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追加投資|FLUX

DNX Ventures(以下、DNX)は、株式会社FLUX(以下、FLUX)のシリーズBにリード投資家として出資参画させて頂きました。DNXとしてはシード、シリーズAに続いて3度目の出資となります。FLUXは主にメディア・広告主向けにAIを活用して広告収益や顧客獲得コストの最適化ソリューションを提供するAIスタートアップです。本稿では、FLUXへの追加投資の背景や理由をFLUXの魅力と共にご紹介したいと思います。

FLUXとは?

FLUXは主にメディア・広告主向けに独自開発した“FLUX AI”と呼ばれるノーコードAIプラットフォームを用いて、売上や顧客獲得コストを最適化するソリューション群を提供するスタートアップです。現在はメディア向けに広告収益最大化サービスとなる”FLUX AutoStream、ウェブサイトの自動最適化サービスとなる”FLUX Layout[SH1] ”、広告主向けに広告配信のオーディエンス最適化を行う”FLUX Targeting”のソリューションを中心にを提供しています。それぞれ簡単に下記で触れたいと思います。

FLUX AutoStream

FLUX AutoStreamはメディア企業の広告収益最大化の為のワンストップソリューションです。昨今ではプログラマティック広告の普及に伴いメディア各社は複数のSupply-Side-Platform(以下、SSP)に自社の広告枠のリクエストを行うことで広告配信を行なっていますが、従来のウォーターフォール型と呼ばれる広告配信モデルでは仕組み上高単価の入札を無視してしまうことで機会損失が発生してしまいました。これに対して複数のSSPからの入札を競わせて収益最大化を行うのがヘッダービディング型の広告配信モデルですが、ヘッダービディングソリューションはUSのソフトウェアベンダーがソリューションを提供していることが多く、日本のメディア広告運用者目線では使いづらいという課題がありました。こうした広告運用者の課題に着目したのがFLUX AutoStreamになります。

FLUX Layout

FLUX LayoutはメディアやEC事業者[SH3] 等を対象に、ウェブサイトを訪れた顧客のセグメンテーションを行い、自社のウェブサイト表示を最適化できるソリューションです。ウェブサイト表示の最適化を行うソリューションは既に日本でも一定程度プレイヤーがいますが、データと独自のAIを用いて少ない工数で広告収益や顧客獲得コストの改善を行うことができるのが特徴です。

FLUX Targeting

従来はメディアを主な顧客セグメントにしてきたFLUXですが、新たに広告主向けに広告配信のオーディエンス最適化を最適化するソリューションがFLUX Targetingとなります。従来広告主側ではサードパーティクッキーを用いて広告の効果測定や運用を行なってきましたが、サードパーティクッキーに関する規制強化に伴いファーストパーティデータをベースとした広告運用が求められる中で、ファーストパーティデータをベースにした顧客セグメンテーションと複数の広告連携を通じて顧客獲得コストを最適化するソリューションがFLUX Targetingです。

DNXが追加投資した理由

上記の通り少ない工数で広告収益や顧客獲得コストなどの重要なビジネスKPIを改善するソリューションを提供するFLUXですが、今回改めて以下ポイントDNXとして評価してラウンドをリードさせて頂きました。

1) 圧倒的な成長速度とトラクション

FLUXの創業は2018年、初期のプロダクトであるFLUX Autostream(現FLUX Monetize)[SH4] のローンチは2019年ですが、そこから約3年という短い期間でFLUXはARR10億円まで到達しました。特にシリーズA以降はエンタープライズからSMBまで幅広い顧客層でサービス導入が進み、ヘッダービディング領域ではリーダーシップポジションを確立しました。また、FLUXは複数プロダクトを展開することで収益の多角化を図る「マルチプロダクト戦略」の実践しており、既に新たな市場となる広告主向けのプロダクトも展開していることから、今後の成長ポテンシャルも十分にあると考えています。

2) AIスタートアップとしての競争優位性・ポテンシャル

FLUXの競争力の一つはAIや機械学習といった難しい技術を汎用性のあるプロダクトに落とし込める能力です。AIの活用はどうしてもプロダクトアウト的な発想のサービスが多い印象ですが、FLUXの場合はAIを顧客の課題解決の手段として捉えて見事にデジタルマーケティング領域のプロダクトに落とし込んだ非常に稀有な事例です。これを実現たらしめているのはCTO李さんが率いる開発チームであり、実際にFLUXの開発チームには多くのデータサイエンティストや機械学習・AIエンジニアが在籍しています。FLUXはこれまでの事業を通じてファーストパーティベースでの大量のエンドユーザーデータも保有しており、高度なAIをベースにしたAIプロダクトと質の高いデータを活用した、AIスタートアップとして競争力のあるエクイティストーリーが描けることも改めて今回の投資の後押しとなりました。

3) 卓越した経営チーム

永井社長と共同創業者兼CPOの平田さんが創業したFLUXですが、創業初期は現経営メンバーの数名で少数精鋭で深い業界理解が求められるメディア業界の広告運用業務にフォーカスし、顧客課題の解決に向き合ってきました。永井社長をはじめとした優秀な経営メンバーが深い業界理解、高い技術開発力、商談創出・クロージング力をチームとして持っているからこそ、スケールした今でも優秀なメンバーが集まり高成長を継続しています。この高成長と優秀なメンバーが集まると言う正のフィードバックサイクルがFLUXの強みの一つであると思います。


永井社長からのコメント

DNX Ventures様にはシードラウンド、シリーズAラウンドに続き、シリーズBラウンドでもリード投資家として出資いただいました。 シードからフォローいただけているのは信頼されている証だと感じており、大変有り難い一方で身が引き締まる思いです。日本を代表する企業、世界的な企業からも新規投資をいただき、社会からの信頼も高まっていると感じています。 FLUXは売上やコスト削減に直結するサービスを提供しており、厳しい市場環境下においても多くのお客様に必要だと感じていただける本質的な価値がある事業を展開していると信じております。 また2023年はAI需要が高まっていますが、FLUXは創業当初からAI技術の研究に力を入れてきました。サービス開発を通じて得たAI技術とデータは様々な領域で活用できると考えており、生成AIの活用も含めて事業展開を加速させていきます。 「テクノロジーをカンタンに。経済価値を最大化する。」のミッションを実現すべく、本質的な価値を追求し続けますので、引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。
ーー 株式会社FLUX 代表取締役 CEO 永井元治

FLUXは掲げたミッションである「テクノロジーをカンタンに」の下、既に提供するソリューション群は既にデジタルマーケティング業界では高い評価を受けております。今回調達した資金を活用してさらに組織やサービスに磨き込みをかけ、AIスタートアップとして日本だけではなく海外の産業アップデートに挑戦するFLUXを、我々DNX Venturesも応援していきたいと思います。


(文:小澤 祐介)


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