クモの性差:表現型からゲノミクスまで(Cordellier et al., 12 February 2020)
抄録:動物には有性生殖が広く浸透しており,その結果,性的二型が進化してきた.ほとんどの動物において,オスとメスは一次性徴と二次性徴に著しい違いを示す.性特異的な器官,ひいては性特異的な行動の形成は,生物の発生過程において規定される.性決定過程は,いくつかの確立されたモデル生物において広範囲に研究されてきた.しかし,性決定がどのように行われるかは,動物によって大きく異なっている.性二型の発生機構を明らかにし,異なる性の進化を促す進化的な力を特定するためには,したがって,典型的なモデル系を超えた多くの異なる動物種で性決定機構を詳細に研究することが必要である.この論文では,クモが性決定機構を研究するための優れた動物群であることを論じる.我々は,クモ〔ナガコガネグモArgiope bruennichiを含む〕が様々な形態的,行動的,生活史的形質において性的二型であることを示す.ゲノム・トランスクリプトームリソースや機能的ツールの利用が可能になり,クモに存在する広範な性的二型をメカニズムレベルで精査するための素晴らしい出発点となる.我々は,クモの性決定に関する現在の知見を概観し,この刺激的な動物における性的二型の分子的・遺伝的基盤を明らかにするためのアプローチを提案する.
Cordellier, M., Schneider, J. M., Uhl, G., Posnien, N. 2020. Sex differences in spiders: from phenotype to genomics. Development Genes and Evolution, 230(2), 155–172.
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