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映画「エゴイスト」を観たんです

*かなりネタバレ触れちゃうかも


先週公開された話題の

映画「エゴイスト」

を観て参りました。

未だに同性婚が認められていないG7唯一の国、日本。

首相秘書官がLGBTQ当事者を「気持ち悪い」と呼び更迭され、自民党議員たちは挙って、社会が変わるだ?違憲だ?と難癖をつけて反対して、LGBT法案とやらもなかなか成立しない国、日本。

いろいろトランスジェンダーの人が公衆浴場にとかジムの着替えに入ってくるとか難癖を付ける人が増えている。それで、女性の権利を迫害するって?何それ?!

そんな事考えるトランス女子はいない!考える時点で、男性であり、犯罪者です。女子であるならば、女子が嫌がる事はしない!ワタクシはそう信じます!

そんな日本にもLGBTQ当事者は、他の国同様に生きています。10人に1人とも言われてる割合で。

映画の中でも、「婚姻届取り寄せて、ふたりでサインしてみたの(できないけど)」なんてシーンも出てくる。性別関係なく、結婚したい人はしたくて、法律で認められたいだけなのに。

取り敢えず、同性婚に話を絞りましょう。

良い加減、認めろよ!結婚する当事者にしか関係ない事なんだから!社会に迷惑なんてかからないよ!


って言う映画じゃあないんです。(上の大きな文字はワタクシの心の声ですけどね。)


オフィシャルサイトから



まあね、ストーリーからもわかるように、この映画はゲイカップルの恋愛を描いているわけですからクィア映画ではあります。それも「ドキュメンタリータッチで」との事で、刺激的でセンシュアルなシーンなども前半は数多く出て来ます。大人の恋愛ですから…。

でもね、途中から、これって

ヤングケアラーの問題について

描いてるんじゃないの?って心の声が大きくなっていったんです。クィアとか異性間恋愛とか関係なく。

宮沢氷魚さん演じる龍太が、シングルマザーで病気持ちの母親(阿川佐和子さん)を養うために高校中退して苦労してるのって、正にヤングケアラーなのでは?そう思うと、健気すぎる龍太が可哀想で、何か別の方法はないの?こんな事、同性愛だからとか関係ないよ!って思えてしまった。

母親とクズな父親が離婚しなければ、
母親が病気にならなければ、

龍太は高校をやめずに済んで、
したくない仕事もせずに済んだかもしれない。

何か方法なかったの?何か…。

でも、そうすると、龍太鈴木亮平さん演じる浩輔は出会わないわけで、この物語は誕生しないのだけれど。何しろ

原作は数々の名コラムを世に送り出してきた高山真の自伝的小説『エゴイスト』。

オフィシャルサイトから

自伝的小説だから…。


それで、やっぱり題名の[エゴイスト]に込められた意味が気になりました。

原作者の高山真さんがつけていた香水の名前でもあり…と北原みのりさんが書いていました。

コレかしら?


まあ、それだけじゃないわよね…って事で、原作のサイトを探してみた。

amazonから


原作のサイトには、ストーリー部分でかなり突っ込んで書かれてました。

そうです。龍太は母を養うために10代の頃から「体を売って生きていた」。そして、浩輔自分の亡くなった母への想いを龍太と彼の母に重ね、ふたりを援助していく。その事が新たな悲劇を産むとは思わずに。

しかし、浩輔は悩み続ける事になる。

「龍太と母を救いたいという浩輔の思いは、彼らを傷つけ、追いつめていたのか? 僕たちは、出会わなければよかったのか? 愛とは、自らを救うためのエゴだったのか? 」

その答えのひとつを龍太の母が彼に与えてくれているけれど、きっと浩輔は悩み続けるのでしょう。

残念な事に、原作者の高山真さんは2020年10月に亡くなっています。この映画を観た感想を聞きたかったな…。

高山真さんと交流があった北原みのりさんが彼のことを語る記事がありました。(ココに香水のことが書いてありました。)



そして、高山真さんがモデルとなる主人公・浩輔を演じた鈴木亮平さんのインタビューはコチラ。特に高山真さんへの想い綴られている②を。彼は演じるために、高山真さんの友人たちに何度もお話を聞いていったそうです。

ココに先ほどのエゴに対する答えのひとつが書かれていました。

「ドリアンさんが言ってくれたように、身を守り保とうとするエゴも、誰かを手に入れたいと願う意味でのエゴも、それは同性愛だからどうというものではなく、セクシャリティを超えて一定数共通なのかもしれません。」

本当にその通りだと思います。だからかな?より自然に感じたのかもしれない。

鈴木亮平さん「僕が決めていたのは、この映画をきちんとしたクィア映画にしたいということだったんですよ。ゲイの方々が見てくださった時に、共感してもらえる、違和感なくリアルだと思っていただけるものにしたいと。それによって、実際のLGBTQコミュニティ、社会、そしてエンタメの描き方、それらがお互いに影響しあって前に進んでいけるような、その糸口を作れればいいなと考えていました。」

LGBTQに関してまだまだ過渡期の日本です。正直、ワタクシも彼らのコミュニティに関してはわからない事ばかり。でも、ワタクシはわからない事を気にしてないんです。わからない時は、失礼にならないように質問します。リスペクトを持って接したいから。それは他の問題と同じだと思いますが…。間違った認識を持つ事が一番コワイですからね。そう言う点でも、ワタクシは鈴木亮平さんのこうした態度はとても素晴らしいと思っています。

そして、龍太を演じた宮沢氷魚さんのインタビューも発見。


ワタクシはヤングケアラーである龍太が健気で可哀想だと書きましたが、演じた宮沢氷魚さんは違ったようです。

僕は、「龍太がかわいそうだ」とは思わないで演じました。あそこまで一生懸命頑張って自分を酷使する龍太は、彼が選んで、彼の意志で行われたことの結果。「かわいそうだな」とは思う必要はない。

なるほど…と思ってしまいました。映画の前半で浩輔龍太の事を「ピュアで」と称していますが、こうした所にも彼の「ピュアさ」が表現されていたのかもと感じました。


LGTBQに対して偏見を持っている人達にとっては観ない映画かもしれないし、分かろうとしない映画かもしれないですが…。

好きな人がいる。
大切にしたい人がいる。
好きな人が欲しい。
好きになって欲しい。

そこに偏見は存在しないって事を思い出させてくれる映画でしたけれどね…。


最後に、冒頭の浩輔とお仲間たちが居酒屋で呑んでるシーンが、何とも素人さん?と言う唯一の違和感がありましたが、ほぼアドリブであることが監督のインタビュー記事で明らかに。


やっぱり…でした。

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