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喋って飲んで飯を食う

街はイルミネーション、君はイリュージョン、天使のような微笑み…

街が電飾によって彩られる景色を見ていると懐かしいフレーズが頭の中をよぎる。忘年会だの懇親会だのはいろんな名前があっても、酒飲んで飯食ってどうでもいい話して人間として仲良くやろうぜ、という儀式である。飯を楽しんだり酒を楽しむのは本当の目的ではないものの、やはりそれらがあってこそ心安らぐ時間になるわけだから蔑ろにはできない。飲み会の幹事には様々な能力が求められており、会をセットアップすることは一つのプロジェクトを回していくことだと言える。予算を引っ張ってきて、人をアサインして、店を押さえるなど幾つもの合意形成がある。そこには仕事における段取りのエッセンスが詰まっているから、社内の飲み会の幹事を新入社員にやらせるのはごくごく当たり前なリソースの有効活用といえる。

近年飲酒量が減少傾向にあり、料飲産業は縮小傾向にあると言われているが、やはりこの季節には度々お世話になるし繁華街に出るともはや新型感染症の影響もどこへやらの賑やかさで景気が良い。私自身もこれまでしばしば飲み会の幹事を任されてきたが、そこそこ上手くやれている自信がある。諸々の調整や手配が好きか得意かは別として、とにかく飯についてある程度の裁量を持たせてもらうことで途端にやる気が出てくる。往々にして会社のコミュニケーション費で落としているので、「残業食」同様に会社の金で好きな飯が食え、それだけで飯が美味い。

まず初めに飲み会の幹事を仰せつかったのは札幌で働いていた新入社員の頃で、キリンビール園の中の鍋ができる広間を使って20名程度のものをやった気がする。社長がオーナーの中小企業ではあったものの、道内各地に拠点があるインフラ事業をやっていたそこそこ名前が知れて所帯も大きな組織だった。その場は本社の管理部門の平社員の私などマイノリティで、ほとんどは課長、次長、部長、と現場の管理職であり、日程調整がとても面倒だった記憶がある。会自体は社長がいない気楽さと普段なかなか飲めない人たちと交流が持てたこともあってそこそこ盛り上がった。肝心の料理はキリンビール園ということで安定していて、悪くなかったと思う。

次に渋谷のIT企業に転職して初めて幹事を仰せつかったのは自分の歓迎会だった。少し前に入社したほぼ同期入社の先輩と私の2人の歓迎会ということ、私たち2人が来たことで管理部門から人事が独立して人事部門になったキックオフのその2つの意味があったので、初めは困惑したがすぐに飲み込んでさっくり進めた記憶がある。東京に来てすぐの適当にしてはいい店のチョイスができて、今もあるかわからないが、マークシティと246の間の坂の途中にある魚メインのイタリアンだった。比較的値段も手頃にも関わらず量も味も満足出来るお店だった。これに味をしめたのか何度か機会があるたびに飲み会の幹事をやったのだが、この行為が私の渋谷に対する理解を深めたといえる。

新型感染症によるパラダイムシフトがあり、転職して全くの平社員でなくなったこともあり、その後は一度忘年会をやったものの飲み会の幹事からは遠ざかっている。ただいつでもその機会に巡り合ったら動き出せるように、お店探しは欠かせない。もし飲み会やるならここに行きたい、というお店はいくつかリストアップしてあるので興味があればお声がけください。

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