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義務教育を休ませてしまう「不登校の子」の親は、就学義務違反になるのか?という疑問

「学校にいけない子が休むのは仕方ないけど、義務教育の場合、親ってやばいんじゃないの?」と、不登校をしている妹と母(わたし)をみて、大学生の兄は思うようです。

この「やばいんじゃないの?」には、「私の対応が適切ではない」という意味と、「就学させない親には罰則あるのでは?」という意味が含まれていました。

この二つの疑問に対する私の見解は、どちらについても「問題ない」という答えをしたのですが、同居の母も同様の疑問をもっていました。そして、私の知識の中での説明では、不安が払しょくできなていないようです。そこで、今後も娘を気持ちよく娘を見守ってもらうために、文部科学省の方針をなるべく正確に理解しようと思ったのです。

政府の配信しているサイトで法律などを確認しながら書いておりますが、間違えているところもあるかもしれません。間違い等ありましたら、大変お手数ですが、ぜひお知らせください。

「義務教育」の意味

不登校をしているお子さんに、「義務教育なのだから、学校にいかなくてはならない」といわれる保護者の方が少なからずおられるようだと聞きました。子どもたちの中にも、小・中学校は「義務教育」のため、「子どもは学校は通わなくてはいけないところ」と思っている子もいるようです。

しかし、日本の法律で定めらているのは、「子どもには学ぶ権利がある」ということであり、「子どもは学校にいかねばならぬ」とは書かれていません。子どもに義務はないけれど、その子どもを保護する大人には、子どもの教育を受ける権利を保障する義務があります。

うちの不登校ガールなんぞは、義務教育についての意味を、いける権利であって、行かなくていけない権利でないことをよく知っております。
それなのに、学校には行かなくてはならないから、という理由から、「義務教育だから学校には行きなきゃいけない」と、先生が説明したと言ってました。同じ説明を聞いている場合でも、理解力に応じて、適切に受け止め方に違いって出るのですね。

義務教育の意味については、文部科学省が公開している『昭和22年教育基本法制定時の規定の概要 第4条 (義務教育)』を、ぜひ、ご覧ください。
https://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/004/a004_04.htm

「義務教育」で保護者が負う義務の内容とは

保護者が負う義務の内容について、私は今まで考えたありませんでした。私の認識では、「親の担う義務は、小中学校は卒業させること」くらいの漠然としてものでしたが、「義務教育」の内容は、憲法、教育基本法、学校教育法などで、以下のように明確に定めれています。

憲法第26条第2項では、以下のように定めらており、

「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」

教育基本法第5条第1項には、以下のよう規定されています。

「国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。」

さらに、これらの規定を受けて学校教育法第16条、17条に就学義務に関する具体的内容が規定されています。
これらをすっごくざっくりまとめて言うと、

保護者は子どもに9年間の義務教育を受けさせる義務がある。
そのことを「就学義務」という

と、言えます。
え?なに? 別に当たり前じゃん! って思いません?
わたし、めっちゃ思いました。

思いましたけど、めっちゃ細かく細かく、似たような文章を積み重ねて、義務教育の説明はされていることから、国民のルールになる法律って、すっごい神経をつかって制定されていることが、よくわかりました。認知のズレが出にくいようになのか、非常に細かく配慮された言葉が重ねてあるのだろうな…と感じました。

関連法令等ふくめ、文科省の説明が知りたい方は、小・中学校等への就学について」を確認してみてください。

また、次のこともわかりました。
義務教育を「正当な理由」がないのに受けさせないことは、親の就学義務違反となるそうです。
へー、なんだ当たり前じゃん!って言う気持ちと、「じゃあ、不登校って、やばいの??」という思いもでてきて、一瞬、ざわつきました。

子どもが不登校になっている親は、就学義務違反になるのか?という疑問

学校教育法17条3項学校教育法施行令20条、同21条では、就学義務違反について以下のように定めています。

保護者が就学義務に違反していると疑われ、学校に出席させないことについて保護者に正当な事由がないと教育委員会が判断したときは、教育委員会から保護者に対して学校に通わせるよう督促することになります。

セットで子どもを守るための罰則も用意されています。

保護者が督促に従わないときは、保護者は10万円以下の罰金に処せられます(学校教育法144条)。

学校教育法の全文は↓で確認いただけます。
https://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/kitei/reiki_honbun/w002RG00000944.html#e000000529

しつこいですが、
親が正当とは思われない理由で義務教育を受けさせなければ、違法行為とみなされるということになります。

ですが、これらは、教育を受ける権利が子どもに保障されているものなので、子どもが正当な理由なく学校に行かなくても子どもが罰を受けるわけではありません。究極的には子どもの真意であれば、教育を受ける権利を放棄する(ただ学校に行かないだけですが)こともできます。

では、不登校はどうなんでしょうか?
貴方はどう思いました??

学校教育法施行令 第二十条の「正当な事由」の例として、子どもの不登校(不登校の理由について限定なし)を挙げています。

第二十条 小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校及び特別支援学校の校長は、当該学校に在学する学齢児童又は学齢生徒が、休業日を除き引き続き七日間出席せず、その他その出席状況が良好でない場合において、その出席させないことについて保護者に正当な事由がないと認められるときは、速やかに、その旨を当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する市町村の教育委員会に通知しなければならない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322M40000080011

つまり、
不登校は「正当な理由」ですから、校長先生から教育委員会に通知されることはないんだそうです。

しかし、もし親の勝手な理由で学校にいかせていないことが明らかな場合は、教育委員会から、保護者に対して「学校にいかせるのは義務ですよ~」という督促が出され、かつ、それに応じない場合は、学校教育法第144条により、10万円の罰金が課せられることとになります。

私、これを読んで、ちょっと、いや、かなり安心しました。やましいことはしてないんですけどね、大丈夫…と知っていても、理由がわかることで気持ちの揺れが減ります。

この一方で、不登校の理由には制限がないため、どこまでが「正当な理由」と言えるのかの線引きが難しいとも言えます。少し前に、学校にいかない小学生YOU TUBERが話題になりましたが、彼なんかは督促がきてる?と思われるケースになるかもしれませんね。

学校に行かない選択をどこまで許容するのか…という悩み

そして。
現在進行形で「不登校」の課題に取り組んでいる私も、今回の末っ子の場合は、「これは、たんなるサボりではないのか?」と思うことがけっこうな頻度でありました。親の私がそんな気持ちになるくらいに、娘はうちの中で快適に過ごしていらっしゃいます。敬語でディスりたくなるほどです。
「ほんとにこれでいいのか?」と思うことしばしばです。

ですから、「私の対応が適切ではない」という息子や母の見方がでるのも当然なのだとは思っています。

真面目に、私、迷いまくっています。親ですから。
この子の先の人生のために、「立ち止まって休むのはいつまでなのか?」「家にいる間に、しっかり管理して生活しなくてはいけないだろうか?」「このまま長期化したら、どうやって勉強をさせてたらいいのか」等々、書きだしたらキリがないほど、悩もうと思えば悩めます。

そのため?なのか、たまに揉めます。
真面目スイッチが変な方向にはいると、直ぐに娘を追い詰めちゃいます。
学校からの提案で、行けるような工夫をしてみると、翌朝の登校時間には心身が乱れて自責して泣き叫んだり、不機嫌になり家族に八つ当たりします。そんな様子をみると、私が経験してきた過去のいろいろな学びから、私は「いかない選択をしている」娘を尊重してみようと思ってしまうのです。

義務教育における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律について

子どもが不登校をしていても、親は就学義務違反にならないことがわかって少し安心した方、いますかね? いたらいいなぁ…。

この知識を得られたことで、「あんたのやってることは間違ってるんじゃない?」などの言動をうけて悲しくなってる方は、「ご心配ありがとうございます。でも不登校では、義務違反にはならないようです」と伝えてあげ
相手の方も安心されると思います。

また、子どもの意思を尊重する…ということは、『義務教育における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律』というものに、しっかり明記されてますので、お子さんの言いなりになってるのではなく、子どもの意見を聞き取りながら、対策を考えていくことは、適切な対応だという見解になってます。

とはいえ、近い人ほど、心配していろんなことを言ってくれるものです。そんなときには、心の中で、ぜひ、下のように叫んでみてほしいのです。

「大丈夫だぴょーーーん!!わたしは、子どもの気持ちを尊重してるんですぅ。」
「これは、『義務教育における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律』ってやつに、子どもの気持ちを尊重することがいいって書いてあったらいいんですぅぅぅ」と毒づいてみましょう。
口にだしたら、返り討ちにあう危険があるので、絶対に心の中で!がポイントです。

子どもが不登校って、とんでもなく親にとっては大変なことで、みんな一生懸命に考えて対応してるんですもん。そんな私たち親を心理的に追い詰めるやつなんぞ、実の○○でも蹴りをいれてやりたくりますわ♪
おほほほ~です。

また、来週の火曜日あたりに、「義務教育における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」ってやつについて、書かせていただこうと思います。学校の先生たちの対応が、この法律をもとにいろいろと考えてくださってるのがよくわかるよ~という法律です。

保護者の方も、この法律を深く理解することで、視野が広がったり、視座が高く鳴ったりするような気がします。

注)上の画像は、「カタリスト for edu」さんというHPから勝手にお借りして参りました。こちらのHP、公教育について真剣に考えておられる方たちのサイトですので、こちらもご興味あったらぜひ!
https://catalyst-for-edu.org/2020/01/03/gakkokyoikuhoshikokisoku/

ぼちぼち、無理なく…の塩梅が保てるように、学校の先生とかがサポートしてくれることを願うお母ちゃんでした。

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