活の大変な教育システムのところへほうり込んで、親とけんかして家出して、行方不明になって、精神病者になっていく最初のスタートを学校の先生がやっているということなんですよ。それをどう思うかと言っているのですよ。

○ 加戸説明員

 教育基本法の第九条におきましては、「国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。」という規定がございまして、学校で特定の宗教を教えるあるいは宗教活動を行うということが、教育基本法の精神として禁止されておるわけでございます。しかしながら、勤務時間外あるいは学校を離れました場合の活動につきましては、現在の法令の規制するところではございませんけれども、趣旨といたしましては、児童生徒に対します教育の立場にある教員が、子供たちの内心の自由に立ち入ってまでいろいろな活動をすることが、特に自分の担任する学校の生徒の場合であるとすれば、好ましい形態とは考えられないと思います。

○ 横山委員

 この三人の先生は学校でもやっている。自宅で本格的にやっているけれども、学校の教室でまず最初にやっているのです。学校の教室でやって、それで誘い込んで自宅で教育して、それから修練会へ送り込んでいく過程ですね。あなたの答弁を聞きますと、まあうちでやるならそれは法には触れぬわさと、こんななまやさしい考えを本当にお持ちなんでしょうか。この小邑明彦という数学教師が自発的退職したからそれで済んでいます、そんなことでいいんでしょうかね。なぜそれがわかっているんですか。なぜ措置をしませんでしたか。教師がそのような地位を利用して特定の宗教活動をするのは、学校でも自宅でもいかぬとはっきりした態度をなぜとらなかったんでしょうか。あなたに言っても仕方がないと思う。しかし、私がいま例証に出しますのは三人だけですが、ほかにもあるんですね。本年、先般文教委員会で筑波大学の副学長が学内の原理運動に対して非常なシンパで、そして自分もいろいろ投稿して、そして政治討論会に五党を呼ぶのはいかぬけれども、この種のビラをまきこの種の会合をするのはよろしいと言っているのです。上は筑波大学から下は高校、私学に至りますまでいまそういう状況に、文部省としては超然としておるつもりですか。私はあえて言いますが、原理運動の是非をいま論じているわけではありません。ありませんが、教壇で教師の立場を利用して子供を原理運動へ引き込んでおる先生、そのあり方について文部省はほうっておくつもりですか。まだほかにあるんですよ。措置をなさいますか、なさいませんか。

○ 加戸説明員

 先ほど先生がいろいろ事例を指摘されました件につきまして、特に私立高等学校の件に関しましては、私立学校におきます宗教活動は現在法令上の規制がございません。御存じのように特定の宗教法人立の学校もございます。そのための宗教活動を行っている場合もございます。そういった観点で、私立学校につきましての宗教的活動は事実上放任されているような形態でございます。ただし観点を変えまして、学校教育を受ける生徒が本当に学校教育に専念をし適正な教育を受けて学校を巣立っていくということが本来の姿でございますから、生徒補導とかそういった別の観点から考えますときに、そのような形で必ずしも正常でない教育状態に置くということは適切でないと私ども考えるわけでございます。

 ただし、このような問題につきましては、私、地方課長でございまして、ちょっと所管外の分野でもございますので、帰りまして上司に報告させていただきまして、検討させていただきたいと思います。

○ 横山委員

 あなたで答弁できないことを何ぼ聞いたってこれはだめだ。私は局長に出てもらいたいと言っているのに、あなたが出てきて、私には権限がないから何の答弁もできないと言うなら帰ってちょうだいよ。教育というものを大事に思えばこそ、この桜丘高校でもそれから一宮西高でも、他の先生は必死になって子供を取り戻しているのですよ。努力の跡が先ほど読み上げた文章の中に出ているでしょう。必死になって他の先生や学校側はその子供を取り戻そう、正常な形に返そうと思って一生懸命になっているのですよ。教師というものがその地位を利用して、学校の方針にも全然関係ない、ひそかに自分の地位を利用してうちへ呼んで、そして特定宗教を教えて修練会へほうり込んで、そしてその子供がどうなっていくかということについて、これは私のお答えできる筋合いではないと言うなら、一遍帰って、しかるべき責任者を今度出してください。いいですね。

○ 加戸説明員

 帰りまして、関係の課及び上司に先生の御要望のございました点を御報告さしていただきます。

○ 横山委員

 ついでにもう一つだけ、あなたお帰りになるなら言っておきましょう。

 国際指導者セミナーというものがございます。これは日本各地でもやりますけれども、アメリカへもたくさんの人を送り込んでおるわけであります。これは国際指導者セミナー、招待は国際文化財団会長久保木修巳、名誉会長岸信介となっております。そして総裁は朴普煕、KCIAの幹部と言われております。第五回は五十二年七月二十五日から八月二十一日まで約三週間ニューヨーク。私はこの国際指導者セミナーが東大を中心として学生の中から非常に反発が起こっておるということを申し上げたいのです。いまこれが違法だとか不当だと言っているわけではありません。けれども、文部省にも法務大臣にもよく聞いていただきたいのですが、そういう体系的な教育システムが国際的に、それから高校の私学からあるいは県立、国立に至りますまで、体系的な教育活動が行われておる、そういうところからこの原理運動が発展しておる、このことを御銘記を願いたいのです。教育問題としてまだ多くの語るべき点がございますが、まずその国際指導者セミナー、筑波大学、そして一宮西高校、桜丘高校、そういう体系的なものが駸々乎として行われておるということを、文部省もそれから関係各省も十分頭に置いてもらわなければなりません。個々の一つ一つの、一宮西高であった問題について私は追及いたしますけれども、全体としての一つの体系、システムというものが出発点になっておるということを御銘記を願いたいと思う。容易なことではありません。単に一宮西高の先生が自然退職したからそれでいいというものではありません。各地の全国の学校で、場合によれば小学校でこの種の問題が行われておるということを私は警告をいたしたいのであります。

 それでは、文部省につきましては、御検討の末さらに御答弁を承ることにいたします。

 それから、その次が街頭募金の問題であります。

 東京都の条例を見ますと、金銭物品等の寄付募集に関する条例がございます。

 それから、更生緊急保護法というものが御存じのようにありまして、これも募金についての定めがございます。罰則は十七条三号「第十四条第一項の規定による許可を受けないで寄附金を募集した者」、四号「第十四条第二項の規定による条件に違反して寄附金を使用し、又はこれによって取得した財産を処分した者」は六カ月以下の懲役または五万円以下の罰金。

 社会福祉事業法六十九条にやはり寄附金の募集の条項がございます。罰則は、八十四条四号「第六十九条第一項の規定による許可を受けないで、又は同条第二項の許可条件に違反して寄附金を募集した者」、五号「第六十九条第二項の規定による条件に違反して寄附金を使用し、又はこれによって取得した財産を処分した者」、これは六カ月以下の懲役または五万円以下の罰金。八十五条一号「第六十九条第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者」は一万円以下の罰金。

 道路交通法、やはり七十七条の道路の使用許可等に当たりまして、所轄警察署長の許可を受けなければならないことは御存じの通りであります。罰則は百十九条一項十二号、三カ月以下の懲役または三万円以下の罰金。百二十三条、両罰規定、「行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑又は科料刑を科する。」

 東京都道路交通規則もまたございます。

 東京都を含めて各県にも条例がございますけれども、要するに、街頭であるいは戸別訪問して寄付金を募集するということは、いまでは勝手にできない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。

○ 吉田(六)政府委員

 法律に定めるもののほかの一般的な募金行為でございますが、都道府県あるいは市町村て定めているところ——いないところもございますが、そういうところにつきましては、先生の御指摘のとおり、許可なくして行ってはならないというふうに理解しております。

○ 横山委員

 そうすると、地方では決めてないところがあろう、しかし、地方ではたとえば更生緊急保護法だとか、社会福祉事業法だとか、そのほかの決めてある法律が適用される、東京都におきましては金銭物品等の寄付金募集に関する条例によってすべて許可を得る、こういうふうに理解してよろしいですか。

○ 吉田(六)政府委員

 御指摘のとおりでございます。

○ 横山委員

 統一教会関係が——関係とあえて言うわけでありますが、お互いだれも新聞、雑誌、いろいろなことで百も知っておることは、街頭において物を売り、あるいは寄付金を求めておるということが、国民が一番最初に接触する原理運動関係者なんであります。午前中西宮委員が数々の例証を挙げて説明をいたしました。これはもう四十五年から今日に至りますまで何ら変わりはないわけであります。そうですね。そのことについて、警察庁は、全国至るところで行われておる原理運動関係者の寄付金募集について調査をなさったことがあるか、あるいはまた、届け出がどのくらい来ておるかまとめたことがあるか、どうです。

○ 吉田(六)政府委員

 国の行う許認可件数につきましては、昭和四十九年におきましては東京都で七百十一件、五十年が五百九十九件、また大阪では許認可が四十九年が八十四件、五十年が七十五件あるというように報告を受けております。ただ、この内容につきましては、原理運動に関係したものであるかどうかということは把握いたしておりません。

○ 横山委員

 この原理運動関係者、関係団体、それらが今日までこれほど問題になっておる一番初動といいますか、一番国民が接触をする問題は、広範に接触する問題は、募金、物品販売なんであります。問題を二つに分けまして、街頭における募金や物売り、それから入信者が家庭においてニンジン茶をたくさんもらってきてそれを親戚その他に三千五百円のものを七千円で売るという問題。そのニンジン茶は金額が高いのですから分けて、まず最初の街頭の問題についてあなたの話を聞きたいのでありますが、私は、もしも警察庁が本当に、先ほどの渋谷署のような問題でなくて、原理運動の募金が先ほど西宮委員が言ったようなやり方をやっておるとするならば、まず一番端緒になるのは街頭募金です。この街頭募金が届け出がされておるか、そしてその金が正しくその募金目的のために使われているかどうか、そんなことはあたりまえの話として調査の対象になると私は思う。やられたことはないのですか。

○ 吉田(六)政府委員

 原理運動に関連した募金運動そのものについて調査したことはございません。また、知事の許可にかからしめております募金条例の許可の状況については、警察庁といたしましては把握してないという状況でございます。

○ 横山委員

 そんなことをぬけぬけと自慢そうに言いなさんな。たるんでいるよ。

 私は、法務大臣、聞いてもらいたいのですけれども、この募金がまず最初の問題だと思うのです。ある入信者、特にきょうは名前は言いません。名前は言いませんが、募金活動については、身体障害者のため、青少年育成のため、ベトナム難民の救済のため、北方領土の問題のため、その場に合ったようなやり方をするのです。新聞を見ておって、事件が起こったら、それに募金にふさわしい事件を見つけて急ごしらえにつくるのです。そしてやるのです。そして一般の募金のほかに、針金のトンボ、人形、それから花、ブンブン、それをまあ五十円ぐらいのものを五百円で売るのです。そしてそれはどうしても、言うならば割り当ての金額のために全力を挙げなければなりません。それは皆お父様に献金するのです。お父様というのは文鮮明です。お父様に献金するのです。身体障害者のあれをつけて募金をして、それを身体障害者の施設に私ども持っていきません、と言うのです。北方領土だからといって、北方領土の関係のところに持っていきません。それならだれかが聞いたらどうするのと言いました。そしたら、たとえばNHKへ一万円か二万円持っていくと領収書をくれる、その領収書をコピーしてみんなが持っているのです。こういうふうに私どもはNHKにやっておりますから、どうぞ御安心ください、こう言うのですよ。あきれた話だと言わなければなりません。しかも、それらでどのくらい金が集まるか、これは大変なことですよ。募金は二十人が一チームで、二週間ぐらいやりますと百五十万は集まります。他のいろいろなことで、一回三百万や四百万は集まります。これはこの人のチームだけではないのですから、全国至るところでやっているのですから、大変な金額なんです。あなたの担当で百五十万も集まりましたか。そんなことはその募金の目的次第で幾らでも集まります。二十人が二週間、百五十万。十四日ですから一日十万円。そんなに、二十人がやったら十万円は目的の表示次第で集まります。それを全国で数百、数千のチームがやっているのですから、その街頭募金の金が一体どこへいったのでしょうか。私は警察庁に調査を要求します。四十九年から今日に至りますまで、原理運動関係団体——私がそんなことを一々言わなくたって、あなたが調査すればすぐわかることです、幾らでも原理運動関係のあれはありますから。ここにも——もし御必要になるならば後であなたにお渡しをしてもよろしゅうございます。原理運動の、統一産業をトップにしてさまざまな組織図がございます。この原理運動の関係団体が四十九年から今日に至りますまで、もう早速お調べ願うのですから東京都だけでよろしい、東京都で募金活動の届け出をしたことはどれだけあるか、それが第一。

 第二番目に、届け出をしていないとするならば、一体、あなた方が調査可能なものでよろしい、どこで募金を無届けで、いつしておったか。それから私が言う、一回で二十人、二週間、百五十万となりますと、膨大な金額です。原理運動関係者が募金をやっていることは周知の事実ですから、なかったとは言わせませんよ。その金は協会本部並びに関係者はどういうふうに使用しておるか。正式に調査をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。

○ 吉田(六)政府委員

 調査可能なものについては早速東京都などと協力して調査してみたいと思います。

○ 横山委員

 わざわざ「可能なもの」というふうにおっしゃいましたね。引っかかりますよ。恐らく私は届け出がないか、ほんの少しだと思いますよ。ところが、東京都内、四十九年から今日に至りますまでこれらの募金はもう枚挙にいとまがないですね。その金は集まっておるはずです。それらは協会本部に、警察庁が、いつ、どこで募金をおやりになりましたか、その金はどこへ寄付をされましたかということを正々堂々と調査をしてもらいたいと言っているのです。どうなんですか。

○ 吉田(六)政府委員

 これの調査につきましては、第一次的には東京都の要請によって行われるべきものだと思いますので、協力して御報告いたしたい、こう申し上げておるわけであります。

○ 横山委員

 違いますね。私は国会議員、ここは法務委員会、違法な事実が行われているおそれがあると言っているのですから。届け出をしておるか、いないかは、東京都を調べなければわからぬですよ。けれども、東京都の問題でなくて、警察庁の問題であると言っているのですよ。この膨大な募金がどこへいっているか、それは国民の関心の的ではありませんか。押し売り、押しつけ等でやっていることが、その関連の北方領土なりあるいはベトナム難民なり青少年育成なり身体障害者の方へ使われていないおそれがある。したがって、これは東京都の問題ではない。東京都は、届け出をすればいいのでしょう、許可を受ければ。違法な事実が行われたおそれがあると言っているのですから、警察庁の問題ですよ。はじけたら困りますよ。

○ 吉田(六)政府委員

 できるだけ先生の御要望に応じて調査いたしたいと思います。

○ 横山委員

 また「できるだけ」を言う。どうしてそんなことを言うのですか。全力を挙げてやりますとどうして言えないのですか。「できるだけ」と言うのは、あなたはさっきからどうもそういうことだ。逃げ口上。私がきょう各省にお願いしておることは、とにかく真剣にかかってもらいたいと言っているのに、あなたはさっきから「できるだけ」。

○ 吉田(六)政府委員

 できる限り調査いたしたいと思います、できる限り。

○ 横山委員

 それは「できるだけ」と「できる限り」とは同じようなもので、ちょっとニュアンスが違います。熱心に全力を挙げてやりますと、どうして言えないのかというのです。

○ 吉田(六)政府委員

 先生の御趣旨に沿って努力いたしたいと思います。

○ 横山委員

 今度は人権擁護局関係に聞きます。

 先ほど診断書を出しました三重県の浜田さん、ここに四十七年二月入信から五十一年までどんな苦労をしたかということの苦労の中で、何に金を使ったかという資料がございます。この辺から入るわけですが、かかった費用は百五十七万五千八百五十円、献身期間中の給料見積もりが三百万円、合わせて四百五十七万五千八百五十円、その内訳を言いますと、統一教会への献金献品、これは現金で七万二千円、就職中の給料を献金して五十万円、品物が十三万二千円、締めて七十万四千円。二番目に、統一教会に買わされたものが三十六万八千円、内訳はつぼが二個、これは韓国のつぼでありますが、二個で二十万円、ニンジン茶が十六万八千円。三番目に、大阪で下宿した生活用品、学用品を返してくれない分が十万円。四番目に、救出運動費、大阪教会関係五万五千円、県内、名古屋、東京等が十三万九千円、キリスト教会その他依頼のために六万六千円。会費、寄付、本代十四万三千八百五十円。献身期間中の給料見積もりの三百万円は、七万円として三十七カ月、ボーナス五回四十一万円、合計三百万円。浜田さんの体験をもってしても、献身期間中の給料見積もりは、息子が、娘が働いておれば給料をうちへ入れてくれたのにと思うけれども、それを一応除外しても、百五十七万五千八百五十円の親の経済的な努力の裏づけなんであります。この父母がどうして一体人権擁護委員会へ行かないんだろう、どうして警察庁へ行かないんだろう。この間も人権擁護局は、二人しか申請がありませんと言う。そして警察庁も、先ほどから私が申し上げているような消極性がある。改めて小森さんの「自民党の諸先生方にお願いする」という文書の中で、「大会に参加された父母の数は、実数の一割にも満たず、どうしてこうも参加者が少ないのだろうか、その理由を想像しますに、(1)子供の恥、親の恥を世間に知られたくないと思う人、(2)長期間の戦いで心身を消耗し、健康を害し病床にある人、(3)親の力ではどうにもならないとあきらめている人、(4)統一教会の幹部が各家庭を廻り大会に参加しない様説得をしたこと、(5)子供を追っているうち商売がおろそかになり経済的な余裕がなくなって来た人、(6)親元に連れ戻している家庭は逃げ出すので監視についている人」等で、この大会の参加も少ない。大会には来ていないけれども、全国のこの父母を含めて数千の家族は何としてもどこかにすがりたいと思っているのです。私はある父母に言いました。あなただけが警察へ行って家出人捜索願を出すということは家庭の恥だ、私だけが思っても困るだろう。警察へ行くと、さっきの保安部長の話のように、はいはいというようなことでやられても萎縮してしまう。人権擁護局へ行ったのは二人だと言うけれども、人権擁護局が、この間から私はずいぶんいやみを言っているんだけれども、十分な機能を果たしていないということでありますが、とにもかくにも、父母の皆さんよ、全国の人権擁護局に相談しなさい、持っていきなさい、行方不明の家庭は警察へ行って家出人の捜索願を出しなさい、こう言っているのです。それもみんながやらなければだめです。自分のところだけは恥ずかしいから、自分のところだけは世間にわかると困るから、そういうことを言わないで全部が出しなさいと言っているのです。そうしたら、経験者は言うのです。いや、警察へ行きましても、そんな家出人は全国至るところにたくさんございますからね、これはまあそのうちに帰っていらっしゃるでしょう、こういうことで結局は頼りになりませんから、こう言うわけです。私は、警察庁と人権擁護局にお願いをしたい。本件については特別にひとつ措置をしてもらいたい。今回のこの父母の訴え、それから入信者の問題については、人権擁護局は全力を挙げて、私が持っております資料も幾らでもお貸しをいたしますから、調査活動をしてもらいたい。そしてこの間、私は委員長と理事会でやり合ったことがある。委員長は人権擁護委員を長らくやっておられる。だから、政務次官がそれもなかなかできませんよと言ったのに対して、委員長は、おれは人権擁護委員をやっておったと言った後から、私のところへいらっしゃって、そんなことはないとこの人権擁護の中に書いてある、訴えがあってやるのであるけれども、訴えがなくても新聞やその他に書いてあれば、積極的に人権擁護委員、法務局は乗り出すことになっていると、委員長はそう言うのですよ。これには書いてあるのです。書いてあるけれども、私は、本問題についてはいま人権擁護局、法務局の指導は全然ないと見ているわけです。これほど新聞や雑誌や、これほど私どもが声をからして言っているのに、人権擁護局は訴えがなければ措置をしない。そしてこういうパンフレットには、訴えがなくても、もしもそういうことがあるならば乗り出しますと言っておきながら、何ということだと言いたい。だから、この際全国に指示をして、この父母の会の名簿も一切お貸ししてもよろしい、呼び出して相談に乗ってやってください。どうですか。

○ 村岡政府委員

 過日当委員会で御答弁いたしました際、多少言葉が足りませんで、申告がなければ調査しないというふうにおとりいただいたかと思いますが、私の答弁の趣旨はそうではございませんで、あのとき二件御報告いたしましたが、一件は投書によって調査を開始したものでございます。一件は申告がございました。この際申しましたのは、申告がなければやれないということではなくて、調査を進めましても、一番キーポイントになりますのは、入信して、それから脱会して戻ってきた、つまり入信して教会内における生活をした者の体験をじかに聞く、これによって事実を調査するということに非常にウエートがあるわけでございます。それをやることが非常に困難である。本人が進んでそういう事情を人権擁護機関に話してくれないと調査がむずかしい。前回もお話ししました二つの事件のうちの一つは、その協力が得られませんで、父母の方もこの問題はもう蒸し返したくない、繰り返したくないから子供と接触することは遠慮してもらいたいという申し出がございましたので、結局調査が中途半端で終わってしまったという事件でございます。そういう意味で申し上げたわけでございまして、申し立てをどんどんしていただきたいと思いますが、仮になくとも職権でやるべき事案である。しかし調査を進めるにはそういう被害者本人の協力が非常に望ましいということを申し上げたいわけでございます。先ほど、ことしの事案については積極的に行動したらどうかというお話でございましたが、御趣旨に沿ってやってまいりたいと思います。

○ 横山委員

 私は具体的に言っているのです。あなたの言う積極的にやるという意味は、父母の会に手紙を出して、何ぞ訴えることがあったら、あるいは人権じゅうりんの事実があったら言うてくれと言って、積極的にここに書いてあるように、ひとつ全国の法務局にあなたが指示を出して、法務局を動かせよ、こう言っておるのですが、それをやってくれますか。

○ 村岡政府委員

 法務局、地方法務局では人権相談というものを常時行っておりまするので、そこに相談がありますれば……(横山委員「ありますればではいけませんと言っているのです」と呼ぶ)あれば……(横山委員「あればではいけませんと言っているのです」と呼ぶ)あったときには積極的に法務局で処理するように……(横山委員「あったときではいけませんと言っているんですが、わからぬのだな」と呼ぶ)私どもは法務局に指示するわけでございますので、その相談に対しては積極的に取り組むようにという指示をいたしたいということでございます。

○ 横山委員

 どうもわからぬのだな。私は、これほどの問題であるから、新聞に書いてある——訴えがなくても積極的にやるとここに書いてある。委員長はこの間私に声をからして、そんなことはない、新聞に書いてあるから、テレビにのったから、そういうときは、重要なことなら積極的に人権擁護委員は出ていくんだ、こういうことになっておると言うのです。私はなっておらぬと思うのですけれども。しかしここには書いてある。だから、この機会にあなたは通達を出して、この各地の法務局、支所に、父母の会に手紙を出して、そうして人権擁護の事実その他について調査をするからお繰り合わせ御出席を願いたいということをやってもらいたいと言っているのです。

○ 村岡政府委員

 父母の会の代表者の方がおととし、昭和五十年に法務省に見えまして申し出がございました。そのときにも、先ほども御答弁したような趣旨をお伝えしまして、ぜひともそういう具体的な事実を法務省に申し出てもらいたい、申告してもらいたい。申告があれば積極的に調査し、できるだけの処理はするということは伝えてあるのでございまして、なおそれで足りませんようでしたら、いま先生がおっしゃったような趣旨で検討したいと思います。

○ 横山委員

 どうですか、いまの二人の話を聞いておって。委員長、この間声をからして私にそんなことはないと言ったけれども、結局は申告がなければ調査しないということをえんきょくに言っておるのじゃありませんか。あなたの言っておることは実行されないじゃないですか。委員長から一遍言ってやってください。

○ 上村委員長

 横山委員に申し上げますが、横山委員から御質問されておられることで、その点は意は通じておると思いますから……。

○ 横山委員

 通じていませんよ。さっきから押し問答だ。大臣、いま聞いていらっしゃったですか。聞いておったのですか、眠っておったのですか。眠っていなければ答弁できるはずですが、どうです。御答弁できませんか。じゃ、御答弁あればしてください。私が申し上げているのは、大臣、とにかく警察にも後でまた申し上げなければならぬが、この間の委員長とのやり合いは、私は、法務局は何にもしやせぬ、訴えがなければ審査はしない、調査はしないということだと言ったら、委員長は、そうじゃない、ここにちゃんと書いてある、自分は人権擁護委員をやっておった、訴えがなくても新聞やテレビその他に問題があれば、積極的、自発的に人権擁護機能は動く、こう言って私を説得しようとしたのです。それでいま聞いておるわけです。私の言っておるのは、父母の会も行けとは言っているのですよ。言ってはいるけれども、この際あなたの方から全局に指示を出して、父母の会へもそれぞれの法務局から管下に手紙を出して、問題があれば来てもらいたいということを親切にやれと言っているのです。常時の問題じゃない。これほどの問題になっているのだから、いまやらずして、人権擁護局は一体何のためにあるのだ。

○ 村岡政府委員

 御趣旨に沿って対処いたしたいと思います。

 ただ、先ほども、繰り返して恐縮でございますが、やはりそういう具体的な事実、人権侵犯の具体的事実について関係者本人が事情聴取に応じる等の方法で協力してくれませんと、法務省のやります事件の調査というものは、申すまでもなく犯罪捜査のように強制権を伴うものではございませんので、あくまでも任意の調査でございまして、関係者の協力なくしては調査ができないわけでございますので、そういう点の協力はぜひいただくよう、いまの父母の会等の団体とも接触したいと思っております。

○ 横山委員

 お考えを願わなければならぬのは、先ほど一宮西高校や桜丘高校で例を出したように、未成年者が入っておるということですね。未成年者は一体自分たちが自主的な判断能力を持っているかどうか。未成年者が、私は信じました、私の自発的意思ですということが、一体それが通るのかどうかということが一つあります。

 それから、何回も申しますように、この小森さんの手紙でもあるように、父母の会の父母の人たちの心境というものを察してやらなければいけませんよ。あなたが、話がなければ私ども何もできませんじゃなくて、親切に、人権擁護の組織はこういうことなんだ、だから私どもが自発的に調査をやるんだから、遠慮なく一つ話をしてもらいたいという恩情のあるやり方でなければだめですよ。四角四面に、さっきの渋谷警察みたいな問題で、そういうことではだめなんです。

 それから一遍私がお願いをしたいのは、つまり、下から上がっているのでなくして、いろいろ出てくる、出てくるやつについて、この問題を人権擁護局としてどうしたらいいかという指示を中央からも出してやらなければだめなんです。一々地方から上がってきたやつを中央で聞くのではだめです。そういう散漫な問題じゃないのですから、体系的な問題ですから、そういう体系的な采配を人権擁護局として振ってもらいたい、こういう意味合いで申し上げているのですからね。一つの問題、一人の娘を帰してやれということでは必ずしもないのですから。

 それから警察庁にお願いをしたいのですけれども、この人たちは、家出人の捜索願を出すことにちゅうちょを感じているわけですね、家の恥、子供の恥だからと。けれども、家出人は、見ましても実に莫大な数なんです、この信者、行方不明、家庭に寄りつかないという者が。そういうものに対しても、私は父母の会に、みんなが家出人の捜索願を出しなさいと慫慂しようと思っているわけです。そのことについても、家出人はたくさんおるんだからどうしようもないじゃないかと言わないで、この問題については、私が街頭募金の問題についてあなたにお願いしたように、警察庁として少なくとも原理運動の被害者について統一的な体系的な考えを持ってもらいたい。

 ここで言いたいのはそればかりではありません。一体、警察庁が原理運動に関連する諸問題についてきちんとしたセクションがあって調査活動をしておって、そしてやっておるのかどうかということに私は疑問を持っておるわけであります。私は数々のこの違法、不当、人権じゅうりんの事実を知っています。私が知っているばかりでなくて、それは警察庁としても体系的に調査をしていなければうそだと思うのであります。そういう体系的な調査をなさっていらっしゃるのでしょうか。どこがそれをやっていますか。

○ 吉田(六)政府委員

 現在一定のセクションで体系的に捜査をしているところはございません。

○ 横山委員

 それだから警察は頼りにならぬとこう言うわけですね。一つ一つの問題で派出所やあるいは警察署でやっているだけで、体系的に——私はきょうはもうそんなに時間がございませんから多くを申し上げるわけにはいきませんけれども、違法な問題、不当な問題人権じゅうりんの問題、この間もニンジン茶売りについて質問をしましたね、そういうことは東京であったばかりではなくて全国至るところで行われておるわけですよ。街頭募金は全国至るところで行われているわけですよ。そういうことについて警察庁としての体系的なシステムがなくて、担当者もなくて、出たとこ勝負でやっておる、そういうことでは困るじゃありませんか。この際ひとつ原理運動の関係の違法、不当、あるいは人権じゅうりんの諸問題について、担当者を決めて、全国にも体系的な調査活動をしてもらいたい。私も本委員会ばかりでなくて、あなた方と、私の持っております資料も出してやりますから、そういう体系的な原理運動の諸問題についての調査活動、そして違法事実があった場合に対する機敏な対応策、そしてまた渋谷署の警察官みたいなばかげたことを言うようなことのないように、そういうふうにしてもらいたいと思いますが、いかがですか。

○ 吉田(六)政府委員

 原理運動そのものではございませんが、原理運動から付随してきておりますいろいろな犯罪につきまして、できる限り先生の御要望に沿うようにしてまいりたい、かように思っております。

○ 横山委員

 あなたは用心深い人というか憶病というか——私が最初に、大前提でちゃんと原理運動そのものだと言ってないと言っているじゃありませんか。何回も違法、不当、人権じゅうりん等の問題についてと言っているじゃありませんか。なぜあなたがそんなことを一々断らなければならぬのか。もっと率直になりなさいよ。私の要望はいいてすね。——何を相談をすることがある。どっちかがえらい様だ。えらい様が答えよ。

○ 佐々説明員

 先生御質問の原理運動に対する警察の捜査の基本的な姿勢についてお答え申し上げます。

 先ほど来、先生が御主張しておられますとおり、原理運動そのものは一つの信条の自由、信教の自由の問題でございますので、これ自体を捜査対象とすることはできないわけでございますが、その布教活動の過程において派生してまいります違法行為については、厳正公平に取り締まりをしてまいりたいと思います。また、この捜査の具体的な困難性について、先ほど来保安部長が答弁いたしておりますとおり、被害届けを積極的にお出しをいただく、また家出人の捜索願い等も積極的に御協力をいただくということを、また私どもとしては要望いたしたいと思います。

 なお、先ほど来問題になっております金銭物品等の寄付募集に関する条例でございますが、これそのものは、ここにございますように、金銭物品の寄付を募集することそのものを禁止しておりませんで、その方法なり手段なり場所なりの制限でございます。かつ、東京都知事にその許可権限あるいは報告義務、第八条で都知事は調査権を持っており、第九条でこの募金の終了あるいは募集金品の処分をした場合の七日以内の報告義務等を課しております。したがいまして、先ほどの募金行為そのものを違法行為として捜査するわけにはまいりませんが、その過程で捜査情報がございました場合には、東京都の許可、認可あるいはそれに対する報告の状況を調査いたしまして、違法行為があった場合には、これに対する厳正な処置をいたしたいと思います。

○ 横山委員

 警察の人というのは、私の話を聞いておるのか聞いておらぬのかわからぬけれども、何ぼ言ったらわかるのです。届け出をしたかせぬかは東京都知事だ、しかし、それを届け出ずしてやった、そしてその金をおかしなところに使っておるとするならば、警察の問題じゃありませんか。違いますか。

○ 佐々説明員

 御説のとおり、この募金された金品についての不正行為がございますれば、具体的な犯罪に関する情報……(横山委員「詐欺だがね、わかっておるが」と呼ぶ)犯罪ありと思量するときは捜査をいたします。したがいまして、御説のとおり警察の対象でございます。

○ 横山委員

 御説のとおりなんてそんなの何も言わなくたっていいよ。警察庁に調査をお願いをいたします。

 一つは、

  秋田県能代市桧山字新田家の前七十七 長岡金吾氏長男(悟)君 二十三才

  昭和五十年二月死亡、前年統一教会員の誘致で群馬県前橋市の統一教会修練会に入会、四日目で精神異常を来し、教会は悟君を放出し、新宿警察署に保護され、親に通知された。その後帰宅、加療中突然家出、投身自殺した。(上智大三年生)

  秋田県能代市昭南町五の三十七 大高幹氏長女恵子さん 二十三才

  駒沢大学二年生の時入会、統一教会の学生寮に入ったが、一日二十人で六百円の食事と教会命令でインチキ募金の担当等で勉学出来ず、友人の忠告もあって脱会しようとしたが断食を強要され、それ等が原因で病気となった。会員に内密で脱会、帰郷したが、療養及ばず死亡。

 それから、昭和五十二年二月六日の中部日本新聞。「家出の女子短大生他殺体でみつかる 神戸の小川で」「神戸市東灘区の住宅街の小川で四日午後、下半身裸の女性の変死体が発見され、捜査していた兵庫県警捜査一課は五日夜、この女性は昨年末家出、行方不明になっていた同市内の女子短大生であることを突き止めた。また解剖結果から他殺と断定した。調べでは、殺されていたのは神戸市須磨区大手町四、神戸女子短大二年加藤福美(ふみ)さん(二〇)。福美さんは昨年十二月二十二日午後五時すぎ家を出たまま帰らず、翌二十三日、須磨署に家出人保護願が出されていた。」

 それで、この点について、

  被害者父母の会の会員より依頼があり 地位のある方だから名前は言えないが 娘さんが家出して統一教会に行った様子 五十二年一月中旬母親から電話があり、娘が家出して行方不明です 娘福美は、半年前統一教会に出入していた事が分かり 教会から連れ戻し 教会に行かない事を約束して又学校に行っていました この様な前歴があり 突然冬休みの十二月二十二日家出した為 教会へ行き交渉しましたが 教会側は以前は来ていたが今は知らないと云い切り取りつく所もなく困っていると話された。

この他殺についておそらく調査をされておるのでありますから、調査結果をひとつ御報告をお願いをしたいと思います。

 それから、五十二年二月二十六日の朝日新聞東京版朝刊「「原理被害者更生会」顧問若い男女に襲われる」という記事が載っています。これは、原理運動の被害者——被害者というのは、入信しておって精神錯乱だというような状況になっている人を更生させる組織ができまして、そこの問題でありますが、「五日午前八時十五分ごろ、東京都練馬区中村南一丁目、メゾンエトワール一〇一号、「原理被害者更生会」顧問丸山隆さん(五一)方に若い男女が訪れ、応対に出た丸山さんと口論、鉄パイプでなぐったり足でけるなどした。一一〇番通報でかけつけた練馬署員が丸山さんと二人に同行を求めて調べたところ、男は世田谷区世田谷三丁目「身体障害者社会復帰促進連盟員」A(三三)と名乗り、女は同区松原四丁目、Aの友だちのB子(二三)とわかった。調べに対しAらは「更生会がB子をむりやり連れていったのが許せないので押しかけた」といい、一方、丸山さんは「促進連盟なんて知らない。B子が属している統一教会側の仕業だ」と反論。しかし、統一教会側は、「AもB子も、いま会員名簿にない」と否定しており、同署は暴行事件として、任意でさらに背景を調べることにしている。」この取り調べた結果を御報告を願いたいと思います。

 それから、

  青森県五所川原市字長富 上見義直氏子息繁樹君(死亡時二十四才)福島大一年生の時、統一教会に入会以後行方不明。両親は統一教会に問い合わせても、大阪、東京、仙台と行先を変えられ、その度に尋ねあぐみ、やっと三年目の昭和四十九年に会ったが、仙台国立病院に白血病で入院した本人に面会出来たが、他人の名前でいた。死の寸前に本人の名前に直す等、不思議なことばかり、遂に死亡、統一教会では教会員でなかったとつっぱねられる、幸世商事社員として(統一教会経営の商事会社)花輪のみ上げに来た。この話は東京都新宿区の三上昌子さんと云う死亡した本人の伯母さんから栃木県父母の会員、松葉直助氏が手紙頂き判明した事です。松葉さんの住所、栃木県足利市田中町七百十一。

  他三名は岩手県東磐井郡大東町大原字十六千田信夫氏から寄せられた情報です。干田氏長女則子さんが宮城学院へ入学、間もなく入信、三年の時則子さんの友達の栗原郡金成町の二階堂いく子さんが入水自殺、続いて小名浜の料亭の娘様原さんも自殺、そして大船渡市では新潟大生の磯崎君と云う男子が鉄道自殺した。

 「精神異常者」、これはいま言った方。

  岩手県東磐井郡大原字十六 千田信夫氏長女則子さん 昭和四十五年入信。前記の友人やその他信者の自殺続出に、信夫氏は恐怖し、則子さんを統一教会から連れ戻す事を止めた。間もなく精神異常状態で帰宅した。病院に入院。

 精神異常者はそのほかに、青森県北津軽郡中里町、佐藤敏則氏の長男。秋田県能代市向能代トドメキ一〇六、本間てる子さん長女ハツさん。能代市清助町、渡辺兵助氏次女和子さん。秋田市新屋表町、桜田金一郎長女京子さん。精神異常の問題らしいのは枚挙にいとまございません。

 私がいま読み上げましたことは、警察として、他殺の場合の調査、それから若い男女に襲われた更生会顧問の調査、それから死亡、自殺等が統一教会の関連で精神異常になって自殺したと主張をされることの事実調査、そういうものをお願いをしたいのですが、よろしゅうございますか。

○ 吉田(六)政府委員

 御要望に沿うよういたしたいと思います。

○ 横山委員

 刑事局に聞きたいのです。

 これは五十二年四月三日、つい先日の東京新聞です。東京新聞で、「ニューヨークを本拠地に特異な宗教活動を続けている世界キリスト教統一神霊協会(文鮮明教祖)は、ナゾに包まれた巨大な資金源と派手で強引な布教ぶりで注目を集めているが、」云々とあり、そこで裁判が行われました。サンフランシスコ上級裁判所で子供を返せという裁判が行われたわけであります。子供を返せという裁判の結果はいままででもいろいろあったのですが、今度は注目すべきことになりました。それは訴えは、「「子供たちを三十日間、親の保護下におくこと」を求めたのである。」親の言い分は、「カリフォルニア州の州法には、身体が衰弱し、かつ自分で物事を処理する能力を失った人物に対する保護規定がある。これは通常、老人を対象にした規定だが、五人の親たちはこれを拡大解釈し「子供たちは手練手管をろうする連中の意のままになっている」として、わが子を手元におく親の権利を主張したのだ。いわば統一協会の“とりこ”となった子供たちを、再び家庭に引き戻すきっかけをつかもうという苦肉の策である。」それで裁判所の判決は、「二週間にわたった証人調べのあと、バブリス判事は、親たちの主張に軍配をあげた。判決理由の中で、同判事は次のように断じた。「父親、母親、子供というのは、文明社会の構成要素だ。子供に対する親の愛ほど偉大な愛はない。わが子が傷つくにまかせる親はいない。たとえ、親が九十歳、子供が六十歳であろうとも、子供は子供だ」子供に対する親の深い愛情を、改めて説いた判決だ。裁判に勝った親たちは直ちに子供たちを法廷から連れ出し、アリゾナ州の「思想の自由財団」へ行く準備に入った。負けた統一協会側は判決を不満としてカリフォルニア州高裁に控訴した。これを受けて、同高裁は審理を開始したが、とりあえず親子のアリゾナ行きに「待った」をかけ、サンフランシスコ湾地区から外へ出ることを禁じた。このため、親子は目下、サンフランシスコ空港近くのホテルに待機を余儀なくされているが、同高裁は親たちに対して「高裁判決が出る以前に、子供たちから“統一協会思想”を取り除く試みをしてはならない」とも命じている。つまり控訴によって一審判決が“凍結”された状態におかれたわけだが、同高裁が審理する間、親が子供を手元におくことは認めた。」

 私は非常に興味のあることだと思います。この問題について、統一教会の教育システムということがわからない人にとっては、どうしても、本人の自由意思だ、本人が自由意志でやっているのだからしようがないじゃないかという論理があるわけであります。教育システムが三日間あるいは十四日間あるいは一カ月間とあるわけですが、それがどんな状況で行われるか、どういうふうに行われるかということについては、きょうは時間がございません。ございませんが、このアメリカにおける親の言い分及びバブリス判事の判決は、人間が精神もうろうたる状態、そういう条件下に置かれて人間が変わったということが果たして自発的意思と蓄えるかどうか。それから、身体が衰弱し、かつ自分で物事を処理する能力を失った者に対する保護規定は、これは親子ならば年のいかんにかかわらず判断をすべきだ、これは保護規定を適用すべきだ、こういう法廷が下した判断。私は、一挙に教育システムに入る時間がきょうはございませんけれども、この判決がいみじくも言っておるような状況のもとに人間の精神を麻痺させた。親の言い分に対して、教会側や一般の知らない人は、本人が自発的にやっているのだからしようがないじゃないかということだけで済ませるものかどうか、刑法上の御見解を伺いたいと思います。

○ 伊藤(榮)政府委員

 ただいまお読み上げになりました新聞記事は、私も法律家の端くれとして非常に興味を持って読みました。機会があれば向こうの法制等も知りたいものだという、いわば個人的興味かもしれませんが抱いております。ただ刑事上の問題ではどうもなさそうだ。日本で言うと、何か家事審判ないしは人身保護的なジャンルの判決だろうという気がしております。いずれにしても、ただいま御指摘になりました、極度の洗脳と申しましょうか、精神が錯乱状態に陥ったことによって動作をしたというものについての、そういう錯乱状態に陥れた者の刑事責任等の問題、ただいま御指摘いただきましたので、真剣に検討してみたいと思います。

○ 横山委員

 きょうは、実はここへたくさんの親からの訴えやアンケートがあるわけです。私は、とにかく法務大臣、あなたに御理解と御協力を受けるために全部読み上げようと思っていたのですが、これを読み上げると二時間ぐらいかかるわけです。全部ここにあります。まだ続々と手元へ来つつあるわけです。それで、これが一概に親の言い分と、子供は自主的に行っているんだから、という判断をしないでもらいたい。いま、アメリカの判決と、それから局長が興味があると言われたことも含めまして、その教育システムというものが人間を変えている。変えているけれども、それならばその教育システムを、どうしたら本人がもとの感覚になり切れるかという点につきまして、また別の機会に申し上げますが、さまざまな経験がございます。それは新聞も連載をいたしました。もとへ返った人たちの告白とかあるいは手記というものを連載をいたしました。そこで非常に感じられることがあります。私は、冒頭に申しましたように、原理運動そのものが間違っておるということさえキリスト教の立場から明白にできれば、一番特効薬だと思うのです。これが本当の特効薬です。その原理運動の教義を信じて入ったのですから、その教義が間違っておるということを理論的に駁砕できれば一番いいと私は思うのです。それが私にはできません。残念ながら、政治の世界で、ここでやるわけにはいきません。私はそれが非常に残念だと思いますが、できません。そうだとすれば、われわれのなすべき任務は一体何であろうか。これらの家族、これらの青少年を、われわれの手でやるべきことは何であろうかということになります。そこで私は、違法、不当、人権じゅうりんということで、少なくとも原理運動関係者のやっているめちゃくちゃなやり方を少し是正させなければ、この種の被害を食いとめなければならぬ、こういうふうに考えているわけであります。そのためには、もし大臣がお読みになるというんなら、あなたに全部、一遍、一夜ひそかに御自宅で、親が何を考えておるか——先ほど、名前は特に言いませんけれども、理事会でこういう方がありました。そんな、親がだらしがないよ、と偶然にもおっしゃった方があります。すぐ、皆さんから御注意されて取り消されました。そういう考えも常識的にはあるとお思いになる人があると思うのです。ところが、私が調べたところによりますと、原理運動に参加している若い諸君はどういう人が多いかといいますと、大衆運動をやったことのない、学生運動をやったことのない、あるいは社会に余りもまれてない諸君が圧倒的なんです。キリスト教ですが、勉強しませんかと言われて、まじめに、キリスト教ならば政党に関係もない、荒くれた赤軍派にも関係ない、まじめなものだと思って入っていく、そういう白紙の青年たち、白紙の娘さんたちが行っておるということが非常に多いんです。しかも、この母親、父親の報告を聞きますと、そう言ってはなにですが、私どもの娘は、明るくてまじめで、一生懸命仕事もしておりますし勉強しておりました、というのが圧倒的に多いんです。ですから、そんな先入主を大臣はお持ちにならぬと思うのですが、家庭が原因ではないのです。これは、絶対にないのです。家庭がだらしがないからこういうことになったということをもし片りんでもお考えになったら、それは大変な間違いだと、その点はくどく私は申し上げておきたいと思います。

 それから、私五時までということですが、それにしても余りにも御迷惑なものですから、あとまださまざまな問題がありますが、それは後日に譲りたいと思います。ただ、最後に、少しきょうの私の質問の時点と違いますけれども、大臣に聞いてもらいたい文章があります。これは「聖徒」という、世界基督教統一神霊協会が発行した文書であります。「先生のみことば」「我々は如何なる時点に立つか 一九七四年九月二十二日 ベルベディア聖日礼拝」という、いわゆる「みことば」の一節を朗読いたします。

  韓国と日本が怨讐となったのは、アダムとエバが怨讐となったことを意味する。米国と韓国とが決裂することは、天使長とアダムとが決裂することをいうのである。先生が米国に来てからニクソン大統領を援助したのは、アダムが天使を協助しなければならないという立場からである。それに対して、先生を中心として彼は韓国を考えることのできる立場にあったということだよ。ニクソンが倒れて行くことによって、フォード大統領は朴政権に対して相当に良くないことを言った。このようなチャンスを知って韓国に対して実に強烈な反対をする、この相剋的な立場に立った日本が、米国の大統領を中心として働きかける。このような運動が展開せざるを得ないのである。

  ここにおいて、極東情勢が危機状態に陥って行くから、結局は米国が背後にあって日本が韓国と折衝する運動を始めた。そのような刹那に、韓国は先生を絶対必要とするようになったんだよ。何故かといえば、日本との国交を断絶してしまえば、日本に対する基盤が一つもなくなってしまう。そこで統一教会と国際勝共連合とが必要とならざるを得ない。そのような渦中で韓国と先生とは内的な基盤で先生を中心として一つになることのできる起源がなされた。日本が反対したにも拘わらず、日本自体が朴大統領の通告した条件を中心として動かなければならなかった。陸女史事件は日本を中心として起源がなされているために、これが問題となったんだよ。そして、朴大統領は国交断絶をして米国までをも切ってしまうと主張して出てきている。

  さあ、このようになることによって、このアジアの危機的情勢は韓国を中心にして、その峠を越えることになった。米国が協助して日韓が一つとなり次には日本の首相が二十日ここに来て帰って行き、今度はフォード大統領が日本を経由して韓国まで連結されるんだよ。実に原理がそうなっている。韓国の大統領は先生と一つになることができ、韓国政府に対して怨讐であった日本が一つになり、その次に米国が一つになったというのだよ。このようにして内外に新しい歴史的な転換期の因縁が直ちに展開される日であったということである。万一朴大統領から、この九月十二日に先生に連結することのできる、このような条件的働きがなされなかったならば、今度のこの情勢はたいへんな危機に入り、世界に爆発化し得る危機一髪の時点であった。

  そのような観点からマジソン・スクェア・ガーデンを中心にして、この国家的な問題とか世界的な情勢が摂理圏内に戻らなければならない。この問題を中心にしてワシントンデモとか、このような問題で韓国大使館を中心として米国政府までもこの攻勢を取ることのできる働きまでも計画したということは、皆さん知っていることと思います。それが三十分前に中止された。
 私は、福田現総理大臣が文鮮明を偉大な指導者と言った、そして、その福田さん自身が私の政治原理が洗われたような気がしたと言うておるその文鮮明が、かく日韓米に深くかかわり合っておる。これは公式な「みことば」ですからね。ほかにも宗教的な言葉はありますけれども、公式な「みことば」で、いかに朴大統領と深い癒着があるか、そしてニクソンを助ける大集会をやったのですから、深いかかわり合いがあるかということをみずから告白をしておる文章だと思います。この原理運動というものが宗教の問題と——原理はまさに宗教だと思います。しかし、原理運動が発展、展開をいたしますトップは、まさにこのような思想、このような論理、それが政治の世界に深く深くかかわり合っておるわけです。そしてそれらの金は一体どこから出てくるか。申すまでもありません。警察庁に調査をお願いしたのですが、全国的にあらゆるところで行われる花売り、募金、ニンジン茶売り、それからそれに奉仕する人の給料の献金、そういう大衆の、数千、数万の若い人たちの献金によって支えられておる。その献金をする若い人たちは、全く献身的な行動によって、十万円もらっても五千円ぐらいもらってあとはみんな献金する。募金したものが、ベトナムの難民調査部と言いながら、それがそこへ一銭も行かずにお父様のところへ使われる。お父様は、もうすでに御存じのように、アメリカで大変巨大な豪邸にお住まいである。豪邸にお住まいのお父様はこの思想で仕事をしているということなんですね。

 きょうは長い間おつき合いを願いましたけれども、私は、この問題を、政治的な観点で最後に、こういうことを言うのはきょうはなるべく避けたいと思いましたけれども、こういう一連の体系というものを御説明しないとおわかりにならぬ。けれども、一連の体系ではあるけれども、まずとにかく、そこでは意見の違う人もあるんだから、せめて父母と入信者を呼んで、そして、もし統一協会が、勝手なことを言うな、おれたちの調査もしないでと言うなら、久保木会長に来てもらいたい、こういうのが私の一貫した主張なんです。私はあえて速記録に載せてもらいたいと思うのですが、私は一貫して統一協会の久保木会長に出席を求めている。その出席は二つの理由がある。一つは、石橋発言があったときに統一協会、勝共連合から、調査もせずに、われわれの言うことも聞かずに何だという猛烈な宣伝であった。だから、私どもは決して不公平な立場をとるつもりはない、どうぞ久保木さん、ここへ出てきてあなたの言いたいことを十分に聞かしてもらおうじゃないかと私は一貫して言っている。残念ながら当面については反対の人がある。私は賛成で、久保木さん、どうぞここへ来てくださいと言っている張本人であるということを速記録に明記をしてもらいたいと思うわけです。しかし、それがどうしても意見がまとまらないというならば、せめてこの痛切な父母の訴えを参考人として入信者の経験を聞いてもらいたいということについて、まだ意見がまとまらないのは私は大変に残念でございます。このことは法務大臣に申し上げることではもちろんございません。しかし、法務大臣が、冒頭から私が申し上げておるように、ぜひひとつ統一教会によって生ずる違法、不当、人権じゅうりんの問題について、問題が出てきたらやろうではいけません、人権擁護局長にも警察庁にもお願いしましたように、また文部省にもお願いするように、あらゆる社会面の中で違法、不当、人権じゅうりんの事実があるのですから、行政官庁としては積極的にこの問題に取り組まれることを要望したいのであります。大臣、どうですか。

○ 福田(一)国務大臣

 大変長い間、熱心にこの問題に取り組んだあなたの姿勢について、具体的な例を挙げて、また各官庁との間の関係についても御説明がございました。私は、一番希望したいのは、もちろん警察庁とか人権擁護局とかいうものも大事ですが、あなたのおっしゃるように、わりあいに純粋な家庭に育った子供がそれに引き入れられるということであれば、やはり学校でももう少しそういう面で、人の言うことを何でも信用してはいかぬ、よく判断をする勉強をしなさい、こういうことを先生が言うて、何でも人の言うことをすぐにうのみにしてはいかぬぞというような教育も必要じゃないかという気が、まず一番先に私の頭の中へ来ておるのはそういうことです。私は、どういう哲学にしろどういう政治論理にしろ、それはそれなりの一つのあれがあると思うのですけれども、しかし、それを頭から、何か言われると、これはキリストだから絶対にいいのだというような感じで物を見るような子供にしてはいけないと思うのです。教育が一番大事じゃないか。学校の先生、もう少ししっかりしてもらいたいという印象をまず受けたわけであります。

 それからその次は、いまあなたのおっしゃったように、一つの、原理運動について具体的な問題として違法な行為をしておるということであれば、これは警察庁としても大いに取り締まってもらいたい。それからまた、人権じゅうりん的なことでもございますれば、これはわれわれの問題でもあります。これをどういうふうにしてやるかということになると、それほどの大きな組織でやっておるわけでもございません、なかなかむずかしいのですが、こうしてあなたがここでこれだけ熱心に言うておられること自体が一つの大きな動きになって世の中に反響していくと思うので、その意味では敬意を表します。とにかく違法な行為が行われるとかあるいはまた人権じゅうりん的なことが行われるなどということを、われわれは黙って見ていい、そんなことは毛頭考えておりません。そういう場合には、ひとつしっかり取り締まりをしなければならないと思っておるのでございます。

 親が悪いとか悪くないとかいうようなことも、これは私は全部が全部、親が全部いいのだとも言えないと思うのですよ。中には、百人のうち一人や二人は、一軒の家や二軒の家では、親の悪いのもあるかもしれない。もう少し考えればそういうことにならないじゃないか。子供が非常に反抗的なような家庭もないわけじゃございませんからね、実際問題として。だから一概には言えませんが、しかし私は、両親も自分の子供のこと、あるいはわれわれから言えば、年配でございますから、孫のこととか、そういうこともよく考えて、愛情を持って処理をしていかなければならないということをつくづく考えますが、いまあなたが言うておられる、この問題を政治的にこうであるああである、フォード大統領がああ言ったとかこう言ったとか、あるいは韓国へ飛んだとか、その後のカーターさんの場合は、今度、文鮮明のやったことについていま取り調べておるということはニュースでどんどん来ております。こういうことで、そういうことは順次、やはり動あれば反動ありと言いますから、それは本当にいいことなのかしれぬし、悪いことかもしれないし、向こうでどういうことをやったか、われわれは判断はできませんけれども、アメリカは、そういうことはいささか行き過ぎである、政治的にも行き過ぎであり、あるいは人権擁護の意味でも行き過ぎがあるんじゃないかということで取り調べておるというふうに、私は新聞その他を見て、今度はまた非常に変わった点からこれを糾弾しておるというか、調査しておる。日本の場合も、あなたがこういうふうに言うておられれば、これで一つの契機になってくるかと思うのでありますが、いずれにしても、これは、私たちの法務省の立場で私に物を言えとおっしゃれば、とにかく不法な行為は断じて許すわけにはいかない、人権じゅうりんがあればこれは人権擁護という立場からいって断じて許すわけにはいかない、こういう立場で処理をいたしてまいりたいと思うのであります。ただ、こいねがわくは、あなたもそういう御意思ではないと思いますけれども、われわれの立場は、法を守るということがわれわれの精神でなければならない。自由を守るということも非常に大事なことだと思います。したがって、その意味で今後もひとつ、あなたのりっぱな一つの講義的なというか、われわれ教えていただく御意見を参考にして、大いに不法、不当なといいますか、そういうことが起きないように努力をさしていただきたい、かように考えるわけであります。

○ 横山委員

 たくさんの仕事を各役所に頼みましたが、大臣にもひとつ頼みたいと思うのですが、あなたは、私が先ほど健全な家庭の子女が多いと言ったことを否定はなさらなかったけれども、それでも百人の中の一人や二人は家庭の問題からではないかという問題を残されました。これもまた私は父母の会としては残念なことだと思うのです。私は参考人として父母に出席を求めておる人間でございますが、一回ひとつ大臣御自身、私は小森さんが一番いいと思います、自民党の党員である小森さん、小森さんが一番あなたにお話ができる——この人はりっぱな人です。私は初めて会いましたが、りっぱな人です。小森さんを含める父母の会の人があなたに陳情をしたいと言っておりますが、会ってやってくれますか。

○ 福田(一)国務大臣

 御要望があればお会いはいたします。ただし、私らも忙しいのでございますから、余り長いことやられたのでは……。そういうことがないことでございますれば、これは私はお会いしても差し支えはないと思っております。

○ 横山委員

 たくさんの問題が実は残っておるわけでございますが、しかし、余り私だけが長時間やって同僚諸君に御迷惑がかかってはいけません。残されました数々の問題がまだたくさんございます。適当な機会に続けることにして、私の質問はきょうはこれで終わりたいと思います。

○ 上村委員長

 次に、日野市朗君。

○ 日野委員

 私も同じように原理運動について伺ってまいります。

 その前提として、私もいま横山委員の質問を伺っておりまして、この原理運動に関するいろいろな違法行為、これに対する行政庁の対応というのは非常に甘いという考え方を実は持っております。その点では、基調となる考え方は横山委員と全く同様であります。私たちの目から見まして、これは明らかに違法と思われる事柄、それに対して一体行政庁は何をやったろう。特に人権擁護の仕事に当たっておられる人権擁護局や、それから警察庁、これは何をやっていたのだろうというような感じが非常に強いのであります。

 それで、私はこれから主としていままで公開されたもの、つまり新聞紙上に紹介されたものや、いろいろな文献、これも公刊されている文献に登載されていること、これを中心にして幾つかの問題点を拾い出していってみたいと思います。そしてそれに対して、警察庁や人権擁護局が一体どのように対処してこられたのか、これについて伺ってまいりたいと思います。

 まず、いま横山委員からも指摘があったところでございますけれども、原理運動、その運動に伴う不法行為というものが私には非常に目につくわけであります。私自身もいまここで原理運動の教理、統一教会の教義といったようなものに立ち入るつもりは毛頭ございません。ただし、これは一応人権擁護局及び警察庁両方に確認をしておきたいと思いますが、いかに宗教活動を標榜しようとも、その活動自体が法律に触れるというような場合、これは警察庁としても対処していく、それからそれが人権を侵害をしていくというようなそういう現象があらわれてくれば、それは人権擁護局としても対処していく、この基本的な姿勢についてはお変わりはありませんね。

○ 村岡政府委員

 仰せのとおりでございまして、宗教活動に名をかりて人権じゅうりんが行われるということでありますれば、人権擁護を担当する私どもとしては職務の範囲内で対処しなければいかぬと考えております。ただ、事は宗教の自由に関するものでございますので、いやしくも宗教の自由を害することのないように、その点には慎重な留意を必要とすると思いますが、人権侵犯の事実に対しては適正に対処したいと考えております。

○ 吉田(六)政府委員

 宗教活動と申しましても、それが法令に触れる行為がございますならば、それは当然捜査対象となるものでございます。

○ 日野委員

 いま横山委員の質問の中にも出てまいりましたけれども、どうも統一教会の活動の資金源というものは、かなり多くの部分、物資の販売活動や募金によって得ているものであろうというふうに一応考えられるところであります。

 そこで、この募金でありますが、これについて、従来警察庁の方では無届けの募金、これについて、横山委員のときにも若干お答えになったのだろうと思いますが、捜査を行ったことはないのでしょうか。

○ 吉田(六)政府委員

 原理運動に伴う募金関係の違反として特に集計をしたことはございません。

○ 日野委員

 これは個人的な体験を伺うわけですが、東京の駅、いろいろな駅前とか人の集まるところを歩いておられて、いま問題となっているような募金とか花売り、そういったものを何か経験なさったことはございませんか。個人的な体験で結構です。

○ 吉田(六)政府委員

 ございます。

○ 日野委員

 これは東京新聞、昭和五十一年の二月一日の朝刊でございますけれども、ここで「童心につけ込む 原理運動“寄付集め”」と題する記事がございます。この記事については後でも問題といたしますが、街頭募金に関する記事がこの中にございます。「無届けで街頭募金も」という記事ですね。ここにはこういう内容が載っております。「無届けで街頭募金も」「一方、昨年十二月、都内主要各駅周辺で、街頭募金が目立ち、都総務局行政部指導課に毎週、平均三回ぐらい「うるさくつきまとう」「許可を受けないで募金をしている」などの苦情が相次いだ。募金者は、「金銭物品等の寄付募集に関する条例」により、知事の許可を受け、募金中はその許可証またはその写しを携帯し、募金が終わったあとは「募金収支報告書」を提出しなければならない。統一協会関係とみられるものにはこれまで「北方領土返還……」「沖繩救ライ……」「キューバ難民救済……」などをうたった実体不明の団体名で街頭募金が行われており、これらはいずれも都に許可申請が出されていない。このため、都も十二月二十八日午後、職員六人を動員、都内を巡回、七件の無許可募金を見つけたという。募金はすぐ中止されたが、なかには都の職員に対して「統一原理」を説くものもあった。」云々と、こうなっておるわけですが、このような記事は、私はいま、東京新聞の当該の記述のやつを挙げたのでありますが、警察庁の方でも、このような新聞記事を目にしておられないことはないはずでありますし、このような訴えに接しなかったこともないと思うのですが、それはいかがでしょうか。

○ 吉田(六)政府委員

 その問題につきまして、具体的に警視庁から報告を受けておりませんので、後で聞いてみたいと思います。

○ 日野委員

 どうでしょう、個人的にもそういう経験をお持ちだ、こういうことでございますから、これは問題だ、かなり通行人にも迷惑もかけているというようなことで、これは早急に何とかしなければならないとお思いになったことございませんですか。これがもし左翼関係だったら、それこそ抜く手も見せずにぱっと機動隊なり駐在さんが駆けつけて、こういったものに対しては対処するわけですが、いかがでしょう。

○ 吉田(六)政府委員

 原理運動に関係したものであるかどうかということが明らかではございませんけれども、公衆に迷惑を及ぼすなどの募金行為を現認したような場合には、必要によって警告をいたしております。また募金条例違反としてこれまで余り検挙してはおりませんけれども、迷惑防止条例違反として検挙したものとしましては、全国的に若干ございます。

○ 日野委員

 いま私はこれは無届けであるかどうかという手続面から伺ったのでありますが、今度は、募金の実態が恐らく刑事犯罪を構成すると思われる記事を紹介したいと思います。

 それは読売新聞ですが、読売の昭和四十六年二月十三日に載っております。これによりますと、「でたらめ街頭募金追及。“本家”が厳重抗議、「北方領土」のでっち上げ団体、金の使い方も不明」として載った記事がございます。この記事によりますと、北方領土復帰推進連盟という団体、これが北方領土返還の資金集めである、こういうことで各地で募金運動を行った。北方領土復帰推進連盟というのは国際勝共連合を母体とする団体、そしてこの北方領土返還運動をやっているのは、全国組織として北方領土問題連絡協議会、これは松本俊一さんが議長をして五十一団体が加盟しているわけでありますが、この団体とこの北方領土復帰推進連盟というのは全く関係がない。それでこの北方領土問題連絡協議会が北方領土復帰推進連盟に厳重な抗議をしたということがこの記事の内容であります。そして松本俊一さんが議長をしている北方領土問題連絡協議会が北方領土復帰推進連盟、これは勝共連合の方ですが、これに対して厳重な抗議をして、募金で集まった金の使途を明らかにせよと迫ったけれども、これに対しても何らかの明確な答えもしなかったという記事の内容であります。これを見ますと、北方領土の返還を推進するということを標榜して募金集めを行った。これなんかは明らかに詐欺だと思いますが、いかがでしょう。

○ 吉田(六)政府委員

 お尋ねの件につきましては、具体的な事実を明確に把握しておりませんので、直ちにその行為が詐欺罪に当たるかどうかということにつきましては答弁いたしかねますけれども、ただ一般論として申し上げるならば、たとえば交通遺児救済資金を集めるというようなことで募金しながら、実際は自分の生活資金に充てておったということになれば、それは許欺罪を構成するものというように考えます。

○ 日野委員

 いま北方領土の問題についてだけ私は一例を取り上げたわけですが、これは新聞に公表されているわけですね。かなり大きくこれは新聞に報道されたということであります。そしてこの種の募金活動ということになりますと、その被害者はかなり広範に及ぶことが推測されるわけです。そうすれば、こういう事件については一応の捜査をしてみるというのが警察あたりのしかるべき処置ではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

○ 吉田(六)政府委員

 御指摘のように、犯罪情報があれば捜査するのは警察の責任でございます。ただ募金に応じた方の特定とか捜査上はいろいろな問題があるということは当然のことでございますが、捜査の責任はあるということになろうかと思います。

○ 日野委員

 問題は、募金に応じた人たち、これを探すのがなかなか大変だという問題があることは私もよく承知しているわけでありますが、このような被害が拡大し始めると、これは非常にゆゆしき問題であろうと私は思うのです。そしていろいろな刊行物によりますと、また、統一教会に一時入信してこのような募金活動に当たった人たちなんかの体験録のようなものは、かなり枚挙にいとまがないほど刊行されているわけであります。恐らく警察庁もこの種の刊行物に目を通していないということは考えられないところなのでありますから、統一教会または勝共連合が何かの名目を掲げて募金活動をする、その場合に、それが届け出がなされているものか、またはいないものか、そして堅実にその目的に沿うた金の使い方がなされているのかどうか、こういったものなんかについては、今後とも厳重な監視を続けていくということが必要なことであろうというふうに私は思うのであります。これから警察庁でそれを厳重に行っていくということをお約束いただけますか。

○ 吉田(六)政府委員

 十分検討してまいりたいと思います。

○ 日野委員

 また、さっき横山委員とあなたの間でやりとりをしたようなやりとりになるのですが、十分に検討していきたい、それはどういう意味ですか。もっと詳しく、言葉の一つ一つの意味を解析しながら御説明いただけませんか。やるのかやらないのかということです。

○吉田(六)政府委員

 御趣旨を十分体してやってまいりたいと思います。

○ 日野委員

 今度は、私は、その原理運動の信者で、こういった募金活動に従事している人たち、この人たちが自由意思で入信し、自由意思でこれらの募金活動などに携わっているという点について、私はかなりの疑問を持たざるを得ないのであります。

 そこで、入信するまでの過程について、恐らく皆さんすでに御承知であろうかと思いますけれども、若干の御説明を申し上げておきたいのです。このような事情を、警察または人権擁護局の方である程度でも掌握しておられるかどうかという点について伺ってみたいと思います。

 一応、入信をする、原理運動についてある程度の勉強をするということになりますと、修練会という会に出席をさせられるわけであります。修練会というのはどういうものであるかといいますと、これは山口浩という方が書かれた「原理運動の素顔」という本でありますが、これはぜひとも関係の省庁の方、目を通していただきたいと思う本であります。ただし、これは奇妙なことには、かなり発行されたはずでありますけれども、現在入手が非常にむずかしゅうございます。恐らく関係者によってこれは買い占められたのであろうというふうに私は推測しているわけでありますが、この本にはこういう記載がございます。かいつまんで、要約してレポートいたしますが、

  入教すると、修練会に参加させられる。ここでみっちり原理を仕込まれるわけだ。

  修練会には三日間の地区修練会と、本部の主催する二週間の特別修練会のふたつがある。

そこで、修練会のまず日課についての記載があるわけでありますが、

  日課は午前六時起床、掃除と体操。午前七時「朝拝」と原理の説教。終わると粗末な食事。主食はパンの耳、の場合が多い。

  午前九時から原理の講義。中身は統一原理序論、創造原理、堕落論、復帰原理などの入門手ほどきから、勝共講義まで。

  昼食もまた粗食。その後バレーボールなどしてからまた原理講義。私語もトイレさえ禁じられ、一方的に詰め込まれる。それがまた夕食後、午前零時まで行なわれたらたいていの者は参ってしまう。

  参加した元統一教信者は、「頭がモウロウとして来ます。頭の中で講師の声がワンワンと響き、俗世間のことなどにまったく関心がなくなり、親きょうだいのことや、他のこと、勤め先の仕事のことなどどうでもいいって感じになります。睡眠不足だし、疲れがそれに重なって、講師の言葉に疑問を抱くことが面倒臭くなります」という。

  さらにそれが進むと、「原理ってなんて素晴らしいんだろう!」になって来る。

  前半の一週間は『原理講論』を土台にした講義。後半は勝共講義と資金獲得の花売りや募金活動。しめくくりは二十四時間の祈り。

  この祈りが凄い。東京新聞(五十年二月八日付)には元信者の手記が載り、反響を呼んだが、それによるとこうなる。

 「一人が悲鳴をあげる。バッタリとのめり、タタミに顔をすりつけて神に許しを乞う。へなへなと、あるものは放心した。髪をかきむしり、叫び声をあげる多くの受講者たち。それは鬼気迫る“集団”そのものだった。(後略)」

  もう一人、参加者の体験を引用しよう。

 「一日に十四時間以上も、私たちの血は汚れている、そのためには教会の教えに従って“蕩減”しないと、サタンの側へ行ってしまい、神の側へ来れなくなる、と説教され続けると、しまいにその通りだと思うようになります。そして突然、最後の日に、“文鮮明先生こそキリストの再臨の救世主だ!”と明かされ、すべてがわかったような錯覚に陥ります。そして“文先生によってのみ血は清められ、同じように清められた男性との結婚によってのみ原罪は取り除かれる”といわれると、救われたいと思い、信じて行こうとダレもがそう決心します。恐しい洗脳です」

こういうような記載があるわけです。こういうような修練会に関する記事はいっぱいあるわけであります。

 そのほかに「経済界」という雑誌がございまして、そこで「日本の“焦点”を抉る! 原理運動ってなんだ!? 信者になりやすいタイプはこれだ!!」という表題の記事が載っているわけですが、ちょっと読んでみますが、この中にこういう記事があるわけです。

  異常心理学で日本有数の権威者といわれる東大神経科のH教授(本人の希望で特に名を秘す、医博)は光る瞳と虚空を結ぶ視線のナゾをこう説明する。

 「人間が使命観を持ち、興奮すると瞳が光り出すことは実験のデーターで証明されています。軍隊で最前線の将兵の目が異常な輝きを示すのも、その一例です。しかし、原理研の会員は、視線が虚空であるという。これは心の視野が狭い証拠で、簡単に言えば集団ヒステリーの症候です。これは心に不満のある者が同じ運命共同体で結ばれ、感覚遮断と情報が一方的に与えられた時に生じる現象で、ファシズムに通ずる恐しいものです。集団ヒステリーは集団の中にいるといつまでも解けません」

こういう記事が載っており、そしてその後で統一協会の阿部正寿広報委員長の談話が載っております。

 「洗脳的部分は、当然あります。そうでなければ新しい思想が入り切れない。宗教というのは新しい人生観、世界観を持つことで、いわゆる催眠術のような甘いもんじゃない。共産主義だって同じですよ。“洗脳”に耐えられないような人間は、われわれだって必要ないですよ」

こういうようなことを言っているわけです。

 私は、こういった修練会というような、これは宗教活動という名のもとに行われているのであろうとは思うのですけれども、ここまで人間を心理的に圧迫していく、物理的にも拘束していくということになりますと、これはもう宗教活動からかなりはみ出す部分があって、人権擁護という観点から見て好ましいことではないと考えているのですが、この点について人権擁護の観点上いかがお考えになりますか。

○ 村岡政府委員

 入信に絡む人権侵犯問題という観点からとらえました場合に、私は、修練会に行くまでの過程と修練会の過程と二つに分けて考えるべきではないかと思います。修練会に行くまでの過程で暴行、脅迫その他それに類するような強制力が用いられたという事実は聞いていないわけでございます。これは、従来時折問題になりました新興宗教加入の強制問題というのとはいささか趣を異にする点ではないかと思うわけでございます。問題は、修練会における問題ですが、この修練会における活動というのは、教会の立場からすれば、まさに宗教活動といいますか、信者の教化育成ということだと思います。これももちろんその態様のいかんによっては問題になり得ることでございますけれども、本来は宗教活動プロパーの問題でございまして、これを対象にして人権擁護機関等が介入するということは、よほど慎重であるべきだと考えるわけでございます。

○ 日野委員

 局長は修練会についてある程度知識はお持ちだというふうにいまの御答弁から私感じたのですが、いろいろな文献等を通じてある程度その内容については御存じだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

○ 村岡政府委員

 二、三の文献には接しましたけれども、事実を捕捉しております、理解しておりますというところにはまだとうてい至っておりません。

○ 日野委員

 いま局長から御答弁いただきましたが、こういう事態が生じた場合はどうでしょうか。やはり同じ本に載っておりますが、

  東京新聞掲載の元信者の手記によると、誘って研修会に参加した親友は、大声をはり上げ、ついに錯乱状態に陥ってしまい、ついには耐えられず、真冬の凍るような神奈川県厚木の修練所をハダシのまま逃げ出した。それを車で追い、力づくでまた連れもどす。

  精神科医の所へ連れていくなんてことはしないで、講師たちは彼女を取り巻いて、サタンの追い出しにかかる。

 「いま、神とサタンが格闘している。まもなくサタンは神の前に屈伏するだろう。勝つのは近い、祈りなさい」と責め立てる。

こういう現象が起こったらどうでしょう。

○ 村岡政府委員

 そのような物理的強制力が加えられれば、もちろん人権侵犯問題になると思います。

○ 日野委員

 現実に修練会というのが、かなり組織的に各地の修練道場というようなところで行われていることは御承知ですね。

○ 村岡政府委員

 先ほど申しましたように、二、三の文献で知っております。

○ 日野委員

 昭和四十五年の夏に、大阪茨木の修練所で、山田龍雄君という、当時関西大学法学部一年生であった十八歳の青年が、発狂状態となって二階の窓から飛びおりて、それを教会幹部がまた連れ戻す、そしてこれを縛るか何かして軟禁して、ついに死亡するに至ったという事件が発生したことは御承知でしょうか。

○ 村岡政府委員

 承知しております。これは刑事事件になったということでございます。

○ 日野委員

 警察庁に伺いますが、この事件について警察庁はもちろん御承知でありましょうし、これは確定判決になったと思います。きょう判決はお持ちになっておいででしょうか。

○ 伊藤(榮)政府委員

 その点は、裁判を経ておりますので、法務省の方からお答えすることになると思います。

○ 日野委員

 法務省はおいででしょうか。——失礼しました。その判決をお持ちでしたら、事実のところをひとつお読みいただけますか。

○ 伊藤(榮)政府委員

 いまおっしゃいましたことに基づいて、まず事実のところを読み上げます。

 (罪となるべき事実)

  被告人は、世界キリスト教統一神霊協会の教義に共鳴して全国大学原理研究会に入会し、その指導員となって右教義の研究および普及伝導に従事していたところ、昭和四五年七月七日から同月一九日まで茨木市上穂積九〇番地所在「生命の貯蓄クラブ」において、教義に興味を持つ学生を集めて開催された原理研究会夏期合宿ゼミナールの講師兼責任者となったものであるが、同合宿に参加した山田龍雄(当一八年)が同月八日ごろから精神錯乱状態に陥り、同月一二日午前二時ごろ、大声をあげ、手足を激しくけいれんさせるなどの発作を起し、これをとりしずめようとする被告人や合宿の世話役(班長)らに殴りかかるなどの狂暴な行動をしたため、六名の世話役らと共謀のうえ、

 第一 同日午前五時ごろ、前記「生命の貯蓄クラブ」西棟二階北端の部屋(三二畳)において、右山田龍雄の両手両足をそれぞれタオル、さらし、子守用紐などで縛ったうえ同人を横臥させ、さらに前記世話役らが交替で常時同人の動向を監視し、よって同人の脱出を不能にして同月一五日午前二時ごろまで同人を同室内に監禁し、

 第二 右山田龍雄が前記のように精神錯乱状態に陥り、そのため同月一二日朝からほとんど水や食物を摂取せず、あるいは激しく暴れまわるなどの自傷のおそれがある状態に至ったので、合宿の責任者として直ちに医師の診察治療を受けさせ、医師による栄養補給等の生命、身体の安全を維持する適切な手段を講ずべき保護責任があるのに、前記のように漫然監禁したまま同月一五日午前二時ごろまで放置し、よって同人をして二階窓から飛びおりるなどして暴れまわった際生じた全身打撲傷と右の間ほとんど食物を摂取しなかったことによる栄養障害とが相まって生じた全身衰弱のため、そのころ前同室において死亡するに至らしめたものである。

これが事実でございます。

 一、二点付加しますと、この事件は田口民也というのが起訴の対象になっておりまして、昭和四十九年四月三日に、懲役一年、執行猶予二年という有罪の判決を受けまして、この判決が確定しております。

○ 日野委員

 どうもありがとうございました。

 いまお読みいただいた判決の内容は、ここにおいでの方々皆さんお聞きになったわけでありますが、どうしてこういう異常なことが発生するのか。この精神錯乱状態というようなもの、これが何で急に山田龍雄君を訪れたのであろうかということにまず第一に疑問を感じなければなりませんね。そしてそのような状態になった者、しかも脱出しようとして二階の窓から飛びおりようとしたりしておる者、こういう者の手足を縛るなどしてなぜ監禁しなければならないのであろう。しかも、食事もとらないで衰弱していく者に対して、何で医者に見せたり、これを適当な保護者に引き渡すなり、そういう処置をとらなかったのであろう、こういう疑問は尽きないところであります。こういう事態がここで明らかになっていた。いまここで明らかにするものは、修練会に関しては一つでありますけれども、このようなことが他の修練会で起こらないという、可能性はないのでしょうか。その可能性は私はあると思うのです。このような事態が一つ生じたということだけで、その修練会に対する監視の目というものは、これは当然関係の機関によって光らせられなければならない。この事件に見られることは、もはやこんなものは宗教活動でも何でもありませんよ。いかがですか、その点。人権擁護局と警察庁の両方の方に伺うわけでありますが、いかがでしょう、宗教活動とお認めになりますか。

○ 村岡政府委員

 先ほど横山委員が三つの問題点に分析して指摘されたことを思い出すわけでございますが、第一が教義自体の是非の問題、これは自分は追及するつもりはない、第二は宗教活動に伴う違法、不当あるいは人権じゅうりんの行為、それから第三が教育システムの問題というふうに三つに分けておっしゃいましたけれども、まさにこの問題は第三の教育システムの問題に属するのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。したがって、これは宗教活動、それと非常に密接不可分の領域にある。横山委員もこの点については確定的な御意見をきょうはお述べにならなかったわけでございますが、非常にむずかしい問題があるというふうに了解いたします。

○ 吉田(六)政府委員

 類似の事犯が発生することはまことによろしくないことでありますので、その事態が発生する段階でこれを防止するというのが一番結構なわけでございますけれども、これらにつきましては、私どもとしても十分捜査機能を向上させていきまして、もちろん発生した場合には直ちに捜査に着手するということは当然でございますが、発生防止についてもいろいろな観点から予防措置を講ずる必要はあろうかとは思います。

○ 日野委員

 いまの局長さん言われたことですね、私は非常に心外なんです。これは何も教育の過程の中で発生した問題でも何でもないと思うのですね。これは観念的にはあくまでも教育の過程というものと、こういう少なくても人が死んでしまったという種類のことは峻別すべきではないですか。そういった、人が錯乱状態に陥るまでの、これは判決の記載自体は明らかではありませんけれども、私は、錯乱状態に陥るまでのかなり強度の心理的な圧迫があったと理解せざるを得ないのです。それから逃げ出そうとする者まで手足を緊縛してこれを監禁する、それがどういう意味でも、これは宗教の布教活動の範疇に入らないというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。

○ 村岡政府委員

 ちょっと言葉が不適切でございましたけれども、そういう状態が発生して、そうして錯乱状態が発生して、いまの監禁、傷害等の問題は、これはもちろん違法行為、犯罪行為でございまして、これは宗教行為そのものに当たらないことは事実だと思います。ただ、その修練会で行われる信者の教化育成といいますか、教育活動そのものとそれらがかなり微妙な関連を持つということを指摘したわけでございます。

○ 日野委員

 ちょっともう一度……。後の方がよく聞き取れませんでした。聞き取れたのですが、意味がよくわかりませんでした。もう少しわかりやすく御説明いただけませんか。

○ 村岡政府委員

 その教義の教育活動の過程においてある種の心理的葛藤が生ずるのではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味で密接な微妙な関連があるのではないかと申し上げたわけでございまして、もちろん、結果としてそういう精神錯乱の状態を生じさせるような行動が違法、不当であることはもう申し上げるまでもないことでございます。

○ 日野委員

 これは判決という形でいわばはっきりと認められた事実ではない事実が、いろいろな刊行物なんかによって明らかにされているわけですね。これはまだ人の名前や何かもちょっと明らかにする段階ではありませんけれども、かなり組織的にこのような心理的な圧迫、物理的な強制、こういうようなものが行われている可能性があるのだということを念頭に置かなければ、この統一教会によるこういった布教活動の持っている全体の体系というものを見誤るような感じがする。これは個人の人権の問題として考えれば、一たん錯乱状態になってもうもとに戻らないという人は、この人の基本的人権というのはもうじゅうりんされ尽くして、もはや救うことができないわけであります。これを救うというためには、少なくともそういう錯乱状態や何かになる以前にこれは救われなければならない。人権擁護局の方で行われる仕事は、何か損害が生じたからそのてん補を心がけるものではなくて、そういった人権侵害が行われる事前に、またはその侵害が行われている最中に、そういった人権侵害を防止するということが必要な観点ではなかろうかというふうに思うのですが、いかがでしょう。

○ 村岡政府委員

 物理的強制についてはおっしゃるとおりだと思いますが、心理的圧迫というのをどう把握するか、この点がどうも先ほどの教化育成の宗教活動と非常に微妙な関係があるので、これに介入することは非常にむずかしいということでございます。

○ 日野委員

 募金活動とか物品の販売活動、これについて非常に重いノルマが課せられているというようなこと、これなんかについてお聞きになったことございますか。人権擁護局の方に伺います。

○ 村岡政府委員

 具体的にどのような重いノルマが課せられているかということはまだ了知しておりません。

○ 日野委員

 これは雑誌「現代」五十年四月号でありますが、「いま話題の統一協会=原理研の“怪金脈”」という記事がございます。ここにこういうふうな記載があります。「昨年、」といいますからこれは四十九年のことですね。「昨年、狭山湖畔で統一協会の大会が開かれ、全国から七、八千人の会員が集まったとき、来日した文鮮明氏がこんな演説をしたという。「『私はお金がないから、みなさんで人参茶を売りなさい。しかし、ただ売りなさいではなかなか売れないので、今日はひとりひとりに文書にして書いてもらいます』と。それで私たちは、五月から八月にかけての九十日間で四百箱売るという“誓約書”を書かされましてね……」」これは信者のレポートですね。そして、「人参茶の定価はメーカーによって違うが、彼らが扱っているのは百グラム入り一箱が三千八百円、二百グラム入りが七千円。」Mさん——特にMさんとしておきますが、Mさんが「割当てられたのは二百グラム入りだった。しかし常識的に考えても、一箱七千円ものものを三カ月で四百箱を消化するのはたいへんである。ついに彼女は悲鳴をあげて「五十箱にしてほしい」と申し出た。すると、ホーム長から「では、もうひと晩お祈りして考えなさい」といわれたという。その結果、彼女は百五十箱に落ちついたというが、“ノルマ”が決まったその日から「一日三個売れなかったら食事をとらない」という悲壮な決心をして売り歩いたという。しかし、よほどベテランのセールスマンならともかく、日用必需品でもないたんなる自然食品が、そんなに簡単に売れるはずがない。年配の森川さんは知人を頼って、ともかく売りつくしたが、知己の少ない若い学生たちのなかには、結局、手近かな父母、親戚に大量の箱を持ちこむ者が少なくなかった。」このような記載があるわけですね。

 こうなりますと、これはかなりこのニンジン茶を売って歩いている信者の人々に対する心理的な圧迫がかかっていると思うのですが、こういう事態をお聞きになって、これは人権上問題があるというふうにはお考えになりませんか。

○ 村岡政府委員

 そういう情報があることは幾つかの文献その他で承知しておりますが、先ほど横山委員の御質問に御答弁しましたときにも触れましたように、実際にそういう立場に立たされたいわゆる被害者本人から直接その事情なり事実を聴取する機会をまだ得ておりませんので、直接そういう事実関係を把握することができないのでございます。これが、あくまでも教会側が言っておるということでございます、本人の自発的な意思に基づくものであるとすれば、問題の見方はよほど変わってくるわけでございます。何らかの強制がある、それは一体いかなる強制であるのか、単にノルマの問題よりも、さらにさかのぼりますと、この宗教から脱退する自由が保障されておればこういう問題はないわけでございます。その辺の事実関係を調査により把握したいものだと考えております。

○ 日野委員

 これは脱退するについて非常な迫害を受けたとか、心理的な圧迫または近親者に対して迷惑が及ぶぞという脅迫が行われた、そういう事例をきちんとあなたが把握されれば——あなたがというよりは法務省が把握されれば、これは法務省の組織を挙げてといいますか、人権擁護局が全国各地でこういった人権侵害をなくするために立ち上がるというとおかしいですが、一斉にその調査を始められる、そういうおつもりがおありでしょうか。

○ 村岡政府委員

 そのような具体的な圧迫なり強制が用いられておるか、それを調査した上で対処したいと思います。

○ 日野委員

 次に、この統一協会と密接な関係にある統一産業という会社がございます。これは昭和四十八年当時にも国会でも問題になったのですが、ここで鋭和B3という空気散弾銃、また鋭和3Bという単発の空気銃、これを購入したということが国会では問題になったわけであります。これが正式にどのくらいそれぞれ輸入されたものであったかということを警察庁に伺っておきたいと思います。

○ 吉田(六)政府委員

 四十八年四月五日の内閣委員会で問題になったエアライフルの鋭和3B単発空気銃は、狩猟、標的射撃などの用途目的を有し、かつ申請者に欠格事由がない場合に限り所持を許可しておるという種類のものでございますが、総丁数、所在については、これに対する統計資料を持っていないわけでございます。ただ、この銃はポンプ式の銃でございまして、ポンプ式の銃としましては、いま全国で所持が許可されているものは七万十四丁ございます。しかし、これがすべて鋭和3B単発式空気銃であるということにはならないわけでございますが、その中に含まれるということで御了承願いたいと思います。

○ 日野委員

 その当時の質問の内容を見ますと、この銃は非常な威力を持っている。この銃の威力について警察庁なんかでテストしてごらんになったことがございましょうか。ありましたら、その結果をお知らせいただきたいのですが。

○ 吉田(六)政府委員

 鋭和3B単発式の空気銃は、銃に備えられたポンプを操作してあらかじめ蓄気しておき、口径四・五ミリの散弾を発射するポンプ式空気銃でございます。この蓄気室が非常に大きいために、あらかじめ行うポンプ操作の回数に応じまして最大四十発くらい連続発射も可能であるというようになっております。

○ 日野委員

 その威力の点ですが、その当時の質問で、空気を最高に詰めたときは一・六ミリの鉄板を撃ち抜く威力がある、こういうふうなことが指摘されているのですが、この点についてはお調べになったことがございませんか。

○ 吉田(六)政府委員

 いま手元にその資料がございませんので、承知しておりません。

○ 日野委員

 この鋭和3Bというような空気銃が大量に日本に輸入された、そしてそれの行き先は現在掌握しておられないというふうに伺ってよろしいわけですね。

○ 吉田(六)政府委員

 個人許可でございますので、約七万丁のポンプ式の中にその銃が含まれておるということでございます。

○ 日野委員

 警察庁の方で統一産業という会社と統一協会、また勝共連合との関係というようなものは御承知になっておられましょうか。

○ 吉田(六)政府委員

 勝共連合と統一協会、統一産業、この関係については承知しておりません。

○ 日野委員

 私は、こういった銃の輸入による利益、募金による利益、それから物品販売の利益、これらが一体どこに消えてしまうのかということについて非常に強い疑問を持っているわけなのであります。

 もう時間も時間ですし、委員の方も余りいませんから、私も大体ここいらで締めさせていただくつもりですが、神戸地裁の判決がここにございます。被告人石井光治外二名に対する、神戸地裁で昭和五十二年一月二十一日宣告された判決であります。これは無罪判決であります。しかし、その無罪判決の冒頭の部分に、この統一協会、それから勝共連合、その下部組織とも言われる企業集団、それからその企業集団と韓国側のいろんな団体がどのように結びついているかということを、この事件で問題になった証拠に基づいて神戸地裁の担当裁判官が認定した部分がございます。それで、その若干の部分をひとつ読み上げて参考に供したいというふうに思うのであります。

 被告人石井は、前期各公訴事実に摘示中の最初の犯行年月日である昭和四六年八月二八日より以前から現在に至るまで宗教法人世界基督教統一神霊協会(以下、「統一協会」と略称する。)の信者で同法人の渉外部長の地位にあって財務全般の総括責任者でもあるとともに、政治団体国際勝共連合の会員で、勝共連合では表面上特定の役職についてはいないが、実際の活動面で渉外及び財務関係の責任者として活動し、また、統一協会及び勝共連合の活動資金の収集集団であるいわゆる熱狂グループの収集資金の管理、出納の統括責任者でもあり、更に、昭和四五年五月から昭和四六年一一月一〇日までと昭和四九年五月一五日以降現在まで統一産業株式会社(以下、「統一産業」と略称する。)の代表取締役の地位にあり、右代表取締役就任中断の間の昭和四六年一一月一一日から昭和四七年一二月までの間においても統一産業の取締役会長の地位にあった

こうなっているのですね。そして、

 統一協会と勝共連合は、団体としては別個のものではあるが、思想的には相連結するところがあって、統一協会の代表役員(会長)である久保木修巳が、同時に勝共連合の会長(政治資金規正法による届出上の代表者は梶栗玄太郎になっているが、実際上、同人は事務総長の職にとどまる。)の地位に就き、前記のように被告人石井が統一協会と勝共連合の渉外、財務の職責を兼ねて担当し、他の被告人等も両組織に属しているほか、両者間に会員、賛同者の共通する者が多く、以上の点で、統一協会と勝共連合は組織上も関連するところがある……次に、前記熱狂グループは、統一協会の信者、賛同者や勝共連合の会員、賛同者等において一〇年以上もの以前から統一協会や勝共連合の伝道、活動資金の収集を目的に全国各地で花売り、人参茶の販売、資金カンパ等の活動をしてきた者等の集団であって、全国各地の熱狂グループの収集した右資金は、すべて被告人石井のもとに集められ、被告人石井の管理のもとで勝共連合の活動資金や統一協会関係の活動資金に使用されてきたこと、そこで、少くとも右のような熱狂グループの資金収集活動及びその収集資金の活用を見る限りにおいては、統一協会と勝共連合の間に資金面の関連も否定できない……統一産業、幸世商事、幸世自動車及び幸世不動産は、もとより法的には統一協会と別個の法人ではあるがいずれも統一協会の信者等で組織され、経営されている会社であって、統一協会から出資や事業資金の貸付を受け、他方統一協会の信者たる右各会社の役員や、従業員等はその報酬、給料の殆んどを統一協会に献金しており、また、右熱狂グループとの関係では、その収集資金の一部が右各会社の事業費に流用されている事実もあり、就中、幸世商事は前記の熱狂グループの販売する人参茶の韓国からの輸入にも当っているのであって、少くとも以上の限りでは、右各会社と統一協会との間にも人的及び金銭的な関連のあることが認められる。

こういうふうに書いてあります。そしてそのほか韓国のいろんな団体と統一協会の関係がずっと書いてあるわけでありますが、結論的にはこう書いてあります。

 以上の日韓諸団体間に、おおむね前記の教義や思想面については韓国側が指導的立場に、その宗教的、政治的及び事業上の活動の資金面では日本側が支援的立場に立つような相互関係が維持されてきたものとうかがわれる。
こういうふうになっているわけですね。つまり、統一協会及び勝共連合が、募金、物品販売、そのほかいろんな会社を通しての利益、これを韓国側の文鮮明を頂点とするそれらの組織に貢いでいる、こういうことになるわけですね。これが国際的にも文鮮明の活動を支えている資金源になっているわけであります。そして、これらの活動の資金源というのは、日本の青年たちがかなり無理をして、自分たちの人権の侵害——と私はあえて申し上げたいのですが、そういった苦しみに耐えながら、場合によっては犯罪に相当するような行為を行いながらかせぎ出しているというのがこの組織上の実態であり、資金上の実態であるというふうに私は思うのであります。これをわれわれはいまここで看過していていいのかということがわれわれの主要なテーマであります。

 きょうは時間も遅いですからこの程度にしておきますが、これからもっともっといろいろまた御質問申し上げることもございます。きょうはこの程度にいたしておきます。

○ 上村委員長

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十九分散会

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