たまには「スキ」の考察を
自分の note記事につくスキの数。
気にしていない、と言いつつも、つい気になってしまうものではないでしょうか。
本稿は、スキを増やす方法などではなく、スキがつく/つかないメカニズムを明らかにすることで、スキをどう捉えるべきかを提示するものです。
noteにおける「スキ」とは何か?
スキの意味や動機について数々の noterさんが考察しているようですが、大別すればスキには 2種類あります。
意味のないスキと意味のあるスキです。
意味のないスキとは、記事の内容と関係なく押されたスキのこと。
あいさつ代わりやスキ返し、またランダムに押されるスキもあるようです。
内容の薄い記事に大量のスキがついている場合は、その大部分が「意味のないスキ」とみて間違いないでしょう。
つまり、あなたが自分と他の noterさんのスキ数を比較しているとしたら、この「意味のないスキ」数を比較していることになります。
意味のないスキの数は、フォロワー数と、自分がスキした記事の数で決まると考えられます。
一方、意味のあるスキとは、記事の内容を読んだうえで押されたスキです。
以下では、「意味のあるスキ」に絞って話を進めてまいりましょう。
スキ数の多い少ないをどう解釈すべきか?
他の noterさんとのスキ数の比較は、意味のないスキ数の比較である、と言いましたが、自分の記事同士のスキ数の比較は「意味のあるスキ」数の比較になります。
そこで、よくある疑問が起こります。
スキがつくかつかないかは、最後まで読まれたかどうかで決まります。
最後まで読まれないと、スキはつきません。
最後まで読まれた場合は、高確率でスキがつきます。
したがって、最後まで読まれることが必要条件であるとともに、十分条件でもあることになります。
読み手がそのページから離れるポイントは 3つあります。
それは、序盤・中盤・終盤にやってきます。
序盤は、書き出しの数行で、「私には興味のないテーマ」と判断したとき。
書き出しでテーマを絞りすぎると、そこで離脱する人が大量に発生するわけです。
中盤は、文章の軽重にかかってきます。
読み手にとって、記事の中盤は疲れを感じ始めるときです。そこで難解な文章が続くと、読むのをあきらめてしまうのです。
終盤は、結論が見えてしまったときです。
「結局こういうことが言いたいのね」とわかると、最後まで読まなくていいや、と考える人が一定数いるらしいのです。
以上から、質の高い記事ほどスキがつかないことに気づかれたでしょうか。
序盤:質の高い記事とは、テーマが明確であり、テーマは最初に提示すべきものです。
中盤:読みやすさは大切ですが、質の高い記事であればあるほど重い表現にならざるをえないこともあります。とくに中盤は。
終盤:質の高い記事は、結論も明確なものです。最後に突飛な結論をもってくるより、メッセージが一貫していて最後までブレないのが良い記事です。
本稿も、「質の高い記事ほどスキがつかない」という結論をすでに言ってしまっていますね(笑)
スキがつきやすい記事の特徴
以上をまとめると、スキがつきやすい記事の特徴は明白ですよね。
✅万人が興味をもちそうな書き出し。テーマはなるべく限定しない
✅終始、軽いタッチの文章で。難解な言葉やレトリックは控える
✅最後まで予測不能な話の運び。騙された感・意外性・オチがある
毒にも薬にもならない無難な記事、ということになるでしょうか。
もちろん、そういう記事を低評価する意図は微塵もありません。
そういうタイプの記事こそ最大公約数的な多数に読まれるのは自然だし、note社のセンスにも合っていると思います。
私自身も、気軽に読めるライト級記事と、大真面目なヘヴィー級記事と、その両方とも好んで読みます。バランスをとっているのでしょうね。
書く側としては、基本的には自由に書けばいいわけですが、ライトな記事とヘヴィーな記事を併存させるのもありだと思います。
そのうえで、スキ数を予想するのもおもしろいかもしれませんね。
ライトな記事を書いたから、30くらいいくだろう。
ヘヴィーな記事を書いたから、10止まりかな、みたいに。
最良の読者は自分自身
数字信仰の現代、スキ数というパラメータに感情が動くのは避けられないと思っています。
いまいちど、本稿の主旨を 2点に要約させてください。
1. 他の noterとのスキ数比較は「意味のないスキ」数の比較である
2.「意味のあるスキ」数は書き手の思いとは反比例するものである
note のような場で書いていれば、それは情報の発信であり、読者を想定したものです。なので、読者の反応が気になるのは当然のこと。
読者の反応は、コメント欄に記載がなければわからない。スキ数は一人一票なので、広さは反映されているかもしれないけれど、深さは反映されない。むしろ、深いものには票が集まらない。
それでもやはり、大真面目なヘヴィー級記事を書いてほしい、と私は思います。
そういう記事がなくなったら、note は終わってしまいます。他のメディアと差別化できませんからね。
note世界には、スキ数を気にせず、心のおもむくままに文字を綴っている人がたくさんおられます。
そういう note にこそ珠玉の言葉たちがあふれているもの。
スキ数が少ないのは、それだけ深く読んだ少数派がいたということです。
それに、あなたが力を込めて書いたものは、他の誰よりもあなた自身が何度も読んであげてほしい。最良の読者はあなた自身のはずだから。
汝の力作を愛せよ。
自分の書いたものを自己評価できるのなら、スキ機能など不要なのかもしれませんね。