Sain'o O -無名は無明にあらず-
明け方から激しい雨と風が打ちつける
そんなはじまりを迎えた一日だったが
午後になると嘘のような快晴と鳥のさえずり
沈む夕陽を見送りながら
同じ一日とは思えないね
とぼやく
2020年はそう
未だ明けぬ嵐の内にありながらも
そんな、とても同じ一年とは思えないような
永く、多くのことに見舞われた一年だった
"見舞われた"ことばかりではない
自らこの変化に応じるべく
新たな船を漕ぎ出した人
舵を大きく切り直した人も多いだろう
僕もある点においてはそのうちの1人で
「Roku Records Japan」という音楽レーベルの立ち上げ
1stFullAlbum「Sain'o O」のリリース
などと精力的に活動してきた
世界を見渡せば
失われたものも多く、それらは忘れられない
が、
産まれたものも少なくない
悲劇ばかりでもないはずだろう
精神的な波が大きいと付き合いずらい
という意見は理解に難くない
僕は浮き沈みが激しい自分の性格を受け入れるために
こう考えるようにしている
僕は歌詞を書きメロディを乗せる
ソングライター
バイオリズムの波の間で生じる結露が
作品になっていると
温度差があるからできる
と思うことで自己肯定をはかる作戦は
いい作品ができれば効果を発揮することがわかった
師は半世紀もの時を音楽に捧げた末に
音楽がなんなのかってことはさっぱりわからん
と笑い飛ばす
定義を寄せ付けないところに音楽の懐の深さがあり
それはもはや"音楽"ですらないのかもしれない
言霊こそあれ、名は呪にすぎない
音楽をやめるだとか続けるだとか
そんな感覚はのっけからお門違いなのだと思う
商業的に売れる音楽とか
さっぱり遠くに届かない音楽もあるが
それがどうしたと言わんばかりの
産声が今日も世界各地で上がっている
商業的成功をくだらないと一蹴することもできよう
作品のクオリティに計り知れない期待を抱き壮大な夢を見ることもできよう
僕はなにか
生まれるメロディに心血を注ぎ
あらゆる境界を越え
多勢の人に響くものが作りたい
それはつまり現代においては
売れるという簡単な言葉に終始する
しかし時代を問わず
音楽は暮らしと共に
気取らず肩肘はらず
誰もが親しめるものだとつくづく思う
音楽は、音楽に選ばれた者だけの特権ではない
音楽は選民などしない
誰もが口ずさめばいい
どこかで聴いたようなメロディを
誰かが吹いた口笛に
頬が綻べばいい
僕は僕なりに
良い曲(定義はあるようでないようである)(ようでないのかもしれない)を描き続けたい
"描く"としたのは
絵を描くかのごとく紡ぐことを意識しているから
それは時間をかけてでも
広がっていく波紋であれば尚いい
例えばサーフィンが
海に遊んでもらっている
(やってみてそう感じた)というならば
僕はまるで
音楽に遊んでもらっているようなのだ
そのおかげで巡り逢えた縁の多いこと
幸せだった
恵まれているとつくづく感じた
今年も多くの応援や教示をいただいて育った
半年前に生まれたばかりの
「Sain'o O」
その世界に住む10曲の静かな叫びたち
あるいは祈り
それらを取り巻く他の楽曲たち
これから生まれてくる作品たち
どれも我が子のように大事に思う
が故に
独り海を渡り大きく羽ばたいていったり
日陰に物憂げに咲く小花に寄り添ってほしい
と願う
Roku Records Japanの開業届も12/23に済ませた(2020.6.12を設立日とした)ことだし
来年はどんな年になるのか
一層楽しみで仕方がない
変化のスピードが緩まぬ時代に入ったことで
長期的な行動計画は立てにくくなった
荒削りでも大きな柱が一本立っていれば頼もしい羅針盤となるだろう
僕の柱は
とにかく歌い、弾き、作る
どこまでも世界は広い
そして思いがけず狭い
この広い世界を
ローカルにするために
色々なところに
僕の音楽を
届け置いていこうと思う
越境は1人では叶わない
今年、力を貸してくれたみんなのおかげで
小さい土橋悠宇という存在がすこし光れた気がする
感謝は尽きない
来年も、お互いに、協奏を深め
地球全体がもっと調和に満ちるように
生きていきたい
最後に
今年は大変だったでしょう
悲劇もたくさんあったでしょう
揺れる未来に絶望を見たこともあるでしょう
でも越えましょう
その悲しみ苦しみにも果てはある
絶望の果てさえも越えましょう
その先にきっとある
明の地を目指して
無名であることは
必ずしも無明ではない
越境は1人では叶わない
枝は一本では弱いが束になれば強い
まだ産声あげたばかりの
誰も知らないにかぎりなく近い
僕の思い描く「Sain'o O」が象徴する世界が来ることを願い
そんな世界にする一旦を担うことを豊富として
今年の締めくくりの言葉とする。
本当に
ありがとうございました!!!
来年もよろしくお願いします。
2020.12.29 土橋悠宇
追記 (2020.12.31)
音楽は人を選ばないと書いたが
音楽に仕える者というのはあるかもしれない
昨夜、そんな3人とのラストライブを終えた宴の席で
今年最後にして最大の啓示のようなものを受けた
どこまでも音楽に純粋になるにはまだ時間がかかるのかもしれない
それは突然やってくるのかもしれない
僕は楽しくて仕方がない
身体が、存在が、音楽そのものにまだなっていない
と言葉をもらったとき
溢れる気持ちが流れた
堪える必要のない涙だった
妙かもしれないが
嬉しかった
すごく希望に満たされた
音楽をやっていてよかった
今年起こったすべてのことに
改めて感謝の念が湧いた。
偉大な先人達に敬意を。
僕はずっと深く潜っていく。
2020.12.31
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