シリーズA投資|Shiftmation:AIが10xの業務効率化を実現する、サービス業向けのシフト作成自動化SaaS
この度、DNX Ventures (以下、DNX)は、サービス業界向けのシフト作成自動化SaaS「Shiftmation」等を提供する、株式会社シフトメーション (以下、Shiftmation) の総額6億円のシリーズAラウンドをリードし、シードラウンドに引き続いて同社への投資を実行致しました。また、本ラウンドでは日本政策金融公庫より3億円の新株予約権付き融資を受け、総額9億円の調達となりました。
Shiftmationとはどんなサービスなのか?
ShiftmationはAIを活用したシフト作成の自動化サービスであり、現在医療・介護、ホテルや小売までシフトワーカーが活躍する様々な業界の280社以上に愛用されています。
ユーザーである事業所の責任者は、それまでエクセルや紙で行っていた面倒なシフト作成業務をShiftmationを利用することで、それまで何時間、何日もかかっていた作業をたった数秒で完了させることができます。
日本ではサービス業界において、慢性的な人材不足に起因する現場の労働環境の過酷さは解決すべき大きな課題であり、重要な社会課題に対して10x以上の解決策を提供するソフトウェアとなっております。
DNXが投資に至った背景
DNX Venturesでは、2019年のシード投資から長らく能塚社長率いるShiftmation社と伴走して参りました。その中でじっくりPMFを目指した数年間でShiftmationの強いプロダクト、誠実な実直な経営陣、そして何より大きな社会課題に挑戦せんとするビジョンに対して共感を深め、満を持して2024年5月のシリーズAラウンドをリードするに至りました。
1. 「この課題を解決するのはこの人だ!」と思わせる強いFounder-Market Fit
シフト作成が大変であること - これはサービス業に携わったことのある方であれば誰でも実感のあることだと思います。
例えば提出されたシフトの希望を、その店舗が滞りなく運営できる様にシフトを作成するのは店舗責任者の仕事です。従業員やアルバイトの希望、各人のスキル、夜勤などを含めた場合の休暇規定などが加わると、シフトを作成するのに考慮しなければいけない変数は数十個にものぼります。
この複雑な最適化問題を長年の経験と勘で完成させたらば、ギリギリに提出された追加希望、急な予定変更などでやり直し、ということも一度や二度ではありません。その度に責任者は時間を取られてしまい、本来フォーカスするべきマネジメント業務から離れなければいけません。結果、労働環境の悪化や予期せぬ離職が頻発してしまうことも。
Shiftmationを創業した能塚社長も、新卒で入社した会社で携帯電話の販売店舗のマネジメントを任され、日々こういった面倒な作業と戦っていたといいます。そんな能塚さんだからこそ、現場で悪戦苦闘する店舗マネージャーの課題に共感し、寄り添いながら彼らの仕事を楽にするためにこのサービスを世に送り出しました。
強烈な原体験からくる使命感を武器に、顧客ファーストな製品開発を行なっており、シフト作成の自動化に留まらない、店舗マネージャーの課題、もっと言うと日本のサービス業の人材課題の解決に挑戦するプロダクトを次々と企画しています。
2. 課題の当事者だったからこそ生まれたプロダクト
Shiftmaitonのコアプロダクトは、シフト制で働いている従業員のシフト作成をAIが自動で最適化するというもの。今まではマネージャーが時間をかけてマニュアルで調整していたものを、ものの数秒でAIが最適解を導く。
シフトワーカーといえば、サービス産業を支える、2000万人以上が従事する日本の一大産業です。医療介護のみならず、アパレル、ホテル、ガソリンスタンドと、日々我々が生活でお世話になっており、日本の生活を支えています。
最初の投資時には、特にペインが深かったエッセンシャルワーカーで信頼を得ながら、プロダクトを発展させることによってTAMを見事に広げることにも成功しています。いまや最大規模のお客様はいずれも初期市場のお客様ではなく、ホテル、薬局から美容サロンやガソリンスタンドまで業界も多岐に渡ります。シード期間でじっくり顧客開発に取り組んだ分、非常に強いメトリクス (低いChurn Rate) を実現しています。
Razor sharpなフォーカスから始まり、シードステージにおいて、時間をかけてプロダクトを強化し、TAMを広げるというのは理想的なSaaSストーリーを辿りました。CEOの能塚さん、そして彼が集めたチームの顧客第一の姿勢と地道に成し遂げる姿勢が、SaaSスタートアップとしてのFounder Fit、およびDNX ValuesとのFitと、いずれも非常に強いと感じています。
3. 日本から世界へ - 課題先進国としての日本発SaaSプロダクトがどこまでいけるか
サービス業の人材のマネジメントは、人材不足、少子高齢化の「課題先進国」日本で作られるべきサービスだと思います。その証拠に、国際的なクライアントの獲得も目前、APAC全体で利用されるサービスに進化しつつあるところです。日本発、世界で戦えるスタートアップとしての一つの形かもしれない、とすら思わせてくれるShifmationの急拡大には、心躍るものがあります。
余談ですが、個人的には2017年末に創業した私(DNX田中)自身のスタートアップ「シフタス」も、シフトワーカーの支援SaaSでした。紆余曲折あり結局この市場からPivotしたものの、当時自分たちが描いていたビジョンを驚くべき精度で実現している同社を、投資家の立場で支援できることに喜びを感じます。
Shiftmationは既に、今後の成長の礎となるプロダクトは高いレベルで運用しており、お客様となるマーケットも日々広がっています。ここからは、いかにスピード感を持って市場を席巻できるかが成功の鍵です。既存顧客の要望から生まれた新プロダクトも発表され、もはやShiftmationはシフトの自動化SaaSだけではなく、シフトワーカーのマネジメントに関係するありとあらゆる業務のハブになります。
急成長のための最大の課題は、とにかく採用です。お客様からの強い要望によって、これからShiftmationがより幅広いニーズに応えることができるように、プロダクトを大きくするメンバーが必要です。日に日に大きくなるお客様の顧客獲得をリードできるセールス、創業当初から同社の強みであるCS。全方位的に積極採用する会社となります。
能塚CEOからのコメント
DNXのシリーズA投資の基準は厳しく、年間数件の厳選したスタートアップにのみ投資しています。今回はプロダクト、経営チームともに世界的なSaaS企業となりうると信じて、この度の投資に至りました。DNXとしても、SaaSの経験やグロースステージへの豊富な投資経験をもとに、これからのShiftmationの急成長を支援して参る所存です。
(文・田中佑馬)
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