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分子兵器システム間の経済的ジレンマは、ナガコガネグモ(Argiope bruennichi)のアラクノ-非定型毒を説明するかもしれない(Lüddecke et al., 30 Jun 2020b)

抄録:クモは毒を使って獲物を倒すが,クモの科によって毒の多様性が異なることはほとんど知られていない.造網性クモ(コガネグモ科)のデータは限られている.そこで,我々はナガコガネグモ(Argiope bruennichi)を選択し,詳細な解析を行った.本研究では,多数のアセンブリに基づくトランスクリプトミクス・パイプライン,質量分析技術および電気泳動プロファイリングを並行して行う二重のプロテオミクス・ワークフローを組み合わせた戦略を採用した.その結果,ナガコガネグモの毒は他のクモの毒と比較して極めて単純で,システインに富む分泌タンパク質,抗原5,そして病原性関連タンパク質1(CAP)のスーパーファミリーの一員や,その他の,主に高分子量のタンパク質が顕著に存在することがわかった.また,神経ペプチドに類似した新規毒素の可能性も検出された.これらのタンパク質の潜在的な機能を,主に糸に依存して獲物を捕らえるナガコガネグモのユニークな狩猟行動との関連で議論する.私たちは,毒がシンプルであることは,競合するけれども代謝的に高価な2つの武器システムの間の経済的ジレンマを解決するために進化したことを提案する.この研究は,まだ詳細な情報が得られていない小型の毒生物種の系統を網羅し,毒システムの生物学を理解し,この豊富な資源を橋渡し研究に活用するための最先端の手法の重要性を強調するものである.

Lüddecke, T., von Reumont, B. M., Förster, F., Billion, A., Timm, T., Lochnit, G., Vilcinskas, A., Lemke, S. 2020. An economic dilemma between molecular weapon systems may explain an arachno-atypical venom in wasp spiders (Argiope bruennichi). Biomolecules. 2020, 10(7), 978(1–21).


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