2022年3月26日 デモクラTV本会議から

出席者
丸山重威(ジャーナリズム研究家、元共同通信編集局次長)
細田満和子(社会学者、星槎大学大学院教授)
首藤信彦(市民政治バンド代表)
司会
川崎孝章(放送研究家)
文責:デモクラTV

川崎
ウクライナのゼレンスキー大統領が、国会の議員会館でビデオ演説。夕方6時から、NHKの7時のニュースに間に合うような演説でした。

首藤
要するにアメリカがやらせた。ゼレンスキーは日本の国会に訴える価値なんて考えていない。日本の防弾チョッキとかヘルメットとか使えない。日本に関心はない。これはアメリカが日本の国会議員に、日本はロシア包囲網の一員としてもう引き返せませんよ、と世界に伝えたこと。

次の問題は中国。中国からいろいろな援助が入る。戦争になると弾丸が足りなくなる。ロシア軍も足りなくなってきているだろうから、中国からはいる。アメリカは日本に中国を後からチクチクやらせようとしている。習近平はバイデンなんか相手にしてない。でも日本は貿易の相手国として欠かせない。

日本を虜にする戦略で、ゼレンスキーの宣伝ではない。日本に向けてのアメリカ。ひどい状況になる。外交は宣伝の大きな武器。ゼレンスキーの演説も兵器。兵器は球がでてくるのだけが兵器じゃない。

いま膠着状況のウクライナ、長期化するとロシアの制裁も厳しくなるが巨大だしかつて何度もくらっているからどうということはないがウクライナは大変。NATOは兵を送らないと言っているが、

ノモンハン事件で日本は大敗。太平洋戦争の直前にソ連の戦車に蹂躙された。その将軍が後にスターリングラードでドイツをやっつけた。でもソ連軍の死者は日本軍よりずっと多かった。どんなに死んでも響かない国。母に聞いた話だがソ連軍が最初に入ってきたとき、少年兵とか障碍者とかが最初に満州に来た。消耗してもいい覚悟でやっている。ロシアが負けていると宣伝しているが、本当に負けているのかどうかがわからない。

アメリカはNATOに参戦させたい。ロシアは悪いだけじゃない、人類の敵だと。どうしてかといえば非人道的なこと、病院を攻撃している、クラスター爆弾や白リン弾、毒ガスを使うと宣伝して。ロシアは使わないというが、諜報機関が入って毒ガスの被害を出してロシアがやりましたということにしてNATOに開戦させる。そこまでいかないまでも制空権の制圧とかミグ29、ポーランドが供与しているものを引き渡すとか、そこまでやるかもしれない。決してロシアが負けているわけじゃない、一刻も早く止めなきゃいけない、そしてウクライナが回復できるように様々な手を打っていかなきゃいけない。

丸山

聴いてなるほどと思いました。宣伝戦なんですね。大統領の演説もその一つ。その宣伝に引っかかっちゃってる人がたくさんいるということが問題。冷静になっていかなきゃいけない。

細田

状況をどう受け取るかが問題。あまりにもウクライナについて知らなすぎる。先日フランスのジャーナリストが録ったドキュメンタリーを見たが、ウクライナの東側ではウクライナの兵士がロシア語話者にいま行われているのと同じようなことをやっている。ウクライナの中でそういう迫害を受けている人がいる一方で…ウクライナの中で何が起きているのか、見えないところで苦しんでいる方がいらっしゃる、そこまで見て、東部も西部も全体を合わせて平和になるにはどうすればいいのか、武力ではなく対話で。

首藤

背景や歴史はあっても、武力行使に踏み切ったプーチンは批判すべき。でも日本の対応は最低。戦争当事者に加担、憲法改正を議論する前にもう国会でやっちゃってる。それでロシアに経済制裁。これは武力行為。PKOは平和的解決でこれは国連憲章第6章にある。国連憲章第7章の武力行為に経済制裁が含まれている。これ自体が憲法違反なのに議論されない。難病を抱えている人なんか薬が入ってこなくなったらすぐ死ぬ。しっかり議論しなきゃいけないのに。野党はどうしたんだろう。自民党はアメリカ絶対でいいんだけど、野党までスタンディングオヴェイションじゃ成り立たない。ここで立ち上がって拍手なんてシナリオもらってやるなんて国会じゃない。唯一の救いは議員会館でやったことだが。後でもし何かあれば「ゼレンスキーさん、あれは議員会館であって国会演説じゃない」と言える…。(中略)ウクライナも悲惨だけど、我が国も本当に悲惨な状況ですね。

この10年、20年でニュース番組が娯楽になっちゃった。お笑いの人が解説するのはよくない、それなりに見識のある人が話さなきゃいけない。カナダで研修を受けた時、放送作家が来ていた。資格がなくちゃ放送局のようなところで仕事はできない。それぐらい厳しい。日本は話す人も原稿を書く人も専門家じゃない。この国は悲惨な状況にある。

丸山

東側の情報が入ってこないこともある。世界の報道ベースは西側の情報、昔でいえば。西側の情報は商業主義だからそういう傾向が強くなってきて、改まらないままここまできちゃってる。大手メディアも小さいところも情報にお金をかけない。手軽なものしかない。手軽に情報が取れるものは要するに宣伝。其処に乗っかっちゃってるのが怖いところ。一つ一つ立ち止まってみないと危ない。中国もそう。中国が出してるテキストをちゃんと読んで議論すればいいのにしない。武器供与しないといってるのに、中国はやりそうだと繰り返しいう。テキストをきちんと読んで報道しないと危険。

川崎

悲惨な映像は売れる。だからといって分析しないのは話が違う。事実を伝える、それを分析して伝える役割をもっときちんと報道機関にお願いしたい。次はロシアが平和条約交渉を中止するというニュースについて議論します。

首藤

何を言ってるんだという事ですね。二島返還なんて目先の利権で勝手に進めた。でも問題は平和条約で日ロ関係を決めてそれから領土の問題。戦争でとられたものを戦争じゃない状態で取り返さなきゃいけない、それは大変なこと。少し返してください、その代りお金を出しますなんてバカげてるんです。交渉停止なんてロシアが停止したわけじゃない、こちらが停止した。こちらが経済制裁で攻めてるんだから停止なんて当たり前。国際政治の常識を記者も知らない。

丸山

分析が必要なんです。一つの事象をどうみるか、歴史的にもそうだし、いろんなことを勉強しながら、それをベースにした原稿が続いて出てきて欲しいですね。調査報道にはいろいろな様式があるので、整理していくのも重要。秘密を探るばかりが調査報道ではない。

細田

新たに調査、インタビューもあるけれど、埋もれていた情報、調さ、統計などを掘り起こしていくのも大切。

丸山

これは戦争じゃないとプーチンはいってる。特殊軍事作戦であると。そういってやったのが満州事変。戦争っていえなかったから。なぜか、あの時は不戦条約に縛られていたから触れないように。でも元をたどれば、戦争についてはルールが必要だってニコライ二世が言い出して平和会議やったところから進んでいく。それから大戦が二つあって国連。戦争じゃないってのは論理逃れ、違うっていわなきゃいけない。経済安保ってのも問題だと思うんだけど、それが平気で流れて規定されていくことにも敏感であってほしい。

首藤

最大の問題は国連が最も役に立たないこと。もっとも重要な国際紛争に出てこない、プーチン批判ぐらいで何の役にも立たない。もとはボスニア戦争で国連は一生懸命やって特別代表を明石さんがやった。明石さんはカンボジアで国連始まって以来の成果を上げてカンボジアをまともにした。その力でボスニア紛争で特別代表としてやった。セルビアクロアチア…いろんな諸民族をフェアに扱い最後の最後まできちっとした対応で紛争を収めていった。ウクライナほどめちゃくちゃにならなかったのは国連と明石さんの業績があった。でも今や国連はバカにされている。おかしい。中国ロシアの常任理事国がおかしいと誰かが強く言わないといけないのに行われない。それはアメリカが国連をなくしたいと思っている。United Nations じゃんかうUnited Statesでやりたいと思ってるから。国際社会できちんと解決に導いていかなきゃいけないのに。後に人々はこれをバイデンの戦争と呼ぶでしょう


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