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新規投資|CollaboGate

この度DNX Ventures(以下、DNX)は、分散型IDを活用したIoTデータセキュリティソリューションを提供するCollaboGate Japan 株式会社(以下、CollaboGate)の総額2.3億円のシードラウンドに出資させていただきました。本ラウンドはDNXの他に、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、および株式会社ラックにも参画いただいています。

CollaboGateが解決しようとする課題とは?

インターネットに繋がるモノ(以下、IoT)の数が2018年にモバイルの数を超え、2035年には2,750億台(全デバイスの94.5%)にまで拡大すると予想されています。

ただし、こうしたIoTデバイスを狙ったセキュリティインシデントは後を絶たず、なりすましやデータ漏洩・改竄、不正アクセスなどが絶えず発生しています。このようなセキュリティインシデントの背景には、デバイスの数・種類が膨大、後付け対策が困難、攻撃サーフェイスが広いといったIoT特有のセキュリティ課題が存在します。こうしたセキュリティ課題に対応するため、メーカー各社は設計段階から多岐にわたるセキュリティ要件を考慮し、極めて複雑なデータインフラ構築を進めていく必要がありますが、デバイスからクラウドに跨るデータインフラ構築には、高い専門性と膨大な開発工数を必要とします。トップティアのメーカーでさえ専門人材が圧倒的に不足しており、多種多様な製品ラインナップのすべてに、十分なインフラ開発予算を確保することが困難です。国際的にはIoTセキュリティ規制(IEC62443, NIST SP800など)強化が進んでおり、今後サプライチェーン全体で脆弱性のある機器の売買が禁止される流れが強まりますが、メーカー各社はそうしたセキュリティ対応が十分にできておらず、まさにこうした課題に向き合っているのがCollaboGateとなります。


CollaboGateが提供する「分散型IDを活用したIoTデータセキュリティソリューション」とは?

  • CollaboGateが提供する、分散型IDを活用したIoTデータセキュリティソリューション「NodeX(ノード・クロス)」は、安全なIoTソリューションの早期立ち上げを可能にするデータインフラソリューションとなっており、分散型ID技術をベースに、IoT機器とクラウドとの検証可能なE2EE(エンドツーエンド暗号化)データ流通を可能にする世界初のソリューションとなっております。メーカーの開発者は、同ソリューションを導入することで、これまで膨大なコストと時間がかかっていたインフラ構築を最短1日で実現することができます。また、経営者の視点では、データインフラ構築・運用コストを従来の自社開発と比べ圧倒的に削減することが可能になり、なりすましやデータ漏洩・改竄、不正アクセスによるセキュリティリスクおよび経営リスクを低減しながら、IoTソリューションを安全に素早くお客様に届けることができます。

  • これまで10社を超える大手メーカーがすでに高い関心を持ってNodeXの技術評価を始めており、東芝テック株式会社、株式会社PFUなどの業界をリードするメーカー様との製品採用に向けた共同プロジェクトを開始しております。さらに、インテルやルネサスエレクトロニクスといった大手半導体メーカーとパートナーシップを締結し、各種マイクロコントローラに標準搭載できるデータセキュリティソリューションの提供に向けた共同開発や販促活動を進めております。

  • また、分散型IDの国際標準化が推進されており、CollaboGateは、2019年からWEBの国際標準化団体(W3C: World Wide Web Consortium, DIF: Decentralized Identity Foundation)に加盟し、分散型IDの標準化を推進してきました。同技術は2022年7月にW3C勧告に移行し、「実装途中の新技術」から「安定して世界中で使える技術」として国際的に認められることになりました。なお、CollaboGateのこれまでの活動が評価され、三井CEOが DIF Japan Chair に選任されております。

  • 日本政府も国をあげてこの新しいインターネットの仕組みを「Trusted Web*1」という名称で推進しています。2022年7月にデジタル庁が主催する国家プロジェクト「Trusted Web の実現に向けたユースケース実証事業*2」が公募され、CollaboGateと東芝テック株式会社との共同プロジェクトがIoT分野で唯一の採択プロジェクトになっております。

*1: https://www.kantei.go.jp/jp/singi/digitalmarket/trusted_web/index.html
*2: https://www.nttdata-strategy.com/info/trusted_webR3_koubo/saitaku.html


今回投資に至った理由

弊社が今回、投資に至った理由は大きく以下の3点です。

1. マーケット、ビジネスの面白さ

IoTの数が2035年には2,750億台(全デバイスの94.5%)にまで拡大すると予想されている通り、IoTに関するセキュリティやデータに関する課題は今後ますます重要になると考えております。一方で、IoTデータセキュリティに関するソリューションは世界的にもまだ発展途上にあります。ものづくりを強みとする日本には、世界を相手にする大手メーカーが多く存在し、そのメーカー各社の多種多様で膨大な数のIoTデバイスにCollaboGateのソリューションが搭載されれば、それは非常に大きなマーケットになりますし、大変面白い挑戦だと感じております。米国ではZscalerやSnowflakeなどデータ・インフラ系SaaSが注目を集める一方、日本ではそういったプレイヤーが出てきておりません。昨年国際標準となった分散型ID技術はプロトコルレイヤーのイノベーションであり、これを民主化するソリューションを提供している同社は、インフラレイヤーで世界と戦える可能性を秘めていると考えております。

2. 大手メーカーからの高い評価

今回の投資に際して、複数の大手メーカーにCollaboGateのソリューションに関するヒアリングをさせて頂きましたが、同社のソリューションは非常に高い評価で、そのクオリティの高さを確認できたことも投資の意思決定を大きく後押ししました。昨年国際標準となった分散型ID技術について、CollaboGateが提供するソリューションがIoTデータセキュリティ分野での標準となっていくだろうという声も複数あり、同社の技術力の高さに多くの期待が寄せられておりました。

3. 経営チーム

CEOの三井さんは、テクノロジーへの理解や洞察力があることはもちろん、過去に別のテクノロジー領域での起業経験があるシリアルアントレプレナーであり、過去の起業経験から学んだことをご自身の糧とされている点もポジティブでした。スタートアップのハードシングスを過去経験された三井さんだからこそ、これからCollaboGateが直面するかもしれない様々な困難も乗り越えていけると確信できたことも、投資の意思決定を大きく後押ししました。


CollaboGate三井CEOからのコメント

DNXチームの「圧倒的な意思決定スピード」と「起業家ファーストなスタイル」が決め手でした。倉林さんとは一つ前のスタートアップ時代に出資のご相談をしており、5年ぶりの再会でした。事業だけでなく起業家としての成長を評価いただき、その場で即決いただけたこと、また調達期間中の新田さんの伴走は本当に心の支えになりました。調達後も、DNX新田さん、上野さん、大久保さんを中心に、事業構想のブラッシュアップだけでなく、顧客紹介や採用PRなど、多方面で事業成長に向けたご支援をいただいております。
当社が解決するIoTデータセキュリティの課題は非常に深く、これから成長していく超巨大な市場です。素晴らしいパートナー企業にも恵まれ、彼らの課題と向き合いながら、グローバルにスケールするデータインフラを01で構築していく最高のタイミングです。今回の出資によって、初期チームを確立し、パートナー企業のIoT事業成長を支援できるよう、会社としても進化していきます。「データインフラをシンプルにすることで、産業の変革を支える」というミッションの達成に向けて、CollaboGateを次のステージに進めていきます。引き続きご支援よろしくお願いいたします。
ーー CollaboGate Japan株式会社 代表取締役 三井 正義

最後に

今後IoTデバイスの数は急増すると見込まれており、それに伴いCollaboGateが提供する分散型IDを活用したIoTデータセキュリティソリューションのニーズも今後ますます強くなると考えております。昨年国際標準となった分散型ID技術はプロトコルレイヤーのイノベーションであり、これを民主化するソリューションを提供している同社は、インフラレイヤーで世界と戦える可能性を秘めております。ものづくりを強みとする日本から、セキュアにモノが繋がる世界をCollaboGateが牽引してくれることを期待しております。

(文・新田修平)


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