見出し画像

笑えない夜を、誤魔化す

父親入院3日目。

10時ごろ起床。母親はもう仕事に出かけたあとだ。
わたしはUMIの「Forest in the City」というアルバムを聴きながら履歴書と職務経歴書を書いた。以前も書いたはずなのだけどデータがどこかに消えてしまっていた。
22歳の頃から仕事をコロコロ変えているのでわたしの職務経歴は余裕で10社を超えるが、書類にはきゅっとコンパクトに3社にまとめて書いた。いけないことだけど、正確に書けば書くほど社会不適合者だということを証明することになってしまう。

「マジメにコツコツ頑張ります!簿記の資格持ってます!でもすぐやめます!」
わたしが雇う側の立場だったら自分のことは絶対に採用しない。

書類を完成させて早速2社応募してみた。どちらも完全在宅の仕事だ。
わたしの職歴が巻物のように長くなってしまった原因の大きな割合を占めるのが通勤時のパニック発作と、会社で人に見られている気がして手が震えるなどの症状が出る「社会性不安障害」の影響だ。
実は今まで在宅で仕事をした経験はほぼない。全くないわけではないのだけど、ちゃんと会社に所属した形態で長期間働いた経験はない。

精神の病気のことを考えるともっと早く在宅で働くことを目指して仕事探しをしていたほうがよかったのだが、なんだかんだと言い訳をしてやらなかった。慣れていないことをやるのが苦手すぎるのだ。悩んでいるうちに動いてしまえばいいのに。

わたしは右目が見えないので車の免許も取れない。そして家が群馬の山の中なので通勤できる範囲が狭い。完全在宅のほうが求人数は多そうだ。
今まで何してたんだ?と思うが仕方ない。ちなみに去年までは家から2キロほど歩いた場所にある金属メッキ工場で手作業の仕事をしていた。そこを辞めてからは人間としても社会的に見ても自立できていない。
ベッドが背中にくっついて剥がすとベリベリと音がして皮膚が剥がれて乾燥して身体が壊死してしまう、というのは嘘だが、精神がそんな感じだった。

鬱病は浮き沈む。昨日までアスファルトを歩いていたはずなのに朝起きたら泥沼に足を取られどんなに藻掻いても前に進めない時がある。そういう日は必ずくる。その時にいかにして被害を最低限に抑えるかの戦いだ。
わたしの人生はそういう地獄との闘いであり対話である。鬱病はわたしに付いてまわるものではない。わたしも鬱病の一員なのだ。寄生獣のミギーみたいに。

ここから先は

440字

ALWAYS MIDNIGHT. WW

¥500 / 月
初月無料
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?