見出し画像

仮想通貨の逆張り戦略,クロスセクションモメンタム戦略のエビデンス

こんばんは。

今回は株ではなく,仮想通貨の逆張り戦略について,リターンは得られるのかどうか,その根拠(エビデンス)を提示したいと思います。

実際のリターンやその手法についても解説します。

※有料noteになります。投資は不確定要素が多いため,私のnoteを購入しても必ず儲かるわけではなく,損する場合もあるということを理解した上でご購入ください。また、投資助言業にあたる可能性があるため個別銘柄の推奨や投資判断については書いていません。ダイレクトメッセージでの質問も全てには答えられないのでご了承ください。私のnoteで損した場合も、私は一切の責任を負いませんのでご了承ください。


仮想通貨市場は効率的か?

まず最初に仮想通貨市場が効率的かどうかについてです。

これは,効率的ではないという意見が正しいように思えます。
なぜなら,下記のようにそれを否定する論文が次々と発表されているからです。

効率的市場仮説では説明のつかない価格の変則性(いわゆるアノマリー)も複数観測されている。たとえば、Liu & Tsyvinski(2018)は3種類の仮想通貨(ビットコイン、イーサリアム、リップル)の価格変動を分析した結果、モメンタム効果を確認した。モメンタム効果とは勝者が勝ち続ける一方、敗者は負け続けるという現象であり、金融市場ではしばしば観察されるアノマリーである。Kurihara & Fukushima(2017)は2010/7/17~2016/12/29のビットコイン価格について、曜日効果が存在していることを報告している。もっとも、このような曜日効果は分析期間の前半では見られるものの、後半ではほぼ見られなくなっている。

シリーズ日本経済を考える82:仮想通貨市場は効率的か : 財務省

今回もそのような論文の1つを参考に解説していきます。


仮想通貨逆張り戦略について

Krzysztof Kosc et al(2019)の論文では,逆張り戦略とモメンタム戦略を比較して検証しています。

まず,用いる手法の説明をします。

彼は,仮想通貨のモメンタム戦略と逆張り戦略をS&P500やビットコインのバイアンドホールド戦略などのベンチマークと比較し,その優位性を検証しています。

まずはじめに,ある程度の出来高のある適格資産から時価総額の大きい100の暗号通貨をランク付けします。今後「TOP100」と呼びます。

次に、TOP100 ランキングを使用して、以下の手順でモメンタム,逆張り,参照ポートフォリオを構築します。

  1. モメンタムポートフォリオは、TOP100 で最も高い週間収益率を持つ上位25%の暗号通貨へ均等に投資します。再割当期間は1週間、取引コストは1%としました。

  2. 逆張りポートフォリオは、TOP100の中で週間収益率が最も低い暗号通貨25%に均等に投資します。再割当期間は1週間、パーセント取引コストは1%としました。

  3. 参照ポートフォリオEqWは、再割当日にTOP100に存在する全ての資産に均等投資したものです。再割当期間と取引コストは、モメンタムポートフォリオと逆張りポートフォリオと同様に、それぞれ1週間と1%です。

  4. 参照ポートフォリオMcWは、再割当日にTOP100に存在するすべての資産への時価総額加重ポートフォリオです。再割当期間と取引コストの割合は、上記同様です。

また,ビットコイン価格(BTC B&H)のバイ・アンド・ホールド戦略やS&P500 Index (S&P B&H)のバイ・アンド・ホールド戦略とも比較しています。

今回のモメンタム手法は,相対的に強いものを買うということで,一般にクロスセクションモメンタムと言われています。

仮想通貨の逆張り戦略のパフォーマンス

まずは,比較としてモメンタム戦略(Momentum)のパフォーマンスを示します。なお,リターンは対数表示です。
赤い線がモメンタム戦略のパフォーマンスです。

ここから先は

1,487字 / 2画像
この記事のみ 残り1994/2000 ¥ 500

よろしければサポートをお願いいたします。 いただいたサポートは今後の活動に使わせていただきます。