散文だとか日記だとか:平和定食
定食屋の前にいつもいる茶トラ猫が、今日もいる。
お店の中を覗いていて、わたしのことなど気にも留めない。わざと足音を鳴らして歩く。聞こえているくせに振り向かない。
でも撫でようと近寄っていくと逃げられる。もうちょっと愛想振りまいてくれてもいいのに。きみ、顔はかわいいんだからさあ。
定食屋の前には、チェリオの自販機がある。
子どもの頃、よく駄菓子屋の前にあった記憶。安いし、パッケージも中身もやたらめったらカラフルで、みんなわいわい言いながら買ってた。味はいつも微妙だったけれど、ライフガードは悪くなかったような気がする。
ちょうど喉が渇いてて何でもいいからごくごく飲みたい気分だったので、適当にスポーツドリンク的なやつを買う。110円。相変わらず安いけど、昔は100円だったのにと思う。これは消費税10%の影響なの?
わたしの中では消費税といえば5%なんだけれど、もうそれも6年前のことらしい。わたしが生きている間に3%の時代もあったんだね。6歳までか、自分で買い物したことない年齢だから知らなくて当然。
定食屋でお弁当を買おうかと思ったけれど、おばちゃんたちが慌ただしく動いているのでちょっと入りづらい。なんとなくやめて、いつも行くパン屋で買うことにした。
定食屋の前には、まだ茶トラがいる。依然として振り向いてくれない。
悔しくなって鳴き真似をしてみる。にゃーお。茶トラは面倒そうに振り向いてくれた。満足。
ニヤニヤしながら顔を上げると、角を曲がってきたおばあちゃんも振り向いていた。目が合って気まずい思いをする。
平和な昼下がり。チェリオのスポーツドリンクは化学物質の味がした。いつものパンは、いつも通りおいしかった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!ぜひお友達になってください!!