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要配慮個人情報にオタクは該当するのか

初めまして、DNFです。
時事ネタです。

今回ツイッターのトレンドにも上がったこのような話題があります。

"オタクの血"

これは「オタクが献血をしたら輸血者はオタクの血を入れなきゃいけないなんてマイナスだ!」といった考えから来ているものです。

ド直球の差別ですね、以上。と、ほとんどの人がなっているのですが中には対抗して「こっちもお前の血は入れたくないな!」等と言い返してる人も居ます。
この返しは"血の貴賎"を認める同調になってしまっていますね……。

さて、今回はこの問題について少し考えていきます。

深刻な献血問題

まず背景として。コロナの長期化の影響か、献血が不足しているという問題があります。

特に問題なのは事故での大量出血の怪我……ではなく、がん治療が一番影響を受けると言われています。怪我は予測できませんしその瞬間以外では実感も沸き難い所ではありますが、がん治療などを含む特定の病気で定期的に頼っている人には現在進行形で不安になる問題と言えます。

そんななかでコミケで行うキャンペーンの献血効果はなかなかの成果があるようで、恒例のキャンペーンになっております。

しかしながら騒動の当人はコミケの献血に反対し、以下のように主張しています。

  • 血を体に入れるのはセンシティブな行為だ。

  • オタクの血を入れる事は万人に受け入れられない。

  • 特定地域、特定層で献血を募ることでオタクの血だと知れ渡る。

  • そのような【情報】は不要であり、輸血者にとってマイナス。

  • ちなみに私は血を貴賎するつもりはなく、そういう人が世の中に居る。

ほとんどの人は「まるで意味が分からない」「差別主義者」「さすがにネタ」という評価になっています。

私はここで【情報】という言葉が少し気になりました。

要配慮個人情報とは?

タイトルにも付けました"要配慮個人情報"の話です。
"個人情報"であれば良く聴く言葉ですが"要配慮個人情報"となるとあまり聞いたこと無い方も多いかもしれません。

まず"個人情報"の定義としてはこのように解釈できます。

  • 個人を特定しうるもの(氏名、性別、住所等)

  • 個人の識別番号(免許証番号、マイナンバーなど)

続いて"要配慮個人情報"とは以下のようなものです。
【社会通念】と共に適宜見直される項目のようです)

  • 人種や信条

  • 犯罪歴、差し押さえ等の刑事事件の手続きの事実。

  • 病歴や、身体、精神、知的障害など

  • その他健康状態(診断結果)、診療、投薬等の情報。

"要配慮個人情報"は個人情報の中でも特に人権保護の観点から特に慎重な扱いを定めるものです。この取り扱いに関しては個人情報にて定められた施行された際に厚生労働省から「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス」として特に【医療業界】で強く取り組まれてきました。(医療ビッグデータの取り組みのためだと思われます、現在は医療業界以外も普通に扱います)

似たようなもので"機微情報"(センシティブ情報)というのがあり、これは金融庁が「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」というのを出し、主に取り組んでいるものです)

"要配慮個人情報"はその性質上、漏洩した場合差別被害に合う可能性が高いものであり、取得や第三者提供に対して規制がかけられているものとなり、しっかり管理しなければなりません。

もちろん"差別なんてあるべきではないのだからバレて困る情報なんて無い!"というのが理想なのですが、現実問題として差別的感情を抱かれてしまうようなリスクのある情報が存在するならば、厳正な管理をし【差別】による被害を起こさないようにしなければなりません。

オタクは要配慮個人情報なのか?

ここで本題になります。

まず前提として、"オタクは差別を受けている"と仮定して話を進めていきます。(そうしないと話が進まないし、騒動主の主張通りなら差別を受けているという認識でもおかしくないため)

今まで話してきたとおりの事から騒動主の"オタクの血問題の主張"はこのように変換する事が出来ます。

"コミケで献血を行う手法は、輸血者の要配慮個人情報を特定させる管理体制であり、差別行為を引き起こす若しくは差別感情を煽る問題がある"

つまり、この騒動主の主張は"要配慮個人情報"としての問題、
もしくはそれに近い道義的な信条に触れた
もしくは自己で至ったために、問題提起していると解釈できることになります。

なので騒動主はおそらく「社会通念上存在しうる配慮の概念であり、間違ったことは全く言っていない!」という確信を持っているために、本気で差別だと思っておらず、堂々とした態度を取り続けているのだと私は推察しています。

しかしもちろん、それは間違った解釈だと批判します。

要配慮個人情報ではない

騒動主の主張と"要配慮個人情報"の概念は全く異なるものです。

"要配慮個人情報"「差別を受けうる者へ配慮する」取り扱いですが、当人の主張は真逆の「差別する人が不快になるから(差別感情を煽る)配慮しろ」という意見に集約されます。

つまり反論としては
「あなたのような"社会的通念上リスクがある特定の情報は配慮すべきものがある"とした考え方は存在する。しかしあなたとは全く真逆な思想であり、つまりそれはあなたが社会的通念から外れた危険なものであると言わざるをえない。不当な差別を行うものへは毅然とした対応を取らなければいけない」
といったところになるでしょうか?

また、本来の"要配慮個人情報"のようにオタクが差別を受けないためという観点でコミケ献血に反対するという主張であったとしても「その特定の情報により、差別者によって不利益を被ることがある場合、人権保護として配慮されるべきである」のであって、この場合献血をしたものの個人情報は守られているため直接不利益を被ることは無い。
よって"オタクの血"が不快だと思う人間だけの問題となり「憲法第14条により、すべての国民は法の下に平等であって差別されてはいけなく、差別思想は公共の福祉に反していると考えられるため、オタクの血が不快だという信条側が配慮されるものではなく、配慮を促す騒動主の主張は(本人にその気が無くても)差別を助長する行為だと反論する」
といった感じでしょうか?

最後に

誰かの血とかは関係なく。
血液不足により誰かに血が行き届かないほうが何倍も大事で。

私は「頭ごなしに否定するのは良くない」といったような発言をする事がありますが、それは相手に配慮しろとか手心を加えろという意味ではなく、「しっかり理解したうえで曖昧な否定ではなく、毅然と否定したい」と思ってるからだと思います。

「なに言ってるのかまるで分からない」だとモヤモヤする事もあります。

以前「多数決は民主主義じゃないですよ」といった論調を見たとき、その瞬間は「どういうことか良く分からないけど違うでしょ!」と思っていましたが、上記の記事のようにしっかり整理し言語化することで意見を自分の中で明確に持つ事が出来てスッキリしました。

私のこの雑記が、誰かのそういった納得感への何かしらの助けになりましたら幸いです。


DNF@P_drenreb

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