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講演会「『英文解体新書』の狙い そして、そこから先へ」(2019)に参加して

2021年8月22日(日)に教育研究会Festina Lente主催で北村一真先生の講演会が開催されます。Zoom開催で、一定期間アーカイブでも視聴できるというのはありがたいところですね。

北村先生は2019年10月にもFestina Lenteで講演会をされていて、私も参加しました。『英文解体新書』(研究社)が出版されてから3か月ほど経ったころで、講演内容もそれにちなんだものでした。講演会の翌日、私は以下のツイートをしました。

今回は記事は、このときのツイートに加筆・修正を施したものです。なお、Festina Lenteについては、以下のウェブサイトをご覧ください。

「『英文解体新書』の狙い そして、そこから先へ」

北村さんの講演会「『英文解体新書』の狙い そして、そこから先へ」に参加しました(2019年10月27日)。『英文解体新書』の狙い、さらにその先に進むためのアドバイス、英文解釈の模擬講義、という内容で、自分の今後の英語学習を考える上でも、英語の教え方を考える上でも、勉強になりました。

誤読をしないために

模擬講義では、発展的なクジラ構文の例がおもしろかったです。クジラの構文というのは、A whale is no more a fish than a horse is.(馬が魚でないのと同様、クジラも魚ではない)という例文に代表される構文ですが、模擬講義で提示されたのは、「~でないのと同様~でない」といった理解では対処できない例でした。このような表現を誤読しないためには、前から北村さんがおっしゃっている通り、「論理や常識面での違和感」が大切、というのが改めて実感できました。以下のツイートは、北村さんが誤読を防ぐためにしていることは?という質問に回答しているものです。

私自身、普段から英文を読んでいて「今の自分の英語の知識からすると、この英文はこういう意味になるはず。しかし、それだとどうも違和感がある。ということは、自分の読みが間違っていたのではないか?もしかして、自分の知らない文法・語法のポイントがあるのではないか?」と思い、辞書や英文法の本を見たり、ウェブで検索したりすることで正しい理解に至る、ということがよくあります。

このような違和感を逃さないためには、文章の論理展開、文脈などがわかっていないといけないわけですが、それは結局、読解力や国語力と呼ばれるようなものが必要になるとも言えて、そこが質疑応答の際にも話題になっていました。

読解力をつける

ではその読解力をどう身につけるかというと、英語を学ぶことで身につく側面もあると北村さんはおっしゃっていました。以前北村さんは、英語の文法や文章構成法を学ぶことで国語(現代文)について見方を改めた人もいるのでは、とツイートしていますが、私の場合もそうでした。英語で論理的に読む訓練をしたことは、日本語で文章を丁寧に読むことに確実に役に立ったという実感があります。

母語だと文章を読んでなんとなくわかった気持ちになれてしまう一方、外国語だとそういう甘えがなくなるので、よりしっかりと論理展開などを考えることになり、それがよいトレーニングになったりするんですよね。関連する北村さんのツイートをもう一つ紹介します。

ある文章を読んで、どれぐらい理解できたら「わかった」と思えるか、その基準が人によってかなり違うと思いますが、英文解釈の授業は、その基準が高度な人が世の中にはいて、それに対して自分の読みは甘かった、それは日本語の場合でもそうだったと気づく機会として有益であると思います。『英文解体新書』は書籍の形でそれを示そうとしたと言えますね。『英文解体新書』の副題が「構造と論理を読み解く英文解釈」である点からも、「論理」に基づく読解力に重きが置かれていることが感じ取れます。

講演後にそんな感じの話題で少し北村さんとお話することができました。北村さんは、私が慶応の学生だったときの先輩ですが、自分も先輩の背中から学んでがんばらなきゃと思いました。この講演会に参加した翌月は私自身がFestina Lenteで講演を行なう番でしたが、その前にとてもよい刺激をいただくことができました。

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