椿6月例会 企画者としての自身のダメだし

2022年6月11日にクイズサークル「椿」で企画を行いました。

自分が理想と思う行動指針に対し、実際の企画者としての振る舞いはどうだったか。そして、問題における自分の不備と対応のダメ出しを自分ですることを記録するためにこの文面を公開します。

なので、「参加した方をどうこう言おうとする意図はもちろんない」ということを前提に読んでいただければと思います。

そして、別記事で言及した正誤判定基準も併せて見ていただければわかりやすいかと思います。
競技クイズ 正誤判定基準(土橋案)|dobby072|note

1.出題者・正誤判定者としての自分の行動指針


まず、自分の行動指針です。

①特定の回答者に対し肩入れをせず、全員を平等に取り扱うこと
②自身が作成した正誤判定ガイドラインに基づいた厳正な正誤判定
③以下のクイズ文法を守った問題を出題すること。

 ・自然な日本語の文体になっていること
 ・事実関係に齟齬がないこと
 ・早く押すことに何らかのメリットがある問題文の構成
 ・回答に直結しない情報を最小限にすること
 ・回答が一意に定まること。限定が効いていること
④参加者からの疑義に対し、冷静に受け入れること
⑤自分の問題に瑕疵が生じた場合、適切な判断を下すこと
⑥自分の出題や正誤判定基準に瑕疵がない場合「ごめんなさい」を言わない
 こと(特に誤答時)

2.椿例会での行動における、行動指針の評価


①特定の回答者に対し肩入れをせず、全員を平等に取り扱うこと
 心がけたつもりであるのですが、正解・誤答の判断が微妙な時に、どうしても正解よりの判断になってしまったように思います。よって、個々の局面で全員を平等に取り扱う判断が出来たかどうかというと、微妙です。

②自身が作成した正誤判定ガイドラインに基づいた厳正な正誤判定
 自身が作成した正誤判定は3ページと多く、しかも通常の競技クイズで通用する判定基準より厳し目に設定しているので、この運用はなかなか難しいです。個々の局面で判断がぶれていたと思います。

 さらに、微妙な判定に対しては、どうしても正解よりの判断になってしまう。誤答の判断を下すことへの怖さがあることも影響しているような気がします。

③クイズ文法を守った問題の出題
 回答が一意に定まらない問題が1問。前フリと落としの不一致も1問ありました。これは申し訳ないとしか言いようがないです。いろいろな人の作問思想も学んで、精進します。

④参加者からの疑義に対し、冷静に受け入れること
 多少、冷静にならないところも合ったかもしれませんが、基本敵に取り乱すことはなかったと思います。
 確認を求められることも時々ありましたが、こういう確認はお互いのために大事だと思っています。そういう意味で確認も冷静に受け止めることが出来ました。 

⑤自分の問題に瑕疵が生じた場合、適切な判断を下すこと
 基本的に自分の問題に瑕疵が生じた場合、
 ・次の問題に移る前に指摘が合った場合はノーカウントとする。
 ・次の問題に移ったあとは、「判定自体の変更は『次の問題に移る前
  まで』」と説明し、瑕疵を謝罪した上で、裁定自体は変更しないことを
  通知する。
 と決めていました。
 
 前者は概ね出来ていたように思います。
 ただ、後者は結果として裁定自体は変更していませんが、変更しない理由をきちんと説明できず、「ごめん、許して」的な逃げを打っていたように思います。逃げを打つのは正誤判定の責任を果たしていない行動に思えます。

⑥自分の出題や正誤判定基準に瑕疵がない場合「ごめんなさい」を言わないこと(特に誤答時)
 これは、概ね出来ていたと思います。
 一方、「相手の気を悪くしたことに対して、ごめんなさいという言葉で共感を示す。」という考え方もあるので、賛否分かれるところですが。
 「ごめんなさい≠謝罪」でない考え方もあるかもなぁとは思いますが、瑕疵がないのにごめんなさいと言うのは個人的にはあまり良くないなぁとは思います。

3.例会中に問題となった具体的な局面

 個々のケースについて、自分の問題、ジャッジメントの反省を具体的に書きます。

その1
Q.ドリブルのテクニックで、相手の頭越しにボールを跳ね上げてかわす
  プレーのことを、/フランス語の「帽子」という言葉から何という
  でしょう?
A.シャペウ

 企画の中ではこのスラッシングで「ヒール・リフト」を即✕にしてしまいました。
 この問題文、スラッシングではヒール・リフトでも即✕は適切ではなく、せめて「もう一度」を取る判断をするべきだと後で感じました。

その2
Q.整形外科で行なわれる治療法の中でも、外科的手術を行わないものを
  総称して何療法というでしょう?
A.保存療法

 この問題で、「非観血療法」という回答を頂きましたが、正誤の判断がつかず、ノーカウントにしました。
 改めて調べてみると、ほぼ同一かと思うので、正解のほうが良かったかもしれません。こちらの調査不足による出題です。なかなかすべての解答をしらべるのは難しいですが、できるだけ準備していくのは出題側の責任です。

その3
Q.1978年に世界で初めてステンレスボトルを開発した、「サーモス」
  ブランドを現在所有している日本の企業は何でしょう?
A.日本酸素

 前フリの内容は確かに日本酸素であり、また、もともとサーモスブランドは日本酸素の事業部でした。しかし2001年に日本酸素サーモス事業部と、魔法びんの製造を担ってきた株式会社日酸サーモが統合して、サーモス株式会社が設立されているので、例会中はかなり混乱をきたしてしまいました。
 その意味で非常に申し訳ない出題と思います。下記の改題案が適切と思います。

Q.(改題案)1978年に世界で初めてステンレスボトルを開発した、現在
  は持株会社としてサーモスを傘下におさめている日本の企業は何でしょ
  う?

その4
Q.【嘘フリクイズです。】正確に言うと325.8である、本名を畠山秀樹、
  デビューした時の名義を「はた山ハッチ」という漫画家は誰でしょう?
A. やくみつる

「畠山」を「はたけやま」ではなく「はたやま」と読み間違えました。
読み間違いについて指摘があったため、出題者瑕疵ということで本来ならば無効が妥当と思いましたが、「もったいない」という感情が働いて、無効にはしませんでした。

ただ、問題終了後すぐではなく、次の問題の判定終了後だったので、それを理由にして判定有効にする判断をきちんと説明するのが正しいジャッジだと思いました。

その5
Q. 2014年より茨城県の国営ひたち海浜公園で行われている、フジロック
  フェスティバル、サマーソニックとともに日本三大ロックフェスに
  数えられるのは何でしょう?
A.ロックインジャパンフェスティバル

 2022年は千葉市蘇我スポーツ公園で開催されているという指摘を受けました。過去に作った問題であり、開催場所変更の情報がチェックできていませんでした。出題者瑕疵のため、正解が出ていましたが取り消しにしました。

 取り消しは妥当な判断とは思いますが、一旦正解の判定を出したことでぬか喜びさせてしまい、申し訳ない判断です。

4.最後に所感


 正誤判定するにあたっては観客の立場とは違い、きちんと境界線を引く、
個々の解答者に寄り添わない意志が判定者に求められることだと思います。ただ、個人の感情に左右されるところがあるのが、境界線を引くことを難しくさせています。

 出題問題や問読みに瑕疵があった時、個々の判断、本当に迷ったりした時にどのように取り扱うか、できるだけ最初に取り決めをしておくことが大切であると思います。そのために参加者側からチャレンジというか、疑義を確認する機会を設けることは必要です。
 さらに、疑義を確認するルールについても、取り決めが必要ですね。
 ・いつまでに意思表明して判定を変えるのか?
 ・何回権利の行使を認めるか?
 ・出題者の主観による認識の歪みをどうチェックするか?
 などなど、課題は多いですね。

 確認の結果、自分の問題に瑕疵があるため、問題無効の裁定を下すこともありましたが、「相手の○を取り消してしまった。」と思われてしまうことがありました。
 ただ、恐縮されて、確認することに消極的になるのは、いい傾向ではないなと思います。企画者としては、自分の瑕疵によって勝敗に影響が出たり、参加者がやもやするのは良くないので、指摘してほしいと思います。
 瑕疵を生じたのは自分であり、裁定は僕の責任で行います。批判も自分だけに向けてほしいなと思います。

 全般的に迷いがあり、微妙な正誤判定に時間をかけすぎていると思いました。特にエンドレスチャンスを採用していたので、「とりあえず✕」として解答権を早く回したほうが良いですね。途中で審議してしまい、流れを止めてしまったと思います。

 正解至上主義に引きずられずに、全員を平等に扱う。言うのは簡単ですが、実践は難しいです。でも、僕の理想の競技クイズを考え続けます。


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