見出し画像

シャンプー・カット・ランデヴー

髪を切った。前切ってから2か月くらいだと思っていたのに、いつの間にか4か月も経っていて驚いた。そろそろ髪がもさっとして邪魔だなあと思ってはいたけれど、そんなに放置していたとは。いわゆる「女子力」の欠乏。

シャンプーをされながら、他人に頭を触られるのってなんで気持ちいいんだろうと考えていた。頭って、要するにヒトの弱点である。弱点に触れられて気持ちいいなんてね。


さあああとシャワーの音、すこし熱めのお湯が髪の内側まで侵食してくる。ほんとうはぬるめのお湯が好きだけれど、「お湯加減だいじょうぶですか?」に「はーい」以外で答えたことがない。

シャンプーがしゃかしゃかと泡立てられ、ひんやりした感覚とアシスタントさんの細い指が髪のすきまをスッと通り抜けて、頭皮に行き当たる。ぐ、と力を込めて揉む。だんだんと軽快なリズムになっていく。

か細い指をしている人の方が、ぐ、の圧力は強い傾向にある。指が太めの男性はだいたい柔らかくて、手全体で揉んでいる感じがする。ぐ、というより、む。効果音。指の腹の面積だけが理由ではないんだろうな。


シャンプーやリンスを流すとき、髪と水面でぱちゃぱちゃ鳴るのが好きだ。水の中に浮かんでいるみたいで気持ちいい。でも耳へ水が入ったときは、早く拭いてほしくてもぞもぞする。心の中だけね。

洗い終わってタオルを巻かれたまま歩く、その姿を鏡で見ると現実に戻ってきてしまう。わたし髪全部上げるとここまでブスなんですね? いい感じの髪型をつくり出す前に、1回現実を見る必要があるらしい。


とは言え、今回は本当に「いい感じの髪型」になったか怪しい。オン眉ぱっつん切りっぱなしボブ。個性的ではある。齢28にしてぱっつん、いかがなものか。ま、そろそろ個性派が似合うのも最後だなと毎年思う。

久々に人の手でシャンプーしてもらって、「でもマスクするし、短い前髪いいですよね~」とか言われて、「でも」って何と思ったり、ヘアオイルつけてもらったりして、サロン帰りの香りをまとって。


派手な服にマスク、でっかいリュックを背負って「サブカル女子」の出来上がり。サブカル系チビ女はチョロいとでも思われるのだろうか、仕事終わりに数年ぶりのナンパをくらった。滅べ。

そもそもこのご時世なんだからマスクして来なさいよ。チョロいと思われたんならヘコむなあ、マスク外したらがっかりされるんだろうなあ、と思いながらガン無視をキメる。わたしは一刻も早く帰りたいんだ。

髪型を変えた日は、すこしワクワクする。みんなニヤニヤしながら「おっいいじゃん~」って言ってくれる。家に帰る足取りだって、いつも軽いけれど3割増しで軽くなっちゃう。ふふ。早く帰って、おうちでご飯食べるんだ。

最後まで読んでいただきありがとうございます!ぜひお友達になってください!!