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妻が私の役職に興味なさすぎる件

現在香港で働く私は、スイスへの転勤を自らの意思で選び取った。

スイスは、2013~2019年の 6年を過ごした地。
長女は人生の 10分の 6 スイス育ち、次女はスイス生まれだ。
妻にとっては、初めて暮らした外国であり、特別な思いのある街であろう。
 
スイス帰任の話を妻にしたとき、妻は表情を変えず「ふーん」と言っただけだったが、キッチンに行って小さくガッツポーズするのを私は見た。
しかし、私はまだ大事なことを妻に話していない。
 
今日、それを妻に話すことにした。


子供たちが眠りについた 10時頃、妻を自室に呼んだ。
妻はビール党だが、あたしもワインにしよっかな、と珍しく赤用のグラスと自分の煙草を持参した。
 
私「1月からまたジュネーブて言うたやろ」
妻「うん。よかったよね」
 
私「じつは、まだ話してへんことがあるんやわ」
妻「なんのこと?」
私「次の仕事な・・・役職ないねん」
妻「ん・・・? ヒラ社員みたいな?」
私「まあ・・・そんなとこやな」
 
妻は、興味なさそうな顔で煙草に火をつけた。
 
妻「今の役職って、なんなの?」
私「・・・・・。財務責任者や」
妻「それって、エラいの?」
私「いちおう、エラいんかな。ファイナンスのカシラやし」
妻「そうなんだー(棒読み)」
 
コイツ、本当に何も知らないんだな、と思った。

私は、これまでの経緯や自分の決心について、ひととおり説明した。


妻「ほんで、なにが言いたいねん」
私「なんで急に関西弁になるねん」
妻「うつってん」
 
私「おまえの立場も変わってくるかなぁ思うてな」
妻「どう変わんねん(笑)」
私「ほかの奥さんたちとの付き合い方とか?・・・知らんけど」
 
妻が私の仕事を知らないのと同じくらい、私は妻の交友関係を知らないんだな、とあらためて思った。
 
妻「ダンナの役職で態度変えるような人とは付き合うてへんよ」
 
たしかに、コイツが香港の駐妻たちにエラそうにしている絵など想像できない。
 
妻「うちは服屋の店員しかやったことないから、ようわからんけど、店長になりたいとか思うたことなかったなー」
私「へぇ。なんで?」
妻「お客さんとしゃべっとるほうが楽しかったし」
私「それと同じかもな。俺も店長より店員のがええんや」
妻「ほんならよかったやんか」
 
コイツにこんな話をする必要はなかったのかな、と私は思い始めている。
 
妻「お給料半分くらいになるとか?」
私「それはないけど(笑)減るかもしれへんな」
妻「べつにええんちゃう」
私「家計の収入が減るかもしれへんっちゅー話やで」
妻「あんたに拾うてもらわんかったら、今頃うちの収入ゼロやで(笑)」
 
あぁ。コイツらしい・・・。
ゼロなんだよな。発想の起点が。いつも。
ゼロでもなんとかなる。プラスなら、もっとなんとかなる。
お金のことだけではない。
たぶんコイツは、友達ゼロでもなんとかなる、と思ってやがる。


私「ほな大丈夫そやな。なんか言いたいことあるか?」
妻「ない。あんたなぁ、うちがそんなことでなんか言うと思うたん?」
私「・・・・・・」
妻「あ、言いたいこと、あったわ」
私「なんや」

「アホやなぁ」
 
アホ・・・か。
妻よ。私も言いたいことがある。

「その気色悪い関西弁やめてくれへんか」


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